聖剣伝説 HEROES of MANA(HoM)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『聖剣伝説 HEROES of MANA』とは、2007年3月8日にニンテンドーDSにて発売された『聖剣伝説』シリーズの外伝的作品で、『聖剣伝説3』の19年前を舞台とした作品である。
本作はシリーズ初のRTS(リアルタイムストラテジーシステム)を採用したストラテジーRPG。
ワイヤレス通信でプレイヤー同士が戦う対戦モードが搭載されている。舞台は、『聖剣伝説3』の19年前の世界で、滅亡した国として登場した「いにしえの都ペダン」にまつわる物語が主人公ロジェを通して描かれる。

『聖剣伝説 HEROES of MANA』の概要

アクションRPGの爽快感と感動のストーリーで人気の『聖剣伝説』シリーズ。
本作『聖剣伝説 HEROES of MANA』は、そのシリーズの外伝的作品であり、「聖剣プロジェクト」のひとつとして制作された。
開発は『新約聖剣伝説』を手掛けたブラウニーブラウンが担当し、キャラクターデザインはスクウェアエニックスの伊藤龍馬、音楽は下村陽子が担当した。

今作のジャンルはシリーズで初めてRTS(リアルタイムシミュレーション)を採用したストラテジーRPG。
ゲームはステージの開始時にさまざまな勝利条件と敗北条件が表示され、味方ユニットを操作して与えられた勝利条件の達成、且つ高評価を目指すことになる。
RTSとは、リアルタイムに戦闘が進行する時間の中で、刻々と変わる状況を把握しながら戦略を練り、自分の味方ユニットを操って、迫りくる敵と戦うゲーム。
プレイヤーは複数のユニットに指示を出し、資源を収集し、モンスターを召喚する。
様々な地形をうまく利用しながらリアルタイムに流れる時間の中で、いかに戦略を練り戦況を優位に導くかがポイントとなる。

ニンテンドーDSにて発売された『聖剣伝説 HEROES of MANA』では、ほとんどの操作をタッチペンで行うことが可能。
ネットワーク対戦にも対応しており、DSならではのワイヤレス通信では友達同士で対戦することが可能である。
また、Wi-Fiコネクションを使えばランキングにも参加可能で、ランキングでランクポイントを貯めることでレアアイテムも入手できる。

『聖剣伝説 HEROES of MANA』は、『聖剣伝説3』の19年前の世界が舞台。
『聖剣伝説3』においては既に滅んでいた「いにしえの都ペダン」にまつわる物語が展開される。
そのため、『聖剣伝説3』に登場した人物たちが若き姿で登場したり、『聖剣伝説3』の主人公たちに関係のある人物たちが登場し、ファンを喜ばせた。
また、神獣やフラミー、精霊など、シリーズおなじみのキャラクターたちも登場する。

『聖剣伝説 HEROES of MANA』の主人公はぺダン王国の青年ロジェ。
彼は仲間たちと獣人王国ビーストキングダムへの偵察任務に参加する。
しかし、ぺダンとビーストキングダムは戦争状態になり、ロジェたちはペダン王国から狙われる立場になってしまう。
やがて明らかになるペダン王国の隠された恐るべき陰謀に、ロジェと仲間たちは、母国ペダンに叛旗を翻すこととなる。

『聖剣伝説 HEROES of MANA』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

それは遠い遠いむかし、マナの女神が生まれる、ずっと以前の話。
どことも知れぬはるかな次元にて、ひとりの大魔女が世界を闇におとしいれた。

魔女の名はアニス――

魔女は樹の守り人によって討ち滅ぼされたが、その闇と呪いは、あまたの次元をつらぬいて、あらゆる世界にふりそそいだという…

そしてまた、べつの伝説は語る。

かつて世界がまだ暗黒に閉ざされていた頃、マナの女神は世界を滅びに導くという厄災の化身である神獣を、マナの剣によって打ち倒し、これを八つの要石マナストーンに封じた。
闇は去り、かくて世界の創造はなされた、と。

