XBLAZE(エクスブレイズ)のネタバレ解説まとめ

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『XBLAZE』とは、格闘ゲーム「BLAZBLUE」や「GUILTY GEAR」で有名なアークシステムワークスが開発したPS3、PSvita用のアドベンチャーゲームソフトで、主人公の篝橙八が謎の少女・Esと出会い、自分の中に隠された「魔導書」と呼ばれる強大な力を巡る大きな事件に挑んでいく物語を描いている。BLAZBLUEとリンクしたストーリーと世界観が大きな特徴となっており、2013年に第1作「CODE:EMBRYO」が、2015年に第2作「LOST:MEMORIES」がそれぞれ発売されている。

『XBLAZE』の概要

『XBLAZE』シリーズは主人公の篝橙八が謎の少女・Esと出会い、彼女をはじめとした周りの仲間たちと共に、自分の中に隠された「魔導書」とそれにまつわる過去と次々と起こる事件に向き合っていく物語を描いている。また、アークシステムワークスの大人気格闘ゲーム「BLAZBLUE」の世界観とリンクしており、ストーリーをはじめとした設定が共通しているものが多い。しかし、本シリーズの時代設定はBLAZBLUEから約150年前で、共通点は一部の用語とキャラクターの役回りのみに絞られ、舞台も近未来の日本となっており、明らかな別物となっている。
キャラクターの立ち絵はBLAZBLUEのストーリーモードにおける会話シーンと同じように一枚絵のような構図で表示されているが、地の文は一切なく、状況はキャラクターも含めた絵と会話だけで説明されるなど、まるでアニメを見ているような雰囲気でストーリーを読み進め、楽しんでいくことができる。

第1作「CODE:EMBRYO」では、アドベンチャーゲームに多く見られる選択肢が一切なく、代わりに作中に登場する携帯端末の「TOi(トイ)」と呼ばれる情報アプリを利用し、アプリの中の記事をどう読んだかでストーリーが分岐する。
そして第2作「LOST:MEMORIES」では選択肢がストーリーの後半に限定される形で登場し、前半のストーリーでは「ファントムフィールド」と呼ばれるダンジョンの探索や、「リドル(なぞなぞ)」といった新たなゲームシステムが実装されている。また、「CODE:EMBRYO」が発売されてから翌年の2014年には欧米向けとして英語版(ただし日本語音声・字幕対応)が移植され、そして2016年3月2日にはSteamでWindows版が配信開始されている。

『XBLAZE』のあらすじ・ストーリー

『CODE:EMBRYO』

邂逅編(第1〜3話)

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Esの初登場シーン。身の丈以上もある大剣を軽々と振るって凶暴なユニオンに斬りつける姿はインパクトを感じさせる。

とある地方都市・新横崎市に住む主人公の高校生・篝橙八は、同級生で居候先の姫鶴家の次女・ひなたと、同じく同級生で中学時代からの悪友・瓶割晃と共に、穏やかな高校生活を送っていた。そして、ひなたや晃との放課後の談笑の後、カレーハウス「まは☆ら〜じゃ」でアルバイトをし、それから家路に着こうとする。そんな時、橙八の耳にどこからともなく鈴のような音が聞こえてきた。思わず立ち止まる橙八。そして断続的に聞こえてくる鈴のような音に誘われるように、頑なにバリケードやフェンスで隔離された人気のない廃墟「閉鎖特区」に近づいてしまう。そんな中、橙八が目にしたのは、ひとりの中年男が大怪我をして倒れており、うめき声をあげている姿だった。それに驚き、「大丈夫ですか!?」と、思わず中年男に駆け寄る橙八。だが中年男は「来るな……こっちに……」と橙八を拒絶する。それでも怪我をしている中年男を放っておけない橙八は、救急車を呼ぼうとする。
と、その時、また鈴のような音が聞こえた。それはなんと中年男のほうからだった。橙八が耳を疑うと、中年男は目を凶々しく輝かせ「お前が……敵かぁああアアアッ!!」と、吠えた。その直後、鈴のような音が再び聞こえ、それに橙八が再び耳を疑った直後、中年男は恐ろしい雄叫びを彼に向けて放った。その瞬間、まるでその雄叫びが空気砲になったかのように壁の一部が爆発する。事態が飲み込めない橙八は、さらに襲いかかってくる中年男を前に、ただ逃げ惑うしかできない。そして、追い詰められた瞬間、身の丈以上の大剣を手にしたひとりの小さな金髪の少女が現れ、中年男に大剣の一撃を浴びせる。橙八がさらなる事態の急変に驚く中、中年男は少女に矛先を変えて襲いかかるが、少女は大剣を軽々と振るって中年男の攻撃をことごとくいなし、逆に反撃を叩き込んで中年男を追い詰めていく。
そしてまた、中年男が苦悶に呻いて身を丸めたのを見た途端、驚いたことに橙八が中年男をかばうようにして少女の前へ割り込んだ。「やめてくれっ!! これ以上やったら、この人死んじゃうよ!!」そう叫ぶ橙八だが、少女は「“障害”を認識。排除を実行します」と、橙八の急所に一撃を与えて投げ飛ばした後、中年男へ身動きができなくなるまで攻撃を続行した。そんな中、橙八は「お願いだ……やめて……誰かが傷つくのは、見たく、ない……」と、気を失うまで、少女の後ろ姿に弱々しく乞うように言うしかできなかった。

