ドールズフロントライン(ドルフロ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ドールズフロントライン』とは、中国のサンボーンが開発しているスマートフォン用のゲームアプリである。民間軍事会社の指揮官であるプレイヤーは、第三次世界大戦により荒廃した近未来を舞台に、人工知能の反乱により襲い来る機械の兵士たちを撃退するため、銃の名前を冠する戦術人形と呼ばれる機械の少女を率いて戦うことになる。

EP11(通常 / 緊急)「狩猟」

ベルグラード市の地下下水道でROとSOPIIは敵の罠に嵌り水没の危機に陥る

(このエピソードはイベント「秩序乱流」からの続きとなる)
深夜、ベルグラード市の地下通路で白い人形を操る謎の勢力の手がかりを求めて探索を続けているRO635とSOPII。先の戦い(註:イベント「特異点」及び「秩序乱流」)において素体を失ったROと大破した素体を応急修理でなんとか動かしていたSOPIIだったが、共に新しいグリフィン基地において修理と改造を終えていた。そして、指揮官が入手した「この街にアンジェリアの行方を知る者がいる」という情報の真偽を確かめるため、こうして捜査に乗り出したのだ。ROたちは様々な苦難の末に、ようやく目的の人物と接触する寸前までこぎ着けた。しかし下水道には白い人形たちが待ち伏せしていたのだ。
なんとか敵の追撃を逃れたROたちの足元に大量の水が流れ込んできた。敵が下水道の水門を操作して放水を開始したのだ。水中戦を想定していないROたちの素体は、長時間の浸水に耐えられない。なんとか水路の合流点にあるプラットホームに飛び移り水没を免れたROたちは水門にハッキングを仕掛けて放水を止めようとするが、水門を解放した敵は制御システムの入口にファイアウォールを設置しているため侵入できない。指揮官のサポートとグリフィン基地に待機している他の人形の演算能力を使い、ROはファイアウォールの強行突破を図るのだった。

時間は約2時間前に遡る。
ベルグラード市内のスラム街で、ROとSOPIIは道行く民生人形に片っ端から視覚情報ハッキングを仕掛けてある人物の所在を調べていた。きりがない作業にうんざりして不満を漏らすSOPIIに、ROは自分が司法関係の仕事をしていた時はこの作業をおよそ一ヶ月続けたことを告げる。それを聞いて暴れ出すSOPIIを宥めながら、指揮官からは目立つことをしないように命令されていると言うRO。しかし、このままでは時間がかかり過ぎるのもまた事実だった。ROは、市内に設置されている監視カメラの制御システムにハッキングし、最近1週間分の映像記録を閲覧するという作戦に出た。その間はROの本体は無防備になるため、SOPIIがそれを警護することになる。ROは電子戦システムを展開し、監視カメラの制御システムを守る攻性防壁を排除していく。
なんとか監視カメラの制御システムを掌握したROだったが、SOPIIから通信が入った。広場の片隅で休んでいるふりをして電子戦を行っているROを人間の女性が立ち退かせようとしているのだ、と。今動くわけにはいかないROは、SOPIIにその女性への対処を頼む。
SOPIIは、その女性に「私の友達は疲れていて休んでいるから邪魔をしないでほしい」と頼むが、女性は「今からここで政府への抗議デモを行うから、デモに参加するか立ち退くかを選べ」と強硬な姿勢を崩さない。「政府からの配給が滞っている」と怒りを露わにする女性に、SOPIIは「デモには興味がないのでここで座ったまま犬と猫の喧嘩を見ていたい」とそっけない態度を取るが、それが癇に障ったのか彼女はSOPIIを無理やり追い出そうとする。それに抵抗したSOPIIが人形であることがわかると、女性は「たかが人形ごときが人間の邪魔をするな」と激怒し殴り掛かる。その手を軽く払いのけたつもりのSOPIIだったが、戦闘用に強化改造されていたのを忘れて力加減を間違えてしまい、彼女の腕をへし折ってしまった。泣き叫びながら救急車を要請する女性。さすがに緊急事態だと気付いたROは、本体に意識を戻すと、呆然としているSOPIIを連れてこの場から逃げ出すのだった。

それから少し後。I.O.P.社内とグリフィン以外の社会を知らないSOPIIにとって、人形を差別する人間との直接的な接触は初めてであった。知識としては知っていたものの実際に暴言を吐かれて戸惑うSOPIIに、自分はもっと酷い人形への差別や虐待を見てきたと語るRO。ROが経験してきた司法関係の仕事に興味を持つSOPIIだったが、ROは容疑者をすぐ射殺するSOPIIには司法の仕事は向いていないと言う。
SOPIIは話を変えてROに監視カメラから目的の人物の手がかりは見つかったかと尋ねるが、ROは「発見できなかった」と答える。どうやらその人物は偵察要員としての訓練経験があるのか、監視カメラを避けるように行動しているらしい。しかしSOPIIは、だとすれば別の手がかりが残っているはず、と言いROがコピーした監視カメラのデータをチェックし始めた。そして、SOPIIが見つけたのはカメラに記録されたある喧嘩の光景だった。それは、1体のメイド型民生人形が刃物を持った3人の強盗を素手で瞬時に制圧したというものだった。そして、このメイド型人形はここまでの移動ルートの監視カメラには映っていなかった。つまり、強盗に遭遇するまでは監視カメラを巧みに避けていたのだ。監視カメラを避ける訓練を受けていて、なおかつ暴漢3人を軽くあしらうほどの格闘戦モジュールを搭載した違法改造人形。この人形の行方を追えば目的に辿り着けると考えたROは、再び人形の視覚情報ハッキングを行いこのメイド人形を捜索するのだった。

約200体の民生人形を視覚ハッキングしてようやく目的のメイド人形を発見したROたち。SOPIIは、その過程で見たくないものをたくさん見せられた(註:民生人形は前述の通り差別や虐待を受けている者が多く、また過酷な労働環境にある者も多い)ことにげんなりしていた。ここ一時間以内の彼女の位置情報を分析して移動経路と目的地の分析を終えたROは、メイド人形がアジトへ戻る動きを見せるのを待つ。しかし、メイド人形は無作為に移動しているように見せかけて一定区域をひたすら周回し続けていた。これは、偵察訓練を受けた者が追跡者の存在に気付いている時の動きであった。ROたちは民生人形の視覚を利用しているのでおそらく気付かれてはない。つまり、あのメイド人形を追跡している者が他にいるのだ。SOPIIは監視カメラをハッキングしてメイド人形が移動している経路周辺に不審な人物がいないかチェックしていた。そして、「携帯ゲーム機で遊んでいるふりをしながらメイド人形と一定距離を保って移動している」人物を発見した。その動きの特徴から、人間に偽装している人形ではないかと推測するRO。同様の人形を複数体動かして包囲網を作っていると判断したSOPIIは、ROにそれを指揮している人形がいるのではと言う。ROはビルの窓際に指揮人形と思われる個体を発見し、その人形へハッキングを仕掛けてその隙にSOPIIが包囲網を突破し、メイド人形を連れ出す作戦を立てる。問題は、そのメイド人形がROたちを信用してくれるかどうかであった。
ROはさっそく指揮人形にハッキングを仕掛けるが、その人形が出している電子信号に覚えがあった。あの白い人形たちが使っていた識別信号である。ROは、「指揮人形を停止させるよりも包囲に参加している人形を複数体ハッキングにより行動不能にし、その隙に包囲網を強行突破する作戦に切り替える」とSOPIIに通信する。そして、ハッキングした人形に過負荷をかけて行動不能にするための準備を開始した。

