メッセージ(Arrival)のネタバレ解説まとめ

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『メッセージ』とは、本作後に「ブレードランナー2049」を撮るドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によるSFムービー。
突如地球上に現れた巨大な宇宙船。飛来した目的を探ろうと、船内の異星人とコミュニケーションをとるため軍に依頼された女性言語学者が、彼らと接触するうちに未来を見ることが出来るようになり、自分の人生を見つめ直していくシリアスタッチの知的なドラマ。2016年製作のアメリカ作品。

『メッセージ』の概要

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海外版ポスター

『メッセージ』とは、突如地球の各地に飛来した巨大な宇宙船の異星人と意思疎通を図り、彼らの目的を探ろうと女性言語学者が理論物理学者と共に彼らに接触しコミュニケーションをとろうとする、2016年製作のアメリカ映画。
第89回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞・撮影賞など8部門にノミネートされ、音響編集賞を受賞している。
原作は、1999年にネビュラ賞中編小説部門で受賞したテッド・チャンのSF小説「あなたの人生の物語(Story of Your Life)」。
監督は、アカデミー外国語映画賞にノミネートされたカナダ映画「灼熱の魂」(10)で注目を浴び、「プリズナーズ」(13)「ボーダーライン」(15)などアメリカ映画界に進出したカナダ出身のドゥニ・ヴィルヌーヴ。彼にとって初めてのSF映画がこの『メッセージ』だ。
出演は、「魔法にかけられて」(07)や「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」(16)「ジャスティス・リーグ」(17)でロイス・レインを演じたエイミー・アダムス、「アベンジャーズ」シリーズ(12~16)のホークアイや「ボーン・レガシー」(12)で知られるジェレミー・レナー、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」(16)「ブラックパンサー」(18)に出ているフォレスト・ウィテカー、「ドクター・ストレンジ」(17)「シェイプ・オブ・ウォーター」(17)に出演したマイケル・スタールバーグ。
音楽は、ヴィルヌーヴ監督の「プリズナーズ」「ボーダーライン」も担当したアイスランド出身のヨハン・ヨハンソン。

『メッセージ』のあらすじ・ストーリー

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言語学者ルイーズに、異星人と会話した声を聞かせ、彼らの言葉の翻訳を依頼するウェバー大佐。

モンタナ州で暮らす独身の言語学者ルイーズ・バンクスが大学での講義のために教室に入ると、いつもと違って生徒は数人しかいなかった。
ルイーズが、こんなこともあるだろうとポルトガル語の講義を始めようとすると、スマホの画面を見ていた一人の女生徒が「バンクス先生、テレビのニュースをつけてもらえませんか」と突然言った。
ルイーズがいぶかしながらも壁に設置されたテレビをつけると、謎の巨大な物体がモンタナ州の草原に突如出現しアメリカ軍が向かったこと、そしてそれとよく似た物体が世界各地に出現していることを伝えていた。
ニュースの最中、大学構内にサイレンベルが鳴り響き、すべての教室の講義が中止となり生徒や教授たちは帰宅を促された。
慌ただしい雰囲気に包まれる中、ルイーズも自分の車に乗り込み、ニュースの続報を聞きながら家路に向かった。
自宅に戻ると、ルイーズの母から彼女を心配する電話があったが「私は大丈夫。心配しないで」と答え、テレビをつけてニュースの続きを見た。
ニュースキャスターは、「世界各地に出現した物体は12確認されており、その物体は高さ約450メートル。場所の選び方や生命体の存在は不明。仮にこの物体が宇宙船だとしても無人の可能性があります。政府はあらゆる状況に対応できるよう準備をしています」と言った。
翌朝、ルイーズは大学に行くが、生徒や教授は誰も来ていなかった。
彼女が自分の職員部屋でパソコンでニュースを見ると、謎の物体が出現して2日目となり、非常事態宣言が政府によって発令されて5,000人の州兵がモンタナ州に派遣されたことを伝えていた。
その時、彼女の部屋にアメリカ軍のウェバー大佐が現れた。
ルイーズが2年前に軍の諜報機関の依頼でペルシャ語を翻訳したことがあり、そのときの功績が買われたようで、ウェバーはポケットからミニ録音機を取り出し、「聞いてほしい」と音声を流した。
それは、「なぜここへ来た?英語が分かるか?何者だ?」という異星人らしきものへの問いかけと、それに対する意味不明の雑音のような声だった。
ルイーズは、それが謎の巨大な物体が宇宙船で、中にいた異星人への問いかけだと直感で分かった。
ウェバーは「彼らの声を訳して欲しい」とルイーズに頼んだが、彼女は「録音を聞くだけじゃ解読できない。直接彼らと話さないと。未知の原語だから」と答えた。
それを聞いたウェバーは「ペルシャ語の時はそんなことはしなかった」と言い、彼女が単に好奇心で異星人を見たがっていると思って「現場には連れて行かない。観光地じゃないんだ」と冷たく言い放つと部屋から立ち去り、次の候補であるバークレーのダンヴァース教授のところに向かった。

