はたらく細胞(第13話『出血性ショック(後編)』)のあらすじと感想・考察まとめ

傷口の近くに到着した白血球は、目撃者である一般細胞に話を聞く。彼は見ていた。たくさんの血球が、あっというまに傷口に向かって、吸い込まれるように飛ばされていくのを。「ボクら細胞が生きていくのに不可欠な酸素を身体中に巡らせる、赤血球たちがいないんだ」と一般細胞は言った。そのころ赤血球は後輩赤血球をはげましながら、酸素をひたすら運んでいた。やがてあたりは、雪に包まれる。
今回は「はたらく細胞」第13話『出血性ショック(後編)』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「はたらく細胞」第13話『出血性ショック(後編)』のあらすじ・ストーリー

険しい岩肌に張り付くようにして、酸素を運ぶ赤血球たち

白血球「おい!誰かいないのか?」
果てし無く続く破壊された組織の中を、白血球は走り続け、そして探し続けた。
白血球「おーい!みんなあっ!」
どこへ行っても血球たちは見当たらない。ようやく一人の細胞を発見する。その細胞は、恐怖に怯えていた。
白血球「教えてくれ、ここらの血球たちは、まさかみんな」
細胞「そうだよ、ボクは見たんだ!何万、何十万、何百万、いや、もっとたくさんの血球が、あっというまに傷口に向かって、吸い込まれるように飛ばされていくのを!そして、出血は今もなお続いている。それがどういうことか、わかるかい?ボクら細胞が生きていくのに不可欠な酸素を身体中に巡らせる、赤血球たちがいないんだ!そのうち身体中が冷たくなって、やがて末端の方の細胞から、ジワジワと酸欠で死んでいくはず。この世界は、もう終わりなんだよおっ!」
酸素を抱えた赤血球と後輩赤血球は、ひたすら走っていた。前方に複数の細胞の姿を見つける。しかし、どこか様子がおかしい。酸欠で苦しんでいるのだ。
赤血球「しっかりしてください細胞さん!この酸素を置いていきます。待っててください、すぐ新しい酸素持ってきますから!行くよ後輩ちゃん」
赤血球の後を追う後輩赤血球。
後輩赤血球「先輩。なんか仲間の姿、見えなくないですか?」
赤血球「そういえば……」
肺が激しく活動していた。配達を待つ酸素が山積みになっている。
後輩赤血球「肺はこんなに呼吸して、酸素を取り入れてる。なのに、それが身体中に行き渡らない……ってことは、運搬する赤血球が、ぜんぜん足りてないんだ!」
酸素を持ち上げる赤血球。
赤血球「驚いている場合じゃないよ、早く運ばなきゃ!細胞さんたちが待っているんだから」
肺との間をなん往復もして、細胞たちに酸素を届ける赤血球たち。傷口付近の血管にやってきた赤血球たちは、強風の中、険しい岩肌に張り付くようにして、酸素を運ばなければならない。徐々にだが、なんとか前へ進む赤血球たち。ところが、交感神経が赤血球をバックアップしようと、血圧で後押したせいで、仲間の赤血球たちが、傷口へと落ちてしまう。大量出血時の症状『血圧上昇』だ。初期は交感神経が興奮し、血圧が上昇するのだ。あまりの事態に涙を浮かべる後輩赤血球。
赤血球「振り向いちゃダメ、後輩ちゃん。もうちょっとだから、がんばろう!ね?」

後輩赤血球(左)「待ってください。この雪じゃ」赤血球(右)「でも、行かなきゃ」

大量出血時の症状『体温低下』がはじまった。循環する血液量が減少するため、体温が低下するのだ。酸素を持った赤血球と後輩赤血球は、吹雪の中を歩いていた。
後輩赤血球「先輩、待ってください。この雪じゃ」
赤血球「でも、行かなきゃ。わたしたちだけでも酸素を運ばないと、細胞さんたちが死んじゃう。がんばって!後輩ちゃん」
後輩赤血球「手が、かじかんで……」
しゃがみ込む後輩赤血球を心配した赤血球が手を差し伸べた。
赤血球「後輩ちゃん、大丈夫?」
しかし、後輩赤血球はその手を叩き払った。

