平家物語(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『平家物語』は、鎌倉時代の軍記物語である『平家物語』を古川日出男が現代語訳した版を底本として、サイエンスSARUが制作した2022年1月から放送されたテレビアニメ。物語の語り部となる琵琶法師の「びわ」がアニメオリジナルキャラクターとして主人公に据えられている。未来が見える力を持つ琵琶法師の娘「びわ」が平家の屋敷で暮らすようになり、滅びゆく一族の栄華と衰退をその目で見つめていく。平家の人々と「びわ」の交流を軸に、時代に翻弄されながらも懸命に生きた人々の群像物語。
びわの歌う琵琶歌は、実際に声優の悠木が声をあてている。櫻井や早見も見所として挙げている琵琶歌は、プロの監修のもと作られていった。悠木は「初めての試みだったが、かなり上達したため監修の先生からの要求もどんどん増えていった」と話している。合戦時の疾走感や声の抑揚、強弱による物悲しさも丁寧に表現されている。
維盛の弱さが『平家物語』には必要
『平家物語』の原作を訳し、アニメ化の原作となる著書を書いた古川は、その魅力的な登場人物たちについて語っている。特に、重盛の長男であり清盛の直系の孫である維盛を、『平家物語』が長く読まれる原動力として挙げている。維盛は戦いになると命のやり取りに震えて逃げ出したり、「怖い」と言って向き合おうとせずに最期は平家から逃げて海に飛び込んだ人物である。しかし、「あっさりと普遍的な弱さを見せてくれる」維盛がいることで、現代人は『平家物語』の中で共感する人物を見つけることができると古川は分析していた。「愛の方が大事だとわかっているだけなんです」と、古川は維盛の現代人らしさを表現している。
『平家物語』の主題歌・挿入歌
OP(オープニング):洋文学「光るとき」
『光るとき』は、ボーカルの塩塚モエカがアニメ主題歌として書き下ろした。洋文学としてはTVアニメの主題歌書き下ろしは初の試みとなる。塩塚は制作に伴って「台本を読むたびに、傲慢なイメージで語られがちな平家の人々の、人間らしく美しい側面を知りました。そんな姿を、私たちなりに讃え、照らし出す曲を作ることができたと思います。」とコメントを寄せている。優しく爽やかな曲調は前向きに進む気持ちを生み、『平家物語』を感じる言葉が並ぶ。伴奏のギターはどこか琵琶を彷彿とさせる音で、世界観を強める一曲。
ED(エンディング):agraph feat. ANI(スチャダラパー)「unified perspective」
『平家物語』の音楽を担当する牛尾憲輔のソロユニット、agraphによるANI(スチャダラパー)のラップをフィーチャーした楽曲となっており、3rdアルバム「the shader」から実に5年半ぶりのリリースとなる。海に沈んでいくような静かなイントロから始まり、淡々とした語りのようなラップ、曲調が変わってポップなサウンドが現れたりと波のある不思議な音楽。主人公のびわが、平家との幸せで哀しい日々を思い出しているように流れる一曲。
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目次 - Contents
- 『平家物語』の概要
- 『平家物語』のあらすじ・ストーリー
- 平家とびわの出会い
- 妓王の運命と徳子の輿入れ
- 厳島の思い出と延暦寺の強訴
- 鹿ヶ谷の陰謀
- 以仁王の令旨
- 敦盛の登場、富士川の戦い
- 清盛の死
- 倶利伽羅峠の戦いと都落ち
- 清経の死、びわの母
- 一ノ谷の戦いと敦盛
- 維盛の最期
- 滅びる平家と語り継ぐ物語
- 『平家物語』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- びわ
- 平重盛(たいらのしげもり)
- 平家の人々
- 平徳子(たいらのとくこ)
- 平維盛(たいらのこれもり)
- 平資盛(たいらのすけもり)
- 平清経(たいらのきよつね)
- 平経子(たいらのつねこ)
- 平宗盛(たいらのむねもり)
- 平知盛(たいらのとももり)
- 平重衡(たいらのしげひら)
- 平敦盛(たいらのあつもり)
- 平清盛(たいらのきよもり)
- 平時子(たいらのときこ)
- 平時忠(たいらのときただ)
- 平高清(たいらのたかきよ)
- 新大納言局(しんだいなごんのつぼね)
- 平忠度(たいらのただのり)
- 平教経(たいらののりつね)
- 源氏の人々
- 源頼朝(みなもとのよりとも)
- 北条政子(ほうじょうまさこ)
- 源義経(みなもとのよしつね)
- 武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)
- 静御前(しずかごぜん)
- 木曾義仲(きそよしなか)
- 巴御前(ともえごぜん)
- 熊谷直実(くまがいなおざね)
- 朝廷
- 後白河法皇(ごしらかわほうおう)
- 平滋子(たいらのしげこ)
- 高倉上皇(たかくらじょうこう)
- 安徳天皇(あんとくてんのう)
- 後鳥羽天皇(ごとばてんのう)
- 以仁王(もちひとおう)
- その他の登場人物
- 妓王(ぎおう)
- 浅葱の方(あさぎのかた)
- びわの父
- 藤原成親(ふじわらのなりちか)
- 俊寛(しゅんかん)
- 『平家物語』の用語
- 琵琶(びわ)
- 琵琶法師(びわほうし)
- 禿(かぶろ・かむろ)
- 棟梁(とうりょう)
- 摂政(せっしょう)
- 白拍子(しらびょうし)
- 強訴(ごうそ)
- 恩赦(おんしゃ)
- 令旨(りょうじ)
- 小枝の笛(さえだのふえ)
- 『平家物語』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- びわ「いつかというのはいい言葉だの。明日、明後日。先のことが少し、楽しみになるの」
- 平重盛「其方を巻き込んでしまった。滅びゆく、平家という一族に」
- 平徳子「私は世界が苦しいだけじゃないって思いたい。だから私は許して、許して、許すの」
- びわ「平家の行く末を見届けようと思う。見届けて、祈りを込めて琵琶を弾く」
- 敦盛の一騎打ちと死に様
- 平重盛・びわ「祇園精舎の鐘の声」
- 『平家物語』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 徳子の物語
- びわの歌はプロお墨付き
- 維盛の弱さが『平家物語』には必要
- 『平家物語』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):洋文学「光るとき」
- ED(エンディング):agraph feat. ANI(スチャダラパー)「unified perspective」