夜、眠りに落ちていたルイーズはヘリコブターの轟音で目を覚ました。
何事かと玄関のドアを開けると、ウェバーが立っていた。彼はルイーズに「荷造りしろ」と言った。どうもダンヴァース教授では荷が重かったらしく、ウェバーがルイーズの要求を受け入れ現場に連れて行くことにしたようだ。
ルイーズは慌てて出発の準備をするとヘリコブターに乗り込んだ。機内には理論物理学者のイアン・ドネリーが乗っていた。
ウェバーの考えで、ルイーズとイアンがコンビを組んで異星人との接触を試みることになったようだ。

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ルイーズ達は、異星人とコンタクトをとるために強大な宇宙船に向かう。

現地に着き、ルイーズは初めて宇宙船を目の当たりにした。それは巨大な黒い米粒が立っているような形で、地上から数メートルの高さに浮かんでいた。
宇宙船の近くには軍のキャンプ地が設けられ、多くの兵士達が宇宙船を監視していた。
キャンプ地のテントに入ったルイーズとイアンは血液検査と予防接種を受けると、モニター画面が並んだ場所に連れて行かれた。
そこは、アメリカ以外の宇宙船が現れた国の出現地域とライン回線で繋がっており、モニター画面を通して情報交換をしている部屋だった。
ルイーズ達は、そこを取り仕切っているCIAのデヴィッド・ハルペーンをウェバーから紹介された。

ルイーズとイアンは防護服を身に着けると、ウェバーや若いマークス大尉らと共に宇宙船に車で向かった。
宇宙船の下の部分に18時間ごとに開く扉があり、開いたら中に入るとウェバーから教えられ、真下に着くとリフトに乗った。
リフトが上がり、イアンが物体の外壁に指先を這わせていると、ウェバーの言った通り四角い形の扉が開いた。
リフトが上昇して宇宙船の内部に入ると、兵士達が飛び上がり左右の壁に降りて立った。船内の四角く長い通路は途中から重力が90度変わり、立つことが出来るのだ。
恐る恐るルイーズも兵士の助けを借りて何とか壁に降り立ち、イアンやウェバーと共に白い光を放つ奥の方へと向かった。
奥は薄暗くだだっ広い空間で、目の前が一面横長の透明版のようなもので仕切られていた。「何が起こるの?」と不安げにルイーズがウェバーに聞くと、「彼らが来る」と答えた。
やがて、透明版の向こう側に霧のようなものが立ち込め、2体のタコのような形をした大きな異星人が奇妙な声を発しながら現れた。
ルイーズやイアンは、初めて目にした異星人に驚いて立ち尽くすばかりで何もできなかった。

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宇宙船に初めて乗り込み、透明版の向こうに現れた異星人を目にするルイーズとイアン。

