ゴブリンスレイヤー(第6話『水の街の小鬼殺し』)のあらすじと感想・考察まとめ

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水の街からのゴブリン退治の依頼を受け、ゴブリンスレイヤーと女神官、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶は水の街へ向かう。ゴブリンスレイヤーは仲間から火や水、毒を使った攻撃を禁止されたが、地下水路で出会ったゴブリンたちを見事退治していく。しかし、ゴブリンたちの組織だった攻撃には不審な点がたくさんあった。
今回は「ゴブリンスレイヤー」第6話『水の街の小鬼殺し』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「ゴブリンスレイヤー」第6話『水の街の小鬼殺し』のあらすじ・ストーリー

英雄の冒険譚

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顔を見合わせて「意外に素直!」と声を揃えて囁き合う女神官と妖精弓手の仲が良い様子。

冒険者ギルドでは、ある冒険者のパーティーの噂話で盛り上がっていた。その冒険者とは、魔神の手下たちが潜む巣窟に乗り込んで捕らわれていたヒュームの少女を救出した3人の冒険者のことであり、その1人は驚異的な力と強運を持つ勇者であった。彼らはたった3人で魔神の手下たちの巣窟を制圧してしまったのだ。
少女巫女師「何でもその勇者さんは、可愛い女の子らしいですよ。」
新米戦士「いいなぁ、俺も勇者と一緒に冒険してぇなあ。」
見習巫女「アンタじゃ無理。」
新米戦士「えー!」
槍使い「いくら勇者だからって、全滅させることはねぇよな。こっちの稼ぎが減っちまうぜ。」
魔女「不謹慎なこと言わないの。」
その時、ゴブリンスレイヤーが通りかかり、妖精弓手は「あ、聞いた?勇者が魔神の手下を…。」と話しかけたが、「そんなことはどうでも良い。」とゴブリンスレイヤーは一蹴した。ゴブリンスレイヤーは女神官と妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶が食事をしている席の上座に立ち、「ゴブリン退治だ。」と告げた。
ゴブリンスレイヤー「場所は水の街。報酬は1人金貨1袋。来るのか来ないのか好きにしろ。」
妖精弓手「アンタねぇ…。」
女神官「分かっていたつもりでしたけど、本当の意味で理解しました。あなたの行動にいちいち驚いていたら身が持たないということが。あの、いいですか!?前にも言いましたけれど、選択肢があるようでないのは相談と言いません!」
女神官はため息をついた後に人差し指を立てながら、ゴブリンスレイヤーに言い聞かせる。
ゴブリンスレイヤー「選択肢はあるだろう。」
女神官「それはただ2択を迫ってるだけです!」
妖精弓手「どうせ私たちが行かないって言ったら、1人で行くんでしょ?」
ゴブリンスレイヤー「当然だ。」
妖精弓手は苦笑いを浮かべると、「やっぱ相談じゃないわよ、これ。」と呟いた。
鉱人道士「まぁ儂らに相談するだけ、かみきり丸も柔らかくなったっちゅうことかの?」
蜥蜴僧侶「うむ、良き傾向でありましょうな。」
女神官「では、好きにします。ついて行きますね。」
蜥蜴僧侶「小鬼どもは数が多い。呪文使いは、1人でも多い方が良いでしょうや。」
鉱人道士「仕方がないのぉ。ちょうと路銀の準備も終わったとこだしの。付きあうとしようか。」
妖精弓手はゴブリンスレイヤーを指さすと、「ゴブリン退治が終わったら、私たちと一緒に冒険に行く。それで良い?オルクボルグ。」と意気揚々と言った。
ゴブリンスレイヤー「あぁ、それで良い。」
妖精弓手「それと、ゴブリンに水責めとかするの禁止ね。」
女神官「火責めもですよ。」
妖精弓手「毒気もなし。」
ゴブリンスレイヤー「毒もか。」
女神官・妖精弓手「当然でしょ!」
声を揃えた女神官と妖精弓手の顔を交互に見て、「仕方あるまい。」とゴブリンスレイヤーは返事をした。あっさりと自分たちの主張を飲んだゴブリンスレイヤーの様子を見て少しあっけに取られた後、女神官と妖精弓手は顔を見合わせて「意外に素直!」と声を揃えてお互いに囁き、にっこりと笑った。

