スラムドッグ$ミリオネア(Slumdog Millionaire)のネタバレ解説まとめ

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『スラムドッグ$ミリオネア』とは、2008年製作のイギリス映画。インド人外交官ヴィカス・スワラップの小説『ぼくと1ルピーの神様』をダニー・ボイル監督で映画化。インドでオール・ロケーションされた社会派エンタテインメント。第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門を受賞した。日本でもお馴染みのTVのクイズ番組に出場し、史上最高額まであと1問と迫った青年。彼のスラムで育った過酷にして波瀾万丈の生い立ちを、クイズ番組に巧みに織り込みながら、スリリングかつ躍動感いっぱいに描いていく。

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ムンバイ警察の警部。
警察に連行されて来たジャマールを拷問に掛け、「予め答えを知っていたのでは」という不正を自白させようとする。だが「本当に答えを知っていただけだ」と主張し、その答えを知った背景を自分の生い立ちになぞって語り始めたジャマールに対し、徐々に彼の誠実さを見出していく。

『スラムドッグ$ミリオネア』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「君は幸運…僕は違った…それだけのことさ。」

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数年振りにムンバイへ戻ったジャマールは、ムンバイの街を歩き回り、行方の分からないラティカの手掛かりを掴もうとする。そんな折、地下道で歌を歌っていた、かつて眼を薬品で焼かれた施設の少年と偶然再会する。ジャマールは少年に100ドル札をあげると、少年は「お札に誰の顔が描いてある?」とジャマールに聞く。ジャマールは「おじいさんだ。おでこはハゲ。両側は女みたいな長髪」と答えると、少年は「ベンジャミン・フランクリン」と言った。少年は顔形と声で相手がジャマールだと分かり再会を喜んだ。居たたまれなくなったジャマールは少年に謝ると彼が言ったセリフ。

ママンの施設での忌まわしい出来事がジャマールと少年、2人の運命を左右した。もしかすると目を失ったのは自分だったかもしれない。ジャマールはそんな思いで少年に謝ったのだろうが、彼はそれが自分の運命だったと明るく振舞い、逆にジャマールを勇気付ける。少年の表情や振る舞いが、観る者も勇気付けてくれるような名セリフであり、感動の名シーンである。

「忘れたことなんてないよ…ほんの一瞬も。いつか必ず君を見つけ出すと思ってたよ。運命さ。」

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踊り子になっていたラティカをようやく探し出したジャマール。彼と再会し嬉しそうなラティカだったが、そこへ運悪くママンの男たちがやって来た。サリームが拳銃でママンのリーダー格の男を撃ち殺し、3人は金を奪ってその場から逃走する。そしてホテルの一室に入り込みとりあえず落ち着いた。サリームが出掛けた後、2人だけになったジャマールとラティカの久しぶりの会話。「私のために戻って来たの?」というラティカに「当り前さ」と答えるジャマール。「もう忘れちゃったと思ったわ」と言うラティカにジャマールが返したセリフ。

幼い頃からお互いを意識していたジャマールとラティカ。離れ離れになってからもずっとラティカの事を忘れなかったジャマールの、ラティカへの愛の告白ともいえるロマンティックな名セリフである。

「(ジャマール)何故皆こんな番組を観る?」 「(ラティカ)現実から逃げる夢を見るためよ。違う?」

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ジャヴェドの豪邸に潜入したジャマールはラティカと久しぶりの再会を果たす。2人は懐かしむように熱く抱き合うのだが、ジャマールがキスをしようとするとラティカは怯えたように突き放す。ジャマールは彼女の顔に痣を発見する。彼女はジャヴェドに囲われており、彼の振るう暴力に怯えながら暮らしていたのだ。「何故来たの?」と言うラティカに戸惑いながら「君に会いに」と返す。「会えたわ。それでどうなるの?」と言うラティカの問いに言葉が出ないジャマール。その時、ラティカが観ていたテレビに『クイズ$ミリオネア』が映っているのを見てジャマールが発したセリフとそ、れに対するラティカのセリフ。

ジャマールが働く携帯電話のオペレーションセンターでは、『クイズ$ミリオネア』に出場したい人たちからの電話が殺到していた。そして今ラティカもこの番組を観ている。クイズに興味の無いジャマールには何とも理解し難い現象だった。だがラティカにとっては先の見えない状況から現実逃避が出来る唯一の楽しみだったのだろう。2人の状況の違いが生んだ名セリフであり、後にジャマールが『クイズ$ミリオネア』に出場するきっかけとなるという名シーンでもある。

