ヨルムンガンド(Jormungand)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

ヨルムンガンドとは、最新兵器によって両親を殺され武器を憎みながらも少年兵として育ったヨナと、武器商人のココ・ヘクマティアルとの出会いから始まる物語である。武器や兵器から決して逃れられない世界を嘲笑しながら商売を続けるココと世界を巡るヨナ。世界をシニカルに語るココと美しく語るヨナ。一つの世界で綴られる二つの言葉に読者や視聴者は惹き付けられている。

『ヨルムンガンド』の概要

『ヨルムンガンド』とは漫画家高橋慶太郎により月刊サンデージェネックスにて連載された作品であり、原作完結後にアニメ化され全24話で放映された人気作品である。一部過激な描写や政治的な思想、言動なども含まれており少年少女向けというより、それ以上の年齢層を対象とした作品であり、台湾・香港・マカオでも出版されたが香港では18禁に指定されている。作中の舞台は文字通り世界中であり、欧州や中東、アフリカ、香港や中国など様々であり、日本が舞台の際には海ほたるが登場した。
主人公のココ・ヘクマティアルは武器商人である。少女時代から武器売買の世界に生きる彼女は8人の私兵を雇っており、もう一人の主人公である口数の少ない元少年兵のヨナは9人目の私兵としてココの部隊に入る事になる。部隊は皆優秀な兵士であり作中、最終回までに隊を去った者は1人しか居ない。ヨナは兵器を憎悪し殺し合いを嫌悪しながらも、生き続ける為に兵士としての技量を上げ銃を握り続ける。辛く厳しい現実にあって、それでも世界の事を好きだと告げるヨナに対し、ココは世界が大嫌いだと告げる。武器商人として成功を重ね嘲笑を重ね世界を歩くココは、本心では誰よりも武器を憎み世界を嫌う。それ故に兵器を憎みながらも少年兵として戦うヨナに強烈に惹かれるのだ。武器や武器商人、そして暴力を憎みながらも兵士としての強さも兼ね備えたヨナに対し、ココは本当の自分と似たものを感じる。同じモノを嫌い、同じモノを憎み、しかしそれでもまだ希望を持てるヨナに対し、世界全てを嫌悪する中で「私、ヨナだけは大好き」と告げる。人類から空を取り上げ兵器を取り上げ、強制的世界平和を計画するココ。ヨナから全てを奪った兵器を絶やし平和な世界の実現を特等席で見せてあげる、と自分の手を握るココの手を振り払いヨナはココと道を分かつ。やがて時が経ちヨナとココの2人が再び出会う時、ココ・ヘクマティアルの真の計画であるヨルムンガンドが発動するのだった。
ここではヨルムンガンド作中で語られた多くの名言を紹介していく。時にクールに、時にシニカルに、そして時に温かく語られる言葉達は、虚構の世界だけに収まらずに我々の胸にも飛び込んで来る。

ココ・ヘクマティアルの名言・名セリフ

いまどき聖人だってアサルトライフルで武装し、神の愛を説きながらブッ放す

部下が全員監視されている中、護衛が誰も居ない状況でどこから狙われるともしれない恐怖に足が竦んだココをヨナだけが迎えに来た。そんな彼にココは「君は優しいね」と語り掛けるが、言われたヨナは「だったら銃で人を殺したりしない」と自分が優しいと表された事を否定する。そんなヨナに対し、「それは違う」と話し、続けて語ったのがこのココの台詞。
ヨナの「善い人間は銃など撃たないし誰も殺さない」という簡単な二元論に対し、ココは象徴的に否定する。武器商人らしい物騒な物の例えではあるが、極論であるが故に理解もしやすい。「ようは、君は何を思い、何の為にトリガーを引くかだ」とヨナに説くココ。何かの為に銃を取り、誰かの為に引き金を引くのならば、その行為は必ずしも悪ではない。人間の言動とその人物の本質は必ずしも一致はしない、と彼女はいつでも武器商人の視点で世界を語り巡っているのだ。
世界の視点、多方面からのそれぞれの視点に立って言うのであれば、誰かにとっての銃を持った狂人も、違う誰かにとっての銃を持った聖人なのである。

じゃあね、アール……また会おう

「じゃあな、ココ・ヘクマティアル……また会おう」そう言い残しココとヨナを逃がし、一人でCIA部隊と戦い足止めし死んだ部下・元イタリア陸軍少尉のアール。アールの墓前から立ち去る前にココが放った別れのセリフ。
別れの直前にアールは、自分がCIAのスパイである事を告げ、皆の前から消えると言ったが、ココはそれでも構わないからとアールが残る事を望み、アールの死後もアールがスパイだった事は他の部下にも話してはいない。仲間達の事をなにより大切に想うココは、アールに言われた言葉をそのまま彼の墓前に残して前に進む。
尚、このアール死亡の一件は作中でココが最も怒りを見せた事件であり、アールを殺害し逃走したCIA部隊3名に対して、ココはB52戦略爆撃機による絨毯爆撃を敢行。たった3人を殺す為だけに、3人の動向を確実に把握しているにも関わらず3人が潜伏している山が抉れる程の空爆により復讐を果たしたのだ。

「ヨルムンガンド」とは、空、海、陸の順の人間の行動制限と、地球上のありとあらゆる物流の完全制御。私のこの手によって造られる、強制的世界平和だ!!