水の街でのゴブリン退治

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水の街

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法の神殿

ゴブリンスレイヤーのパーティーは、馬車に揺られて水の街へと向かった。水の街は湖の中に浮かぶ島に作られた街で、街に入るには橋を通って行くのだ。
水の街の賑やかな通りを歩きながら、一行は楽しげに会話をしていた。
妖精弓手「私、前にここに来たことがあるわ。水路があるおかげで、商品も食材も豊富な街よ。」
女神官「この辺りって、何が美味しいんですか?」
鉱人道士「んー、そうさのう。ここいらだと仔牛の肝臓と葡萄酒の炒め煮、川魚の揚げ物。」
ゴブリンスレイヤー「この辺りの小麦は目が粗いから、衣が美味いそうだ。」
蜥蜴僧侶「ほほう、詳しいな小鬼殺し殿。」
ゴブリンスレイヤー「知り合いがな、ここへ行くと言ったら教えてきた。」
女神官「それって、牧場の?」
ゴブリンスレイヤー「あぁ。」
そんな会話をしている内に、至高神の神殿である法の神殿に着いた。初めて見る神殿に女神官は感激で興奮し、ゴブリンスレイヤーたちと共に神殿の中に入っていく。
妖精弓手「で、依頼人はここに?」
ゴブリンスレイヤー「あぁ、行けば会えるそうだ。」
女神官「依頼人って、至高神の神官なのですか?」
ゴブリンスレイヤー「いや、至高神の大司教だ。」
ゴブリンスレイヤーの言葉を聞いた女神官は驚いて立ち止まり、「え…だ、大司教様って…。」と呟いた。
神殿の中を進みながら、女神官は大司教である剣の乙女のことを頭の中で反芻していた。
女神官「西方辺境一帯の法を負って立つ人物、至高神に愛されし大司教。10年前、蘇った魔神王を討ち滅ぼした第2位の冒険者。伝説に導かれし勇者ではなく、人の内より現れ出た至上の存在。それこそが、剣の乙女。」