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翌日の朝、なんとEsが橙八たちのクラスに転入してくるという予想外の展開になった。

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さらに理事長として電撃就任する形でやってきた鵜丸の口から、橙八にとって悪夢のような過去の出来事が繋がりがあると聞かされる。

その後、意識を取り戻した橙八は、なんとか居候先である姫鶴家に帰り着いていた。すると、ひなたに「お客さんが待ってる」と言われて居間へと向かうと、先ほどのあの少女がいた。さらにそこへ、白衣を着た眼鏡の男と黒い着物を着た少女が現れる。Esと名乗る金髪の少女と、鵜丸総一朗と名乗る白衣の男、天之矛坂冥と名乗る黒い着物の少女の話によると、橙八を襲った中年男は「D発症者(ユニオン)」と呼ばれる存在で、空気中に漂う「魔素」と呼ばれるエネルギーを利用し、常人を超えた超能力を手にする代わりに怪物となる病気にかかった人間だという。そして自分たちは、ユニオンの対処と保護・研究を行っている組織「御剣機関」の一員だと語り、さらに橙八が聞いた鈴のような音は、ユニオンが能力を使う際に発せられる「共鳴振音(ディスカバーコール)」だと語った。
鵜丸は、通常の人間には聞こえないディスカバーコールを聞いたことから橙八がユニオンではないかと睨み、その場で即席の検査を行い、本部に戻って結果が出るまで橙八の監視・警護としてEsを姫鶴家に一晩置いておく措置をとる。それに困惑、動揺する橙八だったが、鵜丸はEsを置いて冥と共に姫鶴家を後にしてしまう。それから橙八は居間はおろか自分の寝室にまで何の躊躇いもなく付いてくるEsに気が気でなくさせられたが、いつの間にか居間のソファで眠ってしまい、朝になった時にはEsがいなくなっていることに気づく。ひなたによると鵜丸が戻ってきていいと言ったから帰還する、ということで出ていったという。このことから、検査の結果が問題なかったということに安堵する橙八。そしてひなたと、昨夜、姫鶴家に泊まり込んだEsのことを聞いて「俺も混ぜろ」と嫉妬に騒ぐ晃と共に学校へ向かうが、朝のホームルームで転入生がやってくると聞かされ、耳を疑う。その転入生は、なんと制服姿のEsだった。
再び困惑し、動揺する橙八は、昼休み、中庭にEsを呼び出して問い質そうとするが、そこへまた鵜丸が現れる。何故こんなところに、とさらに困惑する橙八に、鵜丸は御剣機関のコネを使って橙八たちの高校を買収し、自分は理事長として就任し、Esの編入も自分が手を回したと得意げに語る。そして、その理由としては橙八がユニオンではないのにディスカバーコールが聞こえるということであり、御剣機関が彼を貴重な存在と判断した為にEsを引き続き護衛につかせることを決定したのだった。そして、橙八がディスカバーコールを聞いてユニオンの位置を捕捉し、それをEsに教えてユニオンの確保に向かわせるという形で自分たちに協力してほしいと鵜丸は語った。話の流れについていけず、困惑するしかない橙八。すると鵜丸は、橙八にこう切り出した。「10年前の“ワダツミ集団消失事件”……キミは当然、覚えてますよね?」

