鳴り響くチェーンソーの轟音! レザーフェイス 虐殺の歴史

ホラーの金字塔と呼ばれる映画「悪魔のいけにえ」に登場し、チェーンソーで人を切り刻む残虐性と家族に頭の上がらない人間性を併せ持つ殺人鬼レザーフェイス。彼は「13日の金曜日」のジェイソンや「エルム街の悪夢」のフレディなどと並ぶホラーアイコンとして知られる。作品ごとに細かな設定が違う為にややこしくなっているレザーフェイスの生まれ育ちや家族、命運分け合った友人たちなど、その数奇な狂い咲き虐殺ロードを登場した作品ごとに紐解いていく。

レザーフェイスとは

記念すべき一作目のレザーフェイス。

レザーフェイスとは、映画「悪魔のいけにえ」シリーズに登場する殺人鬼の呼び名である。
まず、「悪魔のいけにえ」シリーズとは、
1作目「悪魔のいけにえ」(1974)
2作目「悪魔のいけにえ2」(1986)
3作目「悪魔のいけにえ3 レザーフェイス逆襲」(1990)
4作目「悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス」(1995)
リメイク版「テキサス・チェーンソー」(2003)
リメイク版続編(前日譚)「テキサス・チェーンソー ビギニング」(2006)
1作目の続編(パラレルワールド的扱い)「飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲」(2013)
1作目の前日譚「レザーフェイス -悪魔のいけにえ」(2018)
からなる作品群のことである。
これらのシリーズは全てレザーフェイスに殺害される若者を主役にした所謂スラッシャーホラー映画であるが、「悪魔のいけにえ」はニューヨーク近代美術館にそのマスターフィルムが保管されているなど芸術的側面も高い。

レザーフェイスの本名はババ・ソーヤー。
これは1作目の「悪魔のいけにえ」から4作目の「悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス」までの呼び名であり、リメイク版の「テキサス・チェーンソー」とその続編「テキサス・チェーンソー ビギニング」ではトーマス・ブラウン・ヒューイットという名前である。
さらに、「飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲」からはジェディダイア・ソーヤーという名前になっている。ちなみに「テキサス・チェーンソー」にはジェディダイア・ヒューイットという、トーマス・ブラウン・ヒューイットの弟(ヒューイット家はたまに赤ん坊を盗んできて勝手に育てることもあるので、明確に血の繋がった弟であるとは言えない)のキャラクターが登場しているため、とてもややこしい。

レザーフェイスはテキサスでソーヤー家が経営している人肉販売店(リメイク版では表向きはまともな精肉店)で勤務しており、近辺をうろつく人々をチェーンソーで殺害して家具に改造したり、解剖したりしている。身長193cmかつ巨漢であるが足は驚く程速い。人を殺すことになんら罪悪感を覚えていない。家族に対してはいたって従順。また、顔面には殺害した人間の顔面皮を剥ぎ取ったものを縫い付けている。顔面皮を縫い付けている理由は作品よってまちまちなため、後述する。

「13日の金曜日」シリーズのジェイソンはそもそも死者であり、あの世から蘇った不死身の存在。「エルム街の悪夢」シリーズのフレディは悪夢の中に存在している死者なので不死身の存在。
だが、レザーフェイスはただの凶暴な人間であるため、相手の反撃によりダメージを食らうことも少なくない。
この、レザーフェイスを生身の人間として描き続けることが「悪魔のいけにえ」シリーズの評価されるポイントである。
ジェイソンやフレディが「絶対に勝てないし、そもそも絶対に存在しない」キャラであるのに対し、「ちょっと勝てそうだし、もしかしたら実際にこういう人がいるかもしれない」というリアルさが恐怖を維持し続けているのだ。
半ばお笑い映画に走ってしまった後期「13日の金曜日」と後期「エルム街の悪夢」に対し、「悪魔のいけにえ」はシリーズ中一貫して恐怖を描き続けている。それがファンを掴んで離さない。

「エルム街の悪夢」シリーズのフレディ。

「13日の金曜日」シリーズよりジェイソン。よくチェーンソーを使っていると勘違いされるが一回も使っていない。武器はその場にあったものをうまく利用する。戦闘能力高し。