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剣の乙女

ゴブリンスレイヤーたちは奥の広間に出て、依頼人である剣の乙女と対面した。
剣の乙女「あら?まぁ、どなた?」
ゴブリンスレイヤー「ゴブリン退治に来た。」
女神官「あ、あのすみません!その…よろしくお願いします。お会いできて光栄です!」
剣の乙女「騎士様に可愛らしい神官様。そして…。」
蜥蜴僧侶「拙僧らは一統の同朋でありまする。及ばずながら、力をお貸ししましょうぞ。」
剣の乙女「ようこそ、冒険者の皆さん。心から歓迎いたしますわ。」
ゴブリンスレイヤー「で、ゴブリンはどこだ?」
剣の乙女「1ヶ月ほど前のことですわ。夜分遅くに神殿から使いに出した侍祭の娘が翌朝、路地裏で遺体となって見つかりました。生きたまま切り刻まれたようだと報告を受けています。」
ゴブリンスレイヤー「生きたままその場でか?」
剣の乙女「えぇ。」
ゴブリンスレイヤー「食われていたのか?殺されただけか?他には?」
遠慮なく質問をぶつけるゴブリンスレイヤーに、妖精弓手は「無神経過ぎ。」と注意した。そのためゴブリンスレイヤーは乗り出しかけていた身体を引いて、「続けてくれ。」と剣の乙女に言った。
剣の乙女「本当に酷い事件でした。衛視たちに街の巡回を強化させたのですが、犯罪は収まらず、窃盗や通り魔めいた傷害、婦女子への暴行、子どもの誘拐も。そんな時、ある冒険者が女性を襲う小柄な人影を見つけ、これを切り伏せました。その小さな死骸は…。」
ゴブリンスレイヤー「ゴブリンか。」
鉱人道士「小鬼なぁ…。1匹2匹ってこたなかろうけどよ。」
女神官「そもそも、どこから街に入ったんでしょう?外から門を潜ってという訳ではないですし。」
鉱人道士「それってと、地下か水道かのう?」
妖精弓手「紛れ込んだにしては、被害の数が多くない?」
蜥蜴僧侶「小鬼ならば地下に潜むものでありましょう。この街は古い都邑の上ゆえ、地下は遺跡も同然とか。」
ゴブリンスレイヤー「俺なら地下をそのまま寝床にする。奴らはバカだがマヌケじゃない。」
妖精弓手「つくづくゴブリン並みの思考よね。」
ゴブリンスレイヤー「当然だ。奴らの考えが分からねば、奴らとは戦えん。」
剣の乙女「私どもも地下だろうとの結論に至り、この街の冒険者へと依頼を出したのですか…。」
女神官「その人たちは?」
剣の乙女は黙ったまま首を横に振った。誰も帰って来なかったのだ。
女神官「そうですか…。」
剣の乙女「そんな時、辺境の勇士・ゴブリンスレイヤーの歌を耳にしました。」
ゴブリンスレイヤー「歌とは何だ?」
妖精弓手「あら、知らないの?オルクボルグ、歌になってるの。現実を知ると幻滅物だけどね。」
ゴブリンスレイヤー「知ったことではない。」
蜥蜴僧侶「とは行きますまいよ。詩人あればこそ、武勲は語られ残るもの。」
ゴブリンスレイヤー「残してどうなる?」
鉱人道士「何だ、かみきり丸知らんのかや?勲が伝わりゃ、お前さんに小鬼退治を頼む手合いも増えるって寸法よ。」
ゴブリンスレイヤー「ふむ…。」
剣の乙女「お願いします。どうか私どもの街を救ってはいただけないでしょうか?」
ゴブリンスレイヤー「救えるかどうかは分からん。だが、ゴブリンどもは殺そう。」
女神官「ゴブリンスレイヤーさん!もうちょっと言い方を…。」
ゴブリンスレイヤー「事実だろ。」
女神官「事実だからこそ言い方が大事なんです!」
女神官の忠告をよそに、ゴブリン退治についての話し合いは進んでいく。
蜥蜴僧侶「小鬼殺し殿、地下水道には?」
ゴブリンスレイヤー「乗り込んで掃討する。地下は広い。撃ちもらしが出ては手間だ。」
蜥蜴僧侶「しかし、なぜ衛視だの軍などの類に討伐させないのか?拙僧はこの街の事情を分かりかねるが、別に管轄外ということでもありますまい。」
「それは…。」と剣の乙女は言い辛そうにしていたため、ゴブリンスレイヤーが「ゴブリン如きに兵隊を動かす必要はない、と言われたか。」と言葉を継いで尋ねると、剣の乙女は頷いた。
鉱人道士「まぁしゃーねぇか。魔神王の軍勢と戦の真っ最中だしのう。ゴブリン退治はそれこそ、儂ら冒険者の仕事か。」
蜥蜴僧侶「やれヒュームの金銭だ政だのは、面倒な物ですやな。」
ゴブリンスレイヤーは「興味がない。俺たちはどこから潜れば良い?」と淡々とした口調で剣の乙女に聞いた。しかし剣の乙女は何かを考え込んでいて、ゴブリンスレイヤーの質問に答えなかった。ゴブリンスレイヤーが「おい。」と声をかけると、その時に自分が質問されていることに気づいてハッとした様子を見せた。
剣の乙女「あ…はい、失礼致しました。神殿、裏庭の井戸から地下水道に下りるのがよろしいかと思いますわ。」
神殿内の地図を見せながら、剣の乙女が答えた。ゴブリンスレイヤーは地図について「正確なのか?」と言って念を押した。
剣の乙女「何分、これも神殿建立当時の古い見取り図ですから。ただ、街の水は巡っております。壊れているにしても、酷くはないかと。」
ゴブリンスレイヤーは地図を蜥蜴僧侶に預けてマッパー(地図と実際の道を確認しながら進む役割の人のこと)を任せ、すぐに立ち上がって裏庭の井戸へと向かった。
女神官もゴブリンスレイヤーたちに着いて行こうとしたが、剣の乙女に呼び止められたため、少しの間立ち止まって2人は会話をした。
剣の乙女「依頼人として不躾かと思いますが、あなたは恐ろしくはないのですか?」
女神官「その、確かに怖いのはそうなんですけど…でもきっと、きっと大丈夫だと思います。」
女神官は静かな声だが力強く告げると、ゴブリンスレイヤーたちの後を追って行った。

