糸（映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

葵と同じ中学校に通っていた、葵の同級生。家のことで事情がありそうな葵をいつも気にかけていた。漣と仲良くなって明るくなった葵の姿に喜ぶが、葵が札幌に転居してからはしばらく親交がなかった。竹原との結婚式の前に渋谷で葵と再会し、結婚式に招待する。竹原との結婚生活は1年しか続かず、最終的には弓が他の男性のもとに行って帰らなかったことで破局した。

山田 利子（やまだ りこ／演：二階堂 ふみ）

竹原の元同僚で、再婚相手。飲みの席でもまわりに良く気が付く女性で、漣と香には竹原と相性が良いと言われていた。地元が岩手で、東京から里帰りしているときに東日本大震災に巻き込まれる。地元を飲み込む津波の中から生き残ったが、津波で犠牲になった人々のことが心残りとなり、トラウマになる。地震のあとは精神的に不安定になり、躁鬱状態を繰り返すようになる。数年たち、竹原の献身的なサポートで次第に明るさを取り戻していく。

『糸』の用語

美瑛町／美瑛の丘（びえいちょう／びえいのおか）

美瑛町は、北海道の上川郡に実在する町。美瑛の丘をはじめとする丘や美しい景観が有名。町全体を景観計画区域に指定している。北海道のほぼ真ん中に位置し、周辺の山と河川によって丘と沢が連続的につながる地形をしている。特に美瑛の丘などの波状丘陵は、美瑛町の代名詞ともなっている。周辺には「白金青い池」や「白ひげの滝」などの有名観光スポットも多く存在する。年間通して寒暖差が激しく、四季折々の風景を楽しむことができる。

大通公園

北海道札幌市の中央区に実在する、大型公園。「日本の都市公園100選」や「日本の歴史公園100選」などに選出されている。札幌市中央区の西1丁目から西12丁目にわたって続く公園であり、「さっぽろ雪まつり」やビアガーデンの際にはその広さを活用した催し物が開催される。公園内にはさっぽろテレビ塔がある他、花壇や有名彫刻家による彫刻などが置かれている。1年を通して札幌市民の憩いの場となっている。

リーマン（・ショック）

アメリカ合衆国のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが2008年9月15日に経営破綻し、その影響で連鎖的に世界で金融危機が起こったことをいう。リーマン・ショックという名称は、この出来事を総括的に呼ぶ日本での通称である。リーマン・ブラザーズ・ホールディングスはアメリカで低所得者向けの住宅ローンを取り扱っており、低所得者層がローン返済を行えなくなってきたことからリーマン・ブラザーズ・ホールディングスも経営不振に陥った。

中島みゆき『ファイト』

『空と君とあいだに』とともに、中島みゆきが1994年5月に発売した両A面シングル。「ファイト」は1994年、住友生命にCMソングとして起用された。その後も大塚製薬やユニクロのCMでも起用されている。一緒に収録された「空と君のあいだに」がドラマ『家なき子』の主題歌として話題になり、「ファイト」も知名度が上がった。これまでに、福山雅治や槇原敬之など多くのアーティストにカバーされている。「ファイト」を作詞作曲するにあたり、中島みゆきは自身がパーソナリティをつとめるラジオに寄せられた投稿をもとにしたと明かしている。

東日本大震災

2011年3月11日に、東北の太平洋沖で発生した大地震。この地震により福島第一原子力発電所がメルトダウン（原子炉の重大事故のひとつ）し、東北地方の広範囲で多くの人々が移住を余儀なくされた。東北地方を中心に津波や火災が発生し、18,425人の死者・行方不明者が発生した。明治以降観測されている地震の中で、関東大震災に次ぐ2番目の規模の被害である。また、この地震によってスケート選手の羽生結弦選手をはじめとした多くの著名人も被災し、避難生活を送った。

中島みゆき『時代』

1975年に発表され、同年に中島みゆきの2枚目のシングルとして発売された。1975年の発売後も中島によって別バージョンがたびたび発表され、アルバムの収録曲やシングルとして発売されている。「日本の歌100選」に選出されている。薬師丸ひろ子や徳永英明など、多くのアーティストに愛されカバーされる。学校の卒業式で歌われる他、音楽の教科書にも採用されている。

『糸』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

高橋漣「行こう。こんなとこいちゃダメだ」

中学生の葵が札幌に転居した後、漣が葵を札幌の家から連れ出す際に言ったセリフ。葵は美瑛にいたころから母の交際相手の男に虐待を受けており、それは札幌に転居してからも続いていた。漣は美瑛でそれに気づくことができず、葵は漣の前から消えてしまった。ようやく札幌で見つけた葵は未だ虐待を受けており、漣は気づくことのできなかった罪悪感と「葵を助けたい」という気持ちから葵を家から連れ出すことを決意する。そして「行こう。こんなとこいちゃダメだ」と言い、函館からフェリーに乗って本州に行くことを目標に葵の手を取るのだった。函館の手前のコテージで2人は互いに気持ちが通じ合い、幼いながらにキスをする。しかしその翌朝、警察や葵の母親たちに見つかり葵は連れ戻されしまう。漣も葵も互いに離れることを望んではいなかったが、大人の手により引き裂かれることになってしまった。そして葵を助けることが出来なかった漣は、その後も「自分はしょせんこんなもんだ」と何事にも消極的になってしまうのだった。