Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。

本作の重要なキーワードのひとつで、メビウスが仮想現実であることに気づき、現実へ「帰宅」することを目的とする集団。主人公らが所属している。

オスティナート(執拗反復)の楽士

本作の重要なキーワードのひとつで、辛い現実から逃げ出せる楽園を作ろうというμに共感し、彼女に歌うための曲の提供を通して力を与えている者たちの一派。

帰宅部や、帰宅部のように現実世界への帰還を望む人間を「ローグ(叛逆者)」と呼び、彼らがメビウスが仮想現実だと気づいて脱出しようとするのを良しとせず、武力行使をもってしてでも阻止にかかる。

カタルシスエフェクト

本作の重要なキーワードのひとつで、怒りや苛立ち、憎しみなどの暴走する感情を、アリアが自らの力で調律して武器の形に整えることで安定化させたもの。デジヘッドやオスティナートの楽士に対抗することができる唯一の力でもある。

基本的に武器を持っている、装着している手や腕が黒化し、さらに思い入れによって仮面やマスクなどサブの装飾品が装着される。ちなみに帰宅部以外の人間はカタルシスエフェクトの発現自体は不可能となっており、楽士ルートで敵として登場する、楽士たちが「ラガード」と呼ぶ現実への帰還志望の生徒たちは、デジヘッドの能力をアリアが一時的に安定化させたものとなっている。

また、カタルシスエフェクトやデジヘッドの武装は通常の住人には見えないので、デジヘッドやラガードとの戦闘は「喧嘩が起きた」と認識されていて、その記憶は都度アリアが消している。出現時の演出は基本的に、胸と背中に棘のようなものが出現し、直後に武装が出現する、という流れになっている。また、胸の棘にはキャラクターごとに異なる花が飾りとしてあしらわれている。

アストラルシンドローム

メビウスに誘われた人間が、現実世界では魂の抜け殻となった症状を指す。精神がメビウスに囚われ、肉体だけが現実世界に残された状態で、排泄や食事など、生活に必要最低限の活動はできるが、他者の介護がないと長くは生活を続けることはできない。

『Caligula Overdose』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

帰宅部では見られなかったもう一つの視点

本作で最も注目するべき要素は、やはり主人公たち帰宅部の敵役である「オスティナートの楽士」のストーリーだろう。このストーリーにおける主人公は漆黒の髑髏のマスクと黒衣に身を纏った透明人間の楽士「Lucid」となって、μやソーンたち他の楽士と共に帰宅部と丁々発止戦いを繰り広げながら、楽士たちがメビウスに留まり、メビウスを守るために戦う理由を探っていくことになる。

思わぬ出会いから新たな始まりへ

ソーンとの遭遇シーン。Vita版と同じく本作の黒幕でラスボスとの思ったより早い遭遇に、驚きを隠せないプレイヤーは多かったことだろう。

そしてこれが、オスティナートの楽士となった主人公の姿。漆黒のコートと帽子、そして髑髏のマスクは、どこか死神を彷彿とさせる雰囲気だ。

スイートP編をクリアした直後、駅前広場へ向かった先でオスティナートの楽士のリーダー・ソーンと思わぬ出会いを果たし、そこで彼女からオスティナートの楽士、つまりメビウスに留まることを望む者たちの思いを聞いてみる気はないかと誘われる。ここで選択肢が出て、「いいえ」を選ぶとそのままVita版と同じ帰宅部の部長として戦う物語となるが、「はい」を選ぶと、オスティナートの楽士の物語にも入ることができるのだ。
そして、扉を潜った先にある楽士の間で、主人公はμと再会を果たし、彼女から楽士の姿と力を与えられる。そこで「Lucid」というオスティナートの楽士として名を与えられた主人公は、ソーンからその姿でいる間は帰宅部の部長であることに目を瞑り、楽士の長として指示を出すと言われ、最後に帰宅部に戻るか、オスティナートの楽士として残るかは楽士たちの気持ちを知ってからでいいとも言われる。

