鹿楓堂よついろ日和(第9話『不器用ヒーロー / モンブラン男子』)のあらすじと感想・考察まとめ9

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秋になり、鹿楓堂でも季節限定のモンブラン販売を開始する。モンブランを食べにやってきた角崎の一挙手一投足を、鹿楓堂の面々は、息を詰めて見つめる。招かざる客の一方で、来店が待ち遠しい常連もいる。編集者の砂金は、意中の女性を鹿楓堂に連れてきたいと相談したきり、しばらく顔を見せなかった。スイたちが心配しはじめたころ、砂金は女性を伴ってやって来た。
今回は「鹿楓堂よついろ日和」第9話『不器用ヒーロー / モンブラン男子』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「鹿楓堂よついろ日和」第9話『不器用ヒーロー / モンブラン男子』のあらすじ・ストーリー

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「勢いまかせでヒーローみたいに軽やかに誘う」というぐれ(右)のアドバイスは、ズギューンと砂金(左)の心を撃ち抜いたが、抽象的すぎてスイと椿(中)をポカンとさせる。

タウン誌の編集者・砂金(いさご)が鹿楓堂に来た。スイは、先日借りた少女漫画を砂金に返した。鹿楓堂のスタッフ全員で漫画を読みふけったことを聞いて、砂金は喜ぶ。後輩に片想いをしている漫画のヒロインに共感できる、と砂金は言う。注文を椿が運んできてくると、砂金は相談のために来たと話しはじめる。
林という砂金の上司が、近々創刊される雑誌に異動する。砂金は、その前に林を鹿楓堂に誘いたいと考えている。林は、砂金より十歳近く年下ながら編集長を務める才女であった。林に引け目を感じながらも、砂金が想いを寄せていることは明白だった。話を聞いていた椿たちは、砂金から借りた少女漫画と同じ状況であることに気づく。
砂金は、林にどうやって声をかけたらいいのか考えあぐね、椿に助けを求めてきたのだ。一人でカフェに入れないという砂金の問題(5話)を解決した椿は、「師匠」とあがめられている。椿は、スイーツやカフェといった共通の話題があるから砂金とコミュニケーションがとれていたのであって、本来人付き合いが得意ではない。横から助け船を出したのは、アモーレの国・イタリアから来た愛と平和の伝道師を自称するぐれだった。ぐれの忠告は「ガーッと行って、ゴゴーッと伝えて、スチャッと返事をもらう」というもので、鹿楓堂の仲間も理解できない。それでも、「さらっとスマート、ヒーローのように、かつ軽やかにサクッといけば、ズギューンで成功間違いなし」というぐれの言葉を、砂金は目を輝かせてありがたがるのだった。砂金の恋を応援するという流れを傍で聞いていたときたかは、ランチの新作を思いついた。

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砂金(左)と向かい合わせで遅いランチをとる林。林の食べるカツ丼は、柚子胡椒が味のアクセントになっている。

月が替わって、砂金は企画で世話になった礼をしたいと、林をお茶に誘った。砂金に出色の記事を書かせた鹿楓堂に林は興味を持っており、快諾してくれた。話をしながら林の手首に貼られた無数の絆創膏を見つけて、砂金は自分がヒーローなら何ができるのか考えるのだった。
砂金は林と鹿楓堂を訪れた。林は店主のスイに挨拶をして席につくが、砂金と話しながら居眠りしてしまう。すぐに林は目覚めるが、彼女の両手首の包帯が気になり、砂金は慌てて救急車を呼ぼうとする。騒ぎを聞きつけたスイに、包帯の下に子猫のひっかき傷があるのではないかと見透かされ、林は白状した。林は、激務に加えて、両親不在の間にペットの世話をしなくてはならず、寝不足だったのだ。林は健康を誇示するように「頑張るあなたを応援」「勝負に勝つ」というコピーのついたカツ丼大盛りをたいらげた。カツ丼は、砂金の恋を応援することから、ときたかが考案したメニューだった。砂金は、夢見ていた乙女チックなお茶会とは違っていても、舌鼓を打つ林が目の前にいることを喜び、抹茶パフェを食べていた。鹿楓堂のスイーツも食べてほしかったと残念がる砂金に、林は「また今度来たときに」と答えて期待を持たせる。
帰り際、林は眠気で体がふらついた。見送りに出た鹿楓堂のスタッフの前で、砂金は「使って下さい、杖替わりでも何でもいいですから」と腕を出した。「辛いときは自分に頼ってください」と伝える砂金に、林は頬を赤らめた。「遠慮なく」と言いながら、林はそっと砂金のジャケットをつまんだ。連れだって帰る二人を見送るスイには、砂金が十分にヒーローであるように映るのだった。

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砂金(左)のジャケットをつまむ林(右)

スイと外出した椿は、たまたま入ったヴェールポムというパティスリーのモンブランに感動する。職人として分析し、甘味好きとして味わった椿は、似たものを食べたような気がするが、どこのケーキかは思い出せない。スイにすすめられて、季節のスイーツとして、椿もモンブランを作ることになった。

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秋限定のモンブランを鹿楓堂で出しはじめる日、開店早々角崎がやってきた。椿たちがヴェールポムに来店したとき、店内にいた角崎は椿たちの会話に聞き耳を立て、鹿楓堂でモンブランを出す日の見当をつけてやってきたのだった。
デパートの催事(3話)で振り回された鹿楓堂の面々は、角崎によい心証を抱いていない。角崎も、招かざる客である自覚があった。
椿がスイと食べたモンブランは、ヴェールポムと角崎の店ホテル・イーストサイドグランデのコラボ商品だった。椿は、一時ホテルイーストサイドグランデに通い詰めていたことがあり、モンブランに覚えがあったのは、角崎らしい洗練されたケーキだったからだった。角崎がスイーツ作りに妥協することなく真摯に取り組んでいることを、椿はケーキを通じて感じていた。
一流のパティシエである角崎に自分のオリジナルケーキを食べてもらう事に、椿は手が震えるほど緊張していた。角崎の寸評とアドバイスは、椿と、固唾を飲んで見守っていたスイたちをほっとさせる。

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椿の作った和風のモンブラン。比較的軽い食感を意図して作っていることを察して、角崎は改良点を挙げる。

「いい職人を見つけましたね」と、角崎は椿とスイに賛辞を惜しまない。スイも「最高の職人です。当店には欠かせない存在です」と臆面なく言ってのけ、椿を照れさせた。
角崎は、鹿楓堂がスタッフや客から愛される良い店であると褒め、スイが鹿楓堂を継ぐきっかけをを聞き出した。スイは中学時代に、お茶は淹れる人の気持ちを反映した味になるという話を、祖父から聞いた。そのとき、「京水(スイの本名)はどんなお茶を淹れたい?」と尋ねながら祖父が淹れてくれたお茶が、悩みで視野狭窄に陥っていたスイの活路を拓いた。スイに、鹿楓堂が自分の居場所であると気付かせ、祖父の跡を継ぐことを意識させたのである。
角崎には、大切なものを大切と言える意思を早くから持っていたスイが、親の決めたレールから外れなかったスイの兄である八京より成熟しているように思えた。

「鹿楓堂よついろ日和」第9話『不器用ヒーロー / モンブラン男子』の感想・考察

「鹿楓堂よついろ日和」アニメ全話のネタバレ解説まとめ

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