家族構成

ドレイトン・ソーヤー

ドレイトン。殺人にはあまり関わらず料理にこだわりを持っている。

「悪魔のいけにえ」から登場。通称コック。ソーヤー家の長男である。殺人に加担することはほとんどなく、その通称通りコックとして人肉の調理を担当している。
「悪魔のいけにえ2」では、ダラスで開催しているチリソースのコンテストで2年連続優勝するなどコックとしての能力は高い。
テキサスでバトルランドという遊園地を経営するも、すぐに閉園。ソーヤー家はそのバトルランドに移住することになる。「悪魔のいけにえ2」のクライマックスでソーヤー家を追っていたレフティに追い詰められた結果、手榴弾で自爆しようとするも誤ってバトルランドごと爆破。その後、生死不明。

ナビンズ・ソーヤー

ナビンズ。トレーラーに踏み潰されて死ぬ。

「悪魔のいけにえ」から登場。三男。通称ヒッチハイカー。顔に血の跡ような大きなシミがある。
落ち着きがなく、支離滅裂な言動から鬱病とみられる。テキサス州で頻発していた墓荒らしもナビンズの仕業である。
サリーたちの乗った車にヒッチハイクで乗せてもらったために通称がヒッチハイカー。サリーの兄であるフランクリンが愛用していたナイフを勝手に使って自傷行為をしたり、フランクリンの写真を撮り、その写真をいきなり燃やすなど、異常行為を連発したため無理やり途中下車させられる。
最期は、逃げたサリーを追っている最中、偶然やってきたトレーラーに轢かれ死去。
「悪魔のいけにえ2」ではミイラとして登場し、ソーヤー家の面々におもちゃのような扱いを受けている。

グランパ・ソーヤー

グランパ。137歳にして現役の人殺し。

「悪魔のいけにえ」から登場。ドレイトン、ナビンズ、チョップトップ、レザーフェイスの父。一見するとミイラのようであるが生きており、口を開くこともある。屠殺の名手(かつては5分間に60頭の牛を屠殺することができたと言われる)であり、サリーをハンマーで殺害しようとするも、高齢のため(「悪魔のいけにえ」の時点で124歳)握力がほとんどなくなっており、ハンマーを握ることすら難しくなってしまっている。

ロバート・ソーヤー

ロバート。頭に金属片をはめ込んでいる。

「悪魔のいけにえ2」から登場。次男。通称チョップトップ。ナビンズの双子の兄である。
サングラスを掛けており、長髪であるが実はカツラである。頭部には何らかの怪我で頭蓋骨に金属のプレートをはめ込んでいる。
ナビンズ同様支離滅裂な言動を繰り返し、彼もまた鬱病であるとみられる。
最期は爆破後のバトルランド屋上にてストレッチ(後述)にチェーンソーで斬られ転落死。

テックス・ソーヤー

テックス。売れる前のヴィゴ・モーテンセンが演じている。

「悪魔のいけにえ3」で登場。構成不明。「悪魔のいけにえ3」からは「悪魔のいけにえ」、「悪魔のいけにえ2」の監督であるトビー・フーパーが監督でないため、家族構成など設定が一新されているが、一応前作の「悪魔のいけにえ2」を踏まえているため、居なくなったドレイトン、ナビンズ、ロバートというレザーフェイスの兄弟枠の穴を埋めるために登場したキャラクターである。

チャーリー・ヒューイット

チャーリー。むやみやたらに銃口を向けてくるヤバい人。

「テキサス・チェーンソー」より登場。レザーフェイスの叔父にあたる。
理不尽な理由で被害者を拘束してレザーフェイスに殺害させたり、突然罪もない人に銃を向けて撃ってきたりと、ソーヤー家の中でもトップクラスの異常者。全ての行動に対し、罪の意識を全く持っていない。
レザーフェイスが殺害したテキサス州の保安官であるホイト保安官が着ていた服を勝手に拝借し、それ以降は偽ホイト捜査官としても活動。
以前は軍人だった。朝鮮戦争に出兵して捕虜となってしまった時に、週に一度弱った仲間の人肉を食べていた経験を持つ。
食事前には必ず祈りを捧げるなど、慈悲深い一面も併せ持つ。
最期は逃げた被害者に車で轢き殺された。

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