1回目の異星人とのセッションが終わり、キャンプに戻ったルイーズは、何もできなかったこと気落ちし「成果は出せなかったけど、私はクビ?」とウェバーに問いかけると、彼は「前任者よりはましだ。研究を進めろ。また行く」と答えた。
ルイーズは、録音された異星人の声を何度も聞き、解読するとっかかりがないか探ろうとした。
その頃、世間では宇宙船が現れたことによって不安に陥り、暴力行為や夜間の強盗が頻発し、ついには夜間外出禁止令が出されるまでになっていた。

2回目の異星人とのセッションに向かうとき、ルイーズは防護服に着替える部屋にあった白いボードを目にとめた。ひょっとしたら文字による視覚言語でなら、意思疎通が図れるかもしれないと考えたのだ。
ルイーズが手に持ったボードを目にしたウェバーは「それをどうするんだ」と疑わしげだったが、彼女が「視覚言語なら、意図を伝えられるかも知れない」と答えると「やってみよう」と彼女の提案を受け入れた。
宇宙船内に入ると、ルイーズはボードに「HUMAN(人間)」と書き、透明版に近づいて異星人達に見せた。そして、異星人に向かって「私は人間」と言いながらボードを指し示したが、何の反応もなかった。
だが、しばらくすると右側の異星人が透明版に近づき、一本の足先のヒトデに似た手から墨のようなものを出し、透明版に円形の形を描いた。それは初めての異星人の反応だった。
喜んだルイーズは、自分を指さしながら何度も「人間、人間」と言うと、異星人はそれに応じるように透明版に最初のとは違う円形を続いて描いた。

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墨のようなものを出し円形を描く異星人。

2回目のミッションが終えてキャンプに戻ると、ウェバーは異星人とのコンタクトが一歩進んだことは認めたが、「この方向性でいいのか?読み書きから教えるなんて時間がかかる」と文句を言いだした。それに対しルイーズは「いいえ、急がば回れよ」と返した。ウェバーは早く結果が欲しく、時間をかけて読み書きから始めることに少し苛立ってしまったのだ。ルイーズは、「異星人と対話を始めるには互いの言葉の意味を理解しあうことが大事」と言い、ウェバーを説き伏せた。ただ、異星人に見せる単語のリストは、ウェバーが許可したものに限られた。リストにルイーズとイアンの名前も入っているのを見てウェバーはいぶかった。名前を教えるなんて無意味だと思ったのだ。でも「相手に自分達の名前を教えれば先に進みやすいから」とルイーズが言うと納得した。

そして3回目のミッションが始まった。
ルイーズは、最初にボードに自分の名前「LOUISE(ルイーズ)」と書いて異星人に見せた。異星人は、2回目の時と同じように手から墨を出し円形を描いたが、円の途切れた部分の先が撥ねていたり円の周囲の起伏もどこかおかしく、前回と違って見えた。
言葉が異星人にうまく伝わらなかったのではと思ったルイーズは、しばし考えた後、「顔を見せなきゃ」と思い切って防護服のヘルメットを脱ぎ顔を出した。同行していたイアンは驚いて彼女に走り寄ろうとしたが「平気よ」とルイーズは言い、防護服を脱いで透明版に近づいた。
同行していたマークス大尉は、慌ててキャンプにいるウェバーに「中止しますか」と伺いを立てたが、このまま様子を見ると返答され静観することにした。
ルイーズが透明版に右手を当てると、異星人も近寄り透明版に手のひらを押し当てた。ルイーズは異星人とやっと挨拶が出来たと思った。
ルイーズがイアンに「あなたも」と言うと、彼も防護服を脱いで透明版に近づき、自分の名前を書いたボードを異星人に見せた。
ルイーズが「あなた達は誰?」と異星人に問いかけると、2体の異星人は同時に足先から墨を出し並んで円を描いた。
それが異星人それぞれの名前らしいとルイーズは察し「彼らにも名前があるのね」と呟いた。イアンが「どう呼ぶ?」と彼女に聞いたが、返事は「分からない」だった。「アボットとコステロはどうだい」とイアンが思いついた名前を言うと、ルイーズは「いいわね。気に入った」と答え、それから二人は異星人をその名前で呼ぶことにした。

