パラサイト・イヴ(Parasite Eve)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『パラサイト・イヴ』とは、1998年3月29日に発売されたプレイステーション用ソフト。
ジャンルはシネマティックRPGで、美しいムービーは当時話題となった。
瀬名秀明氏による同名ホラー小説を原案とし、ゲームオリジナルのストーリーが展開される。
主人公のアヤは、突然起こった人体発火事件をきっかけに、太古から人間の細胞に寄生してきたミトコンドリアと人類の存亡をかけた戦いに巻き込まれていく。

Day1【共鳴】

舞台上にいるメリッサはネオ・ミトコンドリア「イヴ」に支配されてしまっていた。

1997年12月24日、クリスマスイヴのニューヨーク。
新米刑事のアヤ・ブレアはボーイフレンドと共に、オペラを観るためにドレスアップしてカーネギーホールにいた。
舞台上では新進のオペラ歌手メリッサ・ピアスが歌っていた。
メリッサの目が光り、舞台の上から、大勢の観客の中にいたアヤを視認した。
すると突如、メリッサの様子がおかしくなり、メリッサと同じ舞台上にいた俳優たちの体が次々と炎に包まれた。

それを見て、観客たちは悲鳴を上げながら席を立って逃げ惑う。
だが、その観客たちまでもが次々と発火していく。
瞬く間に、劇場内は火の海と化した。
しかし、何故かアヤだけは、発火しなかった。
アヤはボーイフレンドを早く逃げろと突き飛ばし、自分はドレス姿のまま銃を構えて舞台へ駆け寄る。
舞台にはメリッサ1人だけが立っていた。
メリッサは発火していないアヤを見て、自分と同じ力を持つ者だと言う。

メリッサは自分はオペラ歌手メリッサではなく、ミトコンドリア「イヴ」だと名乗った。
ミトコンドリアとは、多くの生命が持つ細胞内の小器官であり、通常は核細胞の支配下にあるものである。
だが、そのミトコンドリアが覚醒してネオ・ミトコンドリアとなり、核細胞を逆に支配するという事象が起こっているのである。
核細胞を支配されてしまったメリッサは、ネオ・ミトコンドリアに体を支配されてしまったのだ。

イヴはアヤに自分の仲間にならないかと語り掛ける。
アヤはこれを拒否するとイヴはアヤに攻撃をしかけてきた。

アヤはイヴと戦う。
アヤに追い込まれたイヴは、床に穴を開け、下水道へと逃げ込んだ。
下水道は、イヴによって細胞をミトコンドリアに支配され、モンスター化したねずみが跋扈していた。
アヤはそれらを倒しながらイヴの後を追う。

劇場地下の楽屋の稽古場まで追い詰められたイヴは、「核(細胞)の支配は終わった」と言い、異形の姿に変身し、アヤに襲い掛かる。
アヤに攻撃され、劣勢になるとイヴは、「ミトコンドリアが解放される日がやって来た。お前は分からなくともミトコンドリアは理解している」と言い残し、体をゲル状に変形させて下水道の奥へと消えた。

Day2【融合】

クランプ博士の元へ話を聞きに行くアヤたち。

オペラ座で起きた人体発火事件から一夜明けた。
アヤは唯一の生存者だったため、マスコミから注目を浴びる。
アヤのいるニューヨーク市警17分署でも、この事件の捜査が始まった。
アヤとコンビを組むダニエルは、アヤから事情を訊くと、ミトコンドリアについて研究しているという人物がいると教えてくれた。その人物はハンス・クランプ博士という。

ダニエルはメリッサという女性についての調査結果を教えてくれた。
彼女は身寄りがなかった。そして体が弱く、いつも何かの薬を服用していた。
事件直後、メリッサのアパートも全焼したらしく、薬も通っていた病院も不明だという。

アヤたちはクランプ博士のいるアメリカ自然博物館へと向かう。
クランプ博士は、ミトコンドリアが熱エネルギーを発生させて、人体を発火させることもできるという可能性を示唆したが、アヤたちが事件について聞くと口をつぐんでしまう。
アヤとダニエルはクランプ博士の研究室から追い出され、仕方なく署へ戻ろうとしたとき、事態に進展があったと署から報告を受ける。

