Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。

ウィキッドの逆上に呼応し、無表情だが激しい声で呟くμ。その姿はどこか恐ろしげに感じられる。

シーパライソのアクアリウムに辿り着き、ラガード狩りを進めながらアクアリウムの奥へと辿り着くと、そこには鼓太郎と鍵介とアリアがいた。シャドウナイフが本当に生きていたことに驚きながらも、無事でいたことに鼓太郎は胸を撫で下ろす。だが鍵介は、ウィキッドがまた現れたことも含めて、この場の雰囲気から「感動の再会ってわけには、いかないと思いますけどね」と、一触即発を予期したような言葉を口にする。それにウィキッドが「そのとおり……お前らはここで死ぬんだ。もう、捕まえるなんて生ぬるいお遊びはおしまい。殺してやるっ!!」と、勢いよく返す。そんな中、鼓太郎はシャドウナイフに、正義の味方が家に帰りたがってるだけの奴を殺していいのか、と訴え、シャドウナイフに代わってイケPがこれ以上意地張ると殺されるから大人しくデジヘッドになれ、と穏便に済ませようとする。だが鼓太郎は「ふざけんな! 山田! 一緒に帰るぞっ!!」と、シャドウナイフを連れ戻すことを諦めず、話し合いでは済みそうにないと判断した鍵介がアリアにオーバードーズの発動を求めた。そしてアリアもオーバードーズを発動し、戦いは始まってしまった。
そして不毛な戦いの末、勝利はLucidたちが得ることになったが、殺し合いを望まないイケPが隙を作ったことで鼓太郎たちは逃げ出す。ウィキッドは勝ちはしたものの、殺すことができなかったことに激しく感情的になり、その鬱憤ばらしの矛先をシャドウナイフに向けようとするが、イケPが慌てて落ち着かせる。「馴れ合ってんじゃねえよ!! 気持ち悪いんだよ!! お前ら全員死ねよぉぉっ!!!」と、盛大に鬱憤を爆発させるような叫びを挙げるウィキッドに反応してか、μは無表情だが「気持ち悪い……全員……死ねっ……!!」と、激しい声で呟いたのだった。

ランドマークタワー編

楽士側にも動揺が広まる中、未だに戻ってこないことを心配してか琴乃がメッセージを送ってきた。それに気づいてか、ソーンがランドマークタワーに向かおうとLucidに暗示めいた言葉を投げかける。

ソーンと共に最後のラガード狩りへ出ようとするLucidに声をかけるμ。この立ち絵からして雰囲気はいつものμに感じられるが、おそらくこれで無表情なのかもしれない。

Lucid、ウィキッド、シャドウナイフ、μと共にラガード狩りに同行するソーン。物語が終盤に近づいてきたからか、これまで表舞台に姿を見せなかった楽士の長もついに動き出す。

遠くから聞こえてくるシャドウナイフの叫び声に辺りを見回す維弦と鼓太郎。「何が起きてるんよ、部長……」と、嫌な予感がしてならないらしいアリアは、姿を見せない主人公の身を案じて呟く。

