スキャナーズ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『スキャナーズ』とは、デヴィッド・クローネンバーグ脚本・監督による、思考するだけで人間の心や行動をコントロールできる超能力者(スキャナー)達の戦いを描いたサイキック・アクション・ホラー。社会を崩壊させようと企てる邪悪なスキャナーと彼を倒そうとするスキャナーの対決を、特殊メイクを駆使して描写。中でも頭部を内側から破裂させる衝撃的なシーンが有名。1981年・カナダ製作。

お前の兄だと言ったレボックがベイルにスキャナー能力の原因となった薬の雑誌広告を見せる。

レボックはベイルに「何万というスキャナーがあと数ヶ月で生まれる。それを我々のように強く育て上げる。そして、お前と俺で普通の奴らをひざまずかせ、全地球の支配者になるんだ。そのためにお前にも協力してもらいたい」と言った。
だがベイルは、そんな邪悪なことはできないと、兄であるレボックの頼みを退けた。レボックはなおも「何年もお前を探していた。頼むから俺を裏切らないでくれ」と協力を求めた。ベイルは「ノー」と叫ぶや、デスクにあった置物でレボックの顔を殴った。
床に倒れたレボックは、起き上がると「分かった。スキャンしてお前の脳ミソを吸い取って俺の中に入れてやる」と怒りのこもった目でベイルを睨みつけた。
「兄弟が仲良く一つになるんだ」と冷たく言い放ち、レボックはベイルの脳をスキャンし出した。ベイルの腕の血管が浮き上がり、血が滲み出て彼は苦痛に顔を歪めた。痛烈な痛みに耐えながら、今度はベイルがレボックの脳をスキャンした。レボックの頬や額に太い血管が浮かぶと、彼は一層険しい顔つきになりベイルを睨み返した。するとベイルの胸が焼けただれ血が噴き出した。
ベイルは立ち上がって血にまみれた両手を広げた。そして、心を落ち着かせると兄をじっと見据えた。ベイルの手のひらから炎が舞い上がり、炎は彼の衣服に燃え移り自ら火だるまとなった。
その拍子にレボックは白目をむき、口を大きく開いて獣じみた咆哮をあげ、のけぞった。

別室にいたオブレストは目を覚ますとベイルを探そうと隣の部屋のドアを開けた。
彼女は、床の上に横たわっている焼け焦げた死体を目にした。それがベイルではないかと思った時、彼女を呼ぶ声が聞こえ、部屋の部屋の隅でロングコートを頭から被った男に顔を向けた。
男がコートを下して見せた顔はレボックだった。彼は「僕だよ、ベイルだ。僕たちは勝った」と言った。
レボックの脳に入りこんだベイルは、彼の脳からレボックの意識を追い払い、自分の意識に取って代わったのだ。
人格が変わったことを証明するように、レボックの眉間にあった傷跡がなくなっていた。
しかし、本当にベイルが勝ったのかどうかは判然とせず、疑問を残しながら物語は終わる。

レボックの脳の意識を追い払い、自分の意識に取って代わったベイル。体はレボックだが心はベイルとなったのだ。

『スキャナーズ』の用語

スキャナー

妊婦の胎児にスキャンされて鼻血を出すオブレスト。

超心理学(既知の自然の法則では説明できない現象)の分野にスキャンニング(走査)という言葉があり、超能力者が相手の神経系統と結合して行動や身体機能をコントロールし変化を与えてしまえることから生み出した造語である。
スキャナーは、聞こえないはずの相手の声を聞き、相手の心に語りかけて思考や行動を自在に操り、感覚機能を混乱させて幻影や錯覚を見せるなどの能力を持っている。また、発火したりコンピュータをスキャンすることもできる。
スキャンされた相手は、鼻血が出るなどの症状が出ることがある。

エフェメロル

1947年に発売した妊婦用睡眠薬エフェメロルの雑誌広告。

ルース博士が開発し、1947年に発売した妊婦用睡眠薬。エフェメロルには副作用があり、その副作用というのがスキャン能力だった。
発売は失敗に終わったが、スキャン能力に興味を抱いたルース博士は研究を続けるためにコンセック社から資金提供を受け、会社に自分の研究のすべてを売り渡す。
ルース博士はエフェメロル発売の数年前に試験的に自分の妻に服用させており、それで誕生したのがレボックとベイルだった。二人以外のスキャナーは発売後に服用したので彼らより年下である。
また、エフェメロルにはスキャン能力を一時的に抑える効果があることも後でわかった。

スキャン能力を抑えようとエフェメロルを注射するベイル。

クレン精神医学研究所

クレン精神学研究所に収容されたレボックの記録映像。

レボックが22歳の頃に収容されていた精神医学研究所。医師がレボックと診察面談する記録映像でしか映画には出てこず、研究所の説明もされないので詳細は分からないが常軌を逸した行動を取り凶暴と思われる危険な患者を収容する精神病院のようなところと思われる。

ライプ・プログラム(ライプ計画)

生化学研究所に潜入したベイルがコンピュータを操作して見つけたデータ“ライプ・プログラム”。

生化学研究所で製造されたエフェメロルをコンセック社のコンピュータで管理し、産婦人科医院に出荷して妊婦に投与することで数万のスキャナーを誕生させようとする計画。
レボックは、自分達スキャナーが世界の支配者になるという邪悪な野望を抱き、コンセック社の警備主任ケラーを仲間にして計画を進めていた。秘密裏の計画ゆえ、コンピュータのデータを見ようとするとアクセス拒否されるが、ベイルはスキャン能力でデータを読み取ること成功する。
ルース博士は“ライプ計画”のことは知っているようで、以前に彼が計画を進めようとしたようだが、社会崩壊を招く大きな危険を伴うと判断し中止していた。

『スキャナーズ』の登場人物・キャラクター

キャメロン・ベイル(演:スティーヴン・ラック、日本テレビ版吹替:小川真司)

その日暮らしのホームレスだったが、ルース博士に出会ったことで自分がスキャナー(超能力者)だと教えられる。他人の様々な心の声が彼の頭の中に氾濫し、それで苦しんでいた理由もルース博士の話を聞いて初めて理解し、自分が特別な能力を持つ人間だと自覚する。
ルース博士から、社会を崩壊させようとする邪悪なスキャナー、レボックを探し出して滅ぼすのに手を貸してほしいと頼まれ引き受ける。ルース博士の元で自分の能力を高める訓練をした後、レボック探しをはじめるが、その過程でレボックへの協力を拒んだスキャナー達に出会う。
最後にレボックと遭遇し、彼から意外な真実を聞かされ動揺するが、彼への協力を拒んだことから激しい超能力バトルを繰り広げることとなる。

キム・オブレスト(演:ジェニファー・オニール、日本テレビ版吹替:鈴木弘子)

社会崩壊を企てるレボックへの協力を拒むスキャナー・グループの美しきリーダー。
ベイルや仲間と一緒にいたところにレボックの部下の急襲を受けるが、スキャナー能力で相手を吹き飛ばし衣服を燃え上がらせて倒してしまう。しつこく追ってくるレボックの手下により仲間が次々と殺され、ベイルと彼女だけが生き残り、彼と行動を共にする。

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