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船に乗って襲撃するゴブリン。

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蜥蜴僧侶が出した短剣。

地下に潜ってみると、思いのほかゴブリンの襲撃が多かったが、誰も離脱することなくゴブリンを倒して更に奥へと進んでいった。今回、妖精弓手と女神官はゴブリンの血を身に付けていない。妖精弓手は死んだゴブリンから奪う弓矢は作りが雑で嫌だからと、再利用できる矢は回収しながら進んでいた。
鉱人道士「しっかし今日だけで5度の襲撃。この調子じゃ小鬼どもがどんだけ居るか分かったもんじゃないのう。」
妖精弓手「全く、いつまで続くんだか。」
ゴブリンスレイヤー「安心しろ。ここは石壁だ。壁を抜いての奇襲はないだろう。」
女神官はゴブリンスレイヤーの言葉に、初めて参加したパーティーが全滅した時のゴブリンからの奇襲のことを思い出し、「嫌なことを思い出させないでください。」と俯きながら言った。女神官の様子に気づいたゴブリンスレイヤーは「悪かった。」と謝った。
鉱人道士が「これだけゴミが多いなら、匂い消しは必要なかろう。」と妖精弓手をからかうと、妖精弓手も「嫌なことを思い出させないでくださーい。」と冗談交じりに答えた。
その直後、妖精弓手が何かの音を聞きつけ、一行の後ろを振り向いて立ち止まった。
鉱人道士「どうした?耳長娘。」
妖精弓手「なんか今、ちょっと変な感じが。水の音?上?」
すると水路の天井から水が滴り落ちてきた。どうやら地上で雨が降っており、その一部が石床の隙間を通って水路に零れてきているようだ。
松明の火が消えると先へ進めなくなるため、ゴブリンスレイヤーは松明の火をカンテラに移し、鎧の腰の位置にぶら下げた。その後、ゴブリンスレイヤーと妖精弓手が違和感に気づいた。
ゴブリンスレイヤー「用心しろ。」
妖精弓手「何か来るわ。」
5人は緊張状態の中、戦闘態勢に入って待ち構えた。すると、ゴブリンたちを乗せた船が水路をゴブリンスレイヤーたちの方向へと進んで来た。ゴブリンが一斉に弓を手に射かけて来たが、女神官が「いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らをどうか大地のお力でお守りください!プロテクション!」と唱えて結界を張り、攻撃を防いだ。
女神官「あまり長くは…!」
妖精弓手「どうする?」
ゴブリンスレイヤー「決まっている。いつもと変わらん。ゴブリンどもは皆殺しだ。」
ゴブリンスレイヤーが無造作に短剣を投げると、短剣はゴブリンロード(ゴブリンたちの中でも統率力に特化した個体のこと)の頭に命中した。妖精弓手は「ったく、そういうのは私に任せなさいっての!」と言いながら、弓矢をゴブリンに命中させていく。
ゴブリンスレイヤー「術はいくつ残っている?」
鉱人道士「たっぷりと。」
ゴブリンスレイヤー「なら、トンネルの術だ。穴を掘れ。」
鉱人道士「上の街を崩す気か!?」
ゴブリンスレイヤー「上ではない、下だ。水路へ穴を掘って水ごと落とす。」
鉱人道士「そんなことをすれば下水の反乱が起きるぞ!」
ゴブリンスレイヤー「火でも水でも毒気でもないのでな。」
