Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。

歌:上田麗奈
作詞・作曲:みきとP

Vita版から引き続き使用されているμのテーマソングで、プロローグの駅前広場のムービー、そして帰宅部ルートのラストバトルのBGMに使用されている。

Veritas

歌:下田麻美
作詞・作曲:みきとP

本作で新たに追加された挿入歌のひとつ。アリアのテーマソングであり、楽士ルートのラストバトルのBGMとして使用されている。

『Caligula Overdose』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

カリギュラ効果とは

本作を象徴するキーワードで、禁止されるほどやってみたくなる心理現象のことを言う。例えば「お前たちは聞くな」「これは見るな」など、情報の閲覧を禁止されると、むしろかえってみたくなる心理現象が挙げられる。
本作では帰宅部と楽士のキャラクターエピソードを進める際、「○○(キャラ名)の心の中に踏み込みますか?」という警告画面が2度も出て、ここから先のエピソードは見るなという禁止の演出が出ている。しかし実際のところ、帰宅部と楽士のトラウマクエストをクリアするには「踏み込む」を選択し続けるしか他にはなく、この警告画面はプレイヤーの興味を強く掻き立てさせる演出に使われていると考えられている。

語源はローマ帝国の第3代皇帝・カリギュラをモデルにした1980年のアメリカ・イタリア合作映画「カリギュラ」にあり、この映画はあまりにも過激な内容でボストンなどの一部地域で公開禁止処分を下され、それがかえって「どんな映画だ」「そんなに見てはいけないものなのか」と、世間の話題を惹くことになった。
そしてこの効果は本作以外でも、広告宣伝やテレビ番組でも実際に利用されており、例えばテレビ番組で「ピー」などの効果音をつけて発言を聞こえなくしたり、モザイク処理をかけて映像の一部を見えなくすることにより、いっそう視聴者の興味を掻き立てるのに一役買っている。

キャラクターたちが患った精神病

本作の主要人物である帰宅部メンバーとオスティナートの楽士たちが患っている精神病は、いずれも心理学や精神医学で取り上げられ、注目されている実在したものばかりである。その主要人物が患った、実在する精神病は以下の通りとなる。

佐竹笙悟:適応障害(てきおうしょうがい)

ある特定の状況や出来事がとても辛く耐え難く感じられ、気分や行動に現れる精神病の一種。憂鬱や不安感が強くなることで涙脆くなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になって攻撃的な行動や言動が多くなったりすることがある。

笙悟は高校時代に一凛に心中に誘われたが、土壇場で死ぬのが怖くなったことで逃げ出してしまい、その結果として一凛だけが死んだことに激しい後悔と罪悪感を覚えるあまり適応障害を発症し、引き篭もりのニートとなる。これ以降、一凛の姿を見ると途端に嘔吐するほど気分が悪くなるようになった。

峯沢維弦:スキゾイドパーソナリティ障害

外界や社会的関係への関心がなく、一人でいることを選ぶ傾向が多い精神病。スキゾイドとは「社会的に孤立していて、対人接触を好まず、感情の表出が乏しく、何事にも興味や関心がないように見える」という性格特徴を表す言葉となっている。

維弦がこの精神病を発症したのは、幼い頃からの母親の過干渉と父の無関心が原因となっており、ほんの一時も自由が与えられなかったが為に他人と関わることはもちろん、感情表現を諦めてしまった。中学時代はその美貌の為に、関心を引こうとしたり、言い寄ってくる女子が後を絶たず、維弦は辟易するあまりその関心を断ち切るためにわざと冷淡な悪罵を浴びせて断ろうとしたところ、逆にその好意が憎しみに転じた女子たちから恒常的ないじめを受けるようになった。

巴鼓太郎:メサイアコンプレックス

別名を「キリストコンプレックス」「救世主妄想」と呼び、個人が救済者(ヒーロー)になることを運命づけられているという妄想めいた信念を抱く心の状態を表す言葉である。主に誇大妄想と呼べるほどの願望を持つ宗教家などに見られる心理状態を指すが、広義では根底にあるプライドや自分への自信のなさを他者で助けることで得られる自己有用感で補い、誤魔化そうとする人間も含まれている。

両親を失い、さらに家にも居場所がなく、そして小柄で弱い体であることからくる孤独と劣等感に鼓太郎は常日頃から悩まされており、こんな惨めで自由のない環境から救われたいという願望からメサイアコンプレックスを発症。そのため鼓太郎は他人を助けるのにこだわることで、自分はできる奴だ、幸福だと思い込もうとしており、周囲に問題がなければ意識せずに解決する問題を作り出そうともする無意識のトラブルメーカーとしての一面を持っている。

