この音とまれ!(Kono Oto Tomare!)のネタバレ解説まとめ

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『この音とまれ!』とは作者アミューの連載デビュー作であり、ジャンプスクエア(集英社)において2012年から連載されている人気作品。2019年4月にアニメ化が決定した。中学生時代に親に捨てられて荒れた日々を過ごしていた主人公が、箏職人である祖父に引き取られたことで箏を通じて人間の温かみを知る。その後、祖父が創立したという箏曲部がある高校に入学した主人公は、廃部寸前の箏曲部を断ちなおし仲間と共に『目指せ全国一位!!』を掲げ邁進する物語。

『この音とまれ!』の概要

『この音とまれ!』とは、2012年から連載されている少年漫画。舞台は高校で箏を扱う内容になっているため音楽漫画・学園漫画にも分類されている。
箏を中心に置かず、あくまでも少年少女が箏を通じて喜び、葛藤する「青春群像劇」を心がけて描いていると作者は語っている。

作者のアミューは幼い頃から箏が身近にある生活をしており、小学生の頃に漫画家を志してから、いつしか箏を題材にした漫画を描きたいと思うようになったという。
その後、箏を題材とした読み切り漫画『龍星群』が2006年2月号のりぼんに掲載され桜アミュー名義でデビューを飾る。それからりぼん増刊号に度々読み切りを載せる日々を送っていた。
箏のこだわりを持ち続けていた作者は、箏が題材の連載について持ち掛けるものの、りぼんからは良い返事をもらえず、りぼんから離れる。
他編集部に漫画を持ち込む日々になり、その中で現在連載しているジャンプスクエアの編集者の目に止まり、アミュー名義の連載に至る。

2017年3月にキングレコードから発売されたCD『この音とまれ!〜時瀬高等学校箏曲部〜』では、時瀬高校箏曲部を含む多数の箏曲部が演奏した曲が多数入っており、中にはこのアルバムのために書き下ろしたという作曲家の和田薫の作品も収録されている。
リリースから約2ヶ月で約1.2万枚を売り上げるヒット作となり、2018年には「純邦楽・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。

『この音とまれ!』のあらすじ・ストーリー

出会い

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武蔵を襲う不良を蹴り飛ばす愛

時瀬高校箏曲部。部員数1名の廃部寸前の箏曲部部室には不良たちが暇を持て余していた。
唯一の部員である倉田武蔵は、不良たちに部室から出るように声をかけるが、不良たちは聞く耳を持たなかった。
どうしたものかと考える武蔵だったが、不良の1人が部室にある箏に触れようとした姿を見て思わず「楽器に触るな!!」と声をあげてしまう。
癇に障った不良は武蔵を押し飛ばし、箏を弾けない体にしてやると倒れた武蔵の腕を踏みつけようとした瞬間、何者かに蹴り飛ばされてしまう。
目の前に現れたのは、過去に祖父を襲ったことで警察沙汰を起こした久遠愛だった。
悪名高いことで有名な愛に敵わないと考えた不良たちは逃げ出し、箏曲部部長である武蔵は、愛に箏曲部への入部を突然申し込まれる。
愛の評判については武蔵も知っており、再び不良のたまり場にされてしまうと思った武蔵は愛の入部を拒否してしまう。

入部を拒否された愛は、入部を許してもらう交渉をするきっかけを作るため箏曲部の看板を盗むという強硬手段に出た。
看板を取り返すべく、武蔵は愛のクラスに出向くが看板を渡してもらうことはできなかった。
武蔵は愛の態度に腹を立てながら箏曲部部室に戻ると、ゴミをまとめている愛がいた。
愛は態度を改めることなく、看板を返す条件だというように武蔵にゴミ捨てを押し付けていた。
ゴミ捨てを任された武蔵は、やはり怒りながらゴミ袋をゴミ捨て場に運んでいると部室を使用していた不良グループに出会ってしまう。
まとめられているゴミが自分たちのものだと気づいた不良は武蔵に殴り掛かった。だが、間一髪のところで愛が助けに入り不良たちを追い返すことができた。
しかし武蔵は、助けてもらったことを余計なお世話だと突き返し、入部についても企みがあるとしか思えないと言ってしまう。
その言葉に悲しげな表情を浮かべた愛はその場から立ち去ってしまった。
しおらしくなった愛に戸惑いながらもゴミを捨て部室に戻った武蔵は、ボロボロになった写真や部内目標が雑に直されているのを見て愛への見方が変わっていった。