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自己紹介する久音のシーン。その前の助太刀のシーンでは、凄まじい爆炎を自在に操り、鉄塔を跡形もなく爆砕するという荒業をこなしてのけている。

その鵜丸の言葉を聞いて、橙八は顔色が青くなった。その事件は10年前にあの閉鎖特区を中心に突如として黒い嵐が巻き起こり、大勢の人間が行方不明になった。そして、嵐が発生した場所である研究所の中で発見されたごく僅かな生存者の中に橙八がいた。さらに鵜丸は、嵐を引き起こしたと噂され、事件の通称にもなった「ワダツミ」と呼ばれる研究所の責任者が、篝涼子。つまりあの事件で帰らぬ人となった橙八の母だとも語ったのだ。「やめてください!! それ以上は……わかってますから……」と、思わず悲鳴をあげる橙八に、意味ありげな笑いを浮かべて鵜丸は「ワダツミの可能性があるんですよねぇ……ユニオンを生み出してるのは」と、付け足した。さらに顔を青くする橙八に、鵜丸はワダツミ集団消失事件が発生してから、ユニオンの数が爆発的に増えていて、自分たち御剣機関はそのユニオンの存在が表沙汰になることで混乱を防ぐべくあちこち駆け回っていると言ったのだった。
それから、協力するかどうかの答えは考えが決まってからでいいと鵜丸は引き下がり、放課後、屋上でEsも橙八の答え次第では学校からも去り、もう二度と橙八の前にも現れないとも言った。橙八は戸惑っていたが、ついに思い切った表情になってこう答えた。「僕は御剣機関に協力する……キミと一緒に、ユニオンの存在を探す」と。本当にいいのか、と尋ねるEsに、橙八は母とワダツミが本当にユニオンを生み出したのだとしたら、そしてひなたや晃が自分と同じユニオンによって危ない目に遭うのだとしたら、自分がそれを止めなければいけない、と誓った。その言葉を聞いて、Esは橙八の護衛任務の続投をし、さらに鵜丸の命令に不服の色を見せながらも、冥も橙八への協力を申し出てきた。その後、Esも居候としてひなたとその姉・由貴に姫鶴家に招待されることになり、橙八はEsと共にユニオンを探しに早速夜の街へと向かう。
そして、再び聞こえてくるディスカバーコールを頼りに、閉鎖特区でユニオンと思しき、ひとりの長袖の不良男を見つけるが、その長袖の男は、なぜか橙八を見て名前を呼んできた。しかも「お前、『魔導書』ってやつを持ってるんだろ?」と、意味ありげな言葉を投げかけてくる。意味がわからず、首を横に振る橙八だが、「『魔導書』を渡さねえってんなら、どうなってるかわかってんだろうな」と、長袖の男は鉄くずなどの小さい物を爪弾きするだけで、弾丸のように高速で撃ち出して攻撃を仕掛ける。これに対し、再び大剣を手にして応戦に打って出るEs。そして、なかなか決着がつかないことに苛立った長袖の男は、なんと鉄塔を浮遊させるという大技に打って出ようとする。すると、「伏せてっ!!」と、どこからともなく少女の声と共に火球が飛んできて、鉄塔が爆破される。思わぬ横槍に驚きを隠せない長袖の男。その隙をついてEsが大剣による一撃を急所に叩き込み、長袖の男は戦闘不能になった。「間一髪だったわね」と、その一言と共に現れたのは、ひとりの赤い服を身に纏った外国人風の少女だった。彼女の名は久音=グラムレッド=シュトルハイム。イシャナという島に住む魔術師たちで作られた組織「魔導協会」の一員である魔術師だという。

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ゼクスの初登場シーン。満月をバックにし、目を輝かせて静かにこちらを見下ろしてくる姿はインパクトがある。

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そのゼクスら十聖との邂逅の翌日、彼らの手がかりを探るために橙八たちに協力することを決意した久音は、学校にも電撃転入してしまった。

