スプリット(Split、映画)のネタバレ解説まとめ

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『スプリット』とは、2017年製作のアメリカ映画。日本公開は2017年の5月。23人もの別人格を持つ多重人格者に誘拐されてしまった女子高生たちが体験する、予想不可能な恐怖を描く。監督は「シックス・センス」「アンブレイカブル」「サイン」など、意表を突いたラストやどんでん返しで有名なM・ナイト・シャマラン。誘拐犯である多重人格者をジェームズ・マカヴォイが熱演し、主役の女子高生をアニャ・テイラー=ジョイが演じている。

『スプリット』の概要

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『スプリット』とは、2017年製作のアメリカ映画。日本公開は2017年の5月。23人もの別人格を持つ多重人格者に誘拐されてしまった、女子高生たちが体験する恐怖を描く。監督は「シックス・センス」「アンブレイカブル」「サイン」など、意表を突いたラストやどんでん返しで有名なM・ナイト・シャマラン。誘拐犯である多重人格者をジェームズ・マカヴォイが熱演し、主役の女子高生をアニヤ・テイラー=ジョイが演じている。脚本もシャマラン自身が務め、原作のないシャマランのオリジナル・ストーリーである。

意表を突いたラストや、どんでん返しの多い作風で有名なシャマラン監督だが、本作に於いて、物語上の「どんでん返し」は存在しない。しかし映画の内容そのものは、多重人格者に誘拐された女子高生たちが無事に逃げ延びる事が出来るのかを描いた「サスペンス・スリラー」だった中盤までから、終盤は「ビースト」という怪物のような人格が登場するモンスター・ホラーへと、突如として変貌を遂げる。そして本編の物語が終了した後に、エピローグ的な形で、シャマランが2000年に監督した「アンブレイカブル」の主人公、ブルース・ウィリス演じるデヴィッド・ダンが登場する。この映画は、ヒーローが誕生するまでを極めてリアルに描いた映画「アンブレイカブル」と世界観を同じくする作品であったのだ、ビーストはヒーローたるデヴィッド・ダンと対決する運命にある「スーパー・ヴィラン(悪役)」だったのだと、観客は最後の最後に知ることになる。これが、観客にとってまさに「意表を突くラスト」になっている。また、「アンブレイカブル」の登場人物のデヴィッド・ダンやミスター・ガラス、「スプリット」の登場人物ビーストやケイシー・クックが1本の映画の中で再登場するシャマラン監督作「GLASS」が、2019年に公開される。

興行的に失敗した2010年製作の「エアベンダー」以来、一時期興行成績では低迷していたシャマラン監督作だったが、本作の前に撮った「ヴィジット」が久々にヒット。そして本作は、全米での興行成績で3週連続トップとなる大ヒットとなり、「シャマラン完全復活」とマスコミは謳いあげた。

『スプリット』のあらすじ・ストーリー

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誘拐された女子高生3人は、地下室らしき場所に監禁されてしまう

情緒不安定で、クラスの中でも浮いた存在の女子高生、ケイシー・クック。クラスの人気者である女子高生、クレア・ブノアの誕生会が催され、クレアは「彼女だけ呼ばないわけには行かないでしょ」と、そんなケイシーもパーティーに招いていた。しかしケイシーは楽しげなパーティーの席でも、クラスメイトの輪に入ることなく、一人でポツンと佇んでいた。クレアの父親はそんなケイシーを見かねて、パーティーの終了後に、クレアと仲良しのマルシアと一緒に、自分の運転する車で帰ろうとケイシーを誘う。言われるままにクレアの父親の車に乗り込んだケイシーだったが、ふとバックミラーを見ると、クレアの父親が持っていた荷物が乱雑に投げ出されていた。クレアの父親に一体何があったのかとケイシーが考えたその時、いきなり見知らぬ男が車の運転席に乗り込んでくる。「車を間違えてませんか?」と問うクレアとマルシアに、その男は催涙スプレーを吹きかけて、眠らせてしまう。クレアの父親は、この見知らぬ男に殴られ気を失っていたのだ。それを見て、怯えながら逃げ出そうとしたケイシーも、スプレーを浴びせられた。こうして3人の女子高生は、見知らぬ男によって突然、拉致されてしまったのだった。

