そして父になる(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『そして父になる』とは、”赤ちゃん取り違え事件”を扱った、2013年制作の日本映画。TVドキュメンタリー出身の是枝裕和が監督・脚本・編集を担当し、主演の福山雅治が初の父親役を演じた。第66回カンヌ国際映画祭では見事に審査委員賞を受賞し大きな話題となった。ある日、突然6年間育てた息子が病院で取り違えられた他人の子どもだったと知らされた対照的な2組の夫婦が、過酷な決断を迫られ、それぞれに葛藤を繰り返す中で本当に大切なものを学んでいく姿を描く。

『そして父になる』の概要

『そして父になる』とは、”赤ちゃん取り違え事件”を扱い、フジテレビジョン、アミューズ、ギャガの3社で共同製作された2013年制作の日本映画。
ある日、突然6年間育てた息子が病院で取り違えられた他人の子どもだったと知らされた対照的な2組の夫婦が、過酷な決断を迫られ、それぞれに葛藤を繰り返す中で本当に大切なものを学んでいく姿を描いていくという感動の家族ドラマである。
TVドキュメンタリー出身で『誰も知らない』『歩いても 歩いても』の是枝裕和が監督・脚本・編集を担当し、シンガーソングライターであり俳優としても活躍する福山雅治が初の父親役を演じる。共演には、福山の妻を『萌の朱雀』『クライマーズ・ハイ』の尾野真千子。子どもを取り違えられたもう一組の夫婦を『ぐるりのこと。』『凶悪』のリリー・フランキーと『SP』『さよなら渓谷』の真木よう子がそれぞれ演じている。

本作は第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、2013年5月18日の公式上映後に約10分間のスタンディングオベーションが起こった。そして同月25日に審査員賞を受賞した。この受賞が日本国内でも大きな話題となり、配給元のギャガは急遽一般公開日を2013年10月5日から同年9月28日に繰り上げた。また公開に先駆けて同年9月24日から9月27日まで全国で先行上映も行った。公開後、 アート系の映画としては異例となる累計興収30億円を突破している。

『そして父になる』のあらすじ・ストーリー

良多と妻のみどりは、一人息子・慶多の私立小学校受験のため、親子で面接を受けていた。

ある年の11月、大手建設会社に務めるエリート会社員、野々宮良多(ののみやりょうた)と妻のみどりは、6歳になる一人息子・慶多(けいた)の私立小学校受験のため、親子で面接を受けていた。多忙な良多は面接が終わると土曜日だというのにすぐに会社に戻り、再開発プロジェクトのリーダーとして仕事を進める。夜、自宅の高級マンションに帰れば、みどりと慶多が笑顔で出迎え、何不自由ない幸せな日々を送っていた。
そんなある日、慶多が生まれた群馬県の前橋中央総合病院から突然の呼び出しがあった。良多とみどりは、病院の担当者と弁護士から話を聞く。それは、慶多と同じ日に生まれたある夫婦の息子が、小学校進学に際して受けた血液検査で、両親と血液型が一致しなかったことから調査した結果、出生時に当時の看護師による子どもの取り違えが起きていたことが判ったというのだ。そして良多親子には正式にDNA鑑定で判断させて欲しいという。

数日後、慶多は私立小学校に合格。良多とみどりはケーキでお祝いをし、親子の絆はますます深まっていく。だが、DNA鑑定の結果は、良多・みどりと慶多のDNAが一致せず最悪の状況となった。取り違えられたもう一組の家族は、群馬で小さな電気店を営み、3人の子を持つ斎木雄大(さいきゆうだい)・ゆかり夫妻で、取り違えた子供は長男の琉晴(りゅうせい)という。病院で対面することになった双方の夫婦に対し、病院側の弁護士は「子供の将来を考えて(子供を交換する)結論を急いだ方がいい」と言うが、どちらの夫婦も6年間育てた子供をすぐに手放せるはずがなかった。病院を出ると、良多は雄大に双方の家族だけで会おうと約束する。

