スクール・オブ・ロック(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『スクール・オブ・ロック』とは、リチャード・リンクレイター監督によるアメリカの映画。日本では2004年に公開。脚本は出演もしているネッド役のマイク・ホワイト手がける。バンドをクビになってしまい途方にくれていたギタリストのデューイが、一本の電話をきっかけに教師の友人ネッドになりすまして名門小学校の臨時教師となり、子どもたちと共にバンドバトルを目指すコメディである。

ロザリー・マリンズ(演:ジョーン・キューザック、日本語版吹替:勝生真沙子)

ホレス・グリーン学院校長。堅物で学校の規則に厳しいが、本当はロックが好き。ロック音楽を聴いたりお酒が入ったりすると、とたんに陽気になる。保護者達への対応や、学校が優秀であることを保つことを常に考えており、そのためにストレスを感じ本来の陽気な自分との間で悩むこともある。デューイにお茶に誘われるまで6年間、学校の他の先生にお茶に誘われたことがなかった。メガネの位置を直しながら話すのが癖である。

デューイの同居人

ネッド・シュニーブリー(演:マイク・ホワイト、日本語版吹替:村治学)

デューイの友人。臨時代用教師として働いている。かつてはデューイと同じくロック音楽にあけくれていたが、頑張っても報われない現実を受け入れあきらめた過去がある。しかし心の中にロックに対する愛情は消えてはいなかった。周りの人が言うことについつい同意してしまう優しい性格。特に恋人のパティには尻に敷かれていた。
ロックのことばかり考えているデューイが「ネッドがパティに嫌われてしまわないようにネッドのために職を探そう」と重い腰を上げるほど2人は仲のよい友達である。

パティ・ディ・マルコ(演:サラ・シルバーマン、日本語版吹替:高森奈緒)

ネッドの恋人。市長の補佐役として働いている。家賃を負担せず同居するデューイをよく思っていないのでよくデューイと言い争いをしている。仕事をもって社会に貢献することが一番だと考えており、デューイがやっているロックはパティには全く理解できないものだった。ネッドと恋人で仲良くやっているが、ときどきネッドが弱気な発言をすると途端に怒り出す。

バンドNo Vacancyのメンバー

テオ(演:アダム・パスカル、日本語版吹替:高木渉)

ボーカル兼ギター担当。デューイがバンドの中で自分勝手な行動をとるので困っていた。結局デューイ抜きで多数決をとりデューイをクビにすることを決めるが、それは「今年こそバンドバトルで優勝してレコード契約に近づきたい」というテオの決心の表れだった。バンドバトルでは髪型や服のテイストも変えて挑み、見事No Vacancyが優勝を果たす。それに対し不服な観客からブーイングがあがり更にはSchool of Rockの皆を呼ぶアンコールに変わっていくが、テオはNo Vacancyの他のメンバーを促しながら舞台そでに下がるという潔い一面も見せる。

『スクール・オブ・ロック』のみどころ

名門小学校の教室が、映画のタイトルどおりまさに“ロックの学校”となったようなエンターテイメント性あふれる映画である。全編にわたって繰り広げられる、ジャック・ブラックの実際の歌や演奏・激しい動きは見逃せない。劇中子ども達がデューイを見て笑うシーンが数々あるが、そこでは観客の方も思わず笑ってしまう魅力がある。

また子ども達の歌や演奏も本物で、初めは堅い弾き方だったのが最後のバンドバトルのシーンでは見事に体を動かしてロックしているのは必見である。しかし実は実際にはこれと逆をいっていたのがザック役のジョーイ・ゲイドス・Jrである。ジョーイはもともとがロックスタイルのギタリストで(クラシックしか知らなかった子がだんだんカタさがとれていく様子)を表現するためにまずクラシックな弾き方を習得するよう監督が指示した。なので最後のバンドバトルのシーンが、ジョーイ自身の本来の弾き方なのである。
またローレンス役のロバート・ツァイはこの映画のとおりクラシックしかやったことがなかったので、映画の撮影が進むと同時にロックな弾き方を習得していった。
このようにそれぞれの子役たちの特性に合わせてこの映画は作られた。

『スクール・オブ・ロック』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「ボスに逆らえ(Stick it to The Man)」

子ども達にロックのおおもと「ボスに逆らえ」の精神を教えるデューイ

この映画での名言といったらやはり「ボスに逆らえ(Stick it to The Man)」である。劇中でデューイがロックとは何かを説明するときに出てくるが、その後には子ども達もロザリーに「先生はまさにボスですね(You're The Man.)」と言って使っている(子ども達はデューイが言ったような体制側の人間という意味で言っているが、ロザリーは組織の中の偉い人という意味で捉えたため「ありがとう」と返している)。

逆らおうとする風潮にただ乗っかるだけだったり、何も考えず闇雲に怒りを表すだけがロックではない。やれと言われたことをやるだけではなく、自ら考え能動的に動き「こうしたい」という気持ちを持って大きなものにぶつかっていこう、という姿勢がロックに繋がっていくのである。

これはロックだけでなく子ども達の状況にもあてはまる。親や先生が言ったとおりに生活することに、怒ったり不満を抱えたままにするだけでは何も変わらない。自分で考えて「こうしたい」という気持ちを持って動いてみようという子ども達の変化が、この「ボスに逆らえ(Stick it to The Man)」から始まっているのである。

「やめて!(Step off!)」

父親に諭されるザック

父親に学校へ送ってもらった時に「ロック音楽なんてやるな、課題の曲だけやれ」と言われ、ザックは朝から落ち込んでいた。

その日の授業では、デューイが子ども達に「世界一腹の立つことは何だ?」と聞いていった。皆で怒りを表してロック音楽を即興で作ろうとしたのだ。
子ども達からは、おこづかいなし・お手伝い・いじめっ子などが挙げられた。そこで「じゃあいじめっ子にはなんていい返す?」とデューイがザックに聞いた。しかしザックは無表情で「分からない、知らない」と答えるだけだったので、「通せんぼされたら?誰かに突き飛ばされたら?」とデューイがさらにザックに聞いた。するとようやくザックの口から出てきたのが「やめて!(Step off!)」だった。デューイはそのザックの言葉を歌詞に組み込んで、「いじめっ子や親のいいなりになっていたらロボットになってしまう」と子ども達の気持ちを代弁するようなロックソングを作っていった。

デューイが直接的にザックを励ましたわけではないが、即興でできたこの歌に合わせて掛け声を出しているうちに次第にザックの顔に笑顔が戻ってきた。ザックが「やめて!(Step off!)」と言えた時、いいなりばかりではなくて能動的に動こうというロックの気持ちがザックの中に芽生えたのだった。

Parfait55p5
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@Parfait55p5

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