こうしてアクアリウムで帰宅部を倒した楽士たちだったが、Lucidやウィキッド、そしてソーンを除く形で楽士たちにも広まった動揺や不安は留まるところを知らない。そんな中、思うように帰宅部を仕留められないことに、ソーンがついに自ら動くことを決意する。そして一方、未だに戻ってこないことを心配したらしい琴乃が「どこにいるの?」と、Lucidの携帯にメッセージを送ってきた。それに気づいてかソーンが「今すぐ行きましょうか。始まりの場所、ランドマークタワーに」と、仄めかすような一言を口にした。そこでLucidは琴乃に「ランドマークタワーに向かえ」と手短に返事を送り、ソーン、ウィキッド、シャドウナイフと共にランドマークタワーへと向かう。そしてソーンはμの力でシャドウナイフにさらなる洗脳による強制的な力の引き上げを行い、戦闘準備を万全に整えたところでラガード狩りをしながら最上階へと向かう。また同じ頃、洗脳を受ける際に一瞬だけ聞こえてきたシャドウナイフの絶叫を聞いて、鼓太郎と維弦が驚き辺りを見回し、アリアは「いったい、何が起きてるんよ……部長……」と、弱々しい表情と声で呟いた。
そして最上階で、ソーンとLucidたちは帰宅部とアリアと再び対峙する。「これ以上μに無茶させるのはやめてよ!! μがおかしくなっていることぐらい、気づいているでしょ!?」と、アリアの悲痛な叫びに、もちろんわかっている、と答えた後、ソーンは帰宅部に問いかけた。帰宅部も元々は辛い現実から逃げてきて、辛い現実の中でそれぞれ心から望んだ夢や願いをこのメビウスで叶え、いつまでもそれを実現してもらいながらの日々を送る。それなのに、そのメビウスからなぜ出ようとするのか、と。それに対して帰宅部は「ここが現実じゃない」「こんな嘘の世界で願いが叶っても意味がない」「現実に戻ってやらなければいけないことがある」と、真摯に訴えるが、ソーンは「そんな絵空事を言えるのはメビウスによって満たされているから」と一蹴する。そしてさらに、悲しみや苦しみ、絶望に満ちた現実にわざわざ戻ったところで、また同じように傷つくだけでしかないと言い切るソーンに、琴乃が逆にソーンに、あなたの願いというのは一体、と問い返す。その問いにソーンは、自分の願いは自分が在り続けることで、自分はもうメビウスにしかいない存在だと語り、こう締めくくった。「私のいない世界なんて、必要ないの……だから私は、現実世界を崩壊させる」その言葉にウィキッド、そして帰宅部は目をむいて驚いた。

帰宅部と再び対峙するソーン。自らの本当の目的と共に自分たち楽士との最終決戦を予告した後、彼女はまたその場から身を躍らせる形で姿を消す。

ソーンの真の目的を知った後、洗脳されたシャドウナイフはともかく、ウィキッドは現実世界の崩壊という大それた企みに触発され、狂喜しだす。

再び錯乱する笙悟を脱出させるべく、琴乃が部長代行、即ち主人公の代わりとして即座にこの場を取り仕切る。

楽士の間に戻ったLucidに対し、ソーンはこの場はひとまず引き揚げてもいいと言い渡した。ここから楽士ルートはソーン編のラストに持ち越されることになる。

困惑する帰宅部に、アリアはソーンはおそらく嘘を言っていないと言った。このメビウスの中枢には「メタバーセス」と呼ばれるメビウスの力の根源の場所があり、そこにμを送り込んでメタバーセスから現実世界に干渉すれば、現実世界を崩壊させることは可能だとアリアは述べる。しかし、現実が崩壊したらメビウスもいずれ消えてなくなってしまう、と鳴子が叫ぶと、ソーンは「でしょうね」と肯定する。現実が滅べば、メビウスもいずれ消えるが、自分のいない現実が先に滅べば、自分のいるメビウスがほんの一時でも自分の現実として後に残るなら構わない、とソーンは嬉々として言った。そんなソーンの歪な野望に、帰宅部のメンバーは愕然となるあまり言葉を失う。「私を否定した現実を否定できれば、その後はどうでもいいわ……そうね、仲良く心中しましょうか。ねえ、佐竹笙悟?」そう言いながら、ソーンはゆっくりと屋上の縁へと後ずさる。それに笙悟と、帰宅部とアリアが驚いて止めようとするが、ソーンは構わずに屋上の縁へと立った。「どこにも逃げ場はない……それでも現実に戻りたければ、私を止めに来なさい。あの時のように、逃げ出さずに来られるのならば……」そう言い残し、ソーンはそのまま屋上から身を躍らせ、この場から姿を消した。
帰宅部とアリアはさらに愕然となるが、笙悟は再び錯乱し、絶叫を挙げだした。「あいつは一凛じゃない……! 本当の一凛はとうに死んでるっ!! なのに、あいつは死んでなんかいない……いったい誰なんだっ!!?」錯乱を深める笙悟を落ち着かせようとする帰宅部。するとここで、さらなる展開についていけずにいたウィキッドが高笑いし出した。「そうかぁ……それもいいかぁ!! 帰る家が無くなっちまうねえ……お前らの絆で、止めてみろよぉ!?」そう叫ぶウィキッドに続いて、「悪滅こそ我が宿願……不義不道の元凶たる現実、滅ぶべし!!」と、シャドウナイフも叫んで剣を手に取る。そしてLucidも、無言だが銃を手に取り、戦闘態勢に入った。もう話し合いの余地もない、と判断した琴乃は、美笛、維弦、鼓太郎にこの場を任せ、他のメンバーに笙悟を任せた後、オーバードーズを発動させてウィキッド、シャドウナイフ、Lucidに挑みかかる。
そして繰り広げられたランドマークタワーの再びの激闘は、ウィキッド、シャドウナイフ、Lucidの勝利に終わった。琴乃たちは負けたものの、笙悟を危地から脱出させられただけでも良しとして一時撤退した。それからLucidたちが楽士の間に戻ると、そこにはソーンと、シャドウナイフと同じく彼女によって洗脳を施されたスイートP、少年ドール、イケP、Storkの姿があった。その場に居あわせた梔子とミレイは、現実へは絶対に戻らないという理由で自らソーンに協力し、さらにウィキッドもソーンは気に入らないが同じく現実に戻らないのと、帰宅部が気に入らないという二つの理由で協力を決意する。それからソーンは、Lucidについては然るべきタイミングで協力するかどうかを呼びかけるから、ひとまず帰っていいと言い渡したのだった。

