初恋限定。(Hatsukoi Limited.)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『初恋限定。』は、河下水希による漫画作品。
『週刊少年ジャンプ』にて、2007年44号から2008年26号まで連載された。
中学2年生の有原あゆみと江ノ本慧を中心に、中学生と高校生計8人の恋が同時進行で進む姿を描いたオムニバス作品だが、連載期間は約半年と短命に終わった。
いわゆる「打ち切り」となった作品であるが、打ち切りに遭いながらドラマCDやアニメといったメディアミックス化された珍しい作品でもある。

中学生男子

楠田悦(くすだえつ)CV:浅沼晋太郎

作品に登場する中学生男子の中心的存在で、ストーリーの大半は彼と江ノ本の恋が描かれる事になる。
但し、後に恋仲になる江ノ本の好みとは掛け離れた、イケメンとは言い難い容姿で、性格もスケベなお調子者と江ノ本の好みから大きく外れている。

江ノ本からは勉強・運動・音楽などの分野でも、何一つ良い所がないと酷評されるが、家庭科の成績は本人曰く「4」と優秀で、完成こそしなかったもののチア衣装作りを手伝って江ノ本の評価を大きく上げた。

憎まれ口を叩きながらも江ノ本のために手袋をプレゼントするなど思いやりもあり「男は顔ではなく中身」という江ノ本の異性に対する価値観を大きく変えるきっかけにもなった。

また、お調子者な性格故にクラスのムードメーカー的存在であり、クラスが嫌な空気になった時に冗談を言って和ませるなど、彼なりに「空気を読んだ行動」と取っているようで、江ノ本からは「軽いフリしてホントはすごく頼れるヤツ」という最大級の賛辞を賜っている。

財津衛(ざいつまもる)CV:入野自由

美術部所属でクラス委員を務める、真面目な性格の男子生徒。

操の弟だが、恐すぎる外見の影響で有名人の兄と顔は全く似ておらず、ルックスはむしろイケメンに分類される。
顔も性格も最高な上に、保健室にお姫様抱っこで連れて行ってくれるという夢のような行動をしてくれたため、あゆみから好意を寄せられるが、兄を一撃でKOする瞬間を目撃した事もあって親しくなるまで衛はあゆみの事を恐がっていた。

レスキュー隊員志望で、あゆみを保健室に連れて行った他にも街中で倒れていたサンタを助けるなど彼の人柄を示すエピソードもある。

隣に住む幼馴染みの女子高生、山本岬に長い間好意を寄せており、バレンタイン前に告白するがあえなくフラれてしまう。

失恋のショックで落ち込んでいたところ、同じく色々あって落ち込んでいた楠田、曽我部とともに「自分探しの旅」と称して家出する。

失恋や自己嫌悪によって落ち込んでいる自分を変えたいというその場のノリと勢いで家出したため、資金や目的地の設定、更には食料の用意など準備も何もしておらず、想像以上のノープランな旅に頭を痛めながら自転車を漕いでいた。

最終話であゆみから告白されるが、それでも岬に対する気持ちは変わっておらず、後日談で温泉旅行に出た女子を追って楠田達と再び自転車の旅に出た時は岬をネタに良からぬ妄想で盛り上がる楠田と曽我部に本気で怒りを示すなど、フラれても彼女が大切な存在である事に変わりはない。

曽我部弘之(そがべひろゆき)CV:櫻井孝宏

無駄に自分に自信を持っている男子生徒。

異性と上手く接する事が出来ず、自分がモテない事を女子の見る目がないと決め付けていたが、廊下でぶつかった千倉が心配して声を掛けてくれた事を自分に対する好意と勘違いして以後彼女にアピールするようになる。

しかし、彼の自信は何の根拠もないただの虚勢であり、イケメン、成績優秀、立派な将来の夢と全てに於いて自分を上回るものを持っていた連城由紀人の出現により打ちのめされる。

家出した自分を追って来た千倉に告白し前向きな返事を貰うが、両想いになっても正確に付き合っている訳ではないようで、千倉からは今でも連城の事を思い出す発言が出ている事に不安を感じている。
最終話ではイメージチェンジのためこれまで長い方だった髪を切っており、恋愛相談を持ち掛けたあゆみから絶賛されていた。

