ロッキー・ザ・ファイナル(映画)のネタバレ解説まとめ

『ロッキー・ザ・ファイナル』とは、2006年製作のアメリカ映画。シルヴェスター・スタローンの出世作にして代表作「ロッキー」シリーズの6作目。スタローンが監督・脚本・主演を務め、第5作から16年ぶり、第1作から30周年を迎えた伝説のシリーズを締めくくる。現役を引退し、愛妻エイドリアンにも先立たれ、一人息子ジュニアとの関係もこじれて満たされない日々を送るロッキーが、ある決意を胸に無謀な復帰戦に挑む姿を、彼の人生の思い出の数々をちりばめつつ熱く感動的に綴る。

ディクソンのマネージャーからエキシビションマッチを申し込まれ、降って湧いた大きな舞台に二の足を踏み、返事を保留にしたロッキー。
ロッキーは自分の店で働き出したマリーを車で家に送る際に、彼女の意見を聞くのだが、そこでマリーは、「あなたが心から闘うことを望んでいて、また、闘うべき試合なら闘いなさい」とロッキーを励ました。そして最後にロッキーにこの言葉を送った。

それまで控えめな態度に徹していたマリーだが、ロッキーを勇気づけるこのセリフが彼の復帰を促す決定打となる。またこの会話のシーン以降、彼女はロッキーにとってかけがえのない存在へと変わっていく。

人生ほど重いパンチはない。それでも、どんなに強く打たれてもずっと前に進み続けることだ。

ロッキーとディクソンとのエキシビションマッチが決まり、記者会見が行われた。その様子はテレビでも放送され、ロバートも行き付けの店のテレビで目にしていた。その夜、店を訪れたロバートはロッキーを外に呼び出すと、偉大なボクサーだった男の息子であるが故の苦悩をぶつけ、今度の試合に対して「これ以上俺を苦しめるようなことをしないでくれ」と懇願する。ロッキーは逆に困難に立ち向かうことの大切さを説き始める。「お前は変わってしまった。人に面と向かって馬鹿にされても平気な人間に成り下がった。困難にぶつかる度に自分のふがいなさを父さんの影のせいにした。」と言い、このセリフを続けた。

本作においては、過去のシリーズの中でもより多くの名言があるが、中でも一番深い印象を残すのがこの台詞。
シリーズ全ての脚本を執筆して来たスタローンの、主人公”ロッキー”を介した彼の人生哲学が、このシーンの一連のセリフであることは間違いない。困難や重圧に遭遇した時にどう向き合うかを、ロバートに、そして自分自身にも言い聞かせているのであろう。

ロッキーコールに沸く感動のラストシーン

ロッキーとディクソンのエキシビジョンマッチは、ディクソンの早々のKO勝ちという大方の予想を覆した。試合は激しい乱打戦となり、ついに最終第10ラウンドに突入。ディクソンの渾身のパンチがクリーンヒットし、ロッキーは片膝をついてダウンした。朦朧とする意識の中で彼の脳裏に蘇ったのは、かつて困難に立ち向かう意志の大切さをロバートに説いた「何があっても決してあきらめずに前に進み続けろ。」という自らの言葉だった。ロッキーが立ち上がると観客は総立ちになりロッキーコールが沸き起こった。残りは2分。両者は激しく打ち合い続け、ついに試合終了のゴングが鳴り響いた。そのままお互いに敬意を表して抱き合うロッキーとディクソン。ロバート、ポーリー、デューク、そしてマリーとステップスも皆、感動の涙を流し互いに抱き合った。ディクソンのトレーナーは「本物のボクシングを教わったな!」とディクソンに言い聞かせるようにロッキーを讃えた。ロッキーは判定を聞く前にリングを下り、判定を読み上げるリングアナウンサーの声を背に受けながら、大歓声に包まれて誇らしげに会場を去って行く。

試合は2-1の判定でディクソンが勝利したが、ロッキーには結果などどうでもよかった。ただ試合を最後までやり切ったことに意味があったのだ。
両手の拳を挙げて応えるロッキーの姿、それは、すべての「ロッキー」ファンに捧げる人生の勝利報告であり、シリーズを締めくくるシリーズ最高のラストシーンとなった。

『ロッキー・ザ・ファイナル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ディレクターズカット版収録のアナザーエンディング