翌日、愛に入部の件で愛と話をするために再び愛のクラスに訪れた武蔵は、愛の友人である高岡哲生から愛がまだ学校に来ていないことを聞く。
何か言いたげな武蔵に哲生は、場所を変えて愛の過去について話を始めた。

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愛の祖父の思いを陰ながら聞く愛

愛は親に捨てられ、箏職人の祖父の家に引き取られたものの荒れた毎日を送っていた。祖父は愛がどんなに素行が悪くても見捨てることは決してなかった。
祖父と一緒に生活していく中で愛されることを知った愛は、世話をしてくれる祖父に興味を抱き、喧嘩三昧だった毎日から祖父に箏を教わる日々へと変化していった。
大人しくなった愛に対して、今までつるんでいた不良たちは不満を抱き、また喧嘩をする愛に戻すという目的で愛が大切に思う祖父を襲う。
出かけ先から戻った愛は、家の中の状況に驚きを隠せずにいたが、近所の住民からの通報を受けて駆け付けた警察に愛が犯人扱いをされてしまう。
何度も弁解を求めた愛だったが、今までの行いが悪かったことで誰も耳を貸してくれることはなく、愛が犯人と決めつけられてしまう。
後日、入院している祖父の元に出向いた愛は、犯人が自分じゃないと話そうとした。
しかし祖父からの「分かってる」の一言に愛の言葉はさえぎられてしまった。祖父は襲われてから今まで1度も愛を疑っていなかったのだ。
唯一愛を信じてくれた祖父はその後他界してしまい、自分のせいで祖父が傷ついてしまったことを反省した愛は、祖父が残したものを大切に守っていこうと決めた。
生前に祖父が時瀬高校箏曲部を創立したことを聞いていた愛は、祖父が大切にして来たものを守るために箏曲部に入部をこだわっているという

愛の過去について聞いていた武蔵は、愛が箏曲部を荒そうとしているのではないかと疑ったことに後悔した。
哲生と別れた後、愛に謝らなければと考えながら部室に入った瞬間、何者かに襲われ気を失ってしまった。
昨日武蔵と言い合いしたことがもやもやしながらも、どうしていいか分からない愛は、そこにいるであろう武蔵の名を叫びながら部室の扉を開けた。
目の前に広がったのは、荒れた部室とボロボロになって倒れた武蔵だった。
祖父の件が脳裏に浮かんだ愛は、武蔵に駆け寄り話を聞こうとしたとき教師たちに見つかってしまう。
始めから愛を疑ってかかる教師には何も伝わらず、武蔵を助けることができないまま引き離されてしまった。

武蔵が目を覚ました場所は保健室だった。自分の身に何が起こったのかを考えていると、保健室の先生が愛に乱暴されて倒れていたと教えてくれた。
乱暴を働いたことで愛は校長室に連れていかれたと聞いた武蔵は、そんなはずないと体を起こすも、けがの状態が酷いため体に痛みが走る。
もう愛に関わらないことを薦められ、今日は家に帰りなさいと促されるまま帰路につく。
愛に関わるとまた暴力事件に巻き込まれるかもしれないと考える武蔵だったが、愛の箏曲部に対しての気持ちを思い出し、道を引き返した。
校長室で教頭に尋問を受ける愛は何も答えなかった。何を言っても聞いてくれないことを知っていたから。
何も話さない愛にしびれを切らした教頭が愛の処分について校長と相談し始めたとき、大きな音を立てながら武蔵が校長室の扉を開いた。
突然の登場に驚く愛たちに目もくれず、武蔵は愛が箏曲部新入部員で、部員が部室にいることは当然のため愛は犯人じゃないと話した。
後に真犯人が見つかり、箏曲部にいた不良が愛に部室から追い出されたことへの腹いせのために行われた犯行だと発覚する。
無事に疑いが晴れた愛は新入部員として箏曲部で活動が許されたのだった。