完結編

ソーン編の終盤で「帰宅部のみんなと現実へ帰る」を選ぶと帰宅部エンディング、「いや……現実へは帰らない」を選ぶと楽士エンディングに分岐する。

ソーン編

帰宅部の部長として仲間たちの元に戻ってきた主人公。行方が分からなかったことに気を揉んでいた仲間たちは、主人公の無事に喜んだ後、最後の戦いの舞台へと向かう。

グラン・ギニョールを進む帰宅部の前に、ソーンによって洗脳・強化されたイケP、スイートP、少年ドール、Storkが立ち塞がってくる。

そして自らの意思でメビウスに留まることを選んだウィキッドとミレイは、帰宅部を殺してでもメビウスから出さない覚悟と勢いで襲いかかってくる。

最後の関門として立ち塞がった梔子も、現実に自分が大切にしているものは何もなく、メビウスしか居場所がないからこそ決死の覚悟で戦いを挑んできた。

それからまた帰宅部の部長の姿に戻った主人公は、ランドマークタワーから脱出した笙悟や琴乃ら仲間たちと合流し、彼らからソーンの企みを聞かされる。そこで笙悟から、ソーンの根城である可能性が高い場所として「グラン・ギニョール」というライブハウスを教えられた帰宅部は、ソーンらオスティナートの楽士たちとの決着をつけるべく、グラン・ギニョールへと向かう。
道中で待ち受けていたスイートPやウィキッドをはじめとするオスティナートの楽士たちと最後の激闘を繰り広げ、一同を撃破した帰宅部は、グラン・ギニョールの最奥で待ち受けていたソーンと対峙する。そこで笙悟はソーンにこう呼びかけた。「棗……お前なんだろ?」その言葉に驚く帰宅部の面々に、笙悟はこう語った。ソーンの正体は「棗飛鳥(なつめ あすか)」という男で、現実世界での自分の旧友であり、彼の「ソーン」という楽士としての姿は、同じく自分の旧友で片思いの相手の少女だった「早乙女一凛(さおとめ いちか)」のものだ、と。「……その名前で呼ばれるのは、何年ぶりか」と、自分の現実世界の名前を呼ばれたソーンは、一瞬感傷に浸った様子を見せたが、次の瞬間には笙悟に対して怨念に満ちた表情を向けながら、自分の胸中をこう語った。

ソーンの本名を呼ぶ笙悟。彼の口から語られるソーンの正体に、メンバーたちは驚きを禁じ得なかった。

現実世界で恋人を失った悲しみと絶望に耐えられないあまり、ソーンは恋人の姿を借り、その恋人となった自分が生きるメビウスを現実へと置き換えようとしていた。

そんなソーンと、メビウスに集まる人間の負の感情によって、μはついにその身を黒く染め、現実を滅ぼす破壊の化身と化してしまう。

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