作戦は成功し、包囲に参加していた人形の一部は動作を停止した。その隙に彼女たちのマインドマップから謎の勢力についてのデータを抜き取ろうと思ったROだったが、SOPIIからメイド人形が逃げ出したことを告げられる。追跡者の信号が途絶えたことでチャンスだと思われたのだ。
突然追跡者が行動を停止したことを不審に思いながら逃げるメイド人形。その背後から組み付いて口を塞いだのはSOPIIだった。続いて現れたROは、メイド人形にある人物の写真を見せて「この人を知らないか」と問うが、メイド人形は「何も知りません」と弱々しく答えるだけだった。しかしROは、メイド人形を追っていた謎の勢力は無差別攻撃も辞さない相手であり、「このままだとベルグラードで大規模なテロを起こしかねない」と重ねて協力を要求する。するとメイド人形は突然怯えた演技を止めると腕に仕込んでいたナイフで切りかかってきた。しかし歴戦のエリート人形であるROには攻撃を見切られ、次の瞬間メイド人形はSOPIIによって取り押さえられていた。
敵意を露わにするメイド人形に、自分たちは敵ではなく民間軍事会社グリフィンの戦術人形であり、アンジェリアという人物を探していると告げる。ROが先ほど見せた写真もアンジェリアを写したものであった。するとメイド人形は、「グリフィンの人形ならば信用しても良いという命令を受けているが、まずはそれを証明してほしい」と言う。それに応えてROは自分の通信ポートを開放して指揮官へのデータ接続を可能にしたが、メイド人形はSOPIIが手を離した途端にROを蹴り飛ばして逃げ出してしまった。彼女のあまりの態度に発砲しようとするSOPIIだったが、今あのメイド人形を破壊するわけにはいかない、とROは制止する。しかし次の瞬間、メイド人形は足をもつれさせて転倒していた。
倒れたメイド人形は自動的にメンタルデータを崩壊させるためのセーフティが起動しており、それにより機能不全を起こしていたのだ。ようやく見つけた手がかりを失うわけにはいかないと思ったROはすかさず電子戦システムを展開、自動崩壊システムを停止させるためにメンタルデータのハッキングを開始した。SOPIIは無防備になったROを守るために護衛をする。たくさんの攻性防壁を破壊してようやくシステム権限を掌握し、メンタルデータの崩壊を停止させたRO。しかし、メイド人形のシステムには二段構えの自己崩壊プログラムが仕込まれていた。もはやメンタルデータの崩壊を止めることは不可能であり、ROは崩壊終了までに可能な限りのデータを抜き取ろうとしていた。そして、ROはメンタルデータの崩壊寸前にようやくメイド人形の視覚情報データを抜き取ることに成功した。そのデータから、彼女のアジトの番地を読み取ったRO。メイド人形が自己崩壊プログラムを起動させたのは、彼女の持ち主が危機に陥ったことによる機密保持のためではないかと推察するROは、一刻も早くアジトへ向かう必要があると考えるのだった。

ROたちが辿り着いた場所は、ベルグラード市郊外の未開発地域だった。未だに大戦の傷跡が残るこの地域は再開発が進んでおらず、中心地区のような高層ビルはなく掘っ立て小屋ばかりが立ち並んでいる。この中のどれかが目的地である。ようやく探し出したアジトの小屋は、ドアが半開きになっていた。既に何者かが侵入した後だと判断したROは、SOPIIと共に素早く飛び込む。しかし、内部のデータ保存機器は既に破壊されており、そして部屋の片隅には男の死体が転がっていた。「無駄足だった」と悔しがりつつ破壊されたデータ保存機器を調べるROだったが、これらの機器もメイド人形と同様に仕込まれていた自壊プログラムにより内部データが回路ごと焼き尽くされていた。
ROは男の死体を調べていたが、あれだけ用意周到に立ち回っていた男がこんなにあっさり死ぬとは思えなかった。そこでROは死体の血液を分析した。すると、それは精巧な人工血液だった。そして、死体もまた人間によく似た構造の人形であった。政治犯罪に使われたことで違法製品として生産を禁止された最高級品の擬態人形を男は替え玉に使っていたのだ。何か手がかりが残っていないかと探し回っていたSOPIIは、擬態人形が手に何かを握りしめているのに気がつき、それを取り出そうとする。しかし、その何かが光った瞬間、SOPIIはROを部屋の外に突き飛ばして自分も飛び出した。死体に仕掛けた爆弾トラップだと思ったのだ。しかし、それは爆弾ではなく、発光装置が仕掛けられている記録デバイスだった。ROはそれを読み取ろうとするが、SOPIIはこの記録デバイスが本命の罠で、人形のメンタルを攻勢防壁で焼き切る仕掛けがしてあるのではないかと疑う。しかしROは、これが唯一の手がかりである以上罠であっても読み取るしかないと言う。SOPIIはROを失うことを怖れるが、ROは「AR小隊で唯一データのバックアップが許されている自分なら一度メンタルを失っても大丈夫だ」と制止を振り切って記録デバイスの読み取りを開始した。
記録デバイスに攻性防壁が仕掛けられていないことに安堵するROだったが、そう甘くはなかった。この記録デバイスには自己増殖型ウイルスが仕掛けられていたのだ。数に任せてメンタルを乗っ取ろうとするウイルスを相手に奮戦するROだった。
ウイルスを全て駆除したROは、この記録デバイスが別のデータベースへの入口になっていることを知る。そのデータベースへ侵入しようとしたROの前に現れたのは、あのメイド人形のメンタルモデルであった。また彼女と戦わなければならないのかと身構えるROだったが、メイド人形側に戦意はなかった。ROたちの前でメンタルを自己崩壊させたあのメイド人形はメンタルデータを並列で共有する別個体であり、自己崩壊した彼女がROたちと遭遇したことでこのメイド人形もROたちのことを知っていたのだ。メイド人形は、「主人からこれを渡すよう命じられた」と言うとROに何かの起動コードと図面データを渡し、デバイスから強制ログアウトさせた。
目を覚ましたROは、メイド人形から渡された図面データがこの小屋の間取りであることを確認し、指定された場所の鉢植えの下にあった通信ポートにケーブルを差し込むと起動コードを入力した。すると、機材が積まれていた机がゆっくりと移動し、その下には人一人が辛うじて通れるほどの隠し通路があった。ROたちがその隠し通路を通ると、通路の先はベルグラード市の下水道へと繋がっていた。ここにあのメイド人形の主人が潜んでいることを確信したROたちだったが、暗く狭い下水道を進むのには不安があり、また待ち伏せを受ける可能性もあった。そこで、ROは連れてきていた妖精ドローンに偵察を頼む。危険な任務を嫌がる妖精だったが、「帰還したら真っ先に強化改造する」と約束すると、喜んで偵察に向かった。あまり賢くない妖精のメンタルに少し呆れながらも偵察結果を待つROたち。
妖精ドローンによる地形スキャンで、白い人形たちの部隊が既に下水道内に展開していること、そして探している人物が潜んでいると見られる隠し部屋があったことが判明した。たとえ上級人形のネイトが不在とはいえ偏向障壁を持つ敵部隊を相手に二人で戦うのは無理だと判断したROは、指揮官に地形データと戦闘シミュレーションのデータを送り、増援部隊と火力支援部隊の派遣を要請する。