ケイシーが目覚めると、そこはどこかの地下室と思われるような、閉ざされた部屋の中だった。目を覚ました3人の前へ、彼女たちを誘拐した男が現れる。男は、神経質そうに持ってきたイスをハンカチで拭いた後、イスに座り品定めをするように3人を見回してから、「まず君からだ」とマルシアを連れ去ろうとする。マルシアはケイシーに助けを求めるが、ケイシーは「(逃れるために)オシッコをして」とだけマルシアに告げ、マルシアは強引に部屋の外へ連れ去られてしまった。数分後、マルシアは男によって、再び部屋の中へと戻される。男はマルシアとダンスをしようとしたようだったが、マルシアはケイシーの言う通りに排尿をし、潔癖症であろうと思われる男が、尿を漏らしたマルシアをたまらず部屋に戻したのだった。

クレアは戻って来たマルシアを慰めながら、私たちは大丈夫よと、クラスの人気者であるリーダーシップを発揮して、皆を落ち着かせようとする。その時ケイシーは、父親と叔父と一緒に狩りに行った、まだ幼い時のことを思い出し始めていた。

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女子高生たちの前に女装して現れた、女性の人格「パトリシア」

クレアは、私は空手を習っていたし、3人で協力してあの男から逃げ出そうと2人に持ちかける。しかしケイシーは、男がマルシアを軽々と持ち上げていたことからも、私たちではあの男に敵わないと、協力を拒む。クレアとマルシアは、普段はクラスで孤立しているケイシーにも今だけは協力して欲しいと懇願するが、ケイシーはその懇願も拒絶するのだった。

その頃、男は別人格の「バリー」となり、精神科医の元を訪れていた。ケイシーたちを誘拐した男は、多重人格者だったのだ。あなたが死んだら「僕たち」はどうなるのか、僕たちのことを信じる人は他にいるのかと問うバリーに、精神科医のフレッチャーは、バリーが何か不安を抱えているのではないかと考える。しかしバリーはそれ以上何も告げず、また来週ねとフレッチャーの元を去っていった。

ケイシーたちは、戻って来た「男」が、監禁された部屋の外で女性と話している声を耳にする。ケイシーたちを誘拐した男の方針に反対しているような女性の声を聞き、クレアは「私たちはここよ!」と助けを求める。それを聞いて部屋に入って来た女性の姿を見て、ケイシーたちは愕然とする。その「女性」は明らかに、自分たちを誘拐したあの男が女装した姿だったのだ。パトリシアという名前のその女性が去った後、男は再び誘拐した時の姿、「デニス」の人格になって戻ってくる。デニスは、ケイシーたちを「聖なる食料にするため」にここへ連れてきたと告げるのだった。

次にケイシーたちの前に現れたのは、「男」のまた別の人格、純真な子供の姿をしたヘドウィグだった。もうすぐ「何者か」が君たちに会いにここへ来るというヘドウィグに、ケイシーは積極的に話しかける。自分を9歳の子供だと信じ、誘拐を実行したデニスとも女性のパトリシアとも全く「別の人間」であると主張するヘドウィグを仲間にして、ここから逃げる手助けをさせようとケイシーは考えたのだった。ケイシーは、デニスとパトリシアが、「もうすぐここに来る何者か」に、ケイシーたちだけでなくヘドウィグも会わせようとしていると嘘を付き、ヘドウィグに助けを求める。しかしヘドウィグは「”照明”(男の中の様々な人格が、表面へ出てくるための権利のこと)を盗んだからここにいられるけど、デニスに怒られるから長くはいられない。上の人に内緒で、ここを”安全”にしたから」と、ケイシーたちの元を去っていく。

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精神科医フレッチャーの元を訪れた、女性的な性格の人格「バリー」