そののちにマナの女神は、一本の年ふりた大樹に姿を変えた。
人知れぬ遥かな「マナの聖域」で、大樹とそのマナの剣は、いまも世界を守り続けているという。

反乱軍結成

世界の端にある小さな島国ペダン王国。
主人公ロジェと3人の仲間たちは、隊長のユリエルに率いられ、極秘の偵察任務を受けて空母ナイトソウルズで大陸へと向かっていた。
彼らは大陸にある国の1つ、「ビーストキングダム」という獣人の国が戦争を企てているらしいとのことで、その調査に向かっていたのだった。
ペダンは長年、戦争とは無縁の国だったため、ロジェたち一行はそれほど緊張感もなく任務についていた。

しかしロジェたち一行の乗った空母は「ビーストキングダム」の斥候に見つかり、攻撃を受けて不時着してしまう。
空母から降り、ロジェたち5人が外に出ると、「ビーストキングダム」の獣人王ガウザーらに囲まれてしまう。
だがそこへぺダン軍の空母が現れ、「ビーストキングダム」へ攻撃を開始した。
ぺダン王国からの突然の襲撃を受けた「ビーストキングダム」は陥落しようとしていた。
状況が呑み込めないロジェたちは、ともかく、自軍の陣営と合流しようと「ビーストキングダム」の城に向かうことにした。
自軍と合流することができたが、ぺダン兵たちはロジェたちの偵察任務など聞いていない、とスパイ容疑をかけられてしまう。
自軍の兵たちに包囲され、心ならずも戦うはめになってしまったロジェたちの前に、ペダン王国の女将軍バジリオスが現れる。
ユリエルは、バジリオスに自分たちの任務の本当の目的は侵略のための先行任務だったのだろう、と詰め寄る。
バジリオスは戦争をするためだ、と明言した。
他国と戦争をするなんて、ぺダンの穏健派の大臣が黙っているはずがない、とロジェの仲間が言うと、大臣はロジェたちが出発した後に死んだという。
それで止める者がいなくなったぺダンは戦争へと突き進むことになったのだ。
バジリオスは、ペダン王国による全世界の支配と、「Ψ計画」という謎の計画の発動を宣言する。
その彼女の手の中には不気味な黒い鏡があった。
バジリオスはその鏡を「エジーナの鏡」と呼び、「Ψ計画」に必要なものだと言っていた。

隊長のユリエルは、バジリオスと旧知の仲であったが、彼女の指揮のもと、罪なき獣人たちが虐殺されていくさまを黙ってみてはいられなかった。
多くの獣人たちが犠牲になるなか、「ビーストキングダム」の獣人王ガウザーは、ぺダン軍に対抗していた。
ロジェたちも彼に協力し、ぺダン軍の包囲から抜け出すことに成功する。
戦乱は広がり、近隣の村がぺダン軍に襲われるのを目の当たりにしたロジェたちは、自国であるぺダンに背くことを決意し、ぺダン軍を撃退する反乱軍を結成した。

このままではぺダンによる戦火は大陸中に広がるばかりで、ロジェたちだけではそれを止めることは不可能である。
そこでロジェたちはぺダンによる世界征服計画を止めようと、世界各国の協力を得ようと考えた。
国を追われた獣人たちを中立国「ウェンデル」へと向かわせ、獣人王ガウザーは、ロジェたちに同行を申し出る。
ぺダン人であるロジェたちだけでは、各国の要人たちを説得できないかもしれないと考えたからだった。
こうしてガウザーと共にロジェたちは再び空母ナイトソウルズに乗り込み旅に出ることとなった。

各国をめぐる旅

大陸には「ビーストキングダム」を含む6大大国があった。
ロジェたちは、残りの5国、空中城塞「ローラント」、聖なる光の都「ウェンデル」、砂の要塞都市「ナバール」、草原の王国「フォルセナ」、魔法王国「アルテナ」を巡る。
しかし、ロジェたちの行く手にはぺダン軍が現れては妨害し、更にバジリオスが持つ強力な謎の「黒き鏡」の力で各国を次々と制圧していった。そして「ウェンデル」を除くすべての国がぺダンの前に陥落したのだった。