キャンプに戻ると、ルイーズとイアンは宇宙船内で防護服を脱いだために血液検査をされた。だが異常は認められなかった。
医師から検査結果を聞いたウェバーは、「多少のリスクはあるが、ルイーズ達に防護服なしでの異星人とのコンタクトを続ける」と決めた。
ルイーズは、テントの研究施設の中で異星人の描いた円形の数々を並べ、起伏の形を比較検討しながら彼らの言葉の意味を探ろうとした。
その時、彼女の脳裏に突然、幼い少女が野原や小川で戯れているイメージが浮かんだ。なぜそんなイメージが浮かんだのか彼女には分からなかった。

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異星人が描いた円形の数々から、起伏の形の意味を分析するルイーズのチームメンバー達。

イアンやルイーズ達は、異星人を”ヘプタポッド”と名づけることにした。ギリシャ語でヘプタは“7”、ポッドは“足”を意味し、異星人の足が7本だったことからそう決めたのだ。
イアンや彼の研究班は宇宙船の一部を持ち帰って科学的構造を調べたが不明に終わった。ただ、廃棄物やガス、放射線などは出しておらず、周囲の環境に影響を及ぼしていないことが判明した。
異星人とのセッションを続ける中でルイーズの研究チームは、異星人の話す音(声)と書く文字(円形の図柄)に関連がないことを突き止めた。
異星人の文字は“表意文字”(意味を形や絵に置き換えて表した文字の集まり)で、原語の発音を表したものではないのだ。人間は、文字とその文字の発音が同じであるが、異星人は違っていた。
また、文字の解読に協力したパキスタンチームにより、異星人の文字には、時制(現在・過去・未来という時系列の概念)がないことも分かった。
ヘプタポッドは、2秒で複雑な文章(円形の図柄)を描くことが出来るが、それを解読するのにルイーズのチームは何日もかかった。
ウェバーが求める異星人が地球に飛来した目的を彼らから聞き出すためには、まだもう少し時間がかかるようだったが、ルイーズとイアンは熱心に仕事を続け、互いに励まし合い親しくなっていった。

ある日、ヘプタポッドの画像が流出してしまった。それは拡散されて世界各地で波紋を呼び、「地球が侵略されるかもしれないのに政府は呑気に構えている。今こそ軍事力を見せつけて警告するべきだ」とネットで煽る者が出てきたり、政府への批判デモが起こり、宇宙船やヘプタポッドへの風当たりが強くなってきた。
キャンプ地にいるマークスは、宇宙船への警告や攻撃を煽る動画サイトを目にし、自分はどんな行動をとったらいいんだろうかと考えた。

ルイーズがヘプタポッドの文字を解読に疲れて一休みをとった時、また彼女の脳裏に少女の姿が現れた。
脳裏に浮かんだイメージにはルイーズの姿もあった。最初の時より少し成長し小学生になった少女は、学校の授業で描いた絵をルイーズに見せ「動物と話すママとパパを描いたの」と言った。イメージのなかでルイーズは困惑気味に、「ねえハンナ、パパとママは別れたけど、ママもパパもあなたを愛している」と彼女に話しかけていた。
ルイーズは、最初に彼女の脳裏に現れた幼い少女は誰なのか分からなかったが、少女の名前が「ハンナ」であり、どうやら少女が自分の娘らしいと感じた。でもそれは脳内のイメージのなかだけの出来事なのか、予知夢と呼べるようなものなのか、彼女には分からなかった。
イアンの呼びかける声でふと我に返った。
「大丈夫か」とイアンは心配したが、ルイーズは「外の空気を吸ってくるわ」と一人でテントから出た。
草原を歩いていたら、また10代後半になった少女ハンナが病院のベッドに横たわっているイメージが脳裏に現れた。
母であるルイーズはハンナに添い寝し、腕をまわして彼女をそっと抱いた。その時、急にヘプタポッドが霧の中から現れた。
どうしてそんなイメージが浮かぶのかルイーズは分からなかったが、睡眠不足と疲労のせいかもしれないと考えた。
ルイーズがテントに戻ったとき、イアンが「気分は良くなったか」と声をかけたが、あまり彼に心配をかけまいとして「大丈夫よ」と答えた。
イアンはルイーズに「ある論文で読んだけど、外国語を学ぶと考え方が変わるというのがある。思考は話す言語で形成され、物の見方にも影響してくる。どう思う」と話し出した。
ルイーズは「サピア・ウォーフの仮説ね。そういうことはあると思う」と答えた。さらにイアンが「君は、外国の言語で夢を見ることはあるのか」と聞くと「何度か見たことはある」と返事した。

