はたらく細胞(第9話『胸腺細胞』)のあらすじと感想・考察まとめ

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「キラーT君、もうちょっとクールにやれないの?」「こっちも仕事なんでね。アンタの司令に合わせて、キチッと攻撃できるように鍛えなきゃならんのですよ」と、ヘルパーT細胞とキラーT細胞が口喧嘩をしていた。その上司と部下ではない様子に、困惑するナイーブT細胞たち。「彼らはね、胸腺学校時代の同期だったんだよ」と樹状細胞は一枚の写真を取り出すと、ナイーブT細胞たちに昔話をはじめた。
今回は「はたらく細胞」第9話『胸腺細胞』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「はたらく細胞」第9話『胸腺細胞』のあらすじ・ストーリー

静かな図書館のような樹状細胞の室内で、ヘルパーT細胞が優雅にお茶を楽しんでいた時、それは聞こえた。
キラーT細胞「てめえらT細胞が、免疫系の最終兵器だっつう自覚はあんのか!」
騒音を気にした樹状細胞が窓を閉める。キラーT細胞が、ナイーブT細胞(未熟なT細胞)の訓練をしているのだ。
ヘルパーT細胞「こんなところまで怒鳴り声が聞こえてくるよ。せっかくのティータイムが台なしだよね。制御性Tさん」
制御性T細胞「今はティータイムではなく、仕事中ですが」
ヘルパーT細胞は、外敵侵入の知らせを受け、戦略を決める司令官で、キラーT細胞に出動命令を出す。制御性T細胞は、T細胞の暴走を抑え、免疫異常を起こさないよう調整する。

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お茶を楽しむヘルパーT細胞(中央)と仕事中の制御性T細胞(中央奥)

窓ガラスを破って飛び込んできたナイーブT細胞が、ヘルパーT細胞を直撃した。キラーT細胞が勢いよく投げすぎたのだ。
ヘルパーT細胞「キラーT君、もうちょっとクールにやれないの?」
キラーT細胞「こっちも仕事なんでね。アンタの司令に合わせて、キチッと攻撃できるように鍛えなきゃならんのですよ」
口喧嘩する上官たち。その上司と部下ではない様子に、困惑するナイーブT細胞たち。
樹状細胞「彼らはね、胸腺学校時代の同期だったんだよ」
写真を取り出す樹状細胞。そこには、やる気に満ちた若いヘルパーT細胞と、泣きべそをかいた若いキラーT細胞が写っていた。樹状細胞は、昔話をはじめた。

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若いキラーT細胞(左)と若いヘルパーT細胞(右)

胸腺上皮細胞「この胸腺は、使える奴と使えない奴を選別するための組織だ。今日からたっぷりと鍛えてやるから、覚悟しておけ!」
胸腺は、T細胞のもとになる細胞(前駆細胞)を立派なT細胞に分化・成熟させるためのリンパ器官である。胸腺上皮細胞は、胸腺を形成する上皮細胞で、リンパ球を哺育しT細胞の分化を助けているのだ。
リンパ球たちのテストがスタートした。外敵である抗原に反応できるかどうかのテストだ。森の中、人型のパネルが現われるので、抗原だと思う方を攻撃するのだ。間違えて一般細胞を攻撃した者、ゴールまで一度も抗原を攻撃できなかった者は脱落となる。
抗原パネルを見つけた若いキラーT細胞が攻撃しようとした時、彼を乗り越えて、若いヘルパーT細胞が、そのパネルを攻撃する。
若いキラーT細胞「そのパネルは僕が先に……。人の頭を踏みつけるなんて」
若いヘルパーT細胞「悪かったね。踏み台にさせてもらったよ」
怒って掴みかかろうとした若いキラーT細胞を、若いヘルパーT細胞は、いとも簡単にねじふせる。宿舎の部屋で、お互いの顔を見た二人。
若いヘルパーT細胞「まさか、一緒の部屋になるとはね。部屋割りは、能力別じゃないってことか」
若いキラーT細胞「どういう意味だよ」
若い制御性T細胞「暇そうね、お二人さん」
若いヘルパーT細胞「なんなんだよ、君は」
若い制御性T細胞「ただ通りかかっただけ。わざわざ問題おこして、脱落したがってるのかと思って」
それからも訓練は続いた。彼らはなんとか耐え抜いて、脱落を免れていた。格闘訓練で若いキラーT細胞が殴られている間、若いヘルパーT細胞はお茶を飲みながら、それを眺めている。
若いキラーT細胞「俺が体張ってる時に、お茶ばかり飲みやがって」
夜、若いヘルパーT細胞は宿舎を抜け出すと、森へ向かった。どうやら毎晩のことのようだ。
森の中を歩いていると、そばで威勢のいい声がした。木陰から覗くと、若いキラーT細胞がひとりで特訓していた。
若いヘルパーT細胞「(あいつ、訓練の疲れでヘロヘロなのに)」
若いキラーT細胞「体内最強奥義、抗原大撲殺木端微塵拳!」
その場を離れた若いヘルパーT細胞は、シャドーボクシングをはじめる。
建物のベランダから、彼らの様子を観察していた若い制御性T細胞の隣に、樹状細胞がやってくる。
樹状細胞「あの二人、生き残ってくれるといいね」