こうして久音の助太刀で長袖の男を無力化した橙八とEsは、長袖の男にどうして橙八の名前を知っているのかと尋ねると、長袖の男は黒ずくめの白い髪の男に聞いたと吐き捨てる。それを聞いて久音が表情を険しくする中、長袖の男はその白い髪の男が橙八が「魔導書」を持っているからそれを奪ってこいと言われただけだとも言った。橙八が訳がわからないでいると、今度はその場にマントを着た屈強な大男が現れ、長袖の男にいきなり一撃を与えて吹っ飛ばした。その大男を見て、久音、そしてEsが表情を変え、男の名を「十聖ドライ!!」と呼んだ。「フロイライン=シュトルハイム。ご機嫌麗しく」マントの大男・ドライがそう恭しく挨拶した後、久音と対峙する中、「初めまして。アナタが『篝橙八』かしら?」と、青いドレスの美女・十聖アハトが、吹っ飛ばされた長袖の男を踏みつけにする形で現れる。容赦なく踏みつけにされ苦しむ長袖の男を見て血相を変える橙八だが、ユニオンだからそう簡単に死にはしないとアハトは意にも介さない。さらに血相を変えて止めに入ろうとする橙八を、Esが厳しい表情になって引き止める。「十聖」とは久音と同じく魔導協会に所属する魔術師であり、その中でも最高位の力と称号を持つ優れた10人のことで、自分や久音では全く相手にならない。そんな彼らが橙八の名前を知っていて、しかもこうして自分たちの目の前に現れているということは、彼らが橙八を狙っている可能性があるとEsは警告する。自分が狙われている、ということに橙八が狼狽する中、今は相手をするつもりはないと言いたげにアハトとドライは長袖の男をかっさらい、姿を消した。だがその直後、またもディスカバーコールが響き渡る。今までよりも強くはっきりと聞こえるその音に頭痛を覚え、その場にうずくまる橙八。すると、近くの廃ビルの屋上に、ひとりの黒ずくめの白い髪の男、三人目の十聖・ゼクスが立っていて、自分を見下ろしているのに気づいた。ゼクスから漂ってくる異様な気配に怯える橙八。そして、冷たい輝きを放つゼクスの両目と目があった瞬間、橙八は意識を失い、その場に倒れこんでしまった。
気がつくと朝になっていて、橙八は自室のベッドの上にいて、Esによるとあの後、久音と協力して姫鶴家へ運び込んだのだという。さらに久音には魔導協会から離反したドライとアハトも含めた3人の十聖をイシャナへ連れ戻す任務があり、その十聖が注目している橙八に何らかの手がかりがあると踏んで、Esに協力することを決意。その上で強引に姫鶴家に居候し、橙八たちの高校にも編入することを決めてしまった。さらなる事態の展開についていけない橙八だったが、仕方なしに久音の同居付きの協力を受け入れるしかなかった。

十聖編(第4〜6話)

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リッパーの初登場シーン。一見すると気さくそうな雰囲気だが、その雰囲気の裏に隠された殺意は侮ることができない。

橙八たちとの戦いの後、ドライとアハトによって人気のない場所へ連れて行かれた長袖の男は、気が狂ったようにひとりこう喚き続けていた。「敵だ!! 敵がいる!! クソがぁあああっ!!」この様子を見て、ドライは精神汚染が進んでいる、使い物にはならないと呟く。長袖の男は能力を使いすぎた反面、目に映るもの全てが敵に見えるほど精神が非常に不安定なものとなり、誰の言葉や制御も受け付けない状態になってしまったのだ。すると、長袖の男を背後から爪のようなものが襲い、その体を貫いた。「おじゃましまーすってか? メンゴメンゴォ」と、後ろから軽いノリで現れた眼帯の男は、長袖の男の体からユニオンの能力の源となる結晶「クリスタル」を抉り取った。乱入者の登場に目を見張るドライが、いつからそこにいたのか、と聞くと、眼帯の男は橙八たちと戦うところからずっと見ていて、後からつけてきたと言い捨ててから、なんとクリスタルを口に放り込んだ。そして、眼帯の男の体から赤い光が放たれたのを見て、ドライはこの男もユニオンであり、他のユニオンから奪い取ったクリスタルを食べて自分の能力を強化しているのだと悟った。意外な事態の展開に驚かされながらも、ドライは橙八を探して『魔導書の解放』をやってもらいたいと眼帯の男に依頼するが、眼帯の男は「アンタじゃ話にならねェな」と、ドライの言葉を一蹴。気色ばむドライを尻目に「後ろでエラそうにしてるニイちゃんよぉ! 何を狙ってるのか知らねェが、つまんなかったら降りるぜー?」と、ドライの背後にいるゼクスに向かって呼びかける。ゼクスはこちらを一瞥するだけで答えようとしなかったが、眼帯の男は気が向いたらやってやるとケラケラ笑いながらその場を後にした。
次の日、橙八はEsと共に学校で久音から十聖についての話を改めて聞いた後、「魔導書」についての話も聞いた。「魔導書」とはイシャナの言い伝えでは強大な力を持っているもので、それを手にした者はこの世界を思うがままにできるようになるものだという。そして、「書」と言っても本であるかはもちろんどんな形を持っているのか不明であるという。魔導書については持っている覚えもないし存在自体も記憶にない橙八だが、十聖が橙八のことを調べてまで目をつけてきているという事実から、何らかの関わりがあることは否定できなかった。
その夜、アルバイトの帰りにどこかへ向かって走っていく冥の姿を見かけた橙八は、後を追っていって声をかける。この日、まは☆ら〜じゃの近くの路地で事件が起きて警察車両がたむろしていて、しかもその事件はユニオン絡みであることから、冥はその調査に来ていたという。橙八は、Esと共に冥の調査を手伝うことを申し出るが、その矢先、ディスカバーコールが聞こえてくると共にナイフと煙幕入りのボールが飛んでくる。冥とEsが怯んだ隙に、眼帯の男・リッパーが現れて橙八の背後に回り込んできた。