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ルイーズの脳裏に浮かんだ、病に伏した娘のハンナに寄り添うイメージ。

ルイーズが疲れをとるために仮眠をとろうと横になっていた時、ウェバーに起こされた。
ウェバーは「中国人民解放軍のシャン上将の会話を訳して欲しい」と言い、ルイーズに録音した会話を聞かせた。会話に出てくる単語の端々から中国は麻雀パイを使って異星人とコミュニケーションをとろうとしているとルイーズは推測したが、詳しい内容までは分からなかった。
1時間前に中国が軍を招集したのが分かり、武力という切り札を異星人に対して出そうとしているのではと危うんだウェバーが、会話の内容を知りたくてルイーズに訳させたのだ。
ウェバーは「こうなれば準備不足でも、異星人の目的を質問するしかない」と言い、仕方なくルイーズとイアンもそれに従った。
ルイーズは、それまでに分析した文字でヘプタポッドに「地球に来た目的は?」と質問した。すると帰ってきた言葉は「武器を提供」だった。
ヘプタポッドの返事に「武器」という言葉が出たことでキャンプ地にいた人間達は動揺した。中には地球への攻撃を意味しているのかも知れないと考える兵も出てきた。ルイーズとイアンは「武器と道具の違いをヘプタポッドは分かっていないのかもしれない。また提供して欲しいという意味かも知れない」と言い、ヘプタポッドの意図をはっきりと確認するには今すぐにもう一度彼らとセッションする必要があるとウェバーに訴えた。
その直後、中国とロシアがライン回線を切った。異星人達の目的がおそらく地球攻撃だろうと決め付け、互いの国が情報交換して協力する必要がなくなったと判断したからだ。をより時刻が迎撃態勢の準備を始めることにしたからだ。アメリカも大統領の命令で各国との回線を切った。ルイーズは「何で切るのよ。今こそ協力しあわなきゃいけないのに」と叫んだが無駄だった。
CIAのデヴィッドは「地球を支配するために人類を対立させて戦わせる気かもな」と不穏なことを言った。