ケイシーは、ヘドウィグが言い残した「ここを安全にした」という言葉が気にかかり、部屋の壁を叩き始める。『安全にした』ということは、自分たちが逃げられるような通路などを最近になって塞いだのではないか、と考えたのだ。その結果、クレアが天井の一部に、他と違う音がする箇所を見つける。ヒールのかかとで天井の薄い壁を破ると、そこに通気孔へ繋がる格子が見えた。格子を外して必死に天井裏へ上ろうとするクレアを助けようと、ケイシーとマルシアは、戻って来たヘドウィグが入ってこれないよう、懸命にドアを塞ぐ。9歳の子供であるヘドウィグの力は防げた二人だったが、男は再び「デニス」となって戻って来た。そしてデニスの怪力の前に、ドアを破られてしまう。デニスが部屋へ突入する直前、クレアは天井裏の通気孔の中へとよじ登っていた。

通気孔を伝い、監禁された部屋とは違う通路のような場所へたどり着いたクレアだったが、デニスが追って来る声を聞き、通路脇にあったロッカーへと身を隠すが、結局デニスに見つかってしまう。クレアはケイシーとマルシアとは別の倉庫のような場所に監禁され、そしてクレアが逃げ出した天井裏への穴も、デニスが厳重に封鎖してしまった。

精神科医フレッチャーの元へ再び、バリーが訪ねてくる。しかしその人格はバリーではなく、バリーの振りをしたデニスだった。フレッチャーは敏感にそのことを見抜くが、デニスは自分はバリーだと主張する。以前バリーはフレッチャーに、デニスとパトリシアは「ある信念」を持っているため照明を持つことが出来ない(人格として表面に出てくることが出来ない)と言っていたため、デニスの人格がバリーに化けてまで自分の元へやって来たことを、フレッチャーは不審に思うのだった。

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子供の人格ヘドウィグに、助けて欲しいと懇願するケイシー

二人きりで監禁されているケイシーとマルシアの元へ、パトリシアがやって来る。「同姓」である二人を気遣い、二人をキッチンへ連れてきて食事をさせたパトリシアだったが、マルシアが隙を見てパトリシアをイスで殴りつけ、逃亡する。しかし結局パトリシアに追い詰められ、クレアとも違う部屋へ監禁されてしまった。元の監禁場所で一人きりとなったケイシーの前にデニスが現れ、「もうすぐ”ビースト”がやってくる」と告げる。

その夜ケイシーの元へ、ヘドウィグがやって来る。自分を騙したケイシーを責めるヘドウィグだったが、ケイシーには少なからず好意を持っているようだった。ヘドウィグは、以前は「バリー」が他の人格のリーダーだったが、今は力を失い、「ビースト」を信じているデニスとパトリシアが実権を握り、「照明」を盗むことの出来る自分を仲間にしたと語る。ヘドウィグの部屋に行きたい(この監禁場所を出たい)というケイシーを、また僕を騙すのかとヘドウィグは疑ったが、ケイシーは自分の秘密を話すから、それで信用して欲しいと告げる。ケイシーは学校で問題を起こし、いつも居残りをさせられていたが、それは実は他の皆と離れて一人きりになるために、わざと問題を起こしていたのだった。それを聞いたヘドウィグはケイシーを信用し、自分の部屋へ来ることを了承する。

フレッチャーの元へ、再びバリーに化けたデニスが訪れていた。自分はバリーだと言い張るデニスに、フレッチャーは自分の考えを語り始める。以前バリーが職場にいる時に、職業実習に来た女子高生が現れ、バリーの胸を自分たちの胸にあてがい、からかうように笑いながら去って言ったという事件があった。その事件が幼い頃、母親から虐待にあった記憶を呼びおこし、自分たち(他の人格)を守るため、それまでバリーによって抑えられていた、強い人格であるデニスとパトリシアが復活したのだと。多重人格になる前の元々の人格「ケビン」を守るため、サイのように強固な皮膚を持ち、垂直な壁も駆け上がってしまうほどの身体能力を持つ恐るべき人格「ビースト」を信じているデニスが現れたのだと、フレッチャーは告げた。それを聞いたデニスは、デザイナー気質であり「女性的な男性」であるバリーの人格から、凛とした男らしい態度を取るデニスへと表情を変える。フレッチャーは、「会えて嬉しいわ、初めまして」とデニスに握手を求めた。

