かくりよの宿飯(第26話『あやかしお宿に美味い肴あります』)のあらすじと感想・考察まとめ

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葵が御簾の中に見たものは、涙を浮かべた小さな子供のような海坊主だった。御簾を上げ、海坊主の姿を皆に見えるようにした葵は、海坊主の寂しさを癒してあげることこそが、自分の使命だと感じる。葵たちと一緒に海宝の肴を楽しみ、夜神楽を葵の膝下で観賞した海坊主は、「ありがとう」と感謝の言葉を残して、暗い海の彼方に帰って行った。葵も南の地での役目を終えて、銀次と共に天神屋に帰ることになった。
今回は「かくりよの宿飯」第26話『あやかしお宿に美味い肴あります』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「かくりよの宿飯」第26話『あやかしお宿に美味い肴あります』のあらすじ・ストーリー

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子供のような海坊主

葵が御簾の中に見たものは、涙を浮かべてしゃがみ込む、小さな子供のような海坊主だった。チビが心配そうに寄り添っていた。
葵「はっ、海坊主。あなたが?えっこんな子供?」
チビ「海坊主さん」
海坊主はチビを抱え上げ頬ずりをした。葵は海坊主の側まで歩いて膝をついた。

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海坊主の頭を撫でる葵

葵「どうしたの?気に入らない味だった?」
葵は涙を流す海坊主の頭を撫でた。
海坊主「おいしい、ひもじい、寂しい」
チビ「葵さん、どうして海坊主さん独りぼっちにさせるですか?」
葵「えっ?それは昔からの決まりで」
チビ「海坊主さんは寂しがり屋さんです。僕と同じです、独りぼっちでいつもお腹が空いてて」
チビの言葉を聞いた海坊主は涙が止まらなかった。

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御簾を巻き上げる葵

葵はチビを抱えたまま涙を流し続ける海坊主に尋ねた。
葵「寂しいの?」
海坊主は無言で頷いた。
チビ「そうです、花火きれいです。ご飯美味しいです、神楽楽しいです。でもみんな来てくれないです」
葵「そう?そうよね」
葵はため息をついて目を閉じ、しばらくして立ち上がった。そして歩いて出口まで戻り、御簾を巻き上げて全開にした。神楽殿の明るい光が眩しく社殿を照らした。夜神楽を舞っていた乱丸と銀次が驚いて葵の方を見た。

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海坊主と向き合う葵

葵は海坊主の側に戻りやさしく声を掛けた。
葵「大丈夫よ、怖くなんかない。ほら、夜神楽しっかり見たいでしょう?」
海坊主は目を見開いて葵の顔を見た。
葵「ご飯だって、もう1人で食べなくていいの。みんなで一緒に食べましょう」
チビ「葵さん」
チビは嬉しそうに葵を見た。
葵「私もね、ほんとはお腹ぺこぺこなの。そうだ、食べたいお料理まとめて選んで?1つだけじゃなくて、食べたいもの全部教えて?」

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料理を選ぶ海坊主

海坊主はお品書きを指差して料理を選んだ。
乱丸は神楽を舞いながら、海坊主を見てしまったことで儀式が失敗したのではないかと恐れ、怖い顔で葵を見つめた。銀次は心配そうに葵を見ながら舞を続けた。
葵「乱丸、そんなに睨(にら)まないでちょうだい。銀次さん、心配させてごめんなさい。でも私、寂しくてひもじいって気持ちをどうしても無視出来ないの」
葵は乱丸と銀次に向かって心の中で呟いた。

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料理を作る葵と鶴童子たち

台所に戻った葵は黙々と料理を作った。
戒、明「ねえどういうこと?」
戒「海坊主は絶対見ちゃいけないって」
明「災いの権化だって」
葵「どうして海坊主が災いを運んで来るのかは分からない。でも、あの子自身はとても小さくて、寂しがり屋のあやかしなの」
戒「小さい?」
明「寂しがり屋?」
葵「そして、とてもお腹を空かせてる。そんな子を放っておくなんて出来ないのよ。お願い、2人とも力を貸して」
戒「僕たちは料理人だから」
明「リーダーの葵に従うのみだよね」
葵「ありがとう。戒、明」