箏曲部廃部の危機

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化けの皮がはがれたさとわ

一件落着し、荒れた部室を片付けるために箏曲部部室に向かった愛と武蔵の前に現れたのは、箏の世界では知らない者はいない程に広く知れた名門・鳳月会の跡取りである鳳月さとわだった。
初めは猫を被り、家柄を謙遜するさとわだったが、部員が2人しかいない現状を知り、さとわの態度が一変し、高飛車な態度を取り始めた。
将来プロデビューする際に「廃部寸前の箏曲部を救った」という肩書が欲しいと話すさとわは、廃部を免れるため、部員の数を増やすことを決めた。
愛を怖がらず、名前だけ部に置いてくれる人物と考えたさとわは、愛の友人である足立実康、水原光太、堺通孝に目を付けた。
愛とつるむ3人組を見つけ、箏曲部の存続の危機だとさとわが猫を被りながら話すと、実康たちは快く入部を引き受けてくれた。
さとわの本性も知らず箏曲部員になった実康たちが部室で遊んでいる様子に、愛は憐みの目を向けながらも、これで箏曲部での活動できると思った時だった。
不良を目の敵にする教頭が箏曲部を訪れ、部室の状況に含み笑いを浮かべながら不真面目な部活動は認められないと話す。
廃部を目論む教頭に、さとわは廃部を阻止するべく1つの提案をした。
それは、1か月後に全校生徒の前で箏を演奏し、全校生徒を感動させることができたら活動を認めるというものだった。
成し遂げられるわけないと決めつけた教頭はさとわの提案に応じ、部室から出て行った。
できるわけないと焦る武蔵に対し、死ぬ気で箏を上達させるとやる気の愛。頑張る愛の力になりたいと考える実康たちも加わり、全校生徒を感動させるという目標に向けて練習を始めた。

箏の経験がない愛、実康、光太、通孝は、さとわと武蔵に手ほどきを受ける。1か月間みっちりと箏を練習したことで、箏曲部はお互いの演奏を信頼し合い『足りないもの、欠けているものを補い合える』関係になっていた。
約束の日、箏の演奏をするために箏曲部は体育館のステージに上がっていた。
箏に興味がないのに演奏を聞かなければならない状況に既に飽きている全校生徒のヤジを聞き、教頭は廃部確定の未来を確信し笑みを浮かべていた。
「大事な居場所と仲間を失いたくないから、僕たちは最後まで真剣に弾きます」とヤジを黙らせた武蔵は位置につき、箏曲部の演奏が始まった。
演奏されたのは『龍星群』。箏曲部を守りたい一心で弾く箏の音色は、全校生徒の心に思いとなって届き、演奏が終わった後文句を言う生徒は誰1人としていなかった。
提案通り正式に部活動を認めてもらえた箏曲部は、全校生徒の反応が良かったことをきっかけに本格的に全国大会を目指し始める。

さとわの過去

ある日、演奏を聴いて箏曲部の一員になりたいと名乗りを上げたのは、武蔵と同じクラスの来栖妃呂だった。
入部当日から箏曲部に馴染む妃呂を見て、武蔵は安心し、早速みんなで箏の練習を始めた。
しばらくして練習が終わり、実康、光太、通孝は帰り道が同だという妃呂と一緒に帰路につく。
楽しく雑談する実康たちに、妃呂はさとわがレベルの低い人の相手は大変だと語っていたことを話す。
自覚のある実康たちはさとわに申し訳ない思いになる中、妃呂はその状況に内心笑みを浮かべていた。妃呂が箏曲部に入った目的は、箏曲部の仲間意識を崩すためだった。
妃呂は、中学生の頃に一人の友人が妃呂について嘘の悪い噂を流したことで友人や恋人を失っていた。
噂ばかりを信じて自分の話を聞かない友人たちに失望した妃呂は、友達や仲間というのを目の敵にするようになっていたのだった。
そのため、体育館で行われた箏曲部の演奏会の際に武蔵が箏曲部を仲間だというのを聞いて、妃呂は箏曲部の関係を崩すことを思いつき入部を決めた。
箏曲部はそれに気づくはずもなく、しばらくいつも通りに活動している箏曲部に、妃呂は最終手段としてさとわと鳳月会の関係についての話題を出す。
「自分のことはちゃんと自分で言います」と割って入ったさとわは、過去にあった出来事と合わせて鳳月会を破門されたことについて話し出した。

