Caligula Overdose(カリギュラ オーバードーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Caligula Overdose』とは、フリューから発売されたPSvitaのRPGソフト「Caligula -カリギュラ-」のリメイク版であるPS4作品である。ストーリーはPSvita版と同じ、主人公とその仲間たちが現実に帰還するべく「帰宅部」を結成し、仮想世界からの脱出を図る物語となっているが、本作では帰宅部の宿敵的存在「オスティナートの楽士」のストーリーが追加されているのが大きな特徴となっている。

CV:武内俊輔

高校3年生で、帰宅部前部長。帰宅部の兄貴分的存在としてメンバーから慕われている。すでに何度かメビウス内のループを体験しているらしく、だるそうな物腰をしている割には達観した言動や振る舞いが多く、その眠そうな目の奥に深い絶望と強い現実への帰還の意思を秘めている。

現実世界では適応障害を患った30歳の引き篭もりのニートで、高校当時に片思いしていた少女・早乙女一凛(さおとめ いちか)に心中に誘われた過去を持つ。しかし、死ぬのが怖くなって土壇場で逃げ出してしまい、結果、一凛はそのまま自殺し、適応障害を患った彼は不登校となり、そのままニートとなった。
そして、メビウスに囚われてから程なくループするだけの学園生活に気づいたが、家で引き篭もるのもここで引き篭もるのも同じだと境遇を受け入れ、5年もの間、メビウスで漫然と過ごしていた。

しかし1年前、今や自分のトラウマとなっている一凛(ソーン)がメビウスに現れるようになり、辛く情けない過去を強くフラッシュバックさせ、何度も嘔吐するほど苦しみだす。そこで一番の安全圏である自室へ戻り引き篭もりたい一心から現実への帰還を決意して脱出方法を探し始め、自分と同じように現実に戻りたがっているという理由で、誰かに助けてほしいがために帰宅部を結成。
そして、部長として帰宅部のメンバーに頼られることに耐え切れず、主人公と出会うがや否や部長の座を譲ることになった。

峯沢維弦(みねざわ いづる)

CV:梅原裕一郎

眉目秀麗で、学園でも美少年として有名な高校2年生。無口で表情に乏しく、他人にも何の興味を示さず、関わりすら好まない。
冷静沈着で聡明な人物だが、実はかなりの世間知らずで、配慮に欠けた言動で人を傷つけることも多い。メビウスが偽りの世界であると気付いているも、最初は帰宅部の度重なる誘いを断り、一人で帰る方法を探していた。

現実世界では17歳の高校生で、メビウスと同じ女子が振り向くほどの美貌の持ち主であり、関心を引こうとしたり言い寄ってくるほど女子が後を絶たないことに煩わしさを抱いていた。そして、家で毎日のように受け続ける高名なバイオリニストである母からのスパルタ教育と、自分の研究にしか興味を示さず、助けようとするどころか見向きもしない医学者の父の無関心も原因となって心を閉ざすようになった。
そんな生活を高校進学まで送り続けた結果、高校に進学して間もなくその鬱憤を爆発させるかのように自らの顔をガラスの破片で傷つけるという騒動を起こす。その自らの顔を大きく傷つけたことで女子たちは悲鳴をあげ、さらに母も息子の顔を見て卒倒したのを見て、維弦は周囲からの干渉や束縛を断ち切り、やっと自由になれた満足感を噛み締める。

しかし程なくしてμの歌を聴いてメビウスに囚われ、μの善意から干渉と束縛に満ちた過去の記憶と共に、その自由を掴み取った勲章である傷もなくなった。それからしばらくは今まで過ごしたことのない普通の生活を送っていたが、次第に自分である証の傷を失った隙間は埋めようがないことを自覚しだすうちにメビウスが偽りの世界であることに気づき、顔の傷を取り戻すため脱出を目指すようになった。

巴鼓太郎(ともえ こたろう)

CV:細谷佳正

帰宅部のムードメーカー的存在である高校3年生。
大柄な体格と押しの強さで初対面の人間にどこか威圧感を与えやすい印象だが、実は正義感が強く、困っている人を放っておけない熱血だがかなりのお調子者。好きな言葉は友愛で、父親を尊敬しており、将来の夢には父親と同じレスキュー隊員を挙げている。
また、粗暴で大雑把な一面も持っており、当初、アリアをμと同じバーチャロイドというだけで一方的に敵視してしまったことから、それ以降はアリアと犬猿の仲になってしまい、顔を合わせるたびにしょっちゅう口喧嘩をしている。

現実世界ではまだ14歳の小柄な中学生で、小学生の時に尊敬する父親だけでなく母親までもを事故で亡くし、親戚の家に引き取られることになる。ところが親戚は鼓太郎の両親の保険金が目当てで、実子である従兄弟だけを可愛がり、籍を入れることも、満足に食事を与えることすらしなかった。その上で、身長が歳の割に全然伸びないことが原因となり、鬱ぎ込む日々を送る。
そんな中、家電量販店の店先でμの歌を耳にしてメビウスに囚われ、トラウマの元となった両親の死の記憶を消され、しばらくは育ての親のコピーを実の両親、従兄弟のコピーを兄弟と思い込み平穏に暮らしていた。