「ナバール」と、大陸に住む竜一族は、ぺダンに協力する形になっており、ぺダンの各国への侵略に手を貸していた。
「ウェンデル」にたどりついたロジェたちは、「ウェンデル」の指導者・光の司祭から「黒き鏡」についての話を聞く。
ちょうどそこへ、ぺダンに協力する「ナバール」の行動に異を唱え、故郷を離反してきたファルコンたち一派がやってきた。
ファルコンは「ナバール」の元部隊長だった女性であり、「ナバール」の誇る大戦士フレイムカーンの娘でもあった。
ファルコンたちは裏切者として父であるフレイムカーンに追われており、まだ仲間が砂漠に取り残されているというので助けを請いにウェンデルまでやってきたのだった。
ロジェたちはファルコンの仲間救出に力を貸すため、灼熱の砂漠へと向かう。
ロジェたちがフレイムカーンとの戦っている最中、灼熱の砂漠に突如「マナストーン」と共に火の精霊サラマンダーが現れた。
マナストーンの中に封印された火の神獣ザン・ビエは「黒き鏡」の不吉な影を感じ取り、サラマンダーと共にロジェたちに力を貸すという。

ロジェたちが協力を呼び掛けたこともあり、危機感を募らせた「ナバール」以外の各国は一致団結してぺダンに対抗することになり、既に同行している「ビーストキングダム」のガウザーをはじめ、「フォルセナ」の騎士ロキ、「アルテナ」の王女ヴァルダなど、各国の要人たちがロジェたちの味方になってくれる。
また、バジリオスが操る「黒き鏡」の力に危機感を持った精霊もロジェたちに力を貸すこととなった。

精霊サラマンダーによれば、バジリオスが操る「黒き鏡」の力に対抗できる唯一の手段は、世界各地に眠る神獣と精霊の協力を得ることだという。
ロジェたちは、各地の精霊を巡る旅に出るのだが、またしてもぺダン軍に阻まれる。
ぺダン軍との戦いの最中、ロジェは恋人だったエレナの弟、ユハニと対峙することになり、心ならずも彼を手にかけてしまう。

精霊たちの協力を取り付けたロジェたちは、ぺダン軍に対し、攻勢をかけようと計画する。
ロジェたちは、ペダン軍の隙をつき、「ビーストキングダム」の奪還を決行する。
「ビーストキングダム」にはぺダンの王アナイスが現れ、ロジェたちは彼を人質に取ってぺダン軍を撤退させようと考えた。
だが、その間に唯一無事だった「ウェンデル」がぺダンの手に落ちてしまう。
ぺダンの真の目的は「ウェンデル」攻略にあり、ロジェたちはまんまと陽動にひっかかってしまったのだ。
うろたえるロジェたちを尻目にアナイスは、もうじき「黒き鏡」が復活し、Ψ計画が完成する、と言いながら姿を消した。
「ウェンデル」が陥落すると、「ウェンデル」の指導者・光の司祭の目の前にバジリオスの持つ「黒き鏡」と同じような鏡が出現した。
すると、大陸各地にも同じような「黒き鏡」が出現し、そこから一斉に黒い光が放たれる。
その光は大陸を縦断し、「Ψ」の文字の形に繋がった。
「ウェンデル」侵攻の指揮をとっていたバジリオスは、光の司祭に、これで「Ψ計画」が進行すると語る。
その後、なぜか突然ペダン軍は大陸全土から一斉に引き上げてしまった。
ぺダンの脅威が去り、大陸各国の人々は安堵し、歓喜した。

ペダン軍が前触れもなく撤退したことにより、ぺダンに協力していたナバール軍や竜一族は孤立し、各国の手痛い反撃にあい、撤退を余儀なくされる。
これまでロジェたちと共に戦ってきた各国の味方たちも、それぞれの国に残って復興に力を注ぐというので、ロジェたちとはここで別れることとなった。

ロジェたちは、各地に出現した鏡のことや、ぺダン軍が撤退した真相を確かめるべく、自分たちだけでペダン本国へ乗り込もうと考えた。
精霊たちは「黒き鏡」対策として、ローラント山の頂に住むという伝説の守護聖獣「翼あるものの父」の力を借りようと、ロジェたちに助言する。
「翼あるものの父」は、ローラントの山と空を守護する黄金の羽毛と翼を持つ巨大な聖獣で、ローラントの乙女にしか心を許さないという。
ローラントのアマゾネスの力を借りて伝説の守護精霊「翼あるものの父」に会うロジェたち。
「翼あるものの父」は、「黒き鏡」が、はるか大昔、次元の裂け目からこの世界に落ちてきたもので、「黒き鏡」が世界を映すとき、世界はψにのまれ、幻影は真実を喰らう、との伝説を語った。
「翼あるものの父」は、「黒き鏡」がこの世界に大いなる災いをもたらすものとして、これを処分するためにロジェたちに力を貸すことにした。