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箏曲部を信じ、自分の過去を語るさとわ

さとわは、幼い頃に鳳月家家元である父を亡くしていた。家元を継いだ母は、鳳月家を守る重圧に負けないように、箏の才能に恵まれたさとわに厳しい稽古をつけ始める。
優しかった母が家のために頑張っていると知っているさとわは、母の言われたままに箏を弾き、箏の演奏が上達することで母を重圧から守れると考えた。
さとわの努力は多くのコンクールで賞の総なめし、天才少女と呼ばれ評価されていくものの、さとわが評価される分だけ、母はさとわの才能を潰さないようにという不安も大きくなっていく。
いつしか家元と弟子の関係になっていた母とさとわは、四六時中箏に時間を費やす日々となっていた。箏の話しか聞き入れてくれなくなった母へ気持ちを伝えるためにさとわはある作戦を立てた。
それは、箏の世界で最も注目の高い全国箏曲コンクールにて演奏する際に、さとわがエントリーしていた演目を無視して母への気持ちを演奏することだった。
さとわは、母がまだ優しかった頃に教えてくれた「箏は弾く人と聞く人の心をつなぐ」という言葉を信じて、また母と子に戻りたい、母に笑っていてほしいと思いを乗せて舞台に立ち、名のない曲を演奏した。
母への思いを出し切ったさとわは演奏を終え、母の元に戻ったが、そこにいたのは鬼の形相の母だった。
「あなたの箏はまるで凶器だわ」と言って、さとわの前から去った母を見たさとわは、母に思いが伝わらなかったことを悟った。
思いが込めた箏が母に伝わらなかったことで、さとわは箏を弾く意味を見失い、箏を弾かなくなってしまう。
鳳月家を守ることしか考えていない母は、箏を弾かなくなったさとわを不要と判断し、さとわを鳳月会からの破門を言い渡す。
それ以来さとわは鳳月会と絶縁状態にあり、小さなアパートを借りて暮らしているという。

思惑通りに箏曲部の関係が崩れると妃呂は思ったが、逆に箏曲部のメンバーは辛い過去を話してくれたことに感謝し始め、妃呂は戸惑いを隠せなかった。
中学生に頃に友人が付いた嘘のせいで友人や恋人を失い一人ぼっちになった妃呂は人を信じることができなくなっていたが、箏曲部の信頼関係に心惹かれ始めていた。
翌日、過去の出来事の腹いせに箏曲部の信頼関係を崩そうとした妃呂は、自分勝手な感情に罪悪感を感じて箏曲部に謝罪をするために箏曲部部室に訪れた。
しかし妃呂は、箏曲部に酷いことをした自覚があるせいで部室に中に入ることに躊躇っていた。すると後ろから愛が現れた。
部室に入らない妃呂に不思議そうにしながら愛が部室の扉を開けると、部室には妃呂が部活に来ることを心待ちにしていた箏曲部がいた。
まだ箏曲部員としての居場所を残してくれていることに感動した妃呂は、もう一度人を信じる勇気をもらい箏曲部の活動に加わることを決めた。
7人体制になった箏曲部は「目指せ全国一位!!」を目標として掲げ、高校生関東邦楽祭に出場することを決めた。
邦楽祭とは関東圏の箏曲部が集まり、各県で演奏が評価された学校に優秀賞が贈られる。更に、優秀賞の中で最も素晴らしい演奏をした学校に最優秀賞が贈られる大会。
初めて公式の大会に出ることもあり、箏の扱いに慣れ始めた箏曲部は邦楽祭で弾く曲を四重奏の『久遠』に決め、さっそくパートごとの練習が始める。

高校生関東邦楽祭

箏同士の掛け合いが多くうまく曲らしいものにならず苦戦する日々を乗り越え、箏曲部はついに高校生関東邦楽祭当日を迎える。
「音をそろえる」姫坂女学院、「音を引き出す」明瞭高校、「曲を辿る」珀音高校、「阿吽の呼吸」永大附属高校が参加し、かなり接戦する大会になっていた。
時瀬高校箏曲部は、演奏前の調弦に取り掛かっていた。みんなでひとつひとつの箏の調弦に取り掛かっている最中、壁に立てかけてあった箏がさとわに向かって倒れてしまう。
いち早く気づいた愛がさとわと倒れる箏の間に入り、さとわへの直撃を免れることができたが、そのせいで愛の手首にけがを負ってしまう。
腫れた手首に気づいた顧問の滝浪涼香は、愛を外に連れ出し愛のみ邦楽祭の出場をやめるように促すが、みんなと箏を弾いていたい愛はそれを拒否する。
滝浪との話を終え、控室に戻った愛は改めて手首の痛みを隠したまま邦楽祭の舞台に上がる。時瀬高校の体育館とは全く違う景色に時瀬高校箏曲部の胸が高鳴っていた。
時瀬高校の演奏が始まり、順調に演奏ができていると思われた。
しかし、練習ではいつもうまくできていた掛け合いがずれてしまい、箏曲部に戸惑いの色が見えた。さとわが違和感を感じ、愛の方を見たときに初めて手首のけがに気づいた。
けがに心当たりのあるさとわは、動揺し曲の軸となるリズムが狂ってしまい、観客にも音の乱れが読み取られてしまう。
軸を失った演奏は聞くに堪えないものになってしまうが、このままでは終われないと気持ちを切り替えた光太が力強く箏を弾き始める。
我に返った時瀬高校箏曲部は、軸を取り戻し息の合った演奏をして初舞台を終えた。

