バーテンダー(Bartender)の名言・名セリフまとめ

バーテンダーとは、フランス帰りのバーテンダー佐々倉溜を主人公とし、佐々倉溜と彼に関わった者達が、佐々倉溜が作るカクテルや様々なバーを中心に織り成すハートフルストーリーである。作中では佐々倉溜の下に様々な人が訪れ、彼の作るカクテルや彼の言葉に癒され、また励まされて、それぞれの一歩を踏み出してゆく。作中に散りばめられたカクテルやボトルの様々なエピソードが、セリフと共に深く染み込む作品である。

『バーテンダー』概要

『ハーテンダー』とは、城アラキが原作の日本の漫画作品であり、漫画だけでなくアニメや実写ドラマ化もされた人気作品である。城アキラの代表作である『ソムリエ』がワインに的を絞った作品であったのに対し、本作品はワインを含めた全てのお酒を題材にした作品だ。
主人公の佐々倉溜は『永田町の妖怪』とまで言われた政治家を父に持ち、父から聞かされた「神のグラス」という言葉に魅せられてバーテンダーを志す。孤独に傷付き行き場のない魂を救う最後の一杯、それを『神のグラス』という。本当にそんな一杯があるかは分からない。だが佐々倉の父は死ぬ直前に「ある」と言い残し、佐々倉はその一杯を追い求めた。やがてフランスに渡り修行を重ね、ヨーロッパ食品協会主催のカクテルコンテストに優勝。佐々倉溜の作るカクテルは『神のグラス』とまで言われる程になるのである。日本に帰国した佐々倉溜は、来島興産会長・来島泰三の孫娘である来島美和と出会い、物語はこの出会いから始まる事になる。その後、佐々倉溜は銀座のバー・『ラパン』にてバーテンダーの一人として働くが、そこで来島泰三と出会う。この出会いは佐々倉溜の今後を大きく左右する出会いであり、日本のトップバーテンダーの一人、ミスター・パーフェクトと呼ばれる葛原隆一と出会う事に。そして手伝いに行ったBar東山では『技の葛原』『サービスの東山』と言われるオーナーバーテンダー東山稔にも出会い、佐々倉溜はバーテンダーの奥深さを実感する事になるのである。その後、イーデンホールを一人で任される事になり、物語の多くはこのイーデンホールの中で繰り広げられていく事になる。やがてイーデンホールは来島泰三のホテル・カーディナル内に場所を移し営業を続けるが、来島泰三の死後、ホテルの業務形態の変化に伴いバーは閉店となる。その閉店を機に、佐々倉溜の師匠の店があった六本木にイーデンホールR&Tをオープンさせるのだった。
その作中に登場する人物は多く、またほぼ毎話完結である為に個人個人の印象はそれ程残りはしない。だが客それぞれのドラマもあり、また客同士の間にもドラマがある。時に客同士のロマンスや仕事上でのトラブル、友人同士の衝突もあれば、夫婦の絆が試される時もある。死にゆく者を想い、作中で生まれた小さな命も描かれた。それら多種多様な登場人物に佐々倉溜が差し出すカクテルとサービスが、それぞれのドラマをより味わい深いものにしてゆくのだ。それらの言葉は全て、作中の人々に差し出されたモノであると同時に、我々に差し出された言葉でもあるのだ。

佐々倉溜の名言・名セリフ

バーテンダーという言葉の意味をご存知ですか?――バー=止まり木。テンダー=優しい。『優しい止まり木』という意味です

ホテル・カーディナル飲料部長・神嶋に対して佐々倉が言ったセリフであり、この作品を端的に言い表したセリフでもある。
新しくオープンするホテル・カーディナルのバーテンダー採用を決める実技試験に、同ホテル飲料部の来島美和に頼み込まれ参加した佐々倉。厳しい査定を繰り返す神嶋に対して佐々倉が提供したのは『ウイスキーの水割り』だった。カクテルを提供するバーテンダーの試験においてカクテルではない水割りを差し出した佐々倉を神嶋は罵倒した。佐々倉が去った後に残された水割りを神嶋は飲み、その美味さに「世の中にこんな旨い水割りがあるのか…」と呆然とする。その夜、一人で立ち飲み屋で飲んでいる佐々倉の横に立ち、神嶋は「教えてくれ。君の水割り…いやカクテルは何が違うんだ」と尋ねた。佐々倉の水割りの秘密は『氷』だった。佐々倉は神嶋の裾の汚れ一つから神嶋の疲労を見抜いた。仕事の疲労、スタッフとの衝突、睡眠不足やそれを補う為の深酒。そんな神嶋の舌には普通の水割りでは強過ぎる。だからこそ薄い水割りを、そしてアルコール度数を落としても溶け出して味のバランスを崩さない『硬い氷』を使ったのだ。その氷を探すために試験の最中にホテルを駆け回って。神嶋は試験に並んだバーテンダー達をバーテンと呼び、ただ酒を混ぜるだけの楽な仕事と蔑んだ。ちなみに【バーテン】とは定職に就かずにフラフラしている【フーテン】と【バー】を掛け合わせた一種の差別用語であり、決して褒められた表現ではない。神嶋は自分の満足に至るカクテルを作れない者達に「こんなことで金がもらえるんだから楽な商売だ」と言い切ったのだ。そんな神嶋に飲ませる水割りの為に奔走した佐々倉に、「わずか一杯の水割りのために。それも気に入らない客に出すための一杯のために…」と言葉を詰まらせた神嶋に佐々倉が言ったセリフがコレだった。
自分達のグラスを置いてあるテーブルをコンと叩き、「この木がバー」と示す。「でもそこにバーテンダーがいるから、バーにテンダー…優しさが生まれる」と伝えるのだ。そして「それが誰であれ、バーテンダーは絶対にお客様を裏切らない」と続け、神嶋のグラスに自分のグラスを合わせ小さく乾杯したのだった。

美味しさは味だけじゃない。多分……誰が作り、誰と飲んだかの方が大事なんです

来島興産会長・来島泰三に『OLD PAL(オールドパル)』を差し出した時に、来島泰三に言ったセリフである。
どんな酒を出しても不味いと言って一口しか飲まない来島が、佐々倉の差し出したオールドパルを飲み「これこそあいつの…死んだマスターの味!」と笑顔を見せた。だが佐々倉に「今の人が飲めばぬるくて美味しくないと感じるでしょう」と告げられ来島は驚いた。来島が飲みたかったのは亡くなったバー・ラパンのマスターの味である。だがそれは昔の話。氷も酒もグラスも十分に冷やす事も出来ない時代、当時のカクテルは今程は冷たくはなかった。それでも当時は十分に美味しかった事だろう。だが今の時代には合わない。今の時代はもっと冷えて美味しいカクテルを提供出来る。しかし「マスターはどんなに時代が変わっても、あなたにだけはそんな昔の味を作り続けてきたのでしょう。古き仲間のために…」と佐々倉は笑みを浮かべる。
その酒を飲み何を思い出すのか、その味にどんな思い出があるのか。マスターは古い友人のバーテンダーとして、来島に昔の一杯を作り続けてきたのである。

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