ヨルムンガンド(Jormungand)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

ヨルムンガンドとは、最新兵器によって両親を殺され武器を憎みながらも少年兵として育ったヨナと、武器商人のココ・ヘクマティアルとの出会いから始まる物語である。武器や兵器から決して逃れられない世界を嘲笑しながら商売を続けるココと世界を巡るヨナ。世界をシニカルに語るココと美しく語るヨナ。一つの世界で綴られる二つの言葉に読者や視聴者は惹き付けられている。

耳までイカれているのか?私の貨物に指一本触るな。とっとと失せろと言ったんだ、山賊!!

ココ達がイラクでコンボイ7台分の物資を輸送する為に、HCLI社からの護衛依頼を請け負った民間軍事会社エクスカリバー社のオペレーター達をクビにする際、ココが言い放ったセリフである。
エクスカリバーのオペレーター達は言動や素行が悪く、ココの部隊員からも「いない方が安全」と言われる程の連中であったが、通りすがり民間人の車に銃を乱射して爆殺した事によりココに解雇された。ココの罵声を浴びたオペレーターは、その時点では大人しく引き下がったが、後にココ達の車列を待ち伏せ、爆破トラップと後方からの襲撃による挟撃を仕掛けて来る。爆弾トラップによる待ち伏せを看破したワイリによりエクスカリバー社の挟撃作戦は失敗し、ココの部隊の反撃に遭い全滅させられた。
ココにとっては不必要な存在であり、裏切り襲ってくる事も織り込み済みで「一発でも撃ってくる奴がいたら撃滅しろ」と命令を発していた。
武器を玩具にし暴力に快感を覚えるエクスカリバー社のオペレーター達はココにとって最も嫌悪すると言ってもよい人種であり、ココは彼等が武器商人としての自分の領域に触れる事の一切を拒絶した。銃と暴力の世界に身を置きその全てを憎んでいるココの、しかしそれでも決して失う事のない武器商人のしてのココの矜持が伺えるセリフである。

ヨナ(ジョナサン・マル)の名言・名セリフ

綺麗な場所だから、自分だけのモノにしたくて取り合ったんじゃない?

輸送中に見かけた景色の美しさにヨナが見惚れていると、アールが「なんでこんな場所で戦争すんのかねぇ」と声を掛け並んだ。ヨナが生まれる数年前には、目に映る場所はヨーロッパで大戦後最大の戦場だったと語るアールに対して言ったヨナのセリフ。
血生臭い世界に在って戦争の理由にすら希望を見出すヨナに「やるなぁヨナ」とアールは笑みを見せた。冷徹な瞳で銃を握り、眉一つ動かさずに敵を撃ち殺していくヨナは、それでも世界に希望を持っているのである。そんな現実は無い。無いが、世界がもう少しだけ優しくなったのならば、その言葉は真実にも現実にもなるのだろう。

磨いてあげるような付き合いじゃないんだ。でもお前が錆びると僕が死ぬ。

自分のアサルトライフルを整備している時のヨナのセリフである。
ヨナが武器を好んで所持していない事が如実に理解出来るセリフだが、どれほど嫌い憎もうともヨナにとって銃は決して手放せない物となってしまっているのだ。
作中において一度、山岳部隊の少年兵でも武器商人の私兵でも無くなったヨナは、銃を手放しても構わない一人の子供になる機会があった。だが投げ捨てようと振りかぶった拳銃を捨てる事は出来なかった。
全てを奪った武器を心底憎んでいたヨナは、結局物語の最初から最後まで武器を手放す事はなかったのである。

そんなの絶対に駄目だ、ココ!!

ココのヨルムンガンド計画の話を聞いて、ココに銃を向けながら叫んだヨナのセリフ。
ヨルムンガンド発動と同時に全世界に飛行禁止措置が取られる。その時点で飛行中の飛行機は例外無く操縦不能となり、予想される犠牲者の数は約70万になるとココは言う。「たった70万人。それがどうかした?ヨナ」と笑うココに対し、ヨナは銃を抜いたのだ。同じく兵器を嫌い武器を憎むココとヨナだったが、人間に嫌悪しか抱かないココと、それでもまだ人間に希望を持つヨナは決定的にすれ違う。ヨナに向けられた銃口に笑みを浮かべながら、ココは自分がどれほど武器や世界を憎んでいるか、そしてヨナを好きでいるのかを語る。そんなココにヨナは引き金も引けず言葉でも抗えず、そのまま別れを告げてココの元から飛び出した。
若き天才武器商人ココと優しき凄腕少年兵ヨナ、二人の決別のシーンの冒頭を飾るこのセリフは、作品の終盤への高揚感を掻き立てるものになったである。