アヤたちが署へ戻ると、中止になったはずのメリッサのソロ・コンサートのために、セントラルパークの野外音楽堂に観客が集まっているという事実を知る。
ダニエルは、息子のベンと妻のロレーンがそのコンサートを見に行く予定だったことを思い出し、急いでセントラルパークへと向かった。
アヤもダニエルの後を追ってセントラルパークに向かう。
昨夜のカーネギーホールのような惨劇がまた起きるかもしれない。
ダニエルは家族を救おうとパーク内に入ろうとするが、ダニエルの体が燃えそうになり、入ることができない。
しかしアヤはパーク内に入ってもなぜか今回も燃えなかった。
アヤはダニエルを残し、単身ダニエルの家族を探すためにパーク内に入って行った。

アヤがパーク内の音楽堂に着くと、舞台の上に浮遊するイヴがいた。
そのイヴを囲むように、うつろな表情でたむろする大勢の観客たちがいた。彼らはイヴに支配されているようだった。
イヴは、舞台上から「今宵から我々ミトコンドリアが宿主である核を支配するのだ」と宣言する。
その途端、観客たちの身体はゲル状に溶けて液状化してしまい、巨大なスライムに一体化してしまう。
その中にはダニエルの妻・ロレーンの姿もあった。

アヤが舞台に近づくと、イヴは舞台から宙に浮いたまま逃げていく。
イヴは通りに止まっている馬車の前にいた。イヴに追いついたアヤは「何故こんなことをするの?」と問いかける。
しかしイヴはそれには答えず、アヤに馬車に乗るように誘う。
アヤが馬車に乗ると、突如、馬車を引いていた馬が発火し、通りを疾走し始める。
イヴは宙に浮いたまま、馬車のアヤと激しい戦いを繰り広げる。
「私より赤の他人につくのか」と、謎の発言をするイヴ。
馬車に乗ったままのアヤが訝しんでいると、宙に浮いているイヴはアヤに、「自分が誰だか知らないようだ。私とおまえは元は…」と言いかけた時、馬が燃え尽きてしまい、馬車はそのスピードのまま放り出されてしまう。
アヤは、その衝撃で、馬車の中で気を失ってしまい、イヴはどこかへ消えてしまった。

セントラルパークでは、イヴによって多くの観客のミトコンドリアが支配されてしまい、ゲル状のスライムになってしまった。政府はこれ以上の犠牲を出させないため、ニューヨークの人々を避難させることにした。

Day3【淘汰】

警察犬シーバの変わり果てた姿。

気を失っているところを、通りがかった日本人の化学者・前田邦彦に助けられたアヤ。
前田はアヤに付着していたゲル状のものが気になっていた。
アヤを探していたダニエルと合流し、3人でミトコンドリアについて調査することになった。
前田によれば、実は日本でも、3年前にミトコンドリアに関する事件が起こっていたという。
前田は、ニューヨークでもミトコンドリアの事件が起きたと聞きつけて調査にやってきたのだった。

前田が研究設備のあるところに連れて行って欲しいというので、アヤとダニエルは、アメリカ自然博物館内のクランプ博士の研究室に彼を連れて行くことにした。
アヤは、セントラルパークの一件で、今はマンハッタン島外への避難命令が出ているため、クランプ博士も避難して研究室にはいないだろうと考え、その隙に研究室の設備を前田に使わせようと思った。
アメリカ自然博物館内にあるクランプ博士の研究室へ向かうと、アヤの予想通り博士は不在だった。
前田は、研究室の設備を使って、アヤの上着に付着していたゲル状のものの正体を調べようと実験を始める。
そのゲル状のものはどうやらイヴの細胞の一部らしいことがわかった。

