ジュラシック・パーク(Jurassic Park)のネタバレ解説まとめ

『ジュラシック・パーク』とは、1993年に公開されたSF映画である。スリラー、ホラー、パニック、アクション、ドラマなど様々な要素で構成されている。マイケル・クライトンによる同名小説を原作としており、監督はスティーヴン・スピルバーグ。後に続編が公開されるジュラシック・パークシリーズの第1作。
バイオテクノロジーにより作られた恐竜が暴走し、恐竜に追われる恐怖と、仲間を守ろうとする主人公達の絆を描いており、生命や科学技術に関する倫理観が問われている。

劇中、恐竜の胚を盗むためにシェービング・クリームに偽装した冷却ガス保管容器や、ツアー車内でティムが見つける暗視ゴーグルなど変わったアイテムが登場する。
これらはユニバーサル・スタジオ公認の公式レプリカがChronicle Collectiblesより発売されている。また、このシェービング・クリームの外観はバーバソルという実在するメーカーの製品。

『ジュラシック・パーク』のメイキング

科学的考証

プロダクション・デザイナーのリック・カーターおよびスピルバーグは、本作をリアルな映画とすることを目指したという。彼らは『ゴジラ』『原子怪獣現る』『怪獣ゴルゴ』などの映画を高く評価していたが、それら「怪獣映画・モンスター映画」とは差別化を図った「動物映画」にしたかったと語っている。故に、本作は専門家の意見も多く取り入れられている。

それまでの恐竜は爬虫類の一種とされていて、コモドオオトカゲのように地面を這いつくばって移動する動きの鈍い生物として描写されることが多かった。しかし、古生物学者のロバート・バッカーにより恐竜は爬虫類のような気温に左右され行動が制限される冷血動物(変温動物)ではなく温血動物(恒温動物)であると提唱され、本作以降は動きの素早い生物として描写されるようになった。バッカーは本作の制作にも参加し、アニメーターに恐竜の身体的な特徴についての情報を教えるなどを行ったという。
例として、劇中でT-レックスは雨が降る夜でも問題なく行動している。「恐竜は冷血ではなく温血」というセリフは劇中でも使用されている。

同様に、世界で最も有名な古生物学者の1人であるジャック・ホーナーも本作にテクニカルアドバイザーとして参加。

劇中では恐竜は蚊からDNAを採取して再生させたとされているが、数千万年前のDNA情報はほぼすべて損傷されるため、この方法では現実には不可能とされている。

脚本

脚本は原作者のマイクル・クライトンが主に執筆。原作では冗長だったカオス理論の解説などが映画ではかなり簡略化されている。
クライトンは原作小説の執筆中の段階で既にスピルバーグに本作のことを話しており、「君が監督を引き受けるのなら、この小説の映画化の権利は君にあげるよ」と語っていたという。クレジットされていないが、スピルバーグの前作『フック』の脚本を担当したマリア・スコッチ・マーモも本作の脚本を推敲している。クライトンの脚本を何度か書き直したところ、スピルバーグはその出来に納得できず、マーモは降板。新たな脚本家としてデヴィッド・コープが起用された。

CG・視覚効果について

本作の恐竜はすべてCGだと思われがちだが、映画本編でCGが使われたシーンはわずか7分間。

多くのシーンはアニマトロニクス(恐竜や動物のロボット)によって表現されている。アニマトロニクス担当のスタン・ウィンストンはジェームズ・キャメロン監督の親友であり、『ターミネーター』シリーズや『アイアンマン』にも参加した特殊効果の巨匠。スピルバーグは可能な限り実物の使用を望んでいたため、本作では高さ6mもある等身大のT-レックスのアニマトロニクス・ロボットが製作された。

CGはブラキオサウルスのように大きすぎる恐竜や、ガリミムスのように動きの激しい恐竜に効果的に用いられた。

T-レックスのアニマトロニクスのリハーサルシーン。

これら恐竜のアニマトロニクスはかなり出来がよく、撮影は非常にスムーズに進み、スピルバーグは「『ジョーズ』のときに比べたら夢のようだ」と語っていたという。スピルバーグがかつて『ジョーズ』を撮影した際にはサメのロボットは故障ばかりで大変だったため、撮影終了時には「(こんな撮影現場には)二度と戻らないぞ!」と叫んだという逸話がある。ただし、劇中の雨のシーンでの撮影では水を吸って重くなり、故障が発生することもあったという。

恐竜以外のCG

また、CGは恐竜のみに使用されたわけではない。

上記のシーンでは、T-レックスはCGで下の車は実物だが、T-レックスが噛みついているタイヤの部分もCGである。

上記のシーンでは、屋根裏に隠れていたところレックスがラプトルに下から攻撃され、危うく落ちかける様子が描かれるが、このシーンで演じているのはレックス役のアリアナ・リチャーズ ではなくスタントウーマンである。落ちかけて這い上がる途中で一瞬レックスが顔を上げて表情が映るが、これは顔の部分だけリチャーズの表情にCG合成したもの。

モーション・アニメ-ション

ゴー・モーションによる試作映像。

制作段階で、当初は恐竜の動きはゴー・モーション(ストップ・モーションの一種)のアニメーションで表現する予定だったが、ILMのデニス・ミューレンが制作したフルCGによる映像があまりに見事だったため、モーション・アニメーションの担当だったフィル・ティペットは「もうモーション・アニメが使われることはなくなる。僕らは"絶滅"だ」と語ったという。このエピソードをもとに「絶滅」というセリフが本編でも使用されている。
このときデニス・ミューレンが制作したのはガリミムスの群れが骨格の姿で走る映像とT-レックスが歩く映像。最初のテスト映像を視聴した際は特殊効果の巨匠レイ・ハリーハウゼンも同席しており、「ここに君の未来がある」とスピルバーグに語っていたという。
しかし、フィル・ティペットもプロジェクトから完全に降りたわけではなかった。ミューレンは恐竜の動きを再現するにはゴー・モーションが適していると考え、ティペットを説得し、アニメーションの指導を担当してもらった。その結果、本編ではゴー・モーションの動きをCG補完するという作業が行われた。

エンディング

本編の撮影中だったにもかかわらず、スピルバーグはクライマックスのシーンを変更した。
当初の予定ではエントランスホールで、グラントがクレーンでラプトルをT-レックスの骨格の顎の部分まで誘導し、押しつぶして倒すという展開の予定だった。
しかし、スピルバーグはT-レックスの出来があまりに見事だったため、もしこのまま登場させずに終わったら観客はがっかりすると考えた。その結果、最後にT-レックスを再登場させる展開に至った。また、本作のテーマの一つが「人間は自然の力の前では無力」というものだったため、人間だけの力で助かる展開よりもふさわしいと考えたという。

受賞

アカデミー賞を受賞した際の写真。
左からデニス・ミューレン、スタン・ウィンストン、フィル・ティペット、マイケル・ランティエリ。

このような過程を経て制作された本作は、第66回アカデミー賞で特殊視覚効果賞を受賞。デニス・ミューレン、スタン・ウィンストン、フィル・ティペット、マイケル・ランティエリに贈られた。

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