その頃、ベルグラード市内のカフェでは、指揮官とカリーナが観光客を装いながら話し合いをしていた。これまでの事件(註:イベント「特異点」「秩序乱流」のこと)が一切報道されていないことに驚くカリーナだったが、指揮官は「正規軍が情報を揉み消すことは予想できていた」と言う。それよりも正規軍が次の行動を起こさないことの方が不気味だと言う指揮官は、カフェのテレビから流れるニュースに耳を傾けていた。ニュースでは、3日後に新ソ連と汎ヨーロッパ連合の代表者会議が行われること、そしてベルグラード市の下級市民に対する生活配給の滞りから各地の抗議行動が過激化していることが報じられていた。カリーナは、「都市に住んでいても皆が幸せに暮らせるわけじゃないですよね」と言う(註:カリーナはクルーガーに引き取られるまでは都市外の汚染地域で暮らす孤児であった)。指揮官はそれに答えず、手元の端末を確認していた。そこには、ベルグラード市にグリフィンの戦術人形部隊と火力支援部隊が集結し終えたとの情報が表示されていた。そこに、ROから地形データと戦闘シミュレーションのデータが送られてきた。指揮官は、自分の目的を果たすために出撃準備を始めるのだった。

さて、時間は「秩序乱流」事件から3ヶ月後に遡る。
ネイトから救出され新たなグリフィン基地で再び仕事を始めた指揮官も、だいぶ環境に慣れてきた。しかし、指揮官とカリーナは国家保安局によりこの基地から外に出ることを禁じられており、退屈も極まっていた。そんなある日の夕方、指揮官は仕事が終わったら基地内のカフェへ行こうとカリーナに誘われる。その時、秘匿回線から指揮官に通信が入った。通信の主はI.O.P.社の社長であるハーヴェルであった。厄介事だと察したカリーナは席を外し、司令室には指揮官だけが残された。思わず身構える指揮官に、ハーヴェルは「これはあくまでプライベートの話だ」と言うと、突然「旅行に行きたくはないか」と問うのだった。
ハーヴェルによると、行方をくらましたアンジェリアの去就を知っている者に心当たりがあるという。それは、ベルグラード市のアンダーグラウンドで情報屋を営んでいる「K」という男だった。繁華街の人混みの中のぼやけた横顔を写した写真しか手がかりがない中でこの男を見つけ出せ、というのがハーヴェルの依頼であった。「もし指揮官がアンジェリアを見つけ出せば、同様にアンジェリアを探している国家保安局のゼリンスキー局長にも恩を売ることができる」と言うハーヴェル。

その翌日の昼下がり。大陸横断鉄道の駅で、指揮官はROとSOPIIに「K」という男を見つけ出し接触するよう命じて、二人と共にベルグラード行きの列車に乗るための準備を行っていた。かつてパレット小隊と列車で移動した時には、AAT-52がうるさくて最悪だったと言うRO。指揮官は、この5ヶ月で本当に色々なことがあったと思い出していた。正規軍との合同作戦の最中に裏切られ危うく全滅しそうになったこと、そしてクルーガーが濡れ衣を着せられ逮捕されたこと、コーラップス爆弾により正規軍のエルダーブレイン奪取作戦が失敗しM4が行方不明になったこと。そして撤退途中のグリフィンが白い人形を操る謎の勢力に襲撃され、その際に指揮官が拉致され拷問を受けたこと、指揮官をネイトから救出した404小隊と反逆小隊は消息が掴めなくなったこと。正規軍に基地を接収されたグリフィンに新しい基地を提供したのがI.O.P.社のハーヴェルで、彼の紹介で国家保安局のゼリンスキー長官が新たなグリフィンの雇い主となったこと。
ROは、指揮官がアンジェリアを見つけたらどうするつもりなのかを尋ねる。グリフィンの現在の雇い主であるゼリンスキーにとってアンジェリアは機密情報を握ったまま逃亡した反逆者だが、指揮官にとっては命の恩人でもある。指揮官が答えないのを見たROは、「自分は指揮官を信じているから指揮官の判断に従う」と言う。そこに、売店へホットドッグを買いに行っていたSOPIIが戻ってきた。すっかりはしゃいでいるSOPIIは基地の仲間に自慢するため写真を撮ると言うが、ROは任務と無関係な画像データは帰還時に削除されると言う。それに対して、SOPIIは「バナナ」でサーバーへアップロードすると答える。聞き慣れない名前を怪訝に思うROにSOPIIが見せたのは、かつて素体を失った時のROが仮の身体としていた黒と黄色に塗られたダイナーゲートだった。ROにとって未だに忘れたい思い出であるそのダイナーゲートをSOPIIは「バナナ」と名付けて自分のペットにしていたのだ。ペルシカにより改造されたこの「バナナ」は、SOPIIの電子戦能力を大幅に向上させたのだと言う。自慢気なSOPIIをよそに、ROは眩暈をこらえるのだった。
指揮官とROが真正面から駅に入らないことを不思議に思うSOPII。ROは、現在指揮官は正規軍に指名手配されておりROとSOPIIも正規の身分証を持たないため、普通に列車に乗ろうとすれば検問中の正規軍兵士に逮捕されてしまうと説明する。そこで偽造身分証を作って軍のデータベースをごまかさなければならないのだ。これは電子戦の基礎中の基礎なので、コツさえ掴めばSOPIIでも簡単にできると言うRO。指揮官は、公共システムへのハッキングにいくらかの罪悪感を覚えていたが、今後はこういうこともしなければならないのだと自分を納得させていた。
無事にデータベースを騙し通すことができた指揮官一行だが、SOPIIが検問所の兵士に呼び止められる。偽造が発覚したかと思って焦るROだったが、兵士が声をかけたのはバナナの電子ペット登録がされていないことを咎めるためだった。兵士と言い争うSOPIIをよそにROはバナナの電子ペット登録証をとっさに偽造し、無事に検問を通過して列車に乗ることができた。
列車での旅でテンションが上がるSOPIIを叱りながら、ROはこの列車内には事前情報と違いセキュリティ担当の軍用人形が配置されていないことを不思議に思っていた。指揮官は、クルーガーが逮捕されグリフィン社員たちが指名手配されるに至ったあの事件からかなり時間が経っていることもあり、人手不足の正規軍がいつまでもグリフィン残党を相手に厳戒態勢を敷いていられる余裕がないのではないかと言う。
電子雑誌を読んでいる途中で眠ってしまった指揮官を起こすRO。目的地到着まであと30分だと知らせるためであった。そんな時、窓の外を見ていたSOPIIが大きな声を上げる。車窓に映っていたのは、E.L.I.D.隔離壁と浄化塔だった。巨大な城塞を思わせる隔離壁とコーラップス中和物質を散布する浄化塔。これはコーラップス汚染とE.L.I.D.感染者の群れから都市を守るための防壁であった。そして、この中のグリーンエリア(非汚染地域)には感染者だけでなく正規の身分証を持たない人間も入ることができない。隔離壁の内側に入った列車が汚染物質除去を受けている中で、指揮官は、かつては自分も都市部に入ることを許されない汚染地域の住人であったことを思い出していた。ROは、アンジェリアを探し出した後にM4とAR-15と合流し、そしてM16を連れ戻してAR小隊を再結成することができるのだろうかと指揮官に尋ねる。指揮官は、ROを失望させないために深くうなずくのだった。

