はたらく細胞(第11話『熱中症』)のあらすじと感想・考察まとめ

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外気温上昇のせいで貯水槽の水分は尽き果て、身体は熱中症の危機をむかえていた。肝腺細胞たちは、体温調節機能を取り戻そうと奮闘し、赤血球たちは毛細血管を歩いてなんとか放熱しようとする。白血球も暑さには相当こたえているようだ。そんな中、熱に強いセレウス菌が侵入した。セレウス菌は細胞たちが高体温でパニックを起こしている隙に、身体を乗っ取ろうと企んでいた。
今回は「はたらく細胞」第11話『熱中症』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「はたらく細胞」第11話『熱中症』のあらすじ・ストーリー

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赤血球たちが、毛細血管を歩いて放熱しようとしていた

ここは人間の中。温暖化のせいで、貯水槽の水分は尽き果てていた。先輩赤血球と並んで歩いていた赤血球が口を開いた。
赤血球「表皮付近って、こんな景色でしたっけ」
先輩赤血球「この暑さで、干上がってるのよ。前はもっと水路とかあったわ」
多くの赤血球たちが、毛細血管を歩いて放熱しようとしていた。放熱とは、皮膚の近くに血液を多く流し、熱を放散する体温調節機能の一つである。
赤血球「暑いですね」
先輩赤血球「大丈夫よ、発汗すれば涼しくなるの」
あたりがザワつく。白血球が細菌を駆除していたのだ。
赤血球「お疲れ様です、白血球さん」
白血球「よお、赤血球」
そう言って立ち上がった白血球は、暑さにふらつく。

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赤血球たちは、汗腺にやってきた

赤血球たちは汗腺にやってきた。発汗し涼しくなるのを待つためである。汗が霧状になって、気化熱で表皮を冷やしてくれるはずなのだ。皮膚にある汗を分泌する汗腺には、アポクリン腺とエクリン腺のニ種類がある。汗をかくと、蒸発する際に熱を奪う(気化熱)。これが体温調節に重要な役割を担っている。ところが、いつまで経っても汗は液体のままだ。つまり、発汗は成功したが、体表冷却には至っていない。体外の湿度が高すぎるのだ。このままでは、体温がどんどん上昇してしまう。赤血球たちは、とにかく表皮から放熱しようと、毛細血管を歩いて放熱をはじめた。赤血球にできることといったら、それぐらいなのだ。
突然、明かりが不規則に点滅する。めまいだ。めまいは、目がまわる、自分のまわりがふわふわした感じがするなどの症状が現われることだ。平衡感覚器の障害や脳血管の障害で現れる症状である。周辺が闇につつまれた。そして、地面が傾く。
立ちくらみだ。頭から血の気が引いて一時的に目の前が真っ暗、または真っ白になり、めまいを伴うような状態のことだ。意識は保たれている。
さらに失神が起こった。脳への血液が一時的に低下または遮断された状態で、数秒から数分の意識喪失を伴うのだ。
白血球「まずい、熱中症だ!」
熱中症は、体温を調節する機能が狂ったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりすることによって起こる健康障害の総称である。重症度によってⅠ~Ⅲ度に分類される。初期症状のⅠ度熱中症ではめまい、立ちくらみ、唇のしびれ、失神などの症状が起こり、かつては熱失神、熱けいれんと呼ばれていた。暑さや高温で皮膚の血管が拡張し、血圧が低下することで、脳への血流が減少して引き起こされる。

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汗腺細胞隊長「ナトリウムをありったけ集めろ!浸透圧を利用して、水分を汲み上げるんだ!」