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リッパーとEsとの対決に乱入するアベンジ。無言だが、明らかな殺意をリッパーに向けて、この後に彼と凄まじい激闘を繰り広げる。

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帰り道、Esにおぶわれる橙八。身の丈以上の大剣を扱えるだけあって、その力は大人を背負うほどと考えられる。

「よう、カガリちゃん、あんた『魔導書』持ってんだろ?」と、リッパーも橙八の体を弄ろうとするが、Esの反撃によって阻まれて逃走。それをひとりで追いかけるEs。そして場所を変えての一騎討ちが始まるかと思いきや、今度はひとりの黒いフードを被った大男・アベンジが割り込んできた。リッパーを見るや否や「死ね」と、だけ言い放ち、アベンジはナイフを抜いて斬りかかった。そこからリッパーとアベンジの一騎討ちが始まる。それを見たEsは邪魔をするなら排除すると警告するが、アベンジはこいつは自分の獲物だとだけ言い捨てて相手にしようとしない。後から冥と共に駆けつけてきたその様子を見た橙八が、戦うのはやめてくれ、と叫びながら無謀にも前に進み出ようとする。同時に冥と橙八までもが現れたことに興を削がれたのか、「もう飽きてきちゃったわ。じゃあな」と、吐き捨ててリッパーは煙幕をばらまいて逃走する。そして、その後を追おうとするアベンジを見て、彼がユニオン専門の賞金稼ぎ「咎追い」であることを思い出した冥は、なぜここにいると問おうとする。アベンジは「お前らには関係のない話だ。とにかく『仕事』の邪魔をするな」と一蹴し、リッパーを追うべくその場を去ろうとする。それに対し色めき立った橙八が邪魔をするなとはどういう意味だと叫んで、無謀にもアベンジに向かって進み出た。アベンジは相手をするのもうんざりだとばかりに橙八を殴り飛ばして気絶させ、「いいかガキ共、リッパーには手を出すな。奴は危険すぎる」と言い残し、冥とEsの制止に構うことなく姿を消してしまった。
気がつくと橙八は、Esにおんぶされていた。あの後、冥と別れたEsは、気を失った橙八を背負って帰路についていた。その途中、Esが閉鎖特区で初めて会った時のことも含めて、なぜあんな無謀な行動に走るのかと尋ねると、橙八は「僕は……人が傷つくのを見たくないんだ」と、切り出してから、こう理由を述べた。自分は目の前で人が死んだり殺されたりするのを見ると無性にいてもたってもいられなくなり、気がつくと勝手に体が動いて飛び出したりしている。自分でもどうかしてるのはわかってるけど、とにかく誰かが目の前で傷ついたりするのは嫌なんだ、と。Esはそんな橙八の無謀の理由を否定はしなかったが、肯定もせず、ただ黙って橙八を背負って帰路を歩き続けた。
姫鶴家に帰り着いた橙八を待っていたのは、久音から「エンブリオ」と呼ばれる、ワダツミに関わる新たな事実が判明したという知らせだった。久音によると、エンブリオとはワダツミの研究所の人間たちが作ろうとしていたもので、詳細は不明だがエンブリオは「魔導書」とも繋がりがあるということだった。そして、その研究所の責任者が橙八の母親であることから、橙八の母親も「魔導書」について何らかの関わりを持っており、橙八が十聖から狙われる理由もそこにあるかもしれない、と久音は言った。