クマールの罠

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『クイズ$ミリオネア』に出場したジャマールは、番組MCのクマールが出題する数々の問題を正解していき、あと1問正解すれば賞金2千万ルピーが与えられる最後の1問に行ける段階まで来ていた。だが番組を仕切るプライドから正解を阻止したいと考えたクマールは、収録の休憩時間にトイレでジャマールと会話を交わす。クマールは「神が示す予感がする。君は勝つだろう。私を信じろ。」と言い残しトイレを出て行く。そして湯で手を洗うジャマールがふとトイレの鏡を見ると、蒸気で浮かび上がった「B」の文字。それはクマールが指で書いた問題の答えだった。しかしジャマールはその答えを信じず別の答えでその問題に正解する。

クマールは偽りの答えを教え、ジャマールに揺さぶりを掛けた。だがそれが逆にクマールに「予め答えを知っていたのでは」という不正の疑いを持たれることになり、ジャマールは警察に連行されてしまう。ジャマールは本当に答えが分からなかったのだが、クマールの揺さぶりを信じなかった事が正解に繋がり、あと一問という所で奈落の底へ突き落されてしまう。本作中で最もスリリングな名シーンと言えるだろう。

運命の愛

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2千万ルピーを手にしたジャマールは収録後、ムンバイの駅でラティカを待った。暫くしてラティカが現れた。彼女にもう追手はいなかった。ジャマールとラティカは無事再会を果たし、2人は抱き合いお互いをじっと見つめながら熱くキスを交わした。

2人のキスはストップモーションになり、「D.運命だった」と答えが出る。これは映画の冒頭で「彼はあと1問でミリオネア。なぜ勝ち進めた?」という架空の問題から「1.インチキした 2.ツイていた 3. 天才だった 4. 運命だった」と4択がテロップで出るのだが、映画の最後にその答えが分かるという仕組みになっている。ジャマールもラティカも、そして死んだサリームも、このムンバイで生まれてからずっと運命に左右され続けて来た。良いことも悪いことも、そして2人の愛もすべてが運命だったのだ。何という粋なラストシーンであろうか。

『スラムドッグ$ミリオネア』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『クイズ$ミリオネア』はイギリス発祥の番組

『クイズ$ミリオネア』とは、イギリスの製作会社セラドール社によって制作されたテレビのクイズ番組である。1998年9月4日にイギリスで放送が開始された。
番組名は”フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア”『Who Wants to Be a Millionaire?』(誰が百万長者になりたいですか)
徐々に難易度を増していく四択クイズに正解していくことで、高額の賞金が得られるクイズ番組で、賞金の最大金額は100万ポンド。ラジオ・パーソナリティであるクリス・タラントの司会で進行する。元々は、クリス・タラントのキャピタルFMラジオでの朝の情報番組向けに多数のゲームを考案した、デイヴィッド・ブリッグス、スティーヴ・ナイト、マイク・ホワイトヒルによって考案された番組のフォーマットに基づいており、当時のクイズ番組のジャンルでは驚くべき新方式だった。その後、アメリカ合衆国などを筆頭に、世界各国・各地で番組フォーマットが販売・輸出され、2012年までに119の国と地域で放送されている。

本作『スラムドッグ$ミリオネア』はイギリス映画であるが、インド版の当番組が舞台として登場しており、セラドール社の映画部門「セラドール・フィルム」が制作に名を連ねている。また、2006年製作のフランス映画『ぼくの大切なともだち』ではフランス版の当番組が登場。フランス版の本物の司会者がキャスティングされている。

アミターブ・バッチャンとは

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若き日のアミターブ・バッチャンのサイン入りブロマイド

本作のクイズ第1問目の問題は、”「鎖」という映画の主人公を演じる俳優は?”である。その答えとして、幼少時代のジャマールやサリームが憧れる映画スターとして描写されているのは、アミターブ・バッチャン(本人は出演していない)である。彼は、実在するインドの映画俳優であり映画プロデューサーや歌手でもある。実は彼は実際のインド版クイズ・ミリオネアの初代司会者でもあるのだ。
1969年にスクリーンデビューし、現在もボリウッドの映画界で最も人気のある大スターの一人である。愛称は「Big B」。最近では、2012年のインド映画『マダム・イン・ニューヨーク』(ガウリ・シンデー監督)や、2013年のアメリカ映画『華麗なるギャツビー』(バズ・ラーマン監督)にも出演している。

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