同じ頃、キャンプ地の兵士達に待機命令が出たが、マークスは命令を無視し勝手に宇宙船に近づき、仲間と共に船内に入ると時限爆弾をセットした。
彼はヘプタポッドを人類の敵と見なし、亡き者にしようと図ったのだ。
マークス達がテントに戻ろうとした時、ルイーズとイアンがやって来て、ヘプタポッドとセッションをすると言い出した。マークスは拒否したが、5分だけでいいと言われ仕方なく承諾した。
マークスは同行せず、ルイーズとイアンの二人だけで船内に入った。
ルイーズがパソコン画面を使ってヘプタポッドの言葉で「地球に来た目的は何?」と問いかけると、左側のヘプタポッドが透明版をコツコツと叩き直接書けと指示して手を広げた。
そんなことが自分に出来るのかルイーズは分からなかったが、透明版に近づきヘプタポッドの手に合わせるように自分の手を当てた。
それと同時に、生まれたばかりの赤ん坊のハンナを抱く自分の姿がルイーズの脳裏に浮かんだ。
すると、ヘプタポッドの手先から出た墨がルイーズの手先にも移り、知らぬ間に彼女はヘプタポッドの言葉を描いていた。
その時、急に右側のヘプタポッド(コステロ)が時限爆弾に気付いたのか、慌てるような鋭い動きをした。そして墨を出したが、それは幾つもの小さな円形が透明版一面を覆う、今まで目にしたことがないものだった。
突然、宇宙船の外部で銃撃戦らしきものが始まったのでルイーズとイアンが驚くが、すぐさまヘプタポッドが透明版を強く叩いた。その衝撃で二人は後ろの方へ吹き飛ばされた。
同時にマークスが仕掛けた時限爆弾が爆発したが、通路の扉が閉まり、二人は軽い脳震盪を越しただけで爆破の直撃から逃れた。ヘプタポッドが二人を助けてくれたのだ。
銃撃戦は、爆弾を仕掛けたマークス達と警備兵達とのものだった。

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ヘプタポッドによって、時限爆弾の爆発から逃れることが出来たルイーズとイアン

気絶していたルイーズは目が覚めると、イアンとウェバー達がヘプタポッドが最後に出した無数の円形の文字を解読しようとしている部屋に行った。
政府は、兵士の暴走による爆破事件のせいでテトラポッドを怒らせてしまったのではないかとキャンプ地の撤退を命令し、兵士達はその準備に取り掛かっていた。
ルイーズは部屋に入るなりウェバーに「宇宙船に戻って、爆発は暴徒のせいで私達がやったんじゃないと説明しなきゃ」と言ったが、ウェバーは「明らかな攻撃行為を加えた。反撃される前に撤退しないと危険だ」と言い張った。
急に轟音が響いた。何事かとウェバーやルイーズがテントの外に出ると、宇宙船がゆっくりと上昇していた。だがそれは上空800メートルで止まった。「離れるつもりはないのね」とルイーズは呟いた。
その夜、CIA本部からデヴィッドに連絡が入った。「中国が宇宙船を撃ち落とす準備を始めた。事が起これば我々も巻き込まれる。我々も備えるぞ。空軍と歩兵隊は待機中だ」と彼の上司は言った。
ニュースでは、中国が宇宙船に対し宣戦布告したことが報じられ、キャスターは「中国人民解放軍のシャン上将は、24時間以内に宇宙船が撤退しなければ攻撃する。諸国も中国に続くべきだとの声明を発表した」と伝え、パキスタン、ロシア、スーダンも武装を固めていることも伝えた。