フレッチャーは、自分の元へメールをしてきて、自分と会いたがっていた人格は誰なのかとデニスに問う。デニスは、それは自分とパトリシア以外の誰かだと答える。そして、自分とパトリシア以外の他の者たち(他の人格)は弱い存在であり、そして(元々の人格の)ケビン自身も弱い存在なのだと語る。ケビンを守れるのは他の人格ではなく、自分だけだと豪語した。フレッチャーはケビンを始めとする解離性同一性障害の患者を研究する中で、一人の人間の中で解離した人格について、ある人格にはアレルギーがあるが、別の人格にはそのアレルギーが発生しないなど、人格それぞれに相応しい肉体を持つよう、その肉体的個性も変えてしまうという考えを持っていた。しかしそのフレッチャーにも、元々の人格の持つ体型を遥かに上回る強靭な肉体と身体能力を持つ、ビーストという人格は突飛過ぎた。フレッチャーは、あなたも会った事がないという「ビースト」は新しい人格ではない、あなたたちが造り上げた妄想なのだと告げるのだった。

ケイシーたちの監禁場所に戻ったデニスはヘドウィグとなり、「いいものを見せるから」とケイシーを自分の部屋に誘う。「CDプレーヤーが、窓の近くに置いてある」という話を聞き、その窓から逃げ出そうと考えていたケイシーだったが、ヘドウィグの部屋には窓はなく、プレーヤーの置いてある傍に、「窓の絵」が書いてあるだけだった。絶望したケイシーは、素直に「自分を逃がして欲しい」とヘドウィグに懇願する。ヘドウィグはそれを拒絶するが、いいものを見せてくれるっていったでしょ、と言うケイシーの言葉に、隠し持っていたトランシーバーを差し出す。それは玩具ではなく実際に使える通信機で、ヘドウィグの制止を振り切りケイシーがスイッチを押すと、外部の何者かと通信が可能だった。「私はケイシー・クック、他の二人と一緒に誘拐されました、助けて!」とトランシーバーに必死に叫ぶケイシーだったが、その時トランシーバーを奪われ泣いていたヘドウィグの人格が、デニスへと移り変わった。デニスは不適な笑みを浮かべながら、ケイシーからトランシーバーを奪い取った。

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監禁された女子高生を見つけ驚く、フレッチャーの背後に忍び寄るデニス

ケイシーを監禁部屋へ連れ戻したデニスは、いつの間にかパトリシアの人格になっており、「デニスが今夜の意味を証明する」とケイシーに告げ、去っていった。その時ケイシーは、ドアの近くにデニスが天井の穴を塞いだ際に落としていったクギを見つけ、密かに隠し持つ。そしてケイシーの元へ、再びデニスとなった人格がやって来る。「ビーストは人類の進化した姿だ。その偉大なる者の前に立てることを、慰めにしてくれ。もうすぐ終わる」と言い残し、デニスは去っていく。

ケイシーは、幼い頃に猟に行った時のことを思いだしていた。叔父のジョンと二人きりになった時、ジョンはケイシーに動物ごっこをしようと誘い、動物は服を着ていないからと裸になり、ケイシーにも服を脱ぐよう強制した。「動物ごっこ」を終え服を着たジョンに、ケイシーは猟銃を向ける。しかしやはり、撃つことは出来なかった。ケイシーはこの過去のトラウマに、今も苛まれていたのだった。その後、父親が若くして亡くなり、ケイシーは唯一の肉親である、この叔父との生活を余儀なくされていた。そのため、ケイシーはいつも学校で問題を起こし、居残りをして家に帰る時間を少しでも遅くしようとしていたのだった。

フレッチャーの元へ、助けて欲しいというバリー名義のメールが続けざまに多数届き、不安になったフレッチャーは、バリーの元を訪れる。デニスとなっていた人格は、フレッチャーを自室へ迎え入れ、幼少期のトラウマについて語り始める。幼い頃、母親に厳しく叱り付けられていたケビンを守るために、別人格のデニスが誕生した。それからデニスを始め、23人もの人格に分裂してしまったケビンだったが、「24人目」となる「ビースト」は存在しないと主張するフレッチャーに、デニスは「俺は嘘をついた。ビーストに会ってないと言ったが、実は会ったことがある。彼は実在する」と告げる。そこでフレッチャーは、以前バリーから聞いていた「ビーストは、不純な若者を食料とする」という話の真否を訪ねるが、デニスはそれを否定しなかった。それを聞いて不安を覚えたフレッチャーは、トイレに行く振りをしてデニスのいる部屋を出て、クレアの監禁されていた場所を見つけ出す。「これは犯罪よ、見逃せないわ」というフレッチャーを、デニスは催涙スプレーで眠らせる。