セルDVDの「特別編」にはいくつかの特典映像が収録されているが、劇場公開時とは違うバージョンのエンディングも特別収録されている。
それは最後のラスベガスでのディクソンとロッキーの試合のシーン。
最終ラウンドではディクソンがダウンしてロッキーが優勢になる。そのまま打ち合いの末、試合終了。試合は2-1の判定でロッキーが勝利し、リングに残って最後まで判定結果を聞いていたロッキーたちは飛び跳ねて喜ぶ。そして彼らは、観客の声援に応えながら花道を退場し、そのまま映画はエンディングを迎える。
劇場公開版のラストになっていたエイドリアンへの報告のシーンは無く、エンディング全体が短くなっている。

4通りの脚本で撮影

シルヴェスタ・スタローンは「この作品を55歳の時(本作公開5年前の2001年)にやりたかった。」と語っていた。その一方で「年月を重ねることでさらに脚本がよくなった」とも語っており、最終的には本人にとっても「満足な出来となった」ようだ。
また、本作は公開前に結末が知られてしまうことを防ぐため、4通りの脚本を元に撮影が行われていたそうである。

出演出来なかったタリア・シャイアとセイジ・スタローン

シリーズ第5作に出演のタリア・シャイアとセイジ・スタローン

シリーズを通してロッキーの妻エイドリアンを演じたタリア・シャイア。本作でのエイドリアンは既に死亡しているため、彼女が回想シーン以外に出演する新たな撮影シーンは無かった。シャイアは公私共に仲の良い監督のスタローンに「死ぬ場面だけでも」「幽霊でもいいから」と本作の出演には意欲的だったが、頑として聞き入れられず、彼女は怒って暫くスタローンと口を利かなかったそうだ。その後スタローンから本作のプレミアに招待されたシャイアは、完成作品においてエイドリアンの死が本編中の重要な役割を担っていることを理解し、出演の無いことにも納得したらしい。
また、本作のロバート(ロッキーJr.)の役には、第5作でロッキーJr.を演じたスタローンの実子、セイジ・スタローンに出演の声が掛かっていた。彼の場合はスケジュールの関係で出演出来なかったとされているが、これについては敢えて彼を外したという説もあるようだ。その理由は、本作中でロッキーと息子(ロバート)の確執が描かれており、「実子に演じさせたら誤解を招きかねないから」ということである。

アントニオ・ターバーは現役のプロボクサー

メイソン・ディクソン役のアントニオ・ターバーは、元世界ライトヘビー級王者の肩書を持つ現役のプロボクサーである。
スタローンは、役者にボクシングを教えるよりボクサーに演技を教えたほうがリアルな映画を撮れるだろうと考え、ターバーをディクソン役に抜擢した。
過去の『ロッキー』シリーズでは、ボクシングシーンで演技に熱が入るあまりパンチが本当に当たってしまうことは珍しくなかった。本作ではさらにリアルさを追求し、実際に殴り合う撮影方針を取ったため、スタローンは現役プロボクサーの本気のパンチを受けることになり、何度も失神しそうになったという。一方のターバーは、スタローンの映画作りに対する執念と、年齢不相応な肉体から繰り出されるパンチの威力に驚いたと語っている。
ターバーは撮影当時38歳。本来ライトヘビー級のボクサーだが、映画の設定に合わせてヘビー級の体を作った。ところが直後の世界ライトヘビー級タイトルマッチで判定負けを喫し王座から陥落。映画出演直後にライトヘビー級に落としたため体調を崩したといわれている。

マイク・タイソンが本人役で出演

エキシビジョン・マッチのシーンで試合前に、引退直後の元ヘビー級チャンピオン、マイク・タイソンが本人役で登場している。
スタローンが明かしたところによると、タイソンは当初、スタローン本人に直接電話し、彼の対戦相手として出演することを直訴したらしい。だが対戦相手役としては出演が叶わなかったが、最終的にチャンピオンを応援する本人役で出演することになったという。スタローンはタイソンの出演について「楽しかったよ」とコメントしている。
このシーンには他にも、日本でも有名なボクシングレフリー、ジョー・コルテスや、リングアナウンサーのマイケル・バッファーも、本人役で出演している。

30年ぶりのスパイダー

シリーズ第1作に登場したスパイダー

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