燃料の心配があるため、ロジェたちは自分たちの空母ナイトソウルズを「翼あるものの父」にけん引してもらい、一路ぺダンを目指す。
ロジェたちの空母が海を渡っている時、突如けん引していた「翼あるものの父」が何者かの仕掛けた魔法陣により、捕縛されて動けなくなった。
ロジェたちの空母はブッカ島に強制的に着陸させられてしまった。
そこでロジェたちを待ち受けていたのは、かつてのロジェの恋人であり、今はぺダンの一軍を率いるエレナだった。
ロジェは今のぺダンがかつての平和な国ではなくなったことを訴え、エレナに自分たちと共に来るよう説得しようとするが、弟のユハニを殺したロジェの言葉を聞こうとしない。
エレナは亡霊戦艦を率いて戦いを挑んできた。亡霊戦艦から現れる敵は、倒しても復活してしまう。
強敵を前に、ロジェたちは自分たちの空母が動けない状態で不利な戦いを強いられる。
そこへ、「アルテナ」の王女ヴァルダが操る古代要塞ルジオマリスが駆けつけた。
ルジオマリスの次元魔導砲が強敵を駆逐し、形勢は逆転した。
エレナは自身が乗る亡霊戦艦をルジオマリスに特攻させるも撃ち落され、命を散らす。

ルジオマリスには、国に残ったはずの各国の味方たちも同乗していた。
彼らはそれぞれの国に残っていたが、各地で異変が起きていることを知る。
水はにごり、草木は枯れ、大地はひび割れてしまい、このままでは、彼らの国の人々は暮らせなくなってしまう。
それはぺダンの操る「黒き鏡」の力が、大地のマナを吸い上げて世界のマナを喰らっているせいだ、と推測したのだ。
彼らはその「黒き鏡」の力を止めるため、共にぺダンを目指そうとルジオマリスに乗ってロジェたちの後を追ってきたのだった。

ぺダンへの帰還

ペダン本国へと上陸したロジェたちは、王都にてペダン国王アナイス、そして将軍バジリオス率いる軍本隊と戦うこととなる。さらに竜一族も参加してさらに戦況は厳しくなっていった。
それでも激戦を制し、王城へと乗り込んだロジェたちは、アナイスたちをあと一歩というところまで追い詰め、アナイスに鏡を捨てろ、と迫る。
だが、アナイスは黒き鏡の本体は、ペダン奥地にある「ミラージュパレス」にあり、そこで「Ψ計画」は進められているという。
アナイスによれば、大陸各地の鏡は分身のようなものだという。
そして戦争を起こした理由のひとつには、黒い鏡が欲するエサとして人々の憎しみと悲しみ、絶望が必要だったからだと語る。生きとし生けるものの血をすすり、心を喰らう、それが「黒き鏡」なのだ。
そしてその「黒き鏡」はマナの女神とこの世界を憎んでいるともいう。
それだけいうと、アナイスとバジリオスは、ロジェたちの前から去っていった。
同時にロジェたちのいたぺダン王城への攻撃が始まった。
ぺダン軍は自分たちの城であるぺダン王城と王都を攻撃してきた。
一方、「ミラージュパレス」では、本物の鏡の力が発動し世界各地に出現した鏡の分身が、各国の大地とそこに住む人々からマナを吸い上げていた。