フレッチャーを眠らせたデニスは、駅へと向かう。デニスは父親が事故死した駅のホームに花を手向け、客が降り無人となった列車へと乗り込む。すると、その体格が徐々に強靭なものへと変化していく。立ち上がった人格は、列車を軽々と飛び越え、恐るべき身体能力を持つ「ビースト」へと変貌を遂げていた。ビーストは監禁場所に戻ると、その変貌した姿を見て慄然とするフレッチャーを抱え上げる。フレッチャーは果物ナイフをビーストに付き立てるが、ビーストの強靭な皮膚にナイフは刺さらず折れてしまった。ビーストはフレッチャーを抱えたまま、その背骨を軽々とへし折った。

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迫り来るビーストから必死に逃亡するケイシー

その頃、監禁場所では、ケイシーが拾ったクギを使い、マルシアは監禁部屋にあったハンガーを使って、それぞれに必死に脱出を試みていた。ケイシーは、バリーの人格がパソコンに残していたビデオを見て、鍵の隠し場所を知り部屋を脱出するが、廊下に出た時、他の部屋のドアが開け放たれているのを知る。恐る恐る開いたドアの中を見ると、マルシアが内臓を食い破られて倒れていた。そして他の部屋では、今まさにクレアがビーストによって内臓を貪り食われているところだった。次にケイシーはフレッチャーが倒れている部屋に辿りついた。そこでフレッチャーが書き残した「彼の名を、ケビン・ウェンデル・クラムと呼んで」というメモを発見する。そこへやって来たビーストに対し、ケイシーは「ケビン・ウェンデル・クラム!」と叫ぶ。ビーストはその動きを止めると、元々の人格であるケビンへと戻っていた。ケビンの分裂した人格は、ケビンの本名をフルネームで呼ばれることにより、元のケビンへと戻るという性質を持っていたのだった。

ケビンはここ数年その人格を現したことがなく、その間の記憶も曖昧なままだった。しかし倒れているフレッチャーを見て、今起きていることの重大さを知り、ケイシーに「自分を殺してくれ」と頼む。その時、ケビンの中から様々な人格が変わる変わる現れ、最終的にヘドウィグの人格になり、ケイシーを責めたてた。ケイシーは再びケビンの本名を呼ぶが、今度はケビンが現れないようデニスやパトリシアが共謀して、ケビンの人格を意識の奥底へ眠らせてしまっていた。そして再びビーストへと変貌を遂げるのを見て、ケイシーはケビンが隠し場所を教えてくれたショットガンを手に逃亡する。

変貌を遂げたビーストの身体能力は凄まじく、ケイシーが放ったショットガンの弾を体に受けても、なお立ち上がって来た。地下室にあった牢屋に逃げ込んだものの、ケイシーはビーストに追い詰められる。その時ビーストは、ケイシーの体に刻まれた、虐待された幾つもの傷跡を見つける。それを見たビーストは、「お前は他の者とは違う。不純な者ではない。失意の者は、より進化した者なのだ!」と叫び、ケイシーを襲うことなく去って行った。

翌朝、地下室の牢屋で座り込んでいたケイシーを一人の職員が見つける。職員と一緒に地下室を出ると、そこは動物園だった。ケイシーたちは、バリーが職員を勤めていた動物園の、地下室に閉じ込められていたのだった。治療を受け、パトカーに保護されたケイシーを、叔父のジョンが迎えに来る。「迎えが来たわよ」という婦人警官を、ケイシーはある意思(叔父の虐待を告発しようという意思)を込めて、じっと見つめていた。

その頃、動物園から逃走したビーストは、デニスの人格となり、ビーストの存在を信じていたパトリシアやヘドウィグの人格と共に、ビーストの誕生を喜び合っていた。パトリシアは最後に、「私たちの強さを、皆に知らしめましょう」と呟いた。