事件発覚後、野々宮家と斎木家の家族は、双方の子供たちと初めて会うことになった。

12月になりクリスマスも近い頃、とあるショッピングモールにて、子供たちを含めた双方の家族が会った。慶多と琉晴は初対面ながらすぐに仲良くなり子供の遊び場に向かう。みどりとゆかりはお互い母親の立場で心を通わせる。そして良多は雄大に「知ってる弁護士はいるか?」と尋ねる。いないと判ると良多は知り合いの弁護士に任せて欲しいという了解を取った。その後、良多は大学の友人である弁護士・鈴本悟(すずもとさとる)と会い、病院を相手取って裁判を起す依頼をする一方、「何とか子どもを2人とも引き取る方法はないか?」と相談をする。「相変わらず強引な奴だな」と呆れる鈴本に、話だけはしてみると手段を探る良多だった。

年が明けた1月、弁護士の鈴本を交えて双方の夫婦と病院側の4回目の話し合いが持たれた。病院側の弁護士は、慶多と琉晴を相手の家庭で宿泊させるという段階に入るよう勧める。下に2人の子供がいる斎木夫婦は急な話に困惑するが、良多は「とりあえず週末だけやってみましょうか」と提案する。そして週末、良多は慶多に「大人になって強くなるための”ミッション”だ」と説明し、慶多と琉晴はそれぞれお互いの家で風呂に入り食事をし一晩を過ごした。翌日、自宅に戻った慶多が公園で遊んだ際に手に軽い傷を負っていたことに対し、雄大から謝りの言葉がなかったことで彼にいい印象を持てない良多だった。
慶多の入学式を終え、双方の家族は再度ショッピングモールにて会った。雄大から、認知症の父親もいて家は大変だという事情を聞いた良多は、雄大に「だったら慶多と琉晴の両方を引き取りましょう」と提案する。あまりに突飛で身勝手な提案に雄大は「負けたことのない奴は本当に人の気持ちが分からないんだな」と激怒。ゆかりも怒り、みどりは夫の態度に呆れながらも、斎木夫妻にひたすら謝っていた。

裁判所で、良多とみどりは事件当時の担当看護師の自白から、子供の取り違えが故意だったことを知り驚愕する。

やがて、野々宮・斎木両夫婦による病院に対する訴訟の裁判が始まった。事件当時の担当看護師・宮崎祥子(みやざきしょうこ)に、病院側の弁護士は「なぜこのような事故が起こったと思うか?」と質問する。すると宮崎から耳を疑うような答えが返って来た。それは事故ではなく、再婚したばかりで継子の子育てでイライラしていて「野々宮さんの家族が幸せそうだったのでわざとやった」と言うのだ。さらに彼女の行為が5年で時効になっていることも判明する。罪を償うべきでありながら時効を過ぎての自白に対し、みどりもゆかりも「彼女を一生許さない!」と怒りを露わにするのだった。

良多は実の父親・亮輔(りょうすけ)と会い、子供の交換に対し「これから先、どんどん本当の父親に似ていくんだから早い方がいい」と忠告される。だが良多は「そんな簡単じゃない」と反論し、血の繋がった実の息子を取るか、他人の子をこのまま育てていくべきなのか苦悩する。
6月、慶多は小学校で父の日のプレゼントに折り紙の花を2本作った。その内の1本は玩具を直してくれた琉晴のパパに渡すのだという。また、慶多のピアノの発表会では思うように弾けず、人の演奏を誉める慶多に良多は「悔しいと思わないのか」と苛立ってしまう。そういった慶多の「やさし過ぎる」性格に対し、常々自分に似ていないと感じていた良多は亮輔の言葉を思い出し、遂に慶多と別れることを決意するのだった。そして、子供との別れの前日、河原を訪れた野々宮と斎木の両家族は、これからの過ごし方などをお互い確認し合いながら、皆一緒の記念写真を撮影した。

野々宮家で生活することになった琉晴は、習慣の違いに抵抗を繰り返し、なかなか馴染もうとしない。

それからは、野々宮家では琉晴が、斎木家では慶多が、それぞれ生活することになった。良多は琉晴に、生活する上での決まり事の一覧を紙面にして読ませる。その項目の多さに戸惑う龍晴は「なんで?」を繰り返して抵抗し、なかなか馴染もうとしない。その一方で慶多は、欲しかった弟や妹と一緒に楽しく過ごしていたが、どこか寂しそうでもあった。