妖精弓手は、ゴブリンスレイヤーと鉱人道士のやり取りを聞きながら、「他の手!」と主張し、その間も弓矢を射る手は休めない。女神官はプロテクションの効力が切れる時間が迫っており、「もう無理です!」と周りに知らせた。
蜥蜴僧侶「いつぞやのように、転移の巻物はありませぬか?」
ゴブリンスレイヤー「あれば持って来ていた。プロテクションが解けた瞬間に切り込む。」
ゴブリンスレイヤーは何かの瓶を取り出し、「プロテクションを張り直して守りを固めろ。」と女神官に指示を出した。蜥蜴僧侶は「待たれよ、小鬼殺し殿。」とゴブリンスレイヤーに声をかけて、「伶盗龍の鈎たる翼よ、切り裂き、空飛び、狩りを為せ。」と唱えると、短剣が現れた。蜥蜴僧侶はその短剣をゴブリンスレイヤーに渡し、「お好みの刃渡りと思いまするが?あぁ、出来れば投げずに。」と言った。ゴブリンスレイヤーがゴブリンに命中させた短剣の代わりということだ。ゴブリンスレイヤーは「努力はする。」と蜥蜴僧侶に返事をした。
プロテクションが解けた瞬間、ゴブリンスレイヤーは船に向かって手にしていた瓶を投げつけた。瓶が割れると中から紫色の煙がまき散らされ、ゴブリンの目や鼻から涙や鼻水がボロボロとこぼれた。ゴブリンスレイヤーが投げた瓶は催涙弾だった。妖精弓手はその様子を見て、「うわぁ…。」と呟いて嫌な物を見る目をした。
ゴブリンスレイヤーは蜥蜴僧侶に「行くぞ。」と声をかけ、2人は催涙弾の煙が引いた船に飛び移り、ゴブリンを切り捨てて行く。
ゴブリンスレイヤー「鎧を着ている。落とした方が楽だ。」
蜥蜴僧侶「心得ましたぞ!」
途中からゴブリンを水の中に落とす方法に変更した。しかし、ゴブリンの数が圧倒的に多く、さすがのゴブリンスレイヤーも「とはいえ、如何せん多いな。」と呟いた。
妖精弓手は矢でゴブリンを次々と射抜いていた。
妖精弓手「エルフの弓ってのはね、目を瞑ってたって当たるんだから!ったく、出来の悪い矢だこと。」
妖精弓手にとっては、ゴブリンが使う矢の品質を悪しざまに言う余裕もあった。妖精弓手に向かってくる矢は、女神官のプロテクションによる結界は防いでいた。
女神官「後衛への攻撃は防ぎますから、攻めるのをお願いします。」
鉱人道士も後衛で攻撃のための魔法を使っていた。
鉱人道士「仕事だ仕事だ、土精ども、砂粒一粒、転がり廻せば石となる!かみきり丸!鱗の!戻れ!」
鉱人道士が呪文を唱えた石を投げ、ゴブリンスレイヤーと蜥蜴僧侶へ船から退避するように呼びかけた。2人が船から飛び出すと、鉱人道士が「ストーンブラスト!」と叫び、石が大きな威力で船に直撃した。船は一たまりもなく、あっという間に水の中に沈んだ。
後衛を務めた女神官と妖精弓手、鉱人道士は、ゴブリンスレイヤーと蜥蜴僧侶の方へ行き、一向は合流した。
妖精弓手「さーて、お次は何かしら?」
女神官「とにかく少し休みましょう…。」
ゴブリンスレイヤー「いや、すぐに動くべきだ。」
蜥蜴僧侶「同感ですな。随分と騒々しくやりましたから。雨で音が妨げられているとはいえ、他の者どもが感づいているやもしれません。」

新たな謎

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横道の通路から沼竜がゴブリンを襲うところを確認するゴブリンスレイヤーたち。