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テストを受けるリンパ球たちと胸腺上皮細胞(右)

ある日、胸腺上皮細胞が言った。
胸腺上皮細胞「これからお前たちには、正の選択テストを受けてもらう」
胸腺では有用なT細胞を選択して生存させる“正の選択”と、自己を攻撃する有害なT細胞を排除する“負の選択”が行なわれている。これにより、自分の身体と病原体などの異物を厳密に識別することのできるリンパ球が選別される。最終的にT細胞になれるのは、わずか数パーセントといわれている。
ルールは、いつもと同じ。外敵である抗原に反応できるかどうか。人型のパネルが現われるので、抗原だと思う方を攻撃するのだ。
無事、テストをクリアした若いヘルパーT細胞は、待機していた若いキラーT細胞に助言する。
若いヘルパーT細胞「攻撃する時、無意識に目をつぶるクセがある。標的を攻撃する時は、最後まで目をそらすな」
いよいよ若いキラーT細胞の番となった。パネルを攻撃する寸前、さっきの助言を思い出し目を開く。するとそれは、抗原ではなく一般細胞パネルだった。
胸腺上皮細胞「残り時間は、あとわずかだ。最後まで気を抜くな」
仲間からの声援は聞こえるが、緊張と視界の悪さで、若いキラーT細胞は混乱し、背後の抗原パネルに気づかない。
その時、若いヘルパーT細胞が若いキラーT細胞に向かって叫んだ。
若いヘルパーT細胞「体内最強奥義、抗原大撲殺木端微塵拳だ!」
若いキラーT細胞「なんで知ってんだ!」
若いヘルパーT細胞のおかげで、抗原パネルの攻撃に成功した若いキラーT細胞は、テストに合格する。

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若いキラーT細胞が目を開くと、目の前に一般細胞パネルが。

若いヘルパーT細胞「よかったじゃないか、合格できてさ」
若いキラーT細胞「まぐれだ。俺、正直自信ない。これからT細胞として、やっていけるのか。お前はいいよな。キラーのみならず、ヘルパーにも制御性にもなれるって、いわれたんだろ」
若いヘルパーT細胞「だったら今からでも脱落届出してこいよ。君のそういうくだらない感傷にいちいち付き合ってくれるほど、仕事人の世界は甘くないぞ」
若いキラーT細胞「くだらないだと…お前みたいな天才に…俺の気持ちがわかってたまるか!」
殴りかかった若いキラーT細胞に、若いヘルパーT細はカウンターパンチを入れる。
若いヘルパーT細胞「自分の弱さと向き合ったんなら…いい加減覚悟を決めろ!ムダに見える努力でも…ひとりコツコツ続けるのがお前の取柄だろう」
若いキラーT細胞「わかった。もう弱音は吐かない。俺は強くなる」
若いヘルパーT細胞「俺もこれから俺が何を目指すべきか、わかったよ。お前みたいな要領の悪い奴らには、司令を送ってやる奴が必要みたいだ」
若いキラーT細胞「お前、司令官になるならもうちょっと肩の力抜けよ。下の奴らがビビっちまうぜ」
若いヘルパーT細胞「そんなこと君にいわれるまでもなく分かってるさ。やってみせるよ。僕だって」
若い制御性T細胞が二人を見守り、樹状細胞が微笑んだ。

樹状細胞の話は終わった。ナイーブT細胞たちが、上官たちの方を向く。
ヘルパーT細胞「さっきから、何見てるの君たち」
キラーT細胞「おい、何の写真……」
ナイーブT細胞たちが見ていたのは、自分たちの写真だとわかり、それを奪おうとするヘルパーT細胞とキラーT細胞。逃げる樹状細胞。そんな中、制御性T細胞は思った『あの二人、あの頃から何も変わってない』

「はたらく細胞」第9話『胸腺細胞』の感想・考察

「はたらく細胞」アニメ全話のネタバレ解説まとめ

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