君の膵臓をたべたい(キミスイ)のネタバレ解説・考察まとめ

『君の膵臓をたべたい』とは、2018年に公開されたアニメーション映画。
住野よる著の2015年の同名小説を原作とした作品であり、2017年には実写映画版が公開されている。スタッフは本作が初監督となる牛嶋新一郎が監督・脚本を担当。制作会社はスタジオヴォルン。
孤高な主人公の少年「僕」と膵臓の病で余命わずかの快活な少女の青春模様や、キャラクターの葛藤・成長が描かれる。劇中の経過時間は約4ヶ月ほどで、独特なタイトルの本当の意味が劇中終盤でようやく明かされる。

走って逃げてきた先に「Cafe Spring」があった。

逃げて行った先で桜良は「Cafe Spring」というカフェを見つける。店の様子を気に入り、2人はカフェに入って休憩する。店内で、桜良は「僕」と携帯電話のアドレスを交換した。雑談の中で、桜良は「桜の花が春に咲く理由、知ってる?」と語り始める。桜の花は、散ってから次の花の芽を付けるが、その芽は一旦眠りにつき、気温が暖かくなるのを待って一気に咲くのだという。つまり、桜は芽の状態で咲くべきときを待っているのだという。
彼女はそんな桜の花の習性がとても好きで、自分の名前も気に入っていた。

ほとんど関わりがなく、お互いのことを何も知らなかった2人だったが、話すうちに少しずつ色々なことを知っていく。2人はあらゆる点で正反対だった。
「僕」は他人に興味が持てず、いつも1人で過ごす淡々とした性格だった。彼女はもちろん、友達と呼べる相手すら1人もいない。
対して桜良は明るく社交的で友達も多く、常にポジティブに過ごし、人付き合いを楽しめる性格だった。
しかし桜良はそんな正反対であることすら楽しんでいた。

「僕」の携帯に桜良からのメールが届く。

暗くなり別れて帰宅すると、「僕」の携帯電話に桜良からメールが届く。内容は「今日は付き合ってくれてありがとね。死ぬまで仲良くしてね!」というものだった。

一方で、自宅のテレビのニュースでは、通り魔事件を報道していた。

校内の噂、スイーツバイキング

次の日、高校のクラス内では、人気者の桜良と、地味な「僕」が一緒にカフェにいたということが噂になっており、2人の関係を訝しむ声が出始めていた。
桜良は友人に「僕」との関係を聞かれると、気にした様子もなく「仲良しなの」と答えていたが、「僕」の方はクラスメイトや他人にあれこれ詮索されるのを好まないため、彼女との関係は別に何でもない、仲良くないなどと答えていた。
桜良の友人達は、付き合うならクラスの委員長にして文武両道の隆弘(たかひろ)のような男子を選ぶべきだと主張する。

スイーツバイキングで過ごす2人。

放課後、「僕」は再び桜良に付き合わされ、2人で「Sweets Paradise(スイーツパラダイス)」というケーキなど専門のバイキング店へ向かった。こういうところは女友達や彼氏と来る場所ではないのかと「僕」は文句をつけるが、桜良は「僕」に興味があったから誘ったのだと譲らない。また、彼氏ならいたがつい最近別れたという。その彼氏だった男子は友人としてはよかったが、恋人になるとしつこいタイプだったため、うまくいかず別れたとのことだった。

バイキングに恭子が現れ、「僕」と桜良の関係を問い詰める。

2人がバイキングで雑談をしていると、その場にクラスメイトで桜良の親友である恭子が現れる。
恭子は気が強く、なぜ桜良が「僕」のような地味で根暗な男子とカップルのようにスイーツバイキングにいるのかを怪しんでおり、「僕」に敵意を向けているようだった。桜良と「僕」は2人の関係の説明を恭子から求められるが、恋人ではなく友人とも微妙に異なる奇妙な関係であり、尚且つ病気のことは秘密なので詳細をうまく説明できず、「仲良し」としか言えなかった。
的を射ない説明しか得られず、仕方なく恭子はその場を引き下がるが、「僕」を警戒しているのは変わらなかった。

海辺、真実と日常

海辺にて、「君は…… 本当に死ぬの?」という問いに「死ぬよ」と答える桜良。

その後、2人は海へ行き、桜良は裸足になって海辺ではしゃいでいる。
冗談を交えた他愛のない話ばかりだが、「僕」は桜良の余命が僅かであることを理解しながら、彼女に過剰な気遣いや同情はせず、普通に接していた。
一方、桜良はそんな「僕」と過ごす時間を心から謳歌していた。自身の余命が僅かであることを悲観している様子が微塵も見えない。
そんな彼女を見て「僕」は、「君は…… 本当に死ぬの?」と質問をする。桜良ははっきりと「死ぬよ」と答えた。
「僕」にはわからなかった。バイキングでの件でわかっていたが、彼女には恭子のような大切に想ってくれている親友もいる。余命を覚悟しているのなら、何故彼女らに本当のことを話さず自分なんかと過ごそうとするのか。
そう問いかける「僕」に対し、桜良は「君はきっとただ一人、私に真実と日常を与えてくれる人なんじゃないかな」と語る。
医者は常に真実しか言わない。家族は自分の発言一つ一つに過剰に反応して、日常を取り繕うのに必死になっている。恭子のような友人達は日常を与えてくれるが、病気のことを告げたらきっと悲しむため、真実は告げられない。
だから、真実と日常を自分に与えてくれる「僕」と過ごす普通の時間が楽しいから一緒にいるのだと、笑顔で語った。