その後、この事件のニュースがあるダイナーのテレビで流れていた。多重人格である容疑者の特徴から、この犯人に「群れ」というニックネームがついたという話を聞いて、ダイナーにいた女性が「15年前にあった事件の、車イスの悪党に似てるわ。あの時も犯人にニックネームが付いたのよ。なんだっけ?」と言うと、脇にいた男性が、「ミスター・ガラスだ」と呟く。その男性は、以前そのミスター・ガラスと対決した、「死なない男」デヴィッド・ダンだった。

『スプリット』の登場人物・キャラクター

デニス / パトリシア / ヘドウィグ / ビースト / ケビン・ウェンデル・クラム / バリー / オーウェル / ジェイド(演:ジェームズ・マカヴォイ)

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ケイシーたちを誘拐する人格「デニス」

元々はケビン・ウェンデル・クラムというひとつの人格だったが、幼少期に母親から虐待を受けたことで別の人格が現れ、最終的にケビンを含む23人もの人格が混在する解離性同一性障害の患者となった。精神科医のフレッチャーの治療を受けながら、多くの人格の中でリーダーである「バリー」は真面目に仕事も続け、社会的生活に支障をきたすことなく過ごせていた。しかしある日、職業実習に訪れた女子高生にからかわれたことで幼少期のトラウマが蘇り、弱い精神の持ち主であるケビンを守るため、幼少期も虐待されたケビンを守る存在だったデニスが現れる。

デニスと女性の人格パトリシアは、強靭なる精神と肉体を持つ「ビースト」という人格の存在を信じており、他の人格からも疎まれるような存在で、それまでは人格として表面に出ることをリーダーのバリーによって抑えられていた。だがこの復活を機に、デニスはバリーからリーダーの座を奪い取り、同じくビーストを信じるパトリシアと、ビーストという怪物に憧れる子供の人格ヘドウィグを味方につけ、ビーストの人格を呼び出すことに精力を傾け始める。

デニスやパトリシアは、「ビーストは不純な魂を持つ若者の肉体を食すことにより成長する」と信じ、バリーをからかった女子高生2人・クレアとマルシアを、ビーストの食料とするために誘拐する。パーティーの帰りにたまたま2人と一緒だったケイシーも、一緒に誘拐することになった。ビーストの人格になると、体格も変化し強靭になり、壁や天井によじ登ることも可能で、ショットガンで撃たれても死なない頑強な肉体となる。ビーストがクレアとマルシアを殺して食したのはほんの手始めで、まだまだ裁かれない不純な魂が世の中には溢れている、苦しんだことのない魂には存在価値などないと考え、その存在を消し去ることを目的としている。

ケイシー・クック(演:アニャ・テイラー=ジョイ)

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情緒不安定で、クラスの中でも浮いた存在の女子高生。幼少期に叔父により性的虐待を受け、叔父を殺そうと思ったが果たせなかった。父親が若くして亡くなってからは、母親もすでに死んでいたため、唯一の身寄りである叔父と生活することを余儀なくされていた。そのため、学校でわざと問題を起こす「問題児」となり、学校に居残りをさせられるよう仕向け、なるべく家に帰る時間を遅くしようと(叔父と過ごす時間を短くしようと)していた。クラスの人気者であるクレアとその友達のマルシアと共に、多重人格者ケビンに誘拐される。クレアとマルシアが脱出するための協力を要請しても、逆らっても無駄だと協力することを拒んでいた(デニスの人格に連れ去られそうになったマルシアに「オシッコをして!」と助言するのは、叔父の虐待を受けていた自らの体験に基くものと考えられる)。凶暴かつ強靭な肉体を持つ人格・ビーストとなったケビンに殺されそうになるが、ケイシーが叔父から受けた虐待の跡を見たビーストは、ケイシーが自分と同じ「傷ついた者」だと知り、ケイシーの命を奪うことなく去っていく。一人救出されたケイシーはこの事件を経て精神的に強くなり、自分を迎えに来た叔父を告発しようと決意する。

カレン・フレッチャー医師(演:ベティ・バックリー)

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