前田は、まず自分の細胞とイヴの細胞、アヤの細胞とイヴの細胞をそれぞれ合わせる実験を行う。
すると、前田の細胞の核はあっというまにイヴの細胞に支配されてしまった。
だが、アヤの細胞はイヴの細胞を跳ね返してしまったのだ。
イヴのミトコンドリアは驚くべき進化により核との共生関係を逆転し、核を支配してしまう。
対してアヤのミトコンドリアは、核を保護強化し、イヴの支配を受け入れないよう対抗していた。
ダニエルは、クランプ博士のパソコンに、臓器移植の適用を判断する為のリストを発見する。
そこにはダニエルの妻・ロレーンと息子のベンの名前も書かれていた。

その時、避難したと思っていたクランプ博士が研究室へ戻ってきた。
前田の実験結果を見たクランプ博士は、既にその結果を知っている様子だった。
ダニエルがリストの件を問い詰めるも、クランプ博士はなにも語らず、アヤたち3人を研究室から追い出してしまう。
3人は、クランプ博士の態度から、今回の一連の事件について彼が深く関与していることは間違いないと結論付けた。
アヤたちは、クランプ博士について詳しく調べようと署に戻った。
ところが、署内は何者かに襲われたようで、荒らされ犠牲者も出ていた。
イヴの襲撃を受けたのだと直感したアヤは、発火の恐れのあるダニエルと前田を残し、単身でイヴを追う。

署の地下に行くと、ダニエルの息子ベンとベイカー部長がいた。
ベンは昨日セントラルパークの野外音楽堂にいたが、母とはぐれてしまい、アヤがイヴと戦っている隙にパークを出て父のダニエルの元へ戻っていて無事だった。
2人とともにいた警察犬が、アヤが来た瞬間、異形の姿へと変身し、襲い掛かってきた。
アヤは変身した警察犬を倒し、2人を保護した。
警察犬はベイカーの元相棒で、ベンとも友達だった。
イヴのせいで警察犬がクリーチャー化したため、ベンは警察犬の仇を取って欲しいとアヤに頼むのだった。

DAY4【受胎】

病院でマヤの幻影を見るアヤ。

「なぜイヴは警察を襲ったのか?」と、アヤは前田に意見を求めると、「かく乱が目的だったのでは?」と答える。
前田は、現在のイヴはあくまでもメリッサの体に寄生しているにすぎず、やがて肉体の限界がきてしまうため、完全体とよばれる肉体を手に入れようとしているのではないかと語る。
イヴはそのことを悟られないよう、警察を襲ってアヤたちの目をごまかそうとしたのだろう、ということだった。
イヴは、人工授精を行っている病院で、精子を手に入れ自らの体で完全体を産もうとしているのだった。

ダニエルとベン、ベイカー部長は17分署再建のため署に残り、アヤと前田は病院へと向かう。
病院でイヴの気配を感じたアヤは、発火の恐れのため前田をその場に残し、単身病院へ乗り込む。
そこで、アヤは不思議な少女の幻を見る。
アヤは少女の幻影を、マヤと呼んだ。
よく思い出せないが、アヤは昔この病院に来たことがあるような気がした。
それは自分と、マヤという少女の記憶だった。
マヤはアヤの姉で、母親と共に事故で死んだはずだった。

さらに奥へ進んだ部屋で、臓器移植時に拒否反応が起こるかどうか、というリストを見つけ、そこにはダニエルの妻子の名前が記されていた。
そのリストはクランプ博士の研究室のパソコンにあったものと同じだった。
そしてそのリストに名前のある人物たちは、セントラルパークへ出かけていった観客たちであり、ダニエルの妻も含め、全員ゲル状のスライムと化していた。

入院患者の記録にはマヤとアヤの母親の名もあった。
アヤの姉のマヤと母親のマリコは交通事故でこの病院へ来ていたという記録があり、そして両名ともに死亡していた。
そこにはメリッサの記録もあり、彼女は臓器移植手術を受け成功したが、その後は投薬治療をおこなっていたようだ。
アヤはメリッサの入院日とマヤが運び込まれた日が同じだったことに気付く。

そのころ軍隊も出動を始めていた。
カーネギーホール・セントラルパークの惨劇を繰り返すわけにはいかない、とニューヨークから全ての人を避難させた後、イヴを抹殺するため爆撃を行おうとしていた。