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ゼクスと対峙する久音。かつて自分が知っていた兄は心優しく、妹として素直に敬愛、思慕していたため、その兄がここまで変わり果ててしまったことが久音には理解できないようだ。

それからしばらく経った頃、橙八は街中でユニオンを対象にした連続変死事件が発生しているとEsから聞かされた。Esによると、それは「ゲインアート」と呼ばれるユニオンの能力の一種で、魔素の過剰供給でクリスタルを暴走させてその負荷によってユニオンの肉体を崩壊させるというもので、しかも普通の人間に対して使うこともでき、こちらも能力の負荷で肉体が耐えきれず死亡する可能性があるが、一定の確率でユニオンとしての奇病を発症させることもできるのだという。つまり人為的にユニオンを作れる能力を持ったユニオンもいる、という事実に、驚きのあまり橙八が言葉を失っていると、通りすがりにその話を聞いた久音は、それは十聖たちの仕業で、イシャナでも似たような手口で犠牲者が出ていると言った。これ以上犠牲者を出す訳にはいかない、と決意を強くする久音に同意した橙八は、Esと共に十聖の居場所を探りに向かう。するとその先で、ついにゼクスが橙八たちの前に現れた。ゼクスと対峙した久音は、どうして魔導協会を裏切ったのかと問い質すが、「無駄だからだ。この世界は『不完全』……お前に、その意味がわかるか?」と、ゼクスは不可解な言葉で一蹴し、何が望みで自分の前に現れたと問い返す。すると久音は、「あなたが昔の優しいお兄様に戻ってくれれば、それでいいわ……!」と、悲痛な表情でそう答えた。その言葉に驚く橙八。なんとゼクスは久音の異母兄で、久音が幼い頃に早くに家を出て一緒に住んでいなかったが、橙八のように自分から争いを止めに行くほど優しい兄だったから、久音も心の底からゼクスを慕っていた。そして、久音がゼクスたちを連れ戻す任務を引き受けたのは兄妹だからという理由からだったのだ。そんなやりきれない思いを抱えて、橙八を狙う理由はなんだとさらに問い質す久音だが、知りたければ私と共に来い、と、ゼクスはまともに答えようとしない。
すると橙八が前に進み出て、あなたはユニオンなのかと尋ねた。それに今度は久音が驚きに目を見開く。実は閉鎖特区でゼクスの姿を初めて見た時、橙八はディスカバーコールをゼクスから聞いており、もしかするとゼクスもユニオンかもしれないと推測していたのだ。するとゼクスは「そうだ」と一言だけ頷いた。それに絶句し、さらに悲痛な表情になる久音は「お父様を殺したのは、お兄様なの!?」と訴えるが、ゼクスは「あの男がその器ではなかった……それだけのことだ」と、遠回しに肯定するようにそう答える。そんな冷淡とした兄にますます困惑させられる久音は、これ以上罪を重ねないで、自分と一緒にイシャナに帰って裁きを受けて欲しいとさらに訴えるが、ゼクスは「私の罪とは何だ? 死など存在しない……全ては、魔素へと還るだけだ。私は、可能性を与えたに過ぎない」と、再びの不可解な言葉で一蹴した後、久音に向けてゆっくりと手をかざす。「久音。お前にも与えよう……真実だ」そう言ってゼクスは、久音に向けてユニオンとしての能力「ゲインアート」を発動させた。
突然その場に強く響き渡るディスカバーコール。同時に能力の与えてくる負荷に耐えきれず、その場に倒れ込みそうになる久音。それを見て久音をかばうようにして前に進み出ると共に、橙八が怒りの表情でこう叫んだ。「そんなことをしたら久音が死んじゃうかもしれない!! あなたは何も感じないのか!? 久音は家族なんでしょう!!」その瞬間、周りの空気が変わったのを感じてEsが表情を変え、一方でゼクスは、「……お前は興味深い」とだけ言い残し、姿を消してしまった。

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橙八たちに姫鶴家への居候を懇願するエルス。親友として危険な任務に臨もうとする久音を心配するというより、同性愛じみた思いからただ久音と一緒にいたいのが理由となっている。

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