響鍵介:ピーターパン・シンドローム

1983年にアメリカの心理学者ダン・カイリーが提唱した症候群で、大人にならない少年を主人公とした、イギリスでも有名な童話「ピーターパン」に因んで名付けられたもの。カイリーはこの精神病を「成長する事を拒む男性」として定義しており、実際に肉体的には大人という年齢だが、精神的では未成熟である男性が患者であることが多い。そして主に自己中心・無責任・反抗的・依存的・怒りやすい・ずる賢いといった子供がよく持つ悪癖のほとんどを持っており、価値観も大人の見識が支配する世間一般の常識や法律を蔑ろにすることから、社会生活への適応ができず必然的に孤立してしまうケースが多い。

鍵介がピーターパン・シンドロームになったのは、朝から晩まで働いてクタクタになって帰ってくる両親と、学校で生徒たちにからかわれる教師たちを毎日のように見たことが原因となっている。大人になることにメリットはおろか意味のひとつすら見出せず、自由を失うだけだと感じるようになった鍵介は、両親や教師たちのようなつまらない大人にはなりたくないと強く思うようになり、そして何か普通ではないすごい職業に就きたいという思いから、音楽の基礎のひとつも理解できていないのに芸大の音楽生を志願。結果として思うように進まない楽曲作成と、受験勉強に精を出していく周りの級友たちの姿を見て孤立と疎外感を感じるようになる。

柏葉琴乃:シンデレラ・コンプレックス

1981年にアメリカの女性作家コレット・ダウリングが提唱した症候群で、男性に高い理想を追い求め続ける、女性の潜在意識にある依存的願望を指摘したものである。継母に虐待されながらも妖精の手助けで憧れの舞踏会に出て、王子に見初められて幸運を掴んだシンデレラに因んで「女は今日もなお、外からくる何かが自分の人生を変えてくれるのを待ち続けている」という概念に定められて名付けられた。
ダウリングはこの精神病を、「他人に面倒を見てもらいたい」という潜在的願望によって、女性が自分の心と創造性を十分に発揮できずにいる状態だと表現している。そして、幼い頃から女の幸せは男によって決まると考え、シンデレラのように理想を追い求めるも、主婦をやっているうちに自主性を見失い、結果的に夫に依存し自由と自立を捨ててしまうケースが多いとされている。

現実の琴乃は、水商売を生業としていた母親への反発と、高校最後の夏休みでの運命にも感じた出会いが原因で、まだ大人になりきれないままシングルマザーになってしまったため子育てに疲れきっており、これがシンデレラ・コンプレックスを発症する切っ掛けとなっている。そうしてシンデレラ・コンプレックスとなった琴乃は買い物や保育所帰りにすれ違う同世代の女子大生やOLたちを羨み、子どもを疎み、自由だった学生時代に戻って人生をやり直したい、誰かに助けてほしい、と毎日のように願っていた。

守田鳴子:インターネット依存症

日常生活が破綻するほどまでにインターネットへ過剰に依存した精神病で、「問題的インターネット使用」「インターネット過剰使用」「問題的コンピュータ使用」「病的コンピュータ利用」などさまざまな呼び名が存在する。鳴子の場合は「SNS依存症」と病態が記載されており、SNSもインターネットで使えるものであるされているため、インターネット依存症の分類のひとつとして考えられる。

篠原美笛・イケP:身体醜形障害(しんたいしゅうけいしょうがい)

極度に低い自分自身の価値観に関連し、自分の顔や身体の美醜に極度に拘る精神病の一種で、またの名を「醜形恐怖症(しゅうけいきょうふしょう)」と呼ぶことがある。実際よりも低い自分自身の顔や身体的なイメージが原因で、女性の場合は母親や姉妹など周囲の身体に対する優劣を意識する傾向が強いとされており、美笛は実際、授業参観で母親の体型をクラスメイトから馬鹿にされ、さらにクラスメイトの母親が美人揃いであったことでこの身体醜形障害を発症するに至った。

男性の場合、筋骨や体毛といった第二次性徴によって男らしく変化した部分を嫌い、特に顔の変化を極度に気にし、何度も鏡を確認して自分のイメージを保ちたがろうとする。こうした「顔面コンプレックス」という身体醜形障害に分類される精神病の一種が男性に多く発症が確認されており、イケPも現実世界では顔の変化による周囲からの批評や見下しを受けており、メビウスで理想の姿を手に入れてもなお鏡を何度も確認して自分のイメージを固め、保とうとしている。

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