しかし、大柄になった自分の見た目と、高3になったのに進路相談や進路指導がない学校に違和感を抱くようになる。そしてクラスメイトに将来の話を振った際、誰も大人になることを考えていないことが決定打となり、本当の父親と将来の夢を思い出し、現実への帰還を決意させることになった。

響鍵介(ひびき けんすけ) / カギP(かぎぴー)

CV:蒼井翔太

眼鏡をかけた今風っぽい佇まいが特徴的な高校1年生。メビウスの生活を2年過ごしており、オープニングの卒業式では答辞を担当した。
かつてはμに楽曲を提供するオスティナートの楽士「カギP」として帰宅部の前に立ち塞がるが、帰宅部との戦いの後、辛い現実に戻ろうとする彼らに興味を持ったことで仲間に加わった。
メビウス内では1年生でありながら、誰に対しても皮肉屋で慇懃無礼な態度を振舞っており、途中加入した帰宅部でもその態度を崩さず、自分のペースを崩さない。

現実世界では19歳の浪人生で、中学時代から何のために自分は生きているのかと悶々とし、さらに朝早く出勤して夜遅くに疲れ果てて帰ってくる両親、そして学校で生徒にからかわれる教師たちを見て「大人になっても自由を失うだけ」と、大人になることに対しての漠然とした不安を抱えていた。
その大人への不安を振り切るために「普通ではないすごい職業」に憧れ、そして動画アップサイトで見ていたμの楽曲を踏み台にする形で両親の反対を振り切り、芸大生への進学を決意。同時に楽曲作成の勉強もここから始めている。
しかし、音楽の基礎すら理解していなかったために早くも壁にぶつかり、さらに受験勉強に精を出す級友たちを見て、音楽だけでなく勉強で置いていかれることに焦りと苛立ちを募らせ続けていた。

柏葉琴乃(かしわば ことの)

CV:村川梨衣

清楚で大人びた雰囲気が特徴的な癒し系美少女の高校3年生。
帰宅部のお姉さんポジションで、基本的に気さくで優しい性格で、主人公をさりげなくサポートし、周りからも頼りにされている。そして、その性格と容姿によって男子から異様にもてている。
しかし、時折達観し冷え切った表情、もしくは荒々しく感情的な振る舞いを見せることもあり、永至からは「悪鬼羅刹」、ソーンからは「帰宅部の裏番長」と揶揄されることがある。

また、彼女がこういう一面を見せるのには、現実世界では23歳の高卒のシングルマザーであるという事実にある。水商売をしながら女手ひとつで自分を育ててくれた母親がいて、琴乃は「誰とでも寝る女」と軽蔑していたが、高校最後の夏休みに海で出会った年上のイケメンに運命を感じ、その時に自分も初体験で息子の「たっくん」を身籠ってしまう。その挙句、イケメンには逃げられてしまい、母親からも心配のあまり堕胎しろと言われるという弱り目に祟り目に遭う。
その後、母への反発と子供を捨てたくないという気持ちから出産に踏み切り、紆余曲折を経て昼はスーパーのパート、夜は母のスナックの手伝いで生計を立て、息子を養うために頑張り続けていた。しかし、母に未来の自分を重ねて嫌悪し、心の底ではこんな惨めな生活から逃れたいというネガティブな思いに囚われて鬱屈していき「誰かに助けてほしい」「自由だった学生時代に戻ってやり直したい」と密かに願い続けていた。

そんな中、店の有線から流れてきたμの歌に誘われ、当初は彼氏を作ってはオールで夜遊びをするなど自由な生活を満喫していたが、自分の隣にいた大切な息子がいないことに漠然とした喪失感を感じるようになる。
しかしある日、ナンパしてきた男が息子と同じ名前だったことがきっかけで全てを思い出し、さらにμと出会って現実にいる息子の無事を知らされたことで、長時間息子を放置していたことにパニックになるも、現実で待つ息子のために気をしっかり持って帰宅部に入部することになる。

守田鳴子(もりた なるこ)

CV:小澤亜李

メガネがトレードマークの小柄な少女の高校2年生。
好奇心旺盛な性格で、会話しながら全く別の内容をSNSに投稿する特技を持っており、常にスマホを片手にSNSで発信している。そのため、楽士たちに帰宅部の顔が割れる原因となった。

現実世界では1人もリア友がいない17歳の孤独な少女で、父親が新聞記者であり、さらに同級生たちのほとんどがネットで情報を仕入れた物見高い人間であることから「反日マスゴミの娘」とからかわれ、SNSのクラスグループからブロックされて仲間はずれにされるなど陰湿ないじめを受け続けていた。
その反動からネットにのめり込んで依存するようになり、さらに個心を開いて話せるネッ友が実はいじめグループのなりすましで、ある時に相談内容や写メを黒板にさらされるというひどい裏切りに遭う。そのため、ネットでも人間不信になり、匿名掲示板を荒らしたりSNSで攻撃的な書き込みをして孤独や不満を塗り潰していた。