病院の屋上にイヴはいた。
イヴは人工精子を手に入れていた。
アヤはイヴと対峙するが、イヴはアヤが自分と同様に進化していると言い、仲間になるよう説得してくる。
アヤは自分は人間であると言い、罪のない人々を殺したり異形の姿に変えたりするイヴにアヤは反発する。
イヴはアヤと理解しあえぬことを嘆き、姿を消した。

そこにダニエルが現れ、情報が手に入ったと言う。
その情報とは、病院の医者が移植患者のリストをクランプに横流ししていたこと、博物館を深夜にメリッサが訪れているのを目撃されているということだった。
やはりイヴとクランプ博士は繋がりがあったのだ。
病院からクランプに横流しされていたリストは、彼の研究室にあったリストであり、イヴとの関連性は詳しくはわからなかったが、クランプがイヴのために研究していた人工精子の臨床実験に使用された可能性がある。
そのためか、そのリストに載っている人物たちはイヴの支配を受け入れ、ゲル状のスライムに変えられてしまった。

アヤたちはイヴの行方を探すことにした。

DAY5【解放】

崩れた自由の女神の前でイヴと戦うアヤ。

チャイナタウンで、ゲル状スライムの痕跡を見つけるアヤ。痕跡を追うとセントラルパークで見たゲル状のスライムたちが博物館の方角へと向かっていた。

彼らがイヴのところへ向かっているのではないかと考えたアヤは、博物館へと向かう。
博物館でクランプ博士の姿を見つけたアヤは、後を追っていく。
クランプの研究室に入ると、そこには前田がいた。なぜか今は発火現象が起こらないため、研究室を調べていたらしい。前田は、発火現象が起こらない理由をイヴの肉体に限界が近づいてきているからではないかと推測した。
アヤがダニエルが一緒にいないことをいぶかしむと、前田は、ダニエルは病院で調べ物があるといって途中で別れたという。
前田は対イヴ用に作ったという特製の拳銃をアヤに渡す。

研究室にはMayaと書かれた血清があり、Eveという研究コードがついていた。
それをなんの実験に使用したのかはわからなかったが、クランプ博士はマヤの肝細胞を培養していたのだ。
そして最近ではイヴに完全体を産ませるために人工精子の研究をしていた。
不純な核遺伝子のない精子を作り、それを病院の精子バンクへ移し、人工授精を望む人に受精させ臨床実験を行っていたようだった。

そこへクランプ博士が現れた。
彼はイヴを使って完全なるミトコンドリア生物を作り出そうとしたのだ。
クランプ博士はその邪魔をしようとするアヤに、メスを持って襲い掛かってきたが、そこへ入ってきたダニエルによって取り押さえられる。

捕らえられたクランプ博士は、アヤたちに語る。
ミトコンドリアには父系と母系があり、日本では父系が反発したため失敗したという。
そこでクランプはイヴのために父系を排除した人工精子を研究した。
イヴはメリッサの体をかり、クランプの作った人工精子で受精し、既に妊娠中だという。
クランプ博士はこれで自分の役目は終わったと言う。

すべてを語り終えた後、クランプはイヴに語り掛けるように、発火現象を起こせと呟いた。
自分たちも燃えるかもしれないと、ダニエルと前田は急いでその場から逃げる。
クランプ博士はそのまま燃えて死んでしまった。

イヴはこの博物館のどこかにいると確信したアヤは、クランプ博士の持っていた鍵を使ってイヴのもとへとたどり着く。
イヴの体は妊婦だった。
そこへゲル状のスライムたちが集結し、ひとつの巨大なゲル状の物体になりイヴを包み込むようにしてどこかへ連れ去った。

アヤが博物館を出るとダニエルと前田がいた。
ダニエルがメリッサについて調べていたことを語る。
メリッサが服用していた薬は免疫抑制剤で、メリッサは幼い頃、アヤの姉のマヤの腎臓を移植されていた。
事故にあったマヤと母親はドナー登録をしていたため、腎不全だったメリッサへ移植することになったのだ。
その移植手術に立ち会ったのが、クランプ博士だった。移植の際にマヤの腎臓に触れた者は熱いと言った。
つまりイヴのオリジナルは元々マヤに寄生していたのだ。
メリッサには、移植したマヤの腎臓が拒絶反応を起こさぬように免疫抑制剤を与え続けたようだ。
その結果、メリッサはイヴに体を奪われることになってしまった。