辛くも王城から逃げ延びたロジェたち。
だが自軍の攻撃を受けたペダンの街は、すっかり廃墟と化していた。

「ミラージュパレス」とは、大昔より幻夢の術で、陰ながらペダンを守り、導いてきたという、まぼろしの宮殿。
本来なら王家の者以外は近寄ることさえ許されぬ場所であり、秘密の儀式がとり行われる禁断の地であった。
なぜかロジェはそのまぼろしの宮殿への行き方を知っていた。
やがて「ミラージュパレス」へと辿り着いたロジェたち一行の前に現れたのは、ロジェと瓜二つの青年だった。
彼は自分がロジェの双子の兄であり、この宮殿を治める幻夢の主教であると打ち明けた。
ロジェと双子の兄は先代の主教だった父の息子としてミラージュパレスで外の世界と接することなく育てられた。
やがて父が亡くなり、双子の兄がその跡を継いだとき、ロジェは外に養子に出されたのだという。
主教の座には1人しか就くことが出来なかったからだ。
その双子の実の兄である幻夢の主教こそが、大陸全土を戦いに巻き込んだ「Ψ計画」の首謀者であった。

幻夢の主教は、「黒き鏡」について語る。
1年ほど前に「黒き鏡」が発見され、この宮殿に持ち込まれたのだという。
そのうちに、「黒き鏡」の鏡面に別の世界の景色が見えはじめ、音楽が聞こえるようになった。
そして、鏡に導かれるままに主教はアナイス王やバジリオス将軍と共に、「Ψ計画」を実行することにしたのだ。
「黒き鏡」とは、かつて別次元において世界を魔界に変えたという、伝説の大魔女の力が封じ込められているという鏡であり、その鏡の分身は世界の各地に眠っていたという。
主教はこの鏡をエジーナの鏡と呼んだ。
「黒き鏡」の力を全て解放し、世界を滅ぼして新たな理想郷を築くことこそが「Ψ計画」であった。
幻夢の主教は、ぺダン軍を操って世界各国に侵攻し、各国に封印されていた「黒き鏡」の分身を解放させた。
そしてすべての鏡の分身が解放され、「黒き鏡」本体の力が完成したため、大陸から軍を撤退させたのだった。

エジーナの「黒き鏡」は太古に封印されたという伝説の「マナの聖域」を映し出した。
「黒き鏡」は「マナの聖域」を映し出すだけで、その地からマナの力を吸い上げることができるのだった。

滅びの母神を倒せ!

ロジェは「黒き鏡」に浮かび上がった文字を読んだ。
鏡の向こう側から記された文字を、幻夢の主教が誤って逆さからエジーナと読んだことがわかり、本当の「黒き鏡」に記された名前はアニスだとわかった。大魔女アニス、それが鏡の正体だった。

幻夢の主教は「黒き鏡」の力を操り、ロジェたちを異次元へと引きずり込んだ。
そこは「黒き鏡」が作り出した闇の世界だった。
出口を探そうとするロジェたちに、幻夢の主教は無駄なあがきだとせせら笑うのだった。

その時、「翼あるものの父」が元の世界からロジェたちのいる異次元へ力を送り、次元に裂け目を生みだした。
その裂け目からロジェの前に、一振りの剣が落ちてきた。
それはマナの女神が闇の力に抵抗して生み出した伝説の聖剣であった。
ロジェは聖剣を手にし、兄である幻夢の主教を改心させるべく、戦いを挑む。
ロジェたちは、幻夢の主教を追い詰めるが、そこへアナイスと将軍バジリオスが現れる。
バジリオスは、これまで「黒き鏡」が吸い上げてきた無数の人々の心を一気に開放し、鏡の力を暴走させることを提案するが、幻夢の主教とアナイスは反対する。
幻夢の主教とアナイスの目的は新世界の創造であったため、鏡の力が暴走すれば世界はおろか、あらゆる次元が破壊されすべてが無に帰すことになってしまい、自分たちの願いが叶わなくなってしまうからだ。
だがバジリオスは、それこそが自分の真の目的だと言う。
彼女は「黒き鏡」に真に選ばれた者は、幻夢の主教ではなく自分であると明かした。
バジリオスの前にある「黒き鏡」は突如、眩く光り、ψの字を描き出す。
やがて「黒き鏡」の中から闇の竜が現れた。
闇の竜はバジリオスと同化し、彼女を「黒き滅びの母神」へと変貌させた。
バジリオスの意識は「黒き滅びの母神」に飲み込まれ、すべてを闇に包みこみ滅ぼすだけの呪いの存在となってしまった。
「黒き滅びの母神」は、もはや用済みとばかりに、幻夢の主教とアナイスを、彼女の持つ闇の力が生み出した闇の海・カオスオーシャンに飲み込んでしまった。

