裏世界ピクニック(小説・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『裏世界ピクニック』とは宮澤伊織によって執筆され、『早川文庫JA』から刊行されたSF・ホラー小説及び、原作をもとにして制作された漫画・アニメ作品である。ネット上で実話怪談として語られる危険が存在する〈裏世界〉を紙越空魚(かみこし そらを)と仁科鳥子(にしな とりこ)の二人の女子大生が探索する怪異サバイバル。都市伝説を元にしたホラーやSF要素の他に二人の距離感を中心とした百合的心情も綿密に描かれている。

裏世界に点在する危険なトラップ。目視では安全領域と区別できず<裏世界>の探索を困難なものにしている。<裏世界>の探索には、石やボルトなどを怪しい場所に放ってチェックする、長い棒でつつくなど、グリッチ対策が必須である。米軍はベアトラップと呼んでいた。

DS研究奨励会

オカルトを「科学における未知の領域」として研究するために設立された団体で、正式名称は一般社団法人DS研究奨励会。略称はDS研。DSはダークサイエンスの略称である。設立時は<裏世界>の探索が主目的であったが、裏世界の最奥部を探索したことで犠牲者が続出し探索はほぼ打ち切りになる。現在は探索で犠牲となった人たちの治療を主な活動としている。表向きは資金調達のための保険組合の運用を中心としており、溜池山王駅近辺に健康診断センターを偽装した施設が設置されている。

『裏世界ピクニック』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

空魚を助ける鳥子

慣れない<裏世界>を探検する空魚は怪異くねくねに出くわして死の危機に直面していた。冴月を探すために<裏世界>へとやってきた鳥子によって間一髪助けられる。水没しそうになっていた空魚を見て、鳥子は「オフィーリアかと思った」と言う。空魚が驚くほどの美人である鳥子は、危機的状況でも場違いな明るさを持っていた。他者への関わり合いに積極的でない空魚は、<裏世界>を一人きりでいられる場所であると思っていた。しかし、この出会いが、空魚を「鳥子と一緒になら<裏世界>で遊んでも」いいと思わせる。

鳥子「知ってる? 共犯者ってこの世で最も親密な関係なんだって」

鳥子と<裏世界>を探索する事になった空魚。鳥子は自衛のために拳銃を渡す。空魚は「一回会っただけなのに何故自分を信頼するのか?」と尋ねると「拳銃を持つ自分を通報しなかった」と言う。ただ「関わりたくなかっただけ」思うが、空魚のそんなところが「信頼できる」と鳥子は思っていた。「友達に求める資質ではない」と思う空魚であったが、鳥子は「共犯者としては最高だ」と答える。戸惑う空魚に鳥子は「知ってる? 共犯者って、最も親密な関係なんだって」と言う。共犯者として鳥子と一緒に<裏世界>を探索することになる。この共犯者としての立場に空魚はこだわっており、後に、茜里を共犯者として扱おうとした時には必死に拒絶していた。

ドレイク中尉「せめて文明的であろうとしなければここでは簡単に獣に堕ちてしまう」

<裏世界>に迷いこんだペイルホース部隊のドレイク中尉の台詞。急に出くわした空魚と鳥子に多くの軍人達が警戒をするが、ドレイクは柔軟な態度で二人を扱い、宿の確保も行う。「紳士的だ」と鳥子に言われた時にドレイクは「せめて文明的であろうとしなければここでは簡単に獣に堕ちてしまう」と言う。空魚達が以前に<裏世界>で出くわした肋戸も精神的に錯乱しており、グレッグ曹長を始めとした部下達にもドレイクは「精神的に限界を迎えている」と答えている。実際に部下の中にも怪異となったものもあり、脱出の希望を潰えさせないためにもドレイクは紳士的かつ文明的であろうとしていた。

空魚「なんとかなるでしょ二人いるんだから」

怪物扱いされ、ペイルホース部隊に追われた空魚と鳥子、きさらぎ駅に逃げ込む。駅には電車がやってくる。この電車で元の世界まで帰ろうとする空魚、自信がなくなっている鳥子に対して空魚は「なんとかなるでしょ二人いるんだから」と励ます。この言葉はいつもは鳥子が<裏世界>の探索に困惑する空魚に言っていた台詞である。いつもは鳥子に引っ張られて探索に赴いていた空魚が初めて、自分から鳥子を引っ張ろうとしたシーンである。

空魚「共犯者は嫌……絶対嫌……やめて」

猫の忍者に襲われた鳥子は拳銃を使おうとする。しかし空魚は茜里が近くにいる為に拳銃の使用を躊躇う。鳥子は「茜里も共犯者にするしかない」と言うが、空魚は「共犯者は嫌、絶対嫌、やめて」と強く拒絶する。二人の関係は共犯者として始まり、空魚はその関係に強くこだわっている。危機的状況においてもその考えは変わらず、鳥子との共犯者としての関係を自分だけのものにしていたかった。鳥子との共犯者という関係は空魚にとって強いものだという事がわかるシーン。

小桜「なんであたしの周りには人の心がない女が集まるんだ」

焼肉屋に行く際に中間領域へと向かう事になった小桜の台詞。恐怖耐性の無い小桜は<裏世界>の探索を嫌がっており、親友の冴月との<裏世界>へ行くことも拒んでいた。空魚によって、何度も不本意に<裏世界>へと巻き込まれた小桜は「なんであたしの周りには人の心がない女が集まるんだ」と思う。小桜の言う自分の周りの女とは冴月も含んでおり、以前に茜里にも「冴月に似ている」と言われた空魚は冴月を意識する。

空魚と鳥子が出会った時を回想する

Sota219
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