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キッシュを作る葵

葵「それじゃ、すき焼き風肉豆腐をお願い。予定より大きい鍋で量もたっぷりとね」
戒、明「分かった」
葵「あとはキッシュを焼こうと思うの」
戒「キッシュ」
明「って何?」
葵「パイ生地を使ったお料理よ。丸のまま出して、切り分けてみんなで食べるとおいしいの。オーブンに入れておくから、焼き上がったら持って来てくれる?」
戒、明「まかせて」

*キッシュとは、卵と生クリームで作るフランスのアルザス・ロレーヌ地方の郷土料理。

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甘夏ジャム絡めの鶏モモから揚げ

葵は作った料理を社殿に運び、海坊主の前に置いた。
葵「甘夏ジャム絡めの鶏モモから揚げです」
海坊主は食べる前に秘酒を杯に注ぎ、葵に差し出した。葵は海坊主の気持ちとして杯を受け取り、秘酒を飲んだ。
秘酒を飲んだ瞬間、葵は真っ暗な空間に迷い込んで行った。そして、暗い海の中を歩く、哀しい鳴き声ともつかぬ声を上げる海坊主の姿を見た。葵は掛け軸の旅で、銀次に見せられた常世の本を思い出した。
『海ノ果テノ狭間ニソレヲ閉ジ込メタ』
この一節を思い出した葵は、海坊主の哀しい真実を知った。
葵「あなたはいつもここに閉じ込められているのね」
海坊主「寂しい、ひもじい」
葵は子供の頃のひもじい思いをした自分と、海坊主を重ね合わせて見ていた。

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暗い海に閉じ込められた海坊主

しばらくして葵は、夢とも幻想ともつかぬ不思議な光景から、杯を手に持って海坊主の前に座っている自分に戻って来た。目の前には、鶏モモから揚げを食べる海坊主がいた。
葵「おいしい?」
海坊主は無言で頷いた。
葵「あんな暗い所に閉じ込められて、いつも独りぼっちで、いつもお腹を空かせて、100年に一度だけ、あそこを出てここに来られる」
乱丸と銀次の神楽の舞が続く中、葵は儀式の意味を考えた。
葵「この子にとってここは夢の場所、今は夢の時間」
葵はここにやって来る海坊主の心情を思い量った。

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海坊主を抱える葵

海坊主「あー」
海坊主は両手を大きく上げて葵に差し出した。葵は海坊主を抱き上げた。海坊主は葵の肩越しに、神楽殿の方を向いた。乱丸と銀次は、海坊主を抱き上げた葵を見て驚いたが、そのまま舞を続けた。
葵「独りぼっちでお腹が空いているのは、辛過ぎるものね」
葵は涙を浮かべて、海坊主と同じように、暗い場所に閉じ込められていた自分の身の上を、海坊主に告白した。海坊主もそれを聞いて「おーおー」と悲しい声を出した。

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キッシュを前にした海坊主とチビ

戒・明「キッシュってのが焼けたよ」
戒と明が社殿に来て葵に告げた。葵と海坊主が抱き合って涙ぐむ姿を見て、戒と明は戸惑った。
戒「何この状況?」
明「その子供が海坊主?」
海坊主とチビが焼き上がったキッシュの前に座り、チビが「葵さん何ですかこれ?」と尋ねた。
葵「これはキッシュ。スパイシーな和風カレーキッシュなの」
チビ「わあ、いい匂いです」
葵はキッシュを小皿に取り分け、海坊主とチビ、鶴童子たちに配った。
葵「さあどうぞ」
海坊主が一番に食べた。
葵「おいしい?」
海坊主「あー」

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キッシュを口にする葵

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