偽物語の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

「偽物語」は、西尾維新による小説「物語」シリーズの第三弾、及びそれを題材としたアニメ作品。
第一弾「化物語」の続編であり、主人公「阿良々木暦」の夏休みを描いたもの。
二人の妹「火憐」と「月火」が「怪異」と呼ばれる怪奇現象に巻き込まれ、それを暦が解決する、という形式で、妹達それぞれをメインとした二部構成となっている。偽物、本物、正義、といった奥深いテーマで展開される本作には、様々な名言が存在する。

この世は金が全てだ。俺は金のためなら死ねる。

町に「おまじない」を流行させた張本人である貝木が、その件に関して糾弾する暦に向けて放ったセリフである。
一種の呪いである「おまじない」を流行させたのは、その「おまじない」の手段を教えるにあたる金銭取引と、その「おまじない」を解いてほしいとする被害者からの金銭取引が目的だった。
どこまでも金目当てで、いっそ信念と言えるほど清々しいものがある。その信念じみた金への執着や、一見正当性があるように見える奥深い詭弁も多く、悪役でありながらその人気は高い。そんな貝木の言動やキャラクターを表す、代表たる名言が上記のセリフである。

正義の味方は。正義以外の味方を決してせず。そして正義以外の敵だ。そこには偽るべき要素は何もない。つまるところ、正義とは。全員に対する裏切り者――なのだ。

正義の味方として貝木のもとへ向かおうとする火憐だが、暦はその行動を咎め、制止しようとする。「正義」について自分の主張をぶつけ、火憐と争っているときの暦のモノローグの一文である。
本作には、このように正義について言及する、正義の本質を捉えた名言だけでも複数存在している。

僕は決め顔でそう言った。

暦はある日、不死身の怪異の専門家と名乗る人物と出会う。その影縫という専門家は、斧乃木と名付けられた怪異の童女を従者として連れていた。その斧乃木がセリフの語尾につける口癖である。
決め顔以前に無表情を一切崩さない斧乃木であり、さらに次巻以降では「あれは僕の黒歴史」と言って斧乃木自身が封印した「偽物語」内限定の口癖なのだが、斧乃木の代名詞的名言として世間で浸透している。

月火ちゃん。阿良々木月火は生まれたときから――ずっと僕の妹だったんだ。僕の妹で、火憐ちゃんの妹だった。そうじゃなかったときはひと時もない

影縫たちが何故暦の町に来たのかというと、不死身の怪異の専門家という肩書の通り、不死身の怪異を退治しに来ていた。そして、暦の妹である月火こそ、その不死身の怪異そのものだという。
不死鳥の怪異は、生まれる前から母のお腹の中にいる赤子を殺して成り代わり、不死鳥本人さえ無自覚のままにその成り代わった人間として人生を歩んでいく怪異である。それが月火の正体だった。
いくら本人が無自覚であり、今後も自覚することもなく、周囲への害も無いと言っても、それでも怪異である。不死鳥の怪異であるため怪我の治りが早いどころか、殺しても死なない体を持ち、やはり人間とは致命的に違うモノである。
それを聞かされて暦は、月火に向けて上記のセリフを放った。生まれた時から一緒に育ってきた月火という怪異を、妹として変わらず愛すると決意したのだった。

おどれがどんな価値観持とうと、どんな正義感持とうと勝手やけれど――そんな理想を他人に押し付けんなや。

月火本人にとっても、自分や周囲が正体を知る前に退治してあげた方が結果的に幸せなのかもしれない。さらに言えば、そんな月火を抱える家族全員にとっても、「化物を傍に置く」というリスクを伴う。だとすれば、これからも人間として妹として変わらず接し続けたいという兄の気持ちなど、わがままでしかない。
影縫を止めようと暦が立ち塞がるが、影縫も悪意で月火を退治しようとしているわけではなく、立ち塞がる暦に向けて「ただのわがままだ」と言い放つような上記の厳しいセリフを発した。
確かに何一つ間違ったことは言っていないが、暦の心情を思えばおいそれと肯定もできず、それだけに「正義とは?」と考えさせられる。理想だけでなく現実も見て、強さも自分の意志も携えた、正義の味方の言葉である。

他人じゃありません。家族です。

前述の影縫の厳しい言葉に、暦はそう返した。
他人に理想を押し付けるものではない。しかし、家族には理想くらい押し付けようと思う。それが家族というものだと、主張する。
月火自身がそんな秘密を抱えてこれからどうなるのか、どう思うのかも分からないし、家族全員に対しても暦はこれから嘘をつき続け、月火という存在を抱え込ませることになる。しかしそれでも、家族にそれを全て押し付けようという暦の決断である。

影縫さん――正義の味方さん。偽者であることが悪だというのなら、その悪は僕が背負います。偽ることが悪いことなら、僕は悪い奴でいいんです。

影縫のような人間こそが正義の味方であり、暦の主義主張はただのわがままでしかないのかもしれない。家族や月火本人への迷惑やその他の影響なんかよりもわがままを優先し、専門家である影縫を押しのけて一人の怪異を救おうとしているその善意は、偽善でしかないのかもしれない。しかし、月火への愛が偽善であるというのなら、自分は喜んで偽善者を名乗ろうと暦は思う。
偽善者でも最低の人間でもいいから、月火に「お兄ちゃん」と呼ばれる、たったそれだけのことを守りたいのだと、相手がどれほど正義であろうとどうしても譲れない愛情が分かる。前述の名言に続けて、正義の味方に向かって暦が放った堂々たる名言である。

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