そして時間は再びROたちが下水道で白い人形たちとの戦闘へ向けて準備を進めている頃へ進む。
妖精ドローンの偵察で侵攻に最適なルートは判明したが、下水道だけあって水門が多い。おそらく敵は水門の制御システムをハッキングしているため、迂闊に深追いすれば下水道に閉じ込められることにもなりかねない。SOPIIは「指揮官の増援が来れば大丈夫だ」と言うが、ROは不安を拭いきれない。そこにグリフィンの信号で通信が入った。通信してきたのは新型人形のMk46。彼女が臨時副官としてROたちの作戦をサポートすると言う。いかにも生意気な新人といった様子のMk46に不安を覚えるROだったが、10分後に増援が到着するという知らせを受けてひとまずは安堵するのだった。
ROの作戦は、グリフィンの増援部隊で下水道の出入り口を封鎖している間にROが水門の制御システムをハッキングで敵から奪い返し、SOPIIがターゲットの人物を確保した後に増援部隊と合流して撤退するというものだった。増援部隊も到着し作戦を開始するROだったが、何者かが「その制御システムにアクセスしないで」と囁く。しかしROは、既に実行段階に入った作戦を止めることはできないとしてその声を無視する。

ROが制御システムにアクセスしたところに、SOPIIから通信が入る。白い人形たちがグリフィン部隊に目もくれずROのいる方向へ突撃してきたというのだ。居場所を見つけられたことに気付き焦るROに、知らない男の声で通信が入ってきた。それによると、白い人形たちがこの制御システムに仕掛けたのは攻性防壁ではなくアクセス者の居場所を探知するトラップで、それに気付いた自分が警告プログラムを仕掛けておいたのにROがそれを無視したからこうなったのだと言う。まんまと引っかかったことを悔しがるROに、その男は「今お前たちに死なれると困るので情報の料金は後払いでいい」と逃走経路を指示する。ROは指揮官に逃走の支援を頼むと、SOPIIにダイナーゲートの「バナナ」を貸すよう要求する。通信してきた男の居場所を逆探知するためにはバナナの持つ電子戦支援システムが必要なのだ。このまま逃げ帰るわけにはいかないと決意するROは、逃走しながら電子戦の準備をする。当初の作戦から変更になって手間が増えたことを愚痴るMk46だったが、ROが指揮官の厚い信頼を得ている人形であると理解したことで協力を約束する。作戦はMk46たちグリフィン部隊がROたちを敵に包囲されないよう制圧射撃で牽制し、隠し通路にROたちが逃げ込んだらROが水門をハッキングして敵の進撃を止め、その間にMK46たちは撤退するというものだった。

そして敵との戦闘が始まった。SOPIIとMk46の部隊はROが水門の制御システムを掌握するまでの時間を稼ぐため奮闘していたが、白い人形たちは数が多く、遂に戦線を支えきれなくなった。SOPIIはMk46が率いるグリフィン部隊に応戦しながらの撤退を指示し、自分たちは別行動で撤退すると言う。仲間を見捨てて撤退することを拒むMk46だったが、自分たちはエリート人形だからそう簡単にはやられないと言うSOPIIの言葉を信じ、再会を約束して部隊を撤退させる。一方、ROは未だに水門の制御システムを掌握できていなかった。管理している水門の数が多過ぎて、何をどうすれば正しく動作するのかがわからないのだ。そんなROに、またあの男から通信が入った。男はROの問いかけには答えず、水門をコントロールする手順を伝えてきた。男の言う通りにやるしかないと言うSOPIIの助言もあり、ROは指示通りにコマンドを実行する。そうすると下水道のゲートは閉鎖され、敵部隊はその向こう側に取り残されてしまった。改めてROは男に呼びかける。彼は自分を「K」と名乗ると、まだ事態は解決していないとROに告げる。Kは、「まだ敵が水門の制御システムを掌握していることを忘れるな」とROに告げる。その言葉が終わるか終わらないかのうちに、ごうごうと水が流れる音が聞こえてくる。敵が水門をコントロールし、ROたちが逃げ込んだ通路に放水を開始したのだ。Kは、ROたちが放水から逃れられたら話をすると言い残して通信を切った。