世界が一触即発の危機を迎える中、ルイーズとイアンは、ヘプタポッドの真意を知るために必死で無数の円形の文字の解読に取り組んだ。
ルイーズが円形の文字の群れをじっと見つめていた時、彼女の脳裏にまた娘ハンナと自分が会話しているイメージが現れた。
ハンナがルイーズに「ママ、両者が納得する取引のことを、難しい言い方でなんて言うの?」と聞いてきたがはっきりと答えられず、「ならパパに電話して」とハンナに言うと、彼女はがっかりして自分の部屋に戻っていく。
ルイーズはイアンに声をかけられ我に返る。イアンは数の円形文字を示しながら「この文字の群れは、どうも時間の話のようだ。時間のシンボルがあちこちに現れている。光より速く移動する方法を言っているのかもしれない」と言った。
そして、イアンは文字以外の空白部分のスペースを計算して、その隙間が計算によって0.0833だと分かった。それは分数で12分の1となる。
その分析結果から、二人は「円形の文字の群れは12分の1の情報を示していて、他の地域に飛来した宇宙船のヘプタポッドもそれぞれ情報を持っている。それらを合わせれば彼らの目的が分かる。だから他と協力しなければいけない」と推論した。
ウェバー達にそれを報告したが、デヴィッドは「12の地域で争えと言ってるのかも」と皮肉っぽく言った。ルイーズは「ほかの地域に届いたメッセージも知りたい」と訴えた。デヴィッドが「なぜ、メッセージをバラバラに渡す」と問うと、ルイーズは「人類を団結させるため」と答えた。「でも諸国にとって、アメリカにデータを渡すメリットはあるのか?」とデヴィッドが反論すると、イアンが「こちらのデータも渡す。非ゼロ和ゲーム(ノンゼロサムゲーム)だ」と言った。
ルイーズは、ハンナとの会話の中で「両者が納得する取引のことを、難しい言い方でなんて言うの?」と聞いてきた質問の答えが非ゼロ和ゲームだと気付いた。
イアンの意見をウェバーは認めたが、9の地域はライン回線を切ってしまっており、連絡のしようがない有様だった。「何か連絡方法があるはずだろう」とイアンが言うが、「中国が宇宙船への攻撃を始める前に全世界と情報を共有するのは不可能だ」とデヴィッドは答えた。宙に浮かんでいる宇宙船に入ったなら出来るかもとイアンは言いだしたが却下された。
イアンは、宇宙船同士なら連絡を取り合っているはずだから、各国に飛来した宇宙船から人間にメッセージを送れるかもしれないと思ったのだ。
その時、ルイーズはヘプタポッドの文字を自分が描いたことを思い出した。自分になら異星人の目的を各国に伝えて欲しいと頼むことが出来るかもと思い、そっとテントから外に出た。

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ルイーズが一人で宇宙船に乗り込みヘプタポッドと会話する

ルイーズが宇宙船に近づくと、宇宙船から小さな円筒形のポッドのようなものが彼女のそばに降りてきた。ルイーズは迷わず、それに乗り込んだ。
宇宙船内に入ると、一体のヘプタポッドが現れた。それはイアンが名付けたアボットとコステロのコステロの方だった。
ルイーズが「アボットは?」と聞くと、ヘプタポッドは墨を出し「アボットは死の過程」と円形の文字で返事した。ルイーズは円形の文字を描ける手段をヘプタポッドから与えられたせいもあり、パソコンなどを使わずに彼らの言葉を読み取れるようになっていた。アボットが死んでいくのは時限爆弾の爆発のせいだと思ったルイーズは「ごめんなさい」と謝った。
そして「お願い。他の地域の宇宙船にメッセージを送って」と頼むと、ヘプタポッドは「ルイーズには武器がある。武器を使え」と返した。どういうことが分からないルイーズが、それを問うとヘプタポッドは「人類を助ける」と答えた。
そして、地球に飛来した理由は「3000年後に人類の助けが要る」と伝える。「どうして未来が分かるの?」とルイーズが聞いたとき、ハンナの姿が脳裏を横切り、ヘプタポッドは「ルイーズは未来を見る」と語った。
ヘプタポッドには未来・現在・過去という概念がない、時間を超越した生命体であり、未来に起こることを認識することが出来たのだ。ヘプタポッドと接触し円形の言語を解読する中で、ルイーズも自分では気付かぬうちに、いつしか未来を認識できるようになってた。彼女の脳裏をよぎるハンナと言う名の少女と自分の姿は、ルイーズの未来の姿だったのだ。
「武器は時を開く」と意味深な言葉をルイーズに送るとヘプタポッドは彼女の前から遠ざかり、知らぬ間に彼女も地上に降りていた。