その頃、ついに軍隊に命令がくだり動き出す。自由の女神前にいた巨大なゲル状の物体は妊婦のイヴを外敵から守るように包み込んでいた。
軍隊ではその物体に近づくだけで発火させられてしまい攻撃することすらできない。
そこで、軍は唯一カーネギーホールでも発火しなかったアヤに協力を仰ぐことになった。
アヤは軍の空母へ招へいされ、自動運転のヘリに単独で乗り、時限爆弾をゲル状の物体へ撃ち込むという作戦を実行するよう命じられる。

アヤはヘリから爆弾を撃ち込み、ゲル状の物体を爆破させることには成功したが、イヴはまだ生きていた。
アヤはヘリからパラシュートで地上に降り、ゲル状の物体が溶けた跡へ向かう。
そこにはイヴがいた。
イヴは人間を繁栄させてきたのは自分たちミトコンドリアだという。いわば、人間は自分たちミトコンドリアの乗り物のようなものだと言う。
人間は自分たちミトコンドリアのために文化を発展させ生活環境を整えてくれた。
環境が整った今こそ、人間に代わってミトコンドリアが地上を支配するときが来たのだと言う。
しかしアヤのミトコンドリアは、人間の細胞の核と共存することを選んだ。
イヴはそんなアヤとは永遠にわかりあうことはないようだと言い、2人は戦う。
激闘の末、イヴは倒れ、ゲル状になって溶けていった。

DAY6【進化】

ついに生まれてしまった「完全体」。

イヴを倒したと歓喜に湧く軍の兵たち。
アヤは軍の巡洋艦で補給を受けていた。
前田とダニエルもアヤをねぎらいにやってくる。
しかし溶けたはずのゲル状の中から生命体が動きはじめる。
ゲル状になったイヴの胎内から完全体の赤ん坊は生まれていたのだ。
完全体の赤ん坊は、強力な力を持ち、発火よりも強い力で軍の巡洋艦を次々と爆破させた。
このままではアヤたちの乗っている巡洋艦も危ない。
脱出するよう兵たちがヘリを用意したが、アヤは残って完全体と決着をつけると言う。
前田はアヤに渡したいものがある、と言っていたがダニエルに無理やり連れていかれて共に軍のヘリで脱出した。

完全体の赤ん坊はアヤのいる巡洋艦に乗り込んできた。
完全体とアヤ、ミトコンドリアと人間のどちらが生き残るのか、最後の戦いが始まる。

完全体の赤ん坊は急速に進化を続け、異形の姿に変化し、アヤの攻撃も通用しなくなった。
ヘリの中で、苦戦するアヤを見守っていた前田は、アヤの細胞の入った特別な弾丸をアヤに届けたかったという。
ダニエルはその弾丸を前田から受け取って、ヘリから飛び降りる。
空中でダニエルの体は発火したが、アヤに向かって弾丸の入った弾倉を投げ、そのまま海へと落下していった。

ダニエルを心配しつつも受け取った弾倉を拳銃にこめるアヤ。
この拳銃の弾丸は絶大な効果を発揮し、アヤは完全体を倒した。
だが、なおも完全体はしぶとく生きており、ずるずるとはいずってアヤへと迫る。
そこでアヤはこの巡洋艦ごと完全体を爆破しようと考えた。
戦艦のエンジンの出力をあげ、完全体もろとも巡洋艦は大爆発した。
アヤは間一髪で海へと逃れた。
ダニエルも発火したものの、海へ落ちて無事だった。