ロジェたちは「黒き滅びの母神」となったバジリオスと戦う。
しかし、闇の力が強く「黒き滅びの母神」は倒しても倒しても再生してしまい、ロジェたちはじりじりと追い詰められていく。

戦いの最中、隊長ユリエルの目前に、バジリオスの幻影が現れた。
幻影の彼女は、ユリエルのかつての恋人であった、美しい「セシリア=バジリオス」の姿だった。
彼女は、ロジェの持つ聖剣で、闇の力の源である「黒き鏡」を割るよう、ユリエルに伝える。
「セシリア=バジリオス」はユリエルに、自分とユリエルの間に出来た子供を亡くしてしまった過去を語り、それが心の闇となったことで、「黒き鏡」に付け入られてしまったことを告白する。
ユリエルも、そんなバジリオスの気持ちを知らず別れてしまったことを悔いた。
真実のバジリオスの心は、「黒き鏡」に支配されてしまった自分をユリエルに止めて欲しいと思っていたのだろう。
それが幻影となってユリエルの前に現れ、彼に鏡を割るよう助言したのだった。

しかし、「黒き滅びの母神」は、そんなセシリアの幻影を振り払ってしまう。
幻影に囚われていたユリエルは我に返った。
ユリエルは聖剣で「黒き鏡」を割るよう、ロジェに指示を出す。
ロジェは聖剣を「黒き鏡」に投げつけると、鏡は割れ、「黒き滅びの母神」は消滅する。

ロジェたちの前には、カオスオーシャンに飲み込まれてしまったはずの幻夢の主教、アナイス、そして元の姿のバジリオスの幻影が残った。
彼らはロジェたちに語る。

闇の力があふれたことによりペダンは次元が不安定になってしまったこと。
「黒き鏡」が消滅したことで、鏡に心を吸い取られた全世界の人々から、今回のぺダン侵攻に関するすべての記憶が抹消されてしまうこと。
そして大魔女アニスの呪いは、全ての時空に存在し、マナの女神と争っていること。
それらを言い残して彼らの幻影は消え去った。

エンディング

幻夢の主教、アナイス、そしてバジリオスの幻影が消え去った後、異次元の中でロジェは決意する。
ぺダンが無くなり、恋人も亡くしたロジェにはもはや帰る場所も無い。
しかし彼にはまだするべきことがある。
それは次元を超えて大魔女アニスの呪いと戦い続けることであった。

ロジェと共に、ペダンの3人の仲間とユリエルも、彼に同行することを決意する。
ロジェたちは、共に戦った各国の仲間たちに別れを告げ、空母ナイトソウルズに乗り込み、次元の彼方へ去って行った。

ロジェたちと別れた各国の仲間たちは、元の世界へと戻り、それぞれの故郷へと戻って行った。
ロジェたちに協力した精霊たちもまた、世界に厄災が起こるその日まで、眠りにつくことにした。

アニスの「黒き鏡」は打ち砕かれ、いにしえの魔女の伝説は世界の人々の記憶とともに消えてしまった。
聖剣の行方も不明のままである。
ロジェたちの戦いの物語は人々の記憶からは消えたが、この戦争の証として、廃墟と化したペダンだけが残された。
それから19年後、再び聖剣に選ばれし勇者がぺダンを訪れることになるのだが、それはまた別の物語である。

『聖剣伝説 HEROES of MANA』の登場人物・キャラクター

古の王国ペダン

大陸から離れた孤島にある国。
ながらく戦争などとは縁がなかったが、突如大陸の他の国へ宣戦布告しはじめる。
『聖剣伝説3』では本作の7年後に「竜帝大戦」で壊滅したことになっている。

ロジェ(反乱軍)

主人公。21歳。175cm。ぺダン軍の兵士。剣術・体術に優れた能力を持つ。
ビーストキングダムの偵察任務についたことから、ぺダン軍に追われることとなる。
正義感があり、明るい性格だが時折暗く寂しげな表情を見せる。
ペダン国民の3年間の兵役義務により、2年前からペダン軍に所属している。
実は、幻夢の主教を父に持つ双子の片割れであり、父の死後、双子の兄が主教の座を継いだことからロジェは5年前に養子に出された。

ユリエル(反乱軍)

keeper
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@keeper

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