赤血球『手が重い、足も重い。みんな待ってる。早く届けなきゃ、この酸素を』

後輩赤血球「いいかげんに、してくださいっ!ちょっとは、まわりを見てくださいよ!わたしたちが、どうこうしたところで、この状況が変わると思いますか?もう、どうやったって酸素の供給が追いつくわけないじゃないですか!わたしたちの他に赤血球なんて、誰もいないじゃないですか!そうやって先輩は後輩に格好良いところを見せよう思って、意地はって、がんばってるだけなんでしょう?無意味ですよ!知らないんですか?出血性ショック死!」
外傷による出血や消化管など体内からの出血によって大量の血液が失われると、血圧が保たれなくなり意識が朦朧としたり、失神したりする。適切な処置を行なわなければ、命を失うこともある。体内の血液量の3分の1程度を失うと、ショック状態になると言われる。
おもむろに、後輩赤血球の顔を両手で掴んだ赤血球は、その目を見据えて断言した。
赤血球「わたしは、最後まで酸素を運ぶよ。それが、わたしたちの仕事なんだから!」
後輩赤血球「先輩、待って、もうやめてください!」
だが赤血球は、ひとり先へ進んだ。そして猛吹雪に行く手を阻まれながら、心の中で静かにつぶやいていた。
赤血球『手が重い、足も重い。みんな待ってる。早く届けなきゃ、この酸素を。みんな、がんばってる。わたしも、やらなきゃ。届けなきゃ、酸素を……』
しかし、そこで赤血球は力尽きた。
赤血球『ダメな先輩で、ゴメンね』

大勢の赤血球が集まっていた。しかも知らない顔ぶればかりだ。

しばらくして、赤血球は眩しい光を感じた。目を開けると、そこには見たことのない赤血球が立っていた。
輸血赤血球「でえじょぶか?」
よく見ると大勢の赤血球が集まっていた。しかも知らない顔ぶればかりだ。そのナゾの集団に、赤血球は傷口や酸素の配達員が足りないことを話した。
輸血赤血球「もともとの職場は違えど、仕事は一緒。オラたち全員で、この酸素さ運ぶど!」
どこからともなく現われたナゾの赤血球たちは、あっという間に身体の隅々まで酸素を行き渡らせた。そして各細胞の頑張りにより、出血性ショックによる危機は回避できた。
一段落し、赤血球は白血球とお茶を飲んでいた。
赤血球「あの新しい赤血球さんたちは、どこからきたんでしょうね」
白血球「さあな、だがおかげで助かった」
彼らは輸血赤血球。輸血は、足りなくなった血液成分を補充する治療方法である。輸血で補うことができる血液成分は赤血球、血小板、血漿成分、凝固因子などがあり、状況に適した血液製剤を選び、輸血が行われている。

赤血球「お待たせしました。こちら、本日分の酸素になります」

突然、恐ろしい形相をした後輩赤血球がやってきた。
後輩赤血球「わたし、先輩に言いたいことがあるんですけど……。今回の新人研修、ありがとうございましたっ!」
ビックリする赤血球。
後輩赤血球「わたし今までずっと自分のこと、優秀な方だと思ってたんですけど。仕事って、それだけじゃないんだっていう大事なこと、今回先輩に教えていただきました。仕事は知識だけじゃなく、経験と熱いハートが大事ってこと」
体内に平和な日常が戻りつつあった。
赤血球「お待たせしました。こちら、本日分の酸素になります」
今日も細胞たちは、元気に働いている。

「はたらく細胞」第13話『出血性ショック(後編)』の感想・考察

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