そして時間は冒頭に戻る。
制御システムのファイアウォールは先の戦いでゲートをコントロールした時より格段に強化されていた。ここまで見越した上で罠を張っていた敵の用意周到さに舌を巻くROだったが、指揮官の協力もありようやく制御システムへと侵入する。しかし、敵はそれを見計らったように水門の制御システムを外部から強制遮断してしまった。ROたちに時間を浪費させるのが目的だったのだ。通路の水量はどんどん増えていく。このまま水没して電気系統がショートしてしまえばROとSOPIIはまた素体を損失してしまう。そんな時、Mk46から通信が入った。制御システムを掌握している敵の指揮人形を指揮官が発見したというのだ。ROたちは、完全に水没する前にMK46たちが敵部隊を殲滅して水門を開けてくれることを祈るのだった。

Mk46から「敵部隊を殲滅した」という通信は入ったが、通路の水が引く気配はない。「次の素体は完全防水にしよう」と思うROと、ROの頭の上によじ登ってなんとか水没を免れようとするSOPII。すると、水門が開き水量がどんどん減っていった。汚水まみれになりながらも辛うじて危機を脱した二人の前に、ぼさぼさの髪で無精髭の青年が現れた。彼は、敵を殲滅して目的を果たしたグリフィン指揮官の手際を称賛する。この男が例の情報屋「K」であった。ROは、水門を開いたのはKなのかと尋ねるが、Kはそれを否定し「守護天使」の仕業だと言う。そこに現れたのは、あのメイド人形と同型の人形だった。Kから「マホロ」と呼ばれたメイド人形が敵部隊の壊滅を見計らって制御システムを操作し水門を開いたのだ。Kは、情報提供の見返りとして敵人形の残骸を要求する。指揮官から承諾を得たROはそれをKに伝えると、マホロは残骸を回収し始めた。Kはあの白い人形たちの動向を調査していたが逆に発見され、下水道におびき寄せてから脱出するつもりだったが、そこにグリフィンが現れたので利用したのだと言う。ROは、この白い人形たちは何者なのかとKに尋ねるが、Kは「こいつらには人間の身体が埋め込まれている」と言う。この人形の中にいる人間たちは、信仰によって自ら死体として機械に組み込まれることを選んだのだから、ためらわずに撃てと言うK。それを聞いて驚いたROは、Kに詳しい説明を要求する。Kによると、E.L.I.D.感染症に感染した患者たちを救済するという名目で信者を集め、彼らを改造して機械兵士として利用しているカルト宗教を装った私設軍隊。それがあの白い人形を操る勢力「パラデウス」だという。以前よりパラデウスの動向を探っていたKは、ベルグラード市近辺の汚染地帯で急激に行方不明者が増加したこと、そして市内のスラム街での暴力事件の激減から何かが発生していると睨んで調査したところ、彼らが暗躍していることが発覚したと言う。グリフィンがパラデウスに襲撃されたのも、ベルグラード市内でパラデウスが活発に動き始めたのも偶然ではないと言うKは、ROを通してグリフィンの指揮官に協力を要請すると共に、「次の作戦で役立つ物だ」とROにスーツケースを渡す。そして、次に指揮官が求めている情報であるアンジェリアと反逆小隊の行方について話し始めるのだった。
(「異性体」へ続く)

ストーリーイベント

キューブ作戦

鉄血部隊の急襲を逃れた404小隊は態勢を立て直して反撃に出る

AR-15が失踪してしばらく後、404小隊は鉄血の「傘作戦」を阻止しようとするグリフィンに雇われ、新型ジャミング装置の奪取のために行動を開始した。しかし、それは鉄血の高等戦術人形「ウロボロス」による404小隊抹殺のための罠だった。AR小隊に倒された「ハンター」「エクスキューショナー」の2体を回収し、強化再生したウロボロスはその2体を使って404小隊を追い込んでいく。辛うじてハンターを倒した404小隊だったが、ジャミング装置を防衛していたエクスキューショナーは、ウロボロスの命令で装置ごと404小隊を巻き込み自爆した。しかし、ウロボロスのこの命令は鉄血の「エージェント」の意に背くものだった。更に自爆直前にエクスキューショナーと取引をして爆発を偽装していた404小隊がウロボロスの前に現れる。心ない命令で武人としての誇りを傷つけられたハンターとエクスキューショナーはウロボロスを見限っていたのだ。エージェントもまた命令に背いて自己顕示欲のために404小隊抹殺に固執したウロボロスを切り捨て、グリフィンと鉄血の両方へ呪いを吐きながらウロボロスは破壊された。一方、エージェントはこの作戦そのものがUMP45に「傘」ウイルスを感染させるための仕掛けにすぎなかったことをドリーマーに明かし、AR-15とUMP45が感染者となったことで今後の作戦の成功を確信する。