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各県の優秀賞に時瀬高校が呼ばれなくて落ち込む愛、武蔵、さとわ

演奏中の乱れによる集中力の低下によって周囲からの評価も低かったものの、終盤の立ちなおしと心のこもった演奏は観客や審査員の心を掴んでいた。
全校の演奏が終わり接戦を繰り広げた演奏について表彰される学校の名前が呼ばれていく中、演奏に乱れがあった時瀬高校の名前が呼ばれることはなかった。

全国大会に向けて

邦楽祭が終わり、次の目標は12月にある全国大会予選になった。武蔵と妃呂はこの大会で予選を通過することができなければ、今後時瀬高校箏曲部として全国大会に行くことができない。
箏の全国大会は予選の翌年の夏に行われており、次の全国大会時には現在2年生の2人は高校卒業しているためである。
予選で演奏する曲を、過去にさとわが母への思いを込めて作曲した『天泣』に決め、箏曲部は気合を入れて練習に励む。そんな時、外部指導者として鳳月会から堂島晶が来た。

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晶が箏を弾くことに喜ぶ兄と、兄を軽蔑する晶

晶は鳳月会の下部組織に当たる椿会の娘で、まだ晶が幼い頃に才能あふれる兄が楽しそうに箏を弾いている姿に憧れて箏を始めた。
しかし、晶が高校生の時に家元である両親を事故で亡くしてしまう。家元がいなくなった椿会は衰退してしまう。
兄は晶を学校に通わすために箏を辞めて働きに出て行ってしまい、晶は兄の気持ちを知りつつも、兄が箏を捨てたことに対して許すことができずにいた。
今は破門されたさとわの後釜として鳳月会の跡取り候補となっている。鳳月会を椿会に取り入れるという晶の祖母の思惑を叶えるために修行を積んでいる。
さとわと晶は元々の知り合いではあるが、努力を重ねてもさとわに及ばない実力の晶はさとわを良く思っていない。破門をきっかけにさとわに興味を抱かなくなった。
晶が鳳月会の跡取りになったことで衰退した椿会の活気を取り戻すことができると感じている晶の祖母は、さとわが鳳月会に戻り晶が跡取りでなくなることを危惧していた。
さとわが箏と関わらず、鳳月会に戻ることがないようにしようと考えた晶の祖母は、さとわが箏を弾く環境を奪うべく時瀬高校に晶を送ることに決めた。
晶の祖母は晶が箏曲部を厳しく指導することで、箏曲部員は箏を弾くのが嫌になり箏曲部がなくなってしまい、さとわが箏を弾く居場所がなくなると考えたのだった。」

以前さとわが失格になった全国箏曲コンクールにて一位に入賞した実力の晶は、一音を大切に演奏する技術を持つ。
箏曲部の存続のため、駆け足で箏の練習に励んでいた現在の箏曲部は、基礎すらまともにできていないと判断した晶は、箏曲部に『天泣』を弾くに値しないと言い放つ。
技術の底上げと題して基礎的なことしかやらせてもらえないことに妃呂と光太は晶に猛反発するが、晶は聞く耳を持たない。
しばらく基礎の練習が続いた後、箏曲部は晶がコンクールで一位を取った時のDVDを見た。一音を大切に惹かれる箏の音色はまさに粒が揃っていることを理解する。
それから一音の大切さについて理解した箏曲部は、心を入れ替え晶の指導受けて『天泣』に向けての練習をこなしていく。
また、晶も祖母の思惑通りに動いていただけだったが、箏曲部の箏に対してのひたむき姿な姿に感動し、指導者として箏曲部に向き合うことに決めた。

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全国大会予選会場に到着した時瀬高校箏曲部

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