その時5人の目の前で突然大きな水しぶきが上がり、唖然とする一行の前で、溺れかけているゴブリンを一口で食べる巨大なワニのような生き物の姿が一瞬だけ姿を現した。
ゴブリンスレイヤー「あれはゴブリンではないな。」
妖精弓手「見れば分かるでしょ!逃げるのよ!」
5人は出口の方向に一目散に駆け出した。
妖精弓手「まさか沼竜がいるなんて!」
女神官「沼竜…アリゲーター…!」
鉱人道士「鱗の!ありゃお前の親戚じゃろう!何とかしろい!」
蜥蜴僧侶「生憎と拙僧、出家してよりこちら、親戚づきあいもないもので。」
その時、沼竜が再び水から顔を出した衝撃で5人の身体が飛び上がり、その衝撃を利用して高い位置にある横道まで一気にジャンプした。蜥蜴僧侶は空中にジャンプしながら、「第一、あのような手合いは拙僧の親類におらなんだよ、術師殿。」と言葉を続けた。ジャンプの途中で落ちそうになった女神官をゴブリンスレイヤーが、鉱人道士を蜥蜴僧侶が小脇に抱えて横道に飛び降り、そのまま駆け出した。
鉱人道士「こりゃ楽で良いわ。」
ゴブリンスレイヤー「息を整えておけ。」
女神官「だ、大丈夫ですから。」
ゴブリンスレイヤー「あと1つ奇跡は残っているだろう。ここで倒れられては困る。」
妖精弓手は「ドワーフを食べさせてその間に逃げましょう!きっと食あたりを起こすから!」と、走りながら大きな声で提案した。妖精弓手は冗談を言っている雰囲気ではなく、至って真面目な表情をしている。
妖精弓手「前から何か来る…またゴブリンの船!それも多分複数!」
女神官「どうしましょう!?」
ゴブリンスレイヤー「手はある。」
妖精弓手「ちょっと!何を思いついたか知らないけど、毒気とか燃やすのは…。」
ゴブリンスレイヤー「お前の考えでいく。」
ゴブリンスレイヤーが考えた手とは、沼竜の尻尾に女神官の奇跡でホーリーライトをかけて灯りをつけ、自分たちは横道の通路に姿を隠している間に、ゴブリンは沼竜の尻尾の灯りを人間が持つ灯りと間違えて正面から突っ込み、ゴブリンを沼竜の餌食にするというものだった。
ゴブリンが船ごと沼竜に突っ込んで食い荒らされているのを見ながら、妖精弓手は「なるほど。沼竜の尻尾にホーリーライトをかけ、ゴブリンをおびき寄せたって訳ね。」と感心したように言った。
ゴブリンスレイヤー「毒気も火責めも水責めも出来ないのでは、この程度が関の山だ。」
妖精弓手「にしても、灯りであっさり騙されるとはね。」
ゴブリンスレイヤー「奴らは、冒険者は灯りを点けて移動するものと学習している。」
妖精弓手「そうなの?」
ゴブリンスレイヤー「いつの頃かは知らん。だが共通の常識となっている。そもそも奴らは略奪民族だ。物を作るという発想自体持たん。しかし、奴らはバカだがマヌケじゃない。道具の使い方はすぐに学習する。船の使い方を教えれば、すぐに会得する。」
妖精弓手「随分と詳しいのね。」
ゴブリンスレイヤー「調べて研究した。だから俺は、奴らに新たな発想を絶対に与えない。鏖殺する。」
鉱人道士「つまり、誰かが船について教えたっちゅうことか?」
ゴブリンスレイヤー「あぁ。」
女神官「でも、それだけならまだシャーマンとかが思いついたかもしれませんし…。」
ゴブリンスレイヤー「かもしれん。だが、奴らがここで自然に増えたのだとすれば、何故あの…何だ?」
女神官「えっと、沼竜ですか?」
ゴブリンスレイヤー「そうだ。ゴブリンはアレの存在を知らなかった。知っていれば船を用いるなどと思わんはずだ。奴ら、臆病だからな。」
蜥蜴僧侶「何が言いたいのかね?小鬼殺し殿。」
ゴブリンスレイヤー「地下に蔓延るゴブリンどもは、自然に増えた訳じゃない。この一件は、誰かが人為的に引き起こしている。」
この依頼にはゴブリン退治だけではなく、背後にいる黒幕の存在も掴まなければいけないようだ。

「ゴブリンスレイヤー」第6話『水の街の小鬼殺し』の感想・考察

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