そんな中、動画アップサイトのμの動画を荒らそうとして逆にメビウスに囚われ、ネットにまつわる過去のトラウマを消されたことで思う存分ネッ友の輪を広げ、ついには人気の生主となった。こうして人から嫌われる恐怖が消失し、口からは言葉が溢れ出し、新たな知識を得てそれを広めることに快感と充足感を得ていた。
そのため、メビウスで自分の学級活動の生放送中に視聴者から帰宅部のことを知り、不可解な活動をしている帰宅部の活動をレポートして動画に流せば再生数が稼げて、自分ももっと有名になると踏んで帰宅部に同行する。しかし仲間たちと行動を共にするうちにメビウスが現実ではないことに気づき、メビウスから出てしまえばやっと得たリア友を失ってしまうのではないかと不安を抱くになり、何度も苦悩する。

篠原美笛(しのはら みふえ)

CV:高橋李依

女性陣のムードメーカー的存在である高校1年生。4人兄弟の末っ子であり、明るく物怖じしない性格で、帰宅部でもみんなの妹分として可愛がられている。
主人公にも人懐っこく接してきて、とにかくよく食べよく笑い、特に生クリームのチョココロネには目がない。
しかし、実は食べることを忌避しており、太った人間や貪欲に食べる人間には我を忘れて攻撃的な態度を見せつけることがある。

その理由として、現実世界での彼女は身体醜形障害からくる重度の摂食障害を抱えた17歳の高校生であり、かつて幼い頃は優しくて頼もしい母親が大好きで自慢に思っていた。しかし授業参観にやってきた母親の体型をクラスメイトにからかわれたことが切っ掛けとなり、さらにそのクラスメイトの母親のほとんどが若くキレイだったことが追い打ちとなって、身体醜形障害を患ってしまう。
そのため、母を嫌悪して自分のスタイルや体重を異常なまでに気にするようになり、母親が作った食事を拒んで可愛らしく健康的だった身体はみるみる痩せていき、ついには低血糖発作を起こして入院してしまい、両親も日常的に美笛のことで喧嘩をするようになり、家庭も荒れていった。

そんな中、病室で聴いていたμの歌が切っ掛けでメビウスに囚われ、昔の明るい性格と共に健康的な外見を取り戻し、大好きな食べ物をモリモリ食べても太らない自由な生活を満喫していた。しかし一方で何も食べようとしないガリガリの母のコピーに違和感を感じ、さらにある日、メビウスを満喫していることに気を良くしたμが新たに用意した美人の母のコピーが切っ掛けで、メビウスが現実ではないことに気づく。そして、自分が追い詰めてしまった母に謝るため、現実への帰宅を決意した。

神楽鈴奈(かぐら すずな)

CV:田中美海

若干気弱で物静かな性格だが、真面目で心優しい物静かな高校1年生。美笛とは仲が良く、常に一緒に行動していることが多い。
自分の行動にすら自信を持てない態度にしているが、意を決した時に出す声は、周りが耳をふさぐほどの大声になるという奇抜な特徴がある。また、熱心な読書家であり、一時はメビウス内の図書館をよく利用していた。

現実世界での彼女は16歳の人見知りの高校生で、中学時代には友人もいたが高校に進学してからは誰ひとり友人がいなく、さらに入学初日の自己紹介で読書と合唱を好きなものとして打ち明けたところ、女子たちからのバカにしたような反応に傷つき、卑屈になる。そして、昼食が給食からお弁当になった環境にも馴染めないことから「いつも一人じゃね?」などの陰口に耐えきれなくなり、誰の視線も気にすることのないトイレに逃げ込んで食事するようになる。
さらに中学時代の友人に藁にもすがる思いでカラオケに誘ったこともあったが、友人のほとんどが新しい環境に順応し、用事や先約があるなどで誰も付き合ってくれなかった。

そのため、仕方なくひとりで訪れたカラオケ店で中学時代に戻りたいと哀愁に囚われていたところを、スピーカーから流れてきたμの歌でメビウスに囚われる。そして、寂しい記憶を消され、同じ中学時代の友人たちのコピーに囲まれてランチタイムも含めた楽しい日々を手に入れることになった。
しかし、自分のクラスだけ全員中学時代と顔ぶれが変わっていないのと、中学時代の友人のひとりである亜衣が別の学校の制服を着ている姿を目撃したことでメビウスが現実ではないことに気づいた。
そうしてメビウスに流れ着くことになった過去から、帰宅部に入部してもなおその自信なさげな態度から自らの行動を肯定するような精神の支えを探している。そして、サブイベントの選択肢次第では主人公に恋心を抱くようになるが、その恋愛感情はアリアも不安視するほどのヤンデレっぷりを発揮する。

天本彩声(あまもと あやな)

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