白血球のレセプターが反応した。近くに細菌がいるらしい。
セレウス菌「この程度の熱で、うろたえるとは。きさまらにはもったいない、この世界、このセレウス菌がもらい受ける」
追う白血球。逃げるセレウス菌。セレウス菌は、土、水中など自然環境中に広く分布している土壌細菌の一つで、下痢型、嘔吐型のニ種類の食中毒を引き起こすことがある。
セレウス菌「この世界は、もうすぐ終わる。それまで隠れさせてもらうぜ」
応援を呼ぶ白血球。薄暗い中、赤血球たちを隠れみのに逃亡するセレウス菌。それを追跡していた白血球だが、あまりの暑さに、とうとう倒れてしまう。
白血球を見送った赤血球と血小板は、座り込んでいた。
血小板「おねえちゃん、暑いよう」
赤血球「大丈夫、白血球さんたちが、きっとなんとかしてくれるはず」

体温調節機能を取り戻そうと奮闘しているのは、汗腺細胞たちだ。
汗腺細胞隊長「ナトリウムをありったけ集めろ!浸透圧を利用して、水分を汲み上げるんだ!」
汗腺細胞「ダメです!ナトリウムも発汗で、ほとんど流出しました!」
汗腺細胞隊長「もはや組織の力では、どうにもできん。このままでは、脱水症になってしまう」
脱水症とは、体の中にある体液が失われて日常活動や生命維持活動に障害が生じた状態のことだ。この状態になると、栄養素や酸素の吸収、老廃物の排出、体温調節、体液循環に支障を来すことがある。

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セレウス菌(上)は、白血球(下)を崖から落とした

白血球は、セレウス菌から激しい攻撃を受けていた。息を切らす白血球を、セレウス菌が崖に追いつめる。
セレウス菌「見ろよ。体温調節システムが、完全に役立たなくなっちまったぜ。この世界、もう終わりだな。このくらいの熱、オレにはどうってことない」
発育の段階で芽胞と呼ばれる熱に強い殻を作り、100℃30分の過熱にも耐えることができるセレウス菌。熱中症になると蔓延するというわけではない。セレウス菌は、白血球を崖から落とした。
セレウス菌「残念だったなあ、みんなの命を守れなくて、あばよ。さてと、手始めに脳のあたりに行ってみるかな。オレの力を誇示するために」
しかし、白血球は崖肌にしがみついていた。ふたたび猛攻撃するセレウス菌、歯を食いしばって耐える白血球。
白血球「この身体に、絶対危害は加えさせないからな!」
セレウス菌「受け入れろよ、現実を!発汗だの血流増加など、いろいろやってみたみたいだがな。この身体の体温調節システムは敗北したんだ、外気温にな!もうこの身体は終わるんだよ」
白血球「なんとでも言え。体温調節システムが敗北しようと、無意味な努力になろうと、この身体はまだ生きている。オレが仕事を投げ出す理由には、ならん!」
だが白血球は、崖肌からも突き落とされてしまう。歓喜するセレウス菌。
セレウス菌「これで分裂を繰り返し、細胞どもが高体温でパニックを起こしている隙に、この身体を乗っ取る。そうすれば、ここは全部オレの国だあ!笑いが止まんねえ、ハハハハハハハ!邪魔するヤツは、もういないぞ!」

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筒から、大量の液体が溢れ出た

突如、空から光が射し込んだ。体表の温度が、急速に下がりはじめる。そして、光の中から、筒状の物体が出現した。輸液注射だ。静脈内に投与される注射剤である。主として水分補給、電解質補正、栄養補給、などの目的で投与される。筒から、大量の液体が溢れ出た。

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セレウス菌(手前)の背後に、崖から落ちた白血球(奥)が現われる

水浴びを楽しむ赤血球たちの様子を信じられない面持ちで見るセレウス菌の背後に、崖から落ちた白血球が現われる。
白血球「死ね、雑菌が」
天からの奇跡の雨により、なんとか熱中症の危機は回避された。この世界に何が起こったのか、細胞たちは知るよしもなかった。水分と冷却で、身体は回復に向かっていた。

「はたらく細胞」第11話『熱中症』の感想・考察

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