自分の強さを証明するために部下を蔑ろにし命令違反を繰り返したウロボロスは遂に鉄血からも見捨てられる

ウサギ狩り作戦【BLAZBLUE×GUILTY GEAR コラボレーション】

FNCはこの渦巻く雷雲が異世界からの来訪者の前兆であるとは思わなかった

FN小隊はS09地区で奇妙な信号を受信したため、その調査任務にあたっていた。隊長のFALに報告するFNCは、異常な信号の原因は発見できなかったが空模様が異常であることを告げる。しかしそこで司令部との通信が途切れてしまった。FNCは同じく調査に出ているFN-49に連絡を取ろうとするが、通信がうまく繋がらない。やっと繋がった通信で、FN-49はFNCに鉄血の上位人形である「イントゥルーダー」の部隊を発見したことを告げるが、途中で通信は途絶えてしまう。その時、上空に渦巻いていた暗雲はよりはっきりと大渦の形を取り、その中央部からすさまじい落雷が降り注いだ。司令部にまで衝撃が及んだ巨大な落雷に驚くFALたち。そこにやっと通信が復旧したFNCから連絡が入り、イントゥルーダーの部隊と遭遇したこと、あたり一面を吹き飛ばした落雷の近辺で昏睡している人間の女性を保護したことを告げる。出撃したFALたちはFNCとFN-49、そして謎の女性を救出し撤退。まったく身分を証明するものを持っていないその女性は「ノエル=ヴァーミリオン」と名乗った。しかし彼女の言うことはまるでFALたちには意味が分からず、ノエルはこの世界で起きていることを全く知らなかった。ノエルを頭の病気か何かと疑うFALたちだったが、ノエルは自身をタイムトラベラーだと主張する。タイムトラベラーならさっさと自分の世界に戻れと言うFNC。しかし、ノエルはそれはできないと言う。彼女が時間移動するには「観測者」と呼ばれる存在が必要らしい。ノエルがいた場所に他の人物はいなかったことを知らされると彼女は落胆し、元の時代に帰れないことを嘆く。
自分が今いる時代のことを尋ねるうち、FN小隊の面々が人間ではなく戦術人形と呼ばれるロボットだと知ったノエル。しかし彼女のロボットへの認識は若干ズレていた。ノエルのロボット観に対して戦術人形はロケットパンチやビームを出さない、と呆れるFNCたち。そこに現れたFALは、例の落雷事件以来、鉄血の活動が活発化していること、その部隊内にノエルが「時間移動中に目撃した」と取り調べ中に語ったウサギ耳の人物らしき存在が加わっていることを告げる。彼女こそが「観測者」だとするノエルと利害が一致したとしてノエルに協力を要請するFAL。ノエルの助力を得たFN小隊はイントゥルーダーの部隊を撃退するが、イントゥルーダー自体は取り逃がした上に、目当てのウサギ耳の人物を見つけることはできなかった。そこで向こうもノエルを狙っているのではと踏んだFALは、ノエルを囮にウサギ耳の人物をおびき出そうとする。鉄血が拠点にしている廃工場を制圧したFN小隊は、鉄血の情報サーバーに侵入して情報を引き出そうと目論む。そんな中、ノエルが人造人間であることを知ったFN小隊の副官Five-sevenはノエルと会話し、お互いの「人間ではない」ことへの意識の違いを感じる。人造人間であっても人間であろうとするノエルに対して、自分が人間だろうとロボットだろうと、そこに興味のないFive-seven。あり方は違っても自分の目的に率直でありたい二人は友情を育むのだった。鉄血の情報サーバーからウサギ耳の人物にアクセスしようとするFN小隊。しかし、見つけ出したウサギ耳の人物、「エルフェルト=ヴァレンタイン」はまるでノエルに反応しない。「不適格な人形を殲滅します」と宣言したエルフェルトは通信を切断、同時に大量の鉄血部隊がFN小隊の前に出現した。この拠点自体がFN小隊とノエルが来るのを想定したイントゥルーダーの罠だったのだ。エルフェルト率いる鉄血部隊に苦戦を強いられるFN小隊だったが、遂にエルフェルトを追い詰める。しかし、ノエルはあれは本物のエルフェルトではないと言う。その正体は、鉄血がエルフェルトを参考に作ったダミー人形「アナイアレイター」だった。アナイアレイターを倒し、拠点近くに設置されていたアナイアレイターのコントロールユニット内に制御装置として閉じ込められていた本物のエルフェルトを救出したノエルとFN小隊。イントゥルーダーはその顛末を見届けると撤退していった。
ようやく「観測者」のエルフェルトを得て自分たちの時代に帰ることができるようになったノエルは、FN小隊との別れを惜しみつつ、エルフェルトと共に空高くに開いた元の世界への入り口へと飛んでいくのだった。

低体温症01「バーガータウン」

エルダーブレインとの接触で精神が崩壊したM4A1は未だ回復していなかった

ドリーマーとエルダーブレインによるグリフィン施設の襲撃を退け、RO635がAR小隊の隊長代理になってから40日後、未だ精神に変調をきたしたままのM4の見舞いをしたAR小隊のメンバーは輸送機により帰路についていた。そこにヘリアンからの緊急通信が入る。輸送機の進路にあたるS03地区が鉄血の大型砲「ジュピター」の攻撃目標となり、他の輸送機も撃墜されていたのだ。急いで進路変更を試みるM16だったが既に時遅く、ジュピターの砲撃が輸送機に着弾した。尾翼を破壊され輸送機は墜落、AR小隊は雪深い山中に放り出されることとなった。周囲は鉄血の制圧下にあり、極寒のうえ弾薬も補給も残り少ない状況でグリフィンの勢力圏まで脱出しなければならないのだ。
なんとか山越えをして通信ステーションのある場所まで辿り着いたAR小隊。しかし彼女らが見たものは大量のジュピター砲と、破壊された通信ステーションだった。ここは鉄血のジュピター試験場だったのだ。進路変更を余儀なくされるAR小隊は、身を隠すため森の中を移動する。
鉄血の試験場を管理する高等戦術人形は工兵指揮官のアーキテクトと、その副官で計量士のゲーガー。お調子者で思いつきのまま適当に行動するアーキテクトに悩まされる生真面目なゲーガーは、撃ち落とされたグリフィンの輸送機に生存者がいるのではと思い、基地の留守番をアーキテクトに任せて捜索に出るのだった。
放棄された旧式の通信ステーションがまだ機能していることに賭けて森を抜けるAR小隊は、鉄血部隊を退け通信ステーションを確保。機能していた通信システムでヘリアンに連絡を取る。救出部隊の派遣を了承したヘリアンだったが、場所が極寒の山中で空路がジュピターにより使用できない状況のため到着が遅れるという。強風により通信が途絶してしまったが、最後に聞き取れたヘリアンの言葉から南東にある飛行場を目指して移動することになった。
飛行場に辿り着いたAR小隊はヘリアンに再度連絡を取る。ヘリアンは荒天のため飛行場の使用可能時間に制限があり、一時的に強風が収まらないと補給物資を投下できないという。そして、ヘリアンは先に撃墜された輸送機に搭乗していた新型のエリート戦術人形「M1887」の救出を依頼してきた。特殊な技術を使用して造られた戦術人形のため喪失するわけにはいかないのだ。彼女はシェルターに身を隠しているという。
補給物資を入手し、M1887がいるというシェルターへ向かったAR小隊。しかし、そこは既にもぬけの空で、しかもシェルターの通信システムは既にゲーガーに探知されていた。AR小隊の存在を確認したゲーガーは「生かして帰さない」と宣告する。
一方、鉄血の基地ではアーキテクトが見栄えだけのためにジュピター砲を綺麗に並べていた。アーキテクトによる物資の無駄遣いで補給が枯渇することを心配するゲーガー。自らもAR小隊殲滅に出動しようとするアーキテクトを諌めたゲーガーは包囲部隊を率いて出撃した。
大量の鉄血部隊を確認するAR小隊。ROは、その数から見て鉄血の基地にはゲーガー以外の高等戦術人形が存在するのではないかと推測する。M1887もおそらくはもっと先に移動していると考えたROは、鉄血の包囲網が完成する前に脱出するべく行動する。しかしゲーガー率いる部隊の前に消耗戦を強いられ、諦めかけた時にM1887から通信が入る。単独行動していたM1887はジュピターの電源を破壊するため潜入していたのだ。敵である鉄血の通信回線を使用しているM1887を味方に偽装した存在ではと疑うM16だが、ROはM1887の言葉を信じて彼女に賭ける。そして、約束通りM1887によってジュピターの主電源は破壊された。予備電源に切り替わる10分間の隙をついて脱出に成功したAR小隊はM1887と合流した。M1887は鉄血の技術を使用して製造されたため、鉄血のIDや通信回線を使用可能なのだ。そして、M1887は「傘」ウイルスとその感染ルートについても把握していた。鉄血の通信機器には「傘」ウイルスが仕込まれているためグリフィンの人形が迂闊に使用すると感染してしまうのだと。
しかし、AR小隊が逃げ込んだセーフハウスの位置は既にゲーガーに把握されていた。包囲部隊による籠城戦を強いられるAR小隊たち。一方、クルーガーはAR小隊救出のために隠密作戦のプロである404小隊の派遣を決定していた。

