あまんちゅ!(Amanchu!)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『あまんちゅ!』とは、天野こずえによる漫画作品、及びアニメシリーズ。
2016年と2018年の2度アニメ化した際には、舞台である静岡県伊東市を中心に大きな盛り上がりを見せた。
登場人物が所属する静岡県立夢ヶ丘高校ダイビング部の日常を描いた作品であるが「日常ときどきダイビング。」というキャッチコピーのようにメインは日常であり、ダイビングに対する知識がなくても日常作品として楽しめる。
勿論、ダイビングに関する知識や楽しさ、そして恐さも作中で描かれておりダイビング漫画としても評価が高い。

『あまんちゅ!』の概要

『あまんちゅ!』とは、天野こずえによる日本の漫画作品、及びアニメシリーズ。マッグガーデン発行『月刊コミックブレイド』2009年1月号より連載開始。

静岡県立夢ヶ丘高校ダイビング部の日常を描いており、バディ(相棒)としてお互いの関係を深める登場人物の友情や人間関係を丁寧に描写した日常作品、及び学園作品として楽しめる。また、ダイビングの魅力と楽しさは勿論、少しのミスと油断が死を招く恐れがある、ダイビングの恐ろしさも描かれているのでダイビング漫画としても評価が高い。

2016年7月にアニメの第1期が放送し、作品の舞台である伊東市、並びに伊豆急行とのコラボイベントで人気を博す。
2018年4月にはアニメ第2期の『あどばんす』が放送し、OPの『Crosswalk』のPVが伊東市で撮影された事が話題になる。

アニメ以外にも作者の前作である『ARIA』とのコラボ企画も行われており、両作品をクロスオーバーさせたドラマCDやオリジナルコミックがBDや単行本の特典として描かれるなど、天野こずえファンは勿論『あまんちゅ!』で作者を知ったファンが過去の作品に興味を持つきっかけを与えるなど、こちらも大きな成功を収めている。

また、漫画版とアニメ版でキャッチコピーが異なっており、漫画版のキャッチコピーは「日常ときどきダイビング。」であるのに対し、アニメ版のキャッチコピーは「さあ、新しい物語を始めましょう。」となっている。

『あまんちゅ!』のあらすじ・ストーリー

高校進学とともに東京から静岡に引っ越して来た大木双葉は、知らない土地の、誰も自分を知らない孤独な環境による不安に苛まれていた。

知らない人しかいない新たな学校で過ごす3年間に憂鬱な気持ちで足を踏み入れた双葉だったが、クラスメイトになった小日向光によって強引にダイビング部に連れて行かれ、双葉の意見を聞かれる事も、反対する余地を与えられる事もなく、光の勢いに流されるままダイビング部に入部する事になる。
入学式で会って以来仲良くなりたいと思っていた双葉と一緒にダイビングが出来る事を喜ぶ光だが、部室に不法侵入した上に備品も無断で使用した事が部長である二宮愛の怒りを買ってしまう。
文字通り怒髪天を衝く勢いで激怒する愛に双葉と光は追い回されるが、土下座で必死に謝罪するなど誠意を示す事によって何とか新入部員として認めて貰う。

入部後、双葉はダイビングの必須資格であるオープン・ウォーター・ダイバーのライセンス取得を目指す事になるが、体力不足である上に泳げないというダイバーとして致命的な事実が発覚する。

ダイビング未経験で慣れない機材の操作に戸惑い、更には泳げない事から来る水への恐怖心にも襲われ、想像以上の困難に諦めそうになる双葉だが、顧問である火鳥真斗と光達部員の励まし、何よりも自身の努力でハンデを克服し、見事ライセンスを取得する。
夏休みになり、双葉の東京の友人である水無茜と姫野ちずるが伊豆にやって来た。
双葉が久し振りの再会を楽しみにしていたように、茜達も双葉との再会を楽しみにしており、駅まで出迎えに来た双葉と久し振りの再会を喜ぶ。

消極的で人付き合いが苦手だった中学時代のように一人で淋しい思いをしていると心配していた茜とちずるだが、予想に反して双葉は新たな環境で新たな友人と出会い、ダイビングという新たな楽しみを見付けていた。

双葉から伊豆で出来た新たな友人の小日向光を紹介され、茜は双葉が以前と変わった事を嬉しく思い、ちずるは光に双葉を取られたという嫉妬心を抱く。

その後、双葉達の勧めによって体験ダイビングを楽しむ茜とちずるだが、ちずるが耳抜きを忘れた事によって強烈な耳の痛みに襲われる。
パニックを起こしたちずるを救ったのは他ならぬ光であり、心の中で嫌っていた光が痛みに苦しむ自分を助けてくれた事への感謝と、これ以上光を嫌っても仕方ないという気持ちから光を受け入れ、新たな友人となった。