殺すばかりで誰も助けられない、悲しいことだらけ。空腹で死にそうな中、僕は世界から嫌われているのか?って何度も思った。でも、どうしてなのかよくわからないけど、それでも僕は世界が好きなんだ。

兵器輸送タンカーの上でヨナがココに語ったセリフであり、ヨナが生きて来た時間とヨナの持つ優しさが伝わるセリフである。
両親を最新兵器によって殺されたヨナは、その後に少年兵として銃を手に取る事になる。セリフにある、「僕は世界から嫌われているのか?」と考えていたとされる「空腹で死にそうな中」とは、ココの実兄でありHCLI社にて主にアジアを担当しているキャスパー・ヘクマティアルとの出会いの中での出来事を指す。西アジア某国の地上軍にて行動中にヨナが面倒を見ていた孤児の一人が上官達の地雷避けに使われ殺され、ヨナは報復としてその基地を単身にて壊滅させた。上官を殺す為にその障害と成り得る基地の兵士を先に殲滅し、上官と、その場に居合わせたキャスパーの部下である武器商人を殺害したヨナ。その直後にキャスパーの部隊に取り押さえられ、水だけが用意してあるコンテナの中に閉じ込められる。そのコンテナの中の回想を巡らしながらもココに対して語られているセリフである。少年であるヨナが体験してきた悲劇と苦しみを滲ませながらも、それでも世界が好きだと言うヨナの優しさが深く染み入る言葉である。
このセリフの後に「ココは?」と聞いてくるヨナに対し、ココは問いには答えられないと返し、「ゴメン、ヨナ」と身を寄せる。世界を嫌うココとってはヨナの好きな世界を否定しない事が、せめてもの譲歩だったのだ。

僕は武器商人と旅をした――そして、ココ・ヘクマティアルと新しい世界を旅する。

物語の最終話。このセリフがヨナの最後の言葉であり、物語の終わりを指し、そして我々には語られぬであろう未来へと続く言葉である。
物語の全般において、「僕は武器商人と旅をした」との言葉は随所に織り込まれているが、その後に言葉が続けられたのは最終話のラストシーンのみである。この言葉の指す新しい世界とはココが作るヨルムンガンド計画発動後の世界であり、人類が空を飛ぶ力を失い、ただ見上げていただけの1900年代まで遡る事を強いられる世界である。果たしてこの先の世界がココの思い描く通りの世界になるのか、それともまったく予期せぬ世界へと移り変わっていくのかはヨナには分からない。しかしヨナはココに付いて行くと決めたのだ。2年の間、ココと別れキャスパーの元で世界を見たヨナは、ヨルムンガンドの犠牲を許容するココも、止まぬ戦争で犠牲を生み続ける世界も、どちらもイカレていると理解しながら、それでもココに付いて行くと決断した。
このヨナの決断を以ってココはヨルムンガンドを発動させるのである。

レーム(レーム・ブリック)の名言・名セリフ

そして忘れろ、少年兵を。

オーケストラと呼ばれる殺し屋相手に、相打ち覚悟で突撃したヨナに対してレームが言い含めたセリフである。
ココとバルメが街中でショッピングしている時に不意に襲撃してきた二人組の殺し屋オーケストラ。駆け付けたヨナはココを助け、敵と打ち合っていたバルメが負傷する中、ココの護衛である自身の任務として銃を撃ちまくるオーケストラに対し特攻を仕掛けたのだが、それをレームが邪魔した。自分の行動を邪魔されて憤るヨナに対し、レームはそれ以上に憤りを覚えてるのだ。「少年兵の戦い方ってのは本当に頭にくる」と言うレームは、ヨナの戦法を全否定する。戦場における少年兵の用兵には損耗を前提とした特攻も含まれる事が多い為、少年兵自身も自分の生存を勘定に入れて戦いはしない。そしてヨナもまたそうした少年兵の一人である事をレームは許容せず、「ウチは「殺し合い」なんてやらない。やるとしたら一方的な「殺し」。捨て身の突撃が必要な状況は、訓練に訓練を重ねたテクニックで補え」と教えるのである。こと戦闘時に関していうならレームは敵が少年少女であろうとも撃ち殺す事に躊躇いは無い。だが本来レームは仲間思いであり、またヨナに対しては寛容で彼の兵士としての能力も高く評価しているが故に、ヨナには少年兵としての戦い方を忘れろと強く語るのだ。
忘れなければならない少年兵というモノの背景が見えてくるシーンであり、その現実を否定しているレームの思いが伝わるセリフである。

殺って殺られて殺り返して。でも俺が殺られた時には殺り返さなくていい。

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@5ncs47moroll

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