寺井春人(てらいはると)CV:岡本信彦

テニス部所属で、土橋の彼氏。
テニスが上達しないため土橋がコーチ役となった事から接点を持ち、結果は出ないながらも練習に体育祭といったイベントで精一杯努力する彼の姿を見た土橋が認めてくれた事によって付き合う事になる。

テニスでは結果が出ず、体育祭もパッとしない成績ばかりで、自分とは対照的にテニス部のエースで体育祭でも大活躍の土橋と本当に釣り合っているのか本気で悩むが、彼女の素っ気ない態度は単なる照れ隠しであり、これまで手も繋いでくれない土橋(照れているだけ)に勇気を出して「手をつないで下さい!」とお願いしたところ、土橋はファーストキスで応えてくれた。

中学生男子で出番は一番少ないものの、一番幸せな結末を迎えたキャラクターである。

猪山毅(いのやまたけし)

ゆかりと同じく小説版のオリジナルキャラクターで、小説版1話『オレンジのメッセージ』の中心的存在だが原作には登場しない。

実家は銭湯を経営しており、誰とでも積極的に絡める明るい性格である。
同じく小説版でメインを張るゆかりとは幼馴染みではあるものの、女性として認識しておらず、ゆかりと同じ手芸部に所属する先輩、江ノ本慧に憧れを抱く。

高校生女子

山本岬(やまもとみさき)CV:田中理恵

財津家の隣に住む高校生。基本的に脇役のような扱いが多い高校生の登場人物では操とともに出番が多い。
格闘技好きで友人と過ごす時間以外は格闘技観戦に夢中で恋愛には全く興味がないというスタンスだったが、日直でノートを運んでいる時に何の前触れもなく持っていた飴をくれた有原有二に興味を抱く(唐突に有二が飴を渡したのは「財津君」という言葉を聞いてあゆみは操が好きと勘違いした有二が、操が飴を使ってあゆみを手懐けたという勝手な思い込みを再現するため)。

岬自身は有二が好きという気持ちを強めていくが、単なる友人と思って接していたところ本当は前々から自分の事が好きだった良彦と、隣のお姉さんではなく「山本岬という一人の女性」が本気で好きという衛の気持ちを知り、自分が「誰か」を好きになる事によって自分を好きになってくれた「別の誰か」を傷付けてしまう事に悩む。

結局、岬は有二を選び、良彦と衛には「ごめんなさい」とお断りをして、以降は有二にアプローチするようになる。
ちなみに、バレンタインで有二に渡そうとしたチョコが、バレンタインを潰そうと爆弾を作ったモテない男「ボマーくん(仮名)」とぶつかった際に本命チョコと彼の作った爆弾が入れ替わってしまい、有二に渡す直前に中身が爆弾である事を知ったあゆみが川に投げ捨てて負傷者はゼロで済んだものの、爆弾を渡そうとした女と勘違いした有二からは恐れられる事になる。

有原有二が好きと自分の中ではっきりさせてからは有二に積極的なアプローチを仕掛けるが、有二は妹のあゆみ以外の異性に興味がないため振り向いてくれず、岬は有二と距離を置こうとする。
だが、良彦から岬と向き合うよう言われ、真剣に自分の事を考えてくれるようになった有二を見てお互いの大きく関係を進展させる事になる。

江ノ本夕(えのもとゆう)CV:佐藤聡美

江ノ本という苗字の通り慧の姉で、岬とめぐるのクラスメイト。

姉御肌で優れたリーダーシップを持つ慧とは対照的に、幼い容姿と性格で、家でも姉妹関係は逆転している。
ジャンルを問わず多趣味であり、老若問わず多数の男友達がおり家によく上げているが、忘れっぽい性格のようでスケジュール管理が出来ておらず、休日は予定がバッティングした多数の男性客が家にいる状態で慧から怒られている。

原作で彼女がメインの回は1回だけあったが、アニメではカットされている。
基本的に最後まで脇役としての登場で誰かと恋になる事はなかったものの、自分の気持ちを殺して有二と岬の恋を応援する良彦に興味を持つ描写がある。

また、初期設定では「教師と恋愛する女の子」という設定で生まれたが、教師が一方的にメロメロになるという話はボツになり、キャラクターだけ残った結果「いろんなタイプの男の子でもメロメロになってしまう魔性の女の子」として登場する事になったが、全く活躍する事なく終わってしまい、作者も「マジで、もっとたくさん描きたいと思った女の子です」と語っている。

渡瀬めぐる(わたせめぐる)CV:白石涼子

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@leina19y6

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