聖剣伝説DS CHILDREN of MANA(CoM)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『聖剣伝説』シリーズ初のニンテンドーDS向けソフト。
DSワイヤレスプレイによる最大4人までのマルチプレイが可能となった。
時系列では『聖剣伝説4』の10年後のストーリーとなり、外伝的作品である。
従来のシリーズのシステムに、ジェムという新たなシステムを加えたアクションRPG。
ファディールという世界を舞台に、出身も立場も違う4人の主人公たちを中心に、誕生して間もないマナの女神と聖なる剣をめぐる物語が描かれる。

『聖剣伝説DS CHILDREN of MANA』の概要

『聖剣伝説DS CHILDREN of MANA』は、『聖剣伝説』シリーズの外伝的作品であり、ニンテンドーDS初の『聖剣伝説』シリーズとして2006年3月2日に発売されたアクションRPGである。
9ヶ月後に発売された『聖剣伝説4』と同時期に平行して開発されており、ナンバリングタイトルの『聖剣伝説4』の10年後を描いた外伝的作品である。
そのため、舞台となる世界は『聖剣伝説4』と同じファディールであり、イルージャ島や国の名称など共通するものも多い。
だが4の登場人物は登場せず、ストーリーも直接関係していない。

2005年に発表された「聖剣伝説プロジェクト」として「THE WORLD of MANA」の冠を携え、今作『聖剣伝説DS CHILDREN of MANA』が第1弾として制作された。
これ以降の作品は「THE WORLD of MANA」のマークが表記され、精霊やマナの女神および聖剣のデザインがほぼ統一された。

パステル調の2Dグラフィックで、おなじみの魔物や精霊などが、聖剣ワールドを演出している。
戦闘はリアルタイムのアクションバトル。
攻撃を受けて吹き飛ばされた魔物が、その勢いで他の魔物にぶつかりダメージをあたえるという連鎖テクニックは、複数の魔物を相手にしているときには便利なシステムとなっている。
武器は、ソードをはじめ、フレイル、ボウ、ハンマーの4種類あり、戦闘中に使い分けることでより有利に戦うことができる。
初心者のために、豊富なヘルプ機能を搭載している。

リングコマンド、精霊魔法といったシリーズではおなじみの要素は健在である。
今作では、DSというハードの特性を生かしたワイヤレスプレイによる最大4人までのマルチプレイが可能となった。
謎解きやボスとのバトルなど、協力プレイや妨害プレイなど、プレイヤー次第の遊び方ができる。
新たなシステムとしては、ジェムと呼ばれる宝石を組み合わせてキャラクターをカスタマイズし、自分だけのオリジナルキャラクターを作成できるようになった。
また、村人からの依頼をこなし、レアな報酬をゲットするなど、やり込み要素も追加されている。

4人の主人公の中から1人を選んでゲームを開始する。
選ばれなかった他の主人公は、村の住人という形で登場し、仲間にはならない。
どの主人公を選んでも、サブストーリーなどはあるものの、『聖剣伝説3』のような主人公それぞれのストーリーがあるわけではなく、ストーリーやエンディングは基本的に同じであり、一本道である。

制作は『ベヨネッタ』などを制作したソフト開発会社ネクスエンタテインメント(現在は解散)が手掛けた。
音楽にはこれまでも『聖剣伝説』シリーズを多く手掛けてきた伊藤賢治が参加している。
キャラクターデザインは『聖剣伝説4』と同じ池田奈緒が手掛けている。
ゲーム中のアニメーション製作は、Production I.Gが担当している。

『聖剣伝説DS CHILDREN of MANA』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

それは遠い遠い昔の物語。

世界の中心にある島、イルージャ。
島の中央には、太古の昔から天をも貫くほどの巨大な樹がそびえ立っていた。
その昔、イルージャを中心に世界を巻き込む大厄災が起きた時、幾多の生命が失われた。混乱と悲しみに包まれた世界を救ったのは1人の少年と1人の少女、そして一振りの聖なる剣であったという。

平和になった世界には、聖なる剣と巨大な樹が残り、それらはいつしか「マナの剣」「マナの樹」と呼ばれるようになったという。
そして、マナの樹を愛する人々が再びこのイルージャに集い、世界はマナの樹を中心に、緩やかだが確実に再生への道を歩み始めていた。

異変のはじまり

主人公(主人公は4人のうちから1人を選ぶため、ここでは特定の名称ではなく主人公と記す)は、大災厄で家族を失いながらも、幼なじみの少女・ティスらと共に世界の中心にあるイルージャ島のマナの村で、精霊や村長のモティをはじめとする村人らと平和に暮らしていた。
ある時、村に岩石王ワッツが村長のモティを訪ねてくる。

ティスはマナの樹の巫女であり、マナの塔にお祈りに行くのが日課だった。
ある日、ティスがお祈りのためにマナの塔に行くと、地震が起こり、突然塔が光に包まれてしまう。

異変に気付いた主人公は、塔に取り残されたティスを助けるため、塔に行こうとする。
するとワッツは主人公にマナフレーム(ジェムを装備するためのアイテム)を渡す。
マナフレームで装備を整え、塔の中へと進む主人公。
主人公が