8月のある日、良多は会社から「裁判を抱えているから」という理由で宇都宮市の研究所への異動を打診される。納得できない良多だったが上司から「家族のことを考えてやれ!」と言われると言葉が出なかった。そんな折、弁護士の鈴本が「裁判に勝った」と報告に来たついでに、元看護師の宮崎から「誠意」として預かったという現金を良多に渡す。いくら誠意とはいえ金で済まそうとする態度に腹を立てた良多は、すぐに宮﨑の住まいを訪れ現金を返しに行った。「貴女のせいで家族はめちゃくちゃだ」と言う良多に頭を下げる宮﨑。そこへ彼女の息子(継子)が間に入って来た。「お前は関係ないだろ」と言う良多に彼は「僕のお母さんだから関係ある」と睨み付け、血の繋がらない母子の絆を見せつけられるのだった。

しばらくして、相変わらず野々宮家に馴染まない琉晴は、みどりが昼寝をしている隙に、一人で電車に乗って群馬の斎木家に帰ってしまう。斎木家に連れ戻しに行った良多は、雄大に「上手く行かなかったら琉晴も引き取ろうか」と言われるが、「何とかします」と強引に琉晴を連れ帰る。それからは、琉晴といる時間を増やし、徐々に絆を深めて行く良多とみどり。ある日、部屋に張ったテントの中で家庭用プラネタリウムの流れ星を見た琉晴は、みどりから「何をお願いする?」と聞かれ、「パパとママのところに帰りたい」と答えた。良多は琉晴を怒らず「いいんだ…」と彼の頭を撫でるのだった。良多は琉晴の寝顔をカメラで撮った後、過去のデータの中に慶多がこっそり撮っていた良多の写真が何枚もあるのを発見し、思わず涙ぐんだ。内気であまり思った事を口にしない慶多だったが、良多やみどりと離れたくないという気持ちを密かにカメラに残していたのであった。

慶多は、斎木家を訪れた良多の顔を見るなり外へ飛び出しどんどん歩いて行く。後を追いかける良多。

やがて連休を取った良多は、みどりと琉晴を連れて群馬の斎木家に行った。だが雄大と一緒に居た慶多は、良多の顔を見るなり一人で外へ飛び出したのだ。追いかける良多を無視するようにどんどん歩いて行く慶多は「パパなんかパパじゃない!」と感情を露わにする。やさしい言葉を掛けながら徐々に近付いて行く良多。そして彼は「できそこないだったけど、(これでも)パパだったんだよ。もうミッションなんか終わりだ」と慶多を抱きしめるのだった。

心配するみどりや斎木家の家族の元へ戻った良多と慶多。そして、安心した両方の家族はまるで1つの家族のように、ひとつ屋根の下に入って行った。

『そして父になる』の主な登場人物・キャラクター

野々宮家の人々

野々宮良多(ののみやりょうた/演:福山雅治)

本作の主人公。
大手建設会社に勤め、職場では再開発プロジェクトのリーダーを務めるエリート会社員。
妻・みどりと6歳の息子・慶多と共に都心の高級マンションで暮らしている。家族よりも仕事を優先するタイプで、家事や育児は妻に任せきりである。
6年の間、慶多を実の息子として育ててきたが、自分とは違う優しい性格の持ち主であることに不満を感じていた。取り違えが発覚した際には「やっぱり」と自分の子ではなかった事に納得していた。父・良輔から「これから、どんどんその子はお前に似てくるぞ。お前の子は逆にどんどん相手の親に似ていくんだ」と言われたことが頭に残り、妻の反対を押し切り子供の交換を決意する。

野々宮みどり(ののみやみどり/演:尾野真千子)

良多の妻で専業主婦。
元は夫と同じ会社の社員で、彼と社内恋愛の末に結婚し寿退社している。
群馬のごく平凡な家庭に育ち、のんびりと優しい性格であり、一人息子の慶多へ一心に愛情を注ぐ優しい母親でもある。
取り違えの発覚後、6年間育ててきた慶多が実は他人の子だという事にとまどい、子供の交換には反対だったが、琉晴と暮らし始めてから次第に彼に情が湧いてくるのを感じていた。

野々宮慶多(ののみやけいた/演:二宮慶多)

chisong6494
chisong6494
@chisong6494

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