そして主人公がLucidとなっている間、自らをデフォルメにして主人公のパートナーとなることを申し出たμ。この愛らしさに心を奪われたプレイヤーも多いことだろう。

それからLucidの曲「Suicide Prototype」の初披露では、ソーンと共にその出来に心を躍らせた。この笑顔もまた愛らしく微笑ましいものである。

そこでμが、主人公がLucidとしている間は自分がアリアの代わりを務めてあげると言い、なんと自分の姿をアリアと同じデフォルメに作り替えた。楽しそうに言うμに呆れながらも、帰宅部に絶対にμを渡すな、とLucidに釘を刺す形でそれ以上の言及はしないでおいた。それからLucidが、楽士として活動するには自分もμに曲を出さなければならないことを思い出すが、μは楽士の間にある機材に自分の力を送り込んだ。そしてμに教えられた通り、Lucidが機材に自分のイメージと思いを送ると、一瞬にして形になったテーマソングが流れてくる。その激しくも情熱的なメロディにソーンは「素晴らしいデキだわ……私の目に間違いはなかったようね……」と、目を見張り、μは「うん、すごいすごい! 私、頑張って歌えるようになるねっ!」と、心から嬉しそうにはしゃぐ。こうした謎の楽士「Lucid」の誕生は、本作における名場面のひとつとして今でも有名になっている。

漆黒の楽士の初陣

LucidをスイートPとStorkに紹介するμとソーン。その死神のような装いと透明人間という出で立ちに、スイートPとStorkはもちろん、この後の楽士ルートのストーリーにおいて他の楽士も驚きの反応を見せる。

Lucidに挨拶するスイートPとStork。楽士の中でも割と友好的な態度を見せたのは、この二人とイケPぐらいしかいない。

ついにμによって日の目を見る「Suicide Prototype」。ソーンとμと同じように生徒たちも、その出来に目を見張り、心を躍らせる。

そしてLucidの曲を初めて聴くスイートPとStorkも、それなりに認める評価はするが、やはり楽士としてのプライドがあるのか、自分たちの曲にはまだまだ及ばないとあしらうような一言をつけたす。

オスティナートの楽士となった主人公の記念すべき初仕事にして帰宅部の初戦も、本作において多くのプレイヤーの心に残る名場面のひとつとなっている。Storkとの戦いの後、帰宅部が次の目的地である市立図書館へ向かう前、永至が提案したデジヘッド狩り作戦に動き出す中、主人公の携帯に早速ソーンから「控え室に来て」というメッセージが入る。主人公は帰宅部が全員出向いたのを見計らい、Lucidとなって楽士の間へと向かうと、そこには同じくソーンに呼び出されたらしいスイートPとStorkの姿があった。「えっ……!? な、何あんた?! 誰っ!?」「と、透明人間!? ワ、ワ〜〜〜オ……」と、それぞれ驚きを隠せないスイートPとStorkだったが、μとソーンの説明を聞いて、気を取り直してとりあえず会釈する。
その後、スイートP、Stork、デフォルメしたμと共にLucidが吉志舞高校へ向かうと、μはついに自分の歌声を吹き込んで曲として完成させたLucidのテーマソング「Suicide Prototype」を校内放送で流し始める。生徒たちもその激しくも情熱的なLucidの楽曲に興奮し、歓喜し始める。そしてスイートPとStorkもソーンと同じようにLucidの楽曲の出来に感心し、それなりに評価を下すが、それでも自分たちの曲には及ばないとあしらうように言った。それからμに「みんなにメビウスにいてもらえるよう、お願いしに行こう!」と言われたLucidは、スイートPとStorkと共に吉志舞高校を舞台にした初陣へと乗り出していく。

ファンだった生徒たちを見つけたことで穏便に話を済ませようとしたスイートPだったが、悲しいことに、宮比温泉物語で正体を知った生徒たちに噛み付かれるという予想だにしない展開に見舞われた。

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