突然の2人旅行

その後、校内では桜良と「僕」の噂は以前より広がっていて、「僕」は普段はあまり話さないクラスメイトから声を掛けられるようになる。そのクラスメイトは「ガムいる?」とよく周囲にガムを配っている生徒で「ガム君」と呼称されていた。

とんこつラーメンを食べ、ユニクロで服を選ぶ2人。

テスト休みになると、桜良から「電車で遠出しよう!」とメールが届く。「僕」は暇だったので、深く考えずに了承するが、彼女の言う遠出とは新幹線で富山から九州の福岡まで向かうという大掛かりなものだった。とても日帰りで行ける距離ではないが、半ば強引に桜良に連れられ新幹線に乗ることになってしまった。
桜良は両親には恭子と旅行に行くと言ってきたという。「僕」も後で両親に友人の家に泊まるという旨を連絡することにする。実際に「僕」には友人はいなかったが、家族を心配させまいと家では普通に友達がいるということで通しているのだと語る。
福岡へ向かう新幹線の中で共病文庫に何かを書き込んでいる桜良は「僕」に下の名前を尋ねる。「僕」が答えると、珍しい名前でもないのに何故か桜良は驚いていた(姓名も名前もこの時点では明らかにされない)。
何を驚いているのかわからなかったが、「僕」は共病文庫に自分の名前は書かないでほしいと言う。彼女が死んだ後で遺族がその本を読んで、自分と彼女の関係を問い詰められるのが面倒だからだった。

福岡に到着すると、2人はとんこつラーメンを食べたり、太宰府天満宮を参拝したり、博多モツ鍋をつついたりと観光を楽しんだ。また、「僕」は泊まりを想定していなかったため着替えがなく、福岡のユニクロで服を購入。「僕」は特に服装にこだわりはなかったのだが、桜良がコーディネートし、普段よりも洒落た服を購入することになった。

夜になると、2人はホテル「ヒルトン福岡シーホーク」に向かう。しかし、予約に手違いがあり、2部屋別々のはずが1部屋に2人一緒に泊まることになってしまった。

同じ部屋で過ごす時間

「僕」は桜良に手を出すつもりはなく、自身はベッドではなくソファで寝ることにするが、まったく動じていないわけでもなかった。
桜良が先に入浴していると、風呂場から鞄の中にある洗顔クリームを持ってきてほしいと頼まれる。「僕」が鞄の中を調べると、その中には大量の錠剤や注射、よくわからない測定器などが入っており、動揺する。なんとか表情には出さず、自然に洗顔クリームを桜良に渡す。

その後、2人は高校生ながら酒を飲み、ホテルで過ごす時間を楽しむ。何かして遊びたいという話になり、『真実か挑戦』というゲームをすることにする。

ルール:
1. 裏返したトランプをランダムにめくって、数字の大きい方が勝ち。じゃんけんでも可。
2. 勝った方は真実か挑戦か訊く権利を得る。
3. 訊かれた相手は「真実」を選ぶなら、勝者からの質問に正直に答える。答えたくなければ「挑戦」を選ぶ。
4. 「挑戦」を選ぶなら、勝者からの指示に従った行動をする。
5. 途中で降りてはいけない。「真実」か「挑戦」のどちらかを必ず選ばなければならない。

上記のルールで2人はゲームを10回行うことにする。
2人は様々な質問をし、互いを知っていった。桜良の「クラスで、見た目で私は何番目にかわいい?」という質問に、「僕」は「3番目」と答え、「僕」の「君が今までで一番嬉しかったことは?」という質問に、桜良は「君に出会えたことかな」と答える。

「僕」にベッドまで運ばれるシーン。

9回目で、桜良は酔いが回ってしまい、「挑戦」の権利でベッドまで横抱きで運ばれた。
10回目も勝者となった桜良は、唐突な質問を投げかける。それは「私が本当は死ぬのがめちゃくちゃ怖いって言ったら、どうする?」というものだった。「僕」が答えに困り、「挑戦」を選択すると、彼女は「君もベッドで寝なさい」と指示した。
「僕」は迷った末に、手は出さなかったものの、背中合わせで同じベッドで眠った。

帰路

翌朝、恭子からの電話で2人は眼を覚ます。桜良が「僕」と2人で旅行していると知り驚く恭子は、桜良の説得によりなだめられるが、「僕」への不信感はますます募っていった。

その後、2人は再度福岡を観光した後、新幹線で帰路に着いた。別れ際、「また旅行しようよ」と言う桜良に、「僕」は「そうだね、それもいいかも」と素直に答えたため彼女は驚いた。「僕」は福岡で桜良が選んでくれたソフトハットを着用して帰路についた。「僕」の中で何かが変わりつつあった。

恭子の警告

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