ココ自身の最終計画を部下に初めて明かした時のセリフである。
国際的武器運送会社であるHCLI社が打ち上げた多数の衛星と、ココの友人であり優秀なロボット技術者でもある日本人科学者の天田南博士が開発した量子コンピューターにより、地球上のすべての電子情報に介入し支配する計画が「ヨルムンガンド計画」である。ヨルムンガンドが発動した後は、ココの意思により全ての航空機が飛行不可能となり、空の軍事運用を人類は失う事になる。空、海、陸と広げる事により、協調や条約などでは無く、人類から軍事を強引に取り上げる事により平和を実現させるのだ。武器や軍を憎悪し人間を嫌悪するココが考えた、人間の良心に依らない人間の手による世界平和である。
本作の最終話、そのラストシーンはココがヨルムンガンド発動を宣言し携帯電話を操作しようとした場面で完となる。計画を発動したのか、計画後の世界はどうなってしまったのか、その一切が語られぬまま物語は終わりを告げた。

私と世界、頭イカレてるのはどっちだ!!?

一度は袂を分かったヨナと再会した時にココが放った問い掛けである。
世界平和の為に葬られる70万人の犠牲をなんとも思わないココを拒絶しヨナはココの元を離れた。しかし世界は絶えず紛争や戦争を繰り返し、ついには第三次世界大戦前夜とも呼ばれる状況へと至り、ヨナとココの空白の2年の間に70万人を大きく上回る死者を生んだ。多くの犠牲の上に新たな世界を築こうとするココと、多くの犠牲の上に成り立ち時を重ねる世界。そのどちらをも知るヨナに、ココは世界と自分、どちらの手を取るのかと選択を迫るのである。

騎士の剣は何を斬ったかにより斬れ味を変える。君がどうしようもないナマクラになるのを私は許さん。

T共和国にて民兵組織バルドラと交戦状態に陥った際、ヨナは敵のリーダーであるドラガン・二コラヴィッチに照準を合わせ引き金を引こうとするがココが「撃つな!」と射撃を止めた。戦闘終了後に「なんで撃たせなかったんだ」とドラガンを撃たせなかった理由を聞いてきたヨナに返答したココのセリフ。
ココはヨナに対して「あんな奴は君が撃つほどの人間ではない」と言いこのセリフを告げたが、単純にヨナを思っての制止だけでもなかった。結果としてココはドラガンをCIAに500万ドルの値で売り渡したのである。
ヨナの優しさを知るココは、ヨナが情も利も無く盲目に人を撃ち殺せる、ただ有能なだけの兵士になってしまう事を決して望んでいない事が伺えるシーンである。

私の仕事はつまるところ悪である。誇る馬鹿がどこにいる?

ココの部隊員でアジア某国の砲兵部隊出身のマオは家族に「軍の仕事で世界を飛び回っている」と嘘を付いていた。武器商人の私兵になったと言い出せなかったマオが、当時にその事をココに告白した時に返したココの言葉である。
武器商人であるココ自身を自ら悪と断ずる発言一つをとっても、彼女の武器商人に対する評価が伺える。少女時代から武器商人として世界を渡り歩いていたココは、このセリフを吐いている頃には既に武器や軍事を嫌っていた節が見受けられるが、このセリフを締めくくる時には「だが一つ、仲間だけは誇れ。忘れるな」と当時からなにより仲間を重んじる姿を見せていた。尚、そう言い捨てたココの行く先に控えていた仲間達は、ココの部隊のリーダーであり元デルタフォースのレームとバルメ、元米軍工兵でレームと共に最古参の部隊兵の一人であるワイリの計3人のみが描写されている事から、マオもまた古参の隊員である事が分かる。

砂漠に散った部下の魂はすべてフィンランドに帰った。あなたは一人も置き去りにはしなかったのだ。尊敬します少佐。悪党の賛辞で恐縮ですが。

バルメがまだフィンランド軍のソフィア・ベルマー少佐だった頃に、アフリカの砂漠にて敵の襲撃に遭い自分の部下を皆殺しにされ、彼女自身の右目も奪われた。そして、かつてバルメの部隊を壊滅させた人民解放軍少将チェン・グオメンに対し復讐を果たしたバルメに贈ったココの賛辞である。
ココはかつてのバルメの部隊を壊滅させた相手がチェンである事も、チェンの居場所も経歴も全てを知っていた。そしてココが情報収集や情報操作に利用しているCIA対外情報収集官のショコラーデにバルメが接触し、彼女がチェンの情報を入手した事も知っていた。知っていて尚、バルメのやりたい様にさせる一方でココはヨナをバルメに付いて行かせていた。ココにとってのバルメは一介の護衛ではなく姉や教師であり、またそれ以上の存在でもある。このセリフはそんなバルメの復讐の成就に対する、かつてフィンランド軍人ヴェルマー少佐だった者への最大の賛辞であると共に、ココ・ヘクマティアル分隊隊員バルメへの労いの言葉であった。

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