低体温症02「灯火管制」

M16A1とUMP45、お互いを信用してはいないがお互いの実力は信用している

ヘリアンからの指令を受け作戦行動を開始する404小隊だったが、M16と過去に因縁があるため彼女が所属するAR小隊の救出に難色を示す416。しかしUMP45はその事情を知った上でその感情に配慮する気がないことを告げる。416もUMP45の性格を知っているため不満を抑えて作戦遂行にあたるのだった。できるだけM16の名前を出さずに作戦内容を説明する416だったが、空気を読まずにM16の名前を出すパートナーのG11にやつあたりする416。2人は鉄血の哨戒施設を制圧するが、それはアーキテクトが管理している監視カメラによって筒抜けだった。通信してきたアーキテクトの鉄血人形らしくない軽薄な態度に毒気を抜かれつつ、アーキテクトから情報を引き出そうと会話を続ける416。しかしそれを遮ったのはUMP45だった。自分の立てた作戦から逸脱した行動をしないよう釘を刺すUMP45に416は反発する。
404小隊は、AR小隊の移動した痕跡を辿りながら合流を目指し夜の森を移動していく。その最中、通信施設を使用して何者かと交信するUMP45の様子を伺う416は、その相手が鉄血のIDであることを知る。416はUMP45がウロボロス(イベント「キューブ作戦」参照)との戦闘時に「傘」ウイルスに感染し、それ以降鉄血に内通していたのではないかと疑うのだった。そのことを問い質そうとした416だったが、突然警報と共にアーキテクトから通信が入る。AR小隊以外は見逃すつもりだったが、気が変わったので404小隊をターゲットにジュピター砲の砲撃テストを行うと宣告するアーキテクト。移動する先々でずっとアーキテクトに監視されていることを、先ほどの交信と関連づけてUMP45への疑いを強めた416だったが、ジュピター砲の攻撃から逃れるためまずは脱出することとなった。AR小隊との合流を放棄するのかと問うUMP9。しかしUMP45は「これも計画の一環」と言うだけだった。
なんとか砲撃を逃れた404小隊。416は遂にUMP45に内通の疑惑を投げかけるがUMP45はそれを否定。疑惑を晴らすよう問い詰める416だったが、UMP45はそれも作戦のうちだと受け流す。UMP45の目的、それはアーキテクトの基地を強襲することだった。一見堅固に見えるジュピター砲の防衛網だが、一部の砲台はアーキテクトの濫造による資材不足で完成していない。そこを狙って強行突破するのがUMP45の作戦だった。想定外の速度で防衛網内部に入り込まれジュピター砲の主電源を破壊されたことでうろたえるアーキテクト。頼みの予備電源も夜間のためすぐに使用できない状況だった。404小隊はこの隙に素早く撤退してAR小隊との合流を図るのだった。そして、UMP45が通信していた鉄血のIDを持つ人形の正体も判明した。それはAR小隊と行動を共にしているM1887だった。鉄血のID偽装を得意とするUMP45と鉄血のIDを持つM1887が通信をしても、鉄血はそれを自軍同士の通信とみなして不審に思わなかった。404小隊は主電源の破壊に激怒したアーキテクトを戦場に引きずり出すと、その隙に基地を迂回しての逃亡に成功するのだった。まんまと策に嵌ったアーキテクトを叱責するゲーガーだったが、アーキテクトは自分の頭の悪さを盾に開き直る。上官であるアーキテクトに基地防衛を「命令」し、404小隊殲滅へ怒りを燃やすゲーガー。彼女はかつて自分を侮辱した同じ高等人形のドリーマーを見返すために戦果を欲していたのだ。
ゲーガー率いる包囲部隊との戦闘で弾薬が枯渇し、全滅を覚悟するAR小隊。ヘリアンからの救助部隊を待つM16の元に駆け付けたのはアーキテクトから逃れてきた404小隊だった。UMP45に対し以前から不信感を持っているM16だが、生き残るためには彼女と共闘するしかなかった。
包囲部隊から逃れて臨時シェルターに逃げ込んだAR小隊と404小隊。気さくなUMP9と陽気なSOPIIはすぐに馴染んで仲良くなった。しかしM16とUMP45の間には緊張した関係が続いていた。UMP45の情報によってROの推測通りこの基地に2体の高等鉄血人形がいることを確認したAR小隊。2体の強敵がこちらを殲滅する意思を固めた状況で無事生存できるのかと問われたUMP45は、「作戦はある」と答えるだけだった。外に出たUMP45に続いて416もM16へ敵意の視線を向けて外に出ていく。救出部隊に二人も因縁の相手がいることに溜息をつくM16だった。M16は、「指揮権を絶対にUMP45に渡すな」とROに頼む。UMP45は任務のためなら仲間すら切り捨てる女だとM16は知っているからだ。夜明けと共に脱出作戦を開始しようとするUMP45とRO。その最中、UMP45はROに「あなたはM4の代替品扱いで良いのか」と問い掛ける。その言葉に自分を懐柔しようとする危険性を感じたROは、最終的な指揮権は自分が持つと改めて宣告する。その決意を見たUMP45はROに指揮を委ねるのだった。

低体温症03「帰郷行動」

不利を悟るとあっさり投降したアーキテクトの態度はこれまでの高等鉄血人形のそれではなかった

敵防衛網は厚く強行突破は難しい状況。UMP45はROの指揮能力を見極めようとしていた。ROはG11の情報を元に、まずは防衛の手薄な通信施設を制圧。作戦会議のためROとUMP45が外に出ると、416がM16に敵意の籠もった視線をずっと送り続ける。その空気に耐えかねたUMP9はG11に仲裁を頼もうとするが、G11は寝てしまっていた。UMP9はSOPIIと世間話をしてその空気から逃れようとするが、416がM16への敵意を込めて口を挟み始めたためまた場の雰囲気がギスギスし始めた。M16もそれに皮肉で返し、ますます雰囲気が悪くなる。なんとか話を逸らそうとAR-15の話題を出すUMP9。AR-15とM4を失ったAR小隊の心の傷はまだ大きかった。そこに空気を読まず416がROの素性を尋ねようとしてくる。ROがグリフィンに所属していないことを隠すため話を遮るM16だったが、それによりますますふてくされる416だった。
作戦会議を終えたROとUMP45は、グリフィンの大規模な救援部隊が来ることを告げる。しかし、到着地点がエリアの外れの大型空港になるため、そこまでは自力で移動しなければならないという。
空港へ向かうには鉄血の防衛網を抜ける必要があり、より安全に突破するには鉄血の小型司令部にある監視システムを制圧した方が良いというUMP45の提案に従うRO。隠密行動に長ける404小隊がそれを担当することとなった。無事監視システムを無力化した404小隊は再度AR小隊と合流。ROはUMP45にM16と416の関係について尋ねるが、UMP45はそれについては詳細を答えず「お互いに根に持ってるだけ」とだけ言った。その頃、制圧した施設の休憩室で416がM16に嫌がらせをした挙句癇癪を起こして部屋を飛び出していた。代わりに謝るUMP9だったが、M16は416がそういう態度に出る理由を知っているから笑って許すのだった。そこに飛び出していったはずの416が血相を変えて戻ってきた。鉄血の部隊がここに向かってきたのだ。
ヘリアンへ通信すると、日が昇り荒天も収まり飛行場が使用可能になったため近々グリフィンの救援部隊が到着するという。それまで持ちこたえれば勝機は訪れるというのだ。しかし鉄血の増援部隊に包囲されている状況でそれは困難であった。物資も連戦で枯渇している。しかしM1887が敵の足止めを引き受けたことで補給物資の確保が可能となった。補給に成功し空港へのルートも切り開けたことで勝利を確信するRO。しかしグリフィンの暗号通信の解読に成功したアーキテクトとゲーガーの率いる大部隊がそこに立ちはだかるのだった。2体の高等人形と戦うのは厳しいが、UMP45は「どちらかはジュピター砲の操作に専念するから前線には出ない」と判断、ROに指揮権の譲渡を提案する。しかし、UMP45を信用しないM16はROにその提案を受けないよう言う。UMP45はどれだけ警戒しても足りない相手だ、と。しかし、最終的な判断はROに委ねる、とも。「最後は自分で判断を下すべき」というM16に当惑するRO。「そんなこと人形にできるわけないじゃない……」とROは弱音を吐くのだった。
しかし、それでも自分が最後まで指揮を執ることを決断したROに、UMP45は持っているデータ全てを渡した。後はROがUMP45をどこまで信用するかだ、と。404小隊はまた単独行動で敵基地に侵入してジュピター砲台と通信施設の電源を破壊するという。さすがに対策済みではないかというM16だが、UMP45にはそれも織り込み済みの策があるという。M1887は破壊を覚悟でゲーガーの足止め役を引き受けた。みんなで生きて帰ろうというROの激励を受けて、遂に最後の作戦が開始された。
404小隊によるジュピター砲の電源破壊は成功した。基地の管理権限の一部を既に出撃しているゲーガーが持っているため、自身のみでは完全復旧ができないことに苛立つアーキテクト。UMP45の提案通りこのままアーキテクトの基地に突入するかどうか迷うROは、増援としてやって来る指揮官を信じて他のグリフィン部隊を呼び込むことを決断した。UMP45は指揮官を信じておらず、彼女の作戦は人間の指揮をあてにしていないと思ったからだ。
一方、施設の破壊に成功したものの他部隊の行動が遅いことに苛立つUMP45は、M1887たちを捨て駒にして脱出することを考慮し始める。416はそんなUMP45を咎めるが、UMP9はUMP45に従うという。G11も責任を負いたくないからUMP45に従う、と。それでもAR小隊を見殺しにできないという416に、UMP45はかつての仲間であるM16への未練があることを指摘する。UMP45は、M16への執着を捨てて完全に自分たちの仲間になるよう416に呼び掛ける。そんな時、UMP9はROたちが予定にない行動を取っていることを報告する。ROはUMP45を出し抜いた上で、グリフィンからの増援部隊を404小隊の元へ送っていたのだ。ジュピター砲の電源が復活したことを喜ぶアーキテクトだったが、既に戦況はグリフィン部隊優勢となっていた。アーキテクトに早く脱出するよう促すゲーガーだったが、既にアーキテクトの拠点の真後ろまでグリフィン部隊に制圧されていた。救出に向かおうとしたゲーガーだったが、エージェントから脱出を命じられる。ゲーガーは指揮権をエージェントに譲り鉄血部隊を撤退させるのだった。
基地に取り残されたアーキテクトはWA2000とトンプソンの率いる部隊に包囲されていた。多勢に無勢と悟ったアーキテクトはあっさり武器を捨てて投降。WA2000は「飲み食いさえさせてくれれば(陣営は)どこでもいい」「ちゃんと協力するから安心して」と半笑いで命乞いするアーキテクトの高等人形らしからぬ態度を怪訝に思うのだった。アーキテクト自身も、自分が指揮官としての権限を持たされていた理由をあまり理解していなかった。
無事脱出に成功したAR小隊と404小隊。UMP45を欺いたことを謝るべきか問うROだが、UMP45は指揮権を持っていたのはROだから謝る理由はないという。しかし、そのやり方はグリフィンの指揮官がROを信じていなかったら失敗した危険なやり方だったと言うUMP45。その言葉からUMP45が人間を信用していないことを読み取ったRO。ROはM4がそうであったように、人を信じて守ることを誓う。UMP45は別れ際に握手を装ってROに情報抹消プログラムを送り込み404小隊に関する記憶を消すが、内心では人間を信じて戦うことができるROへの羨望があった。

404小隊が去った後、アーキテクトの投降で状況が変わり撤退作戦が転じてジュピター砲を接収しようとするグリフィン部隊とそれを阻止しようとするエージェント率いる鉄血部隊による戦闘が始まろうとしていた。

低体温症04「ウサギの穴」(ランキング戦)

鉄血のジュピター試験場を制圧し、AR小隊やM1887を救出した新人指揮官とその部隊。しかし、鹵獲したアーキテクトから得た情報によりジュピター砲を脅威と見たグリフィン本部は研究のため接収を決定、分解して輸送機に積み込むための作戦を開始した。しかし、それを阻止すべくエージェントはかつて倒された鉄血高等人形を含む多数の部隊を展開してきた。ヘリアンは指揮官にジュピター砲接収までの時間稼ぎを命令する。

キューブ作戦PLUS 「目隠し解法」

復活したウロボロスはM4を強敵と認め、ずたずたに切り刻んで殺すことを宣告する

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