イアンやウェバーがルイーズのそばにやって来た。
イアンは心配そうにルイーズを抱きしめ、ウェバーは「ロシアとスーダンが宇宙船に宣戦布告した。我々はここからの撤退命令が出た」と彼女に告げた。
テントに戻ると、兵や職員達が慌ただしく撤退準備を始めていた。ルイーズは、パソコンの前まで一目散に行くと、もう一度ヘプタポッドの円形の文字を見直した。そしてイアンに「分かったわ。これは贈り物よ」と言った。ヘプタポッドが語った“武器”とは“言葉”のことだったのだ。
ヘプタポッドは、彼らと同じ感覚で“時”を理解でる言葉を人間に教えようとしたのだ。時間を超越した彼らの言葉を学ぶことで未来が見えるようになる。それがヘプタポッドの贈り物だった。
早速、ルイーズはそのことをウェバーに言ったが、彼は「もう遅い」と聞く耳を持たず、「5分後にヘリに乗ってくれ」と命じた。

中国による宇宙船への攻撃が迫る最中、ルイーズはヘプタポッドが言った「ルイーズには武器がある。武器を使え」という言葉の意味を考えた。
すると、ルイーズの脳内にある祝賀会でシャン上将が彼女に会いに来る映像が浮かんだ。
シャン上将はルイーズに「あなたに会えて光栄だ。あなたは1年半前に驚くべきことをした」と言った。「何でしょうか」とルイーズが聞くと「私の考えを変え、世界を一つにしたのだ。私の携帯に電話することでね」とシャン上将は言った。ルイーズは戸惑い気味に「でも電話番号を知りませんわ」と返すと、彼は自分の携帯電話を取り出し、「今、君は知った。君はこの番号を見たかったんだろ」と言った。ルイーズは「私があなたに電話した?」とシャン上将に問い返すと、彼は「ああ、そうだよ」と答えた。
未来に起こる出来事を知り、自分が今何をするべきか悟ったルイーズは、一人でテントに戻ると机に置かれていたデヴィッドの携帯電話を手に取り、中国のシャン上将に電話をかけた。デヴィッドは、誰かが自分の携帯電話を使って国際電話をかけていると兵士から知らされ、慌ててかけている人物の捜査をはじめた。
ルイーズは無菌室に隠れながら電話をかけ続けた。やっとジャン上将が電話口に出た時、兵士達に見つかり銃を向けられた。ルイーズは焦ったが、運よく彼女を探していたイアンが現れたので時間稼ぎをしてと頼んだ。イアンが兵士達をなだめている間に、ルイーズは未来の祝賀会の映像を脳内に浮かべ、シャン上将がルイーズの耳に口を寄せて彼の妻の死ぬ間際の言葉を話すのを、そのままなぞるように電話で話して聞かせた。シャン上将は、自分しか知らないことを話すルイーズに驚き、それが彼女がヘプタポッドと接触して彼らの言語を学んだおかげで未来を見ることが出来たからで、彼らは決して地球を侵略しようとしていないんだと言う話に耳を傾け、彼女の言葉を信じることにした。
ルイーズの説得が功を奏し、シャン上将は緊急会見を開いて武装を解除すると発表した。そして、宇宙船や異星人の情報も諸国と共有することも付け加えた。ロシアやスーダンも宇宙船への宣戦布告を取りやめ、再び各国が協力し合うこととなった。
そのことを異星人達は分かったのか、世界各地に現れた12の宇宙船は、地上から次々と姿を消していった。

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ゆっくりと姿を消して地球から去っていく宇宙船

宇宙船が去り、任務を終えて撤退するキャンプ地のそばの草原に佇むルイーズとイアン。
ルイーズが「この先の人生が見えたら、選択を変える?」とイアンに尋ねると、彼は「自分の気持ちをもっと相手に伝えるかも」と答えた。
そして、イアンはルイーズに結婚を申し込む。
ルイーズは、結婚後に娘ハンナが生まれること、イアンに自分が見た未来を話したことで彼との結婚生活が破局してしまうこと、そしてハンナが若くして重い病気で亡くなってしまうことなど、これから何が起こるか分かっていたが、彼女はそれを受け入れることにし、どんな瞬間も大切にすると心に決めてイアンのプロポーズを受け入れた。

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ルイーズに結婚を申し込むイアン

『メッセージ』の登場人物・キャラクター

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