ダイビングによって人間的にも成長を続ける双葉の向上心が衰える事はなく、ダイビングの上位資格であるアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーのライセンス取得を新たな目標として掲げ、こちらも見事にライセンスを取得する。

双葉達が2年になってからは新入部員として岬ことり、小日向こだまが加入し6人になったダイビング部は沖縄合宿を行うなど行動範囲も広がって活動が更に活発化する。
ダイビングによって大きく変わった双葉は、もっと多くの人にダイビングに興味を持って貰いたいとダイビング部の公式サイトを作る事を思い立ち、サイトの名前を『あまんちゅ!』と命名する。

サイトの評判は高く、修学旅行先の京都で偶然再会した茜とちずるからも絶賛されるなど公式サイトは双葉の期待以上に好評という嬉しい結果となる。

その後も文化祭に年越しなど楽しいイベントを一緒に過ごすダイビング部だが、3月になりこれまで先輩として部を引っ張って来た二宮姉弟と別れの時がやって来る。

卒業式、別れのハイファイブで二人を送り出した後、二宮姉弟によって新部長に任命された双葉はリーダーとして新生夢ヶ丘高校ダイビング部の始動を宣言する。
愛と誠からダイビング部を任され、気合いとやる気十分で3年生となった双葉と光だが、新学期のクラス分けで別々のクラスとなり、いきなり出鼻を挫かれた恰好になる。
これまで同じクラスだった双葉と離れ離れになってしまった事に落胆する光だが、リーダーとして部を引っ張るべき双葉は光以上に落ち込んでいた。

落ち込む双葉の姿を見た光は相棒兼リーダーを元気付けるために呼び出し、高台から飛び降りて登場する。

2年前に真斗との競争でショートカットするため飛び降りた時は無傷だったが、今回は左足首骨折及び靱帯断裂で即手術という大ケガを負ってしまう。

始動早々副部長の長期離脱、及び双葉のバディ不在という夢ヶ丘高校高校ダイビング部史上最大のピンチとともに、相棒(バディ)である大木双葉と小日向光の高校生活最後の一年が始まった。

『あまんちゅ!』の登場人物・キャラクター

大木双葉(おおきふたば / CV:茅野愛衣)

作品の主人公の一人であり、物語の大半は彼女の視点で進行するため読者との距離感が最も近い登場人物である。中学まで過ごした東京から静岡県伊東市に引っ越すが、見知らぬ土地で始まる新生活に希望が持てず、孤独と不安を感じていたところに光と出会い、彼女の勢いに巻き込まれる形でダイビング部に入部する。

強引に他者を巻き込む光の行動に当初は戸惑うも、それが自分が楽しいと思っている事を相手と共有したいという思いから来ている事を理解してからは一緒に楽しむようになる。

体力不足、更には泳げないというダイバーとして致命的なハンデを抱えていたが、努力で乗り越え、オープン・ウォーター・ダイバーのライセンスを取得する。
その後、オープン・ウォーター・ダイバーの上位資格であるアドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバーのライセンスも取得するなど、ダイビングを通して人間としてもダイバーとしても大きく成長を続けている。

当初は東京に住む友人からのメールをチェックする姿が見られ、暗い表情が目立っていたが、新しい土地で自身が打ち込める事と新たな友人に出会ってからは自身が興味を持った機材を持っているダイバーに初対面ながら話し掛けるなど、消極的だった性格も大きく変化している。

これまでダイビング部を引っ張って来た二宮姉弟の卒業時に部長として任命され、リーダーとして更なる成長が期待される。

小日向光(こひなたひかり / CV:鈴木絵理)

主人公の一人で、双葉をダイビングの世界に導いた張本人。

高台から飛び降りたり、自己紹介でホイッスルを鳴らしたりするなど、エキセントリックかつ強烈な行動を取るが、口下手で上手く自分の思いを口で伝えられないだけで、実際は人との交流を強く求めている。

入学式で出会った双葉にある種の一目惚れをしており、仲良くなりたいと思って話し掛けた事から接点を持つ。人にあだ名を付ける事が好きで、双葉にはおでこの眉毛が薄いところから「てこ」と命名(自分の事は「ぴかり」と呼ぶようお願い)している。