エピローグ

ラストシーン。観客たちの目が怪しく光る。

アヤはダニエルと前田とともに、この数日を振り返る。「何故、自分にこんな力があったのだろうか?」と。
前田はイヴの調査をした際に得た情報をアヤに語る。
実はアヤは右目が弱く、幼い頃にマヤの角膜を移植してもらっていたのだ。
マヤの角膜の細胞はイヴとは違い、アヤの細胞との共存を選び、イヴとは逆の進化をたどったのだった。
そのためアヤにはマヤの幻影が、時折フラッシュバックするかのように見えていたのだった。
マヤがアヤの中でイヴに対抗する力を発揮してくれていたのだ。

事件は終わった。
アヤはダニエル、ベン、前田を連れて、オペラ鑑賞に向かう。
前田はアヤへの想いを伝えようとするが、ダニエルやベンに邪魔され、うなだれる。
そしてオペラの幕が上がる。
ヒロインが歌いはじめると突然、舞台上から炎があがる。
まるでメリッサの時のように。
驚いて立ち上がるアヤたち。
だが、それは舞台の演出だった。
アヤたちはホッとして、席に座るのだった。

舞台を見ているアヤの目の奥底で細胞が怪しく光を放つ。
ダニエルや前田、会場にいるすべての観客の目が光ったように見えた。
それはまるでカーネギーホールで見たメリッサのように。

EX(2周目以降の隠しダンジョン)【真実】

クライスラービルは自動生成ダンジョン。敵を倒して上へ進む。

クライスラービルの最上階を目指して進むアヤ。
上の階に上がるごとに敵が沸き、ゲル状の物体が床一面に広がる。
ついに77階に到達したアヤは、そこでオリジナル・イヴ=マヤと出会う。
マヤは幻影などではなく、確かにここに存在していた。
クランプ博士はアヤにマヤの角膜を、メリッサに肝臓を移植した後も、マヤの肝細胞の培養を行い研究していた。
そしてマヤの細胞の中にイヴを見つける。

イヴの依り代となったメリッサは完全体を生むために自由の女神の前に巨大なゲル状の物体に包まれている。
その一方で、イヴのオリジナルは、このクライスラービルに巣を作り、万一メリッサが完全体を産むのに失敗し、消失したとしても、オリジナルの純血種だけは生き残るために、この場に居たのだった。

ここに存在するマヤの体はクランプ博士により、肝細胞から作られたもののようだ。
マヤの身体にいるオリジナル・イヴは、マヤの意識は、事故で死亡した時の少女の記憶のまま、まだ生きていると言う。
そのマヤの意識を、オリジナル・イヴは飲み込もうとしていた。
意識を飲み込まれたマヤの肉体は、オリジナル・イヴに支配されてしまう。

姉であるマヤの肉体と戦うことにアヤは戸惑いを覚えながらも戦い、マヤの肉体ごとオリジナル・イヴを葬り去った。

マヤを再び失うことになって悲しむアヤ。
だが、突如、自分の身体が熱を帯びるのを感じた。

次のオリジナル・イヴが、アヤの身体で目覚めたのだ。
マヤの角膜を移植された時にアヤの体の中にいたイヴが、先ほどまでマヤの体の中でオリジナル・イヴと名乗っていたミトコンドリアが滅ぼされたことにより、オリジナル・イヴとなったのだ。
今現在、アヤの中のミトコンドリア=オリジナル・イヴが進化の頂点にいる。
ミトコンドリア同士が淘汰しあい、強者のみが生き残った。それが進化だとアヤの中のオリジナル・イヴは言う。

「目覚めよ…」とアヤの身体の中からオリジナル・イヴの声が聞こえ、アヤは身体の自由を奪われそうになる。
その時、アヤの身体の中からもう1人の声が聞こえた。
その声はマヤだった。
マヤの核細胞はアヤの核細胞との共存を望み、アヤの身体の中で眠っていたが、アヤの危機に目覚めたのだった。
マヤの核細胞は、アヤの体内でオリジナル・イヴの細胞に打ち勝ったのだ。
オリジナル・イヴの細胞を封じ込めたマヤの核細胞はアヤの体内で再び眠りについた。
すると、アヤのミトコンドリアの持つ不思議な力は消え去り、普通の人間と同じになった。
アヤは自分の核細胞の中で眠るマヤに語りかける。「一緒に家に帰ろう」と。

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