日常を楽しむ天才で、人を巻き込んで一緒に楽しむ天性の才能を持っており、消極的な性格だった双葉が最も必要していた、強引にでも楽しい世界に導いてくれる存在。

強引な性格ではあるが、いつの間にか「楽しい世界」に導いてくれるためみんなから愛されている。
それを証明するように、誕生日に祖父母、両親、兄妹から3ホール、更には双葉とこころの分も追加して合計4ホールと食べきれないほどのケーキを用意される(しかも本人は誕生日に風邪を引いて学校を休むなど絶不調だった)など、光が周囲の人間から愛されている事を示すエピソードも多い。

二宮愛(にのみやあい / CV:大西沙織)

誠の双子の姉であり、ダイビング部の部長。双葉達後輩からは「姉ちゃん先輩」と呼ばれ慕われている。

休日はアマチュアのインストラクターとして働く光が接客したダイビング客として初登場するが、防寒用にお猿フードを被って登場(誠は河童フード)という、ある意味派手な初登場を果たす。

その後、部室に不法侵入し、備品のスーツを無断使用した犯人が先日知り合った光(そして双葉)である事を知り、二人に対して怒髪天を衝く勢いで激怒するが、双葉のジャージ半脱ぎで土下座という必死を通り越したエキセントリックな謝罪に面食らいながらも彼女達の誠意を認め、部員として迎え入れる。

基本的には優しい性格で部員からの人望も厚いが、弟の誠に対する扱いだけは酷く、ストレスの掃け口として誠を蹴るのがある種のお約束となっている。

イラストが得意であり、高校卒業後は特技の絵画のため県内にある芸術の専門学校に進学する。

ダイビングによって消極的だった性格が一変し、暴走しがちな光のブレーキ役として、また後輩を引っ張るリーダーシップを持つまでに成長した双葉を部長に任命し、夢ヶ丘高校を卒業した。

二宮誠(にのみやまこと / CV:梅原裕一郎)

ダイビング部に所属する愛の双子の弟で、双葉達後輩からは「弟くん先輩」と呼ばれ慕われている。

休日はアマチュアのインストラクターとして働く光が接客したダイビング客として初登場するが、防寒用に河童フードを被って登場(愛はお猿フード)という、ある意味派手な初登場を果たす。

愛からの扱いは酷く、蹴られても痛くないからという理由で子供の頃の夢は「石になりたい」と語るなど、当時から姉との関係に苦労していた。

良くも悪くもアクティブすぎる性格の愛とは対照的に、落ち着いた温厚な性格であるが、扱いが酷いだけで姉弟仲が悪い訳ではなく、ダイビングの費用を稼ぐため一緒にアルバイトをしたり、片付けが苦手な誠のために愛が私物で散乱したロッカーを整理したりするなど、姉からはそれなりに大事に思われている。

高校卒業後は東京の大学に進学するため伊豆を離れる事になっているが、家族には特別な事をせず、いつも通りに過ごして欲しいと希望する。そして、家族で過ごす最後の夜を希望通り「いつも通り」に過ごして旅立った。

火鳥真斗(かとりまと / CV:伊藤静)

2年生まで同じクラスだった双葉と光の担任であり、ダイビング部の顧問を務める女性教師。

入学式当日、バスの中で一緒になった光と学校まで競争する(負けず嫌いを間違った方向に暴走させた光がショートカットのため飛び降りる暴挙に出るきっかけを作る)など、趣味のダイビング以外にも波長が合う、ある意味似た者同士。

ダイビング部の活動で遠出する時は愛車の「ぽこてん3号くん」で部員の運転手及び機材の運搬を担当する。

基本的に顧問と部員という関係ではあるが、ダイビング部員とは公私関係なく行動をともにする事が多いため親しみを込めて「真斗ちゃん先生」と呼ばれるなど部員との距離が近く、ダイビングのインストラクターとしての腕も確かであるためメンバーからの信頼も厚い。

小日向きの(こひなたきの / CV:井上喜久子)

光とこだまの祖母で海の家「海女人屋」を経営する女性。

ツーリングの休憩で立ち寄った双葉に声を掛け、知らない土地で不安しかなかった彼女に海の広さと楽しさを説く。

双葉がダイビング部に入部した後、あの時声を掛けてくれた女性が光の祖母だった事を知ってからは「おばあさま」と呼んで尊敬している。

ちなみに、真斗は「海女人屋」に対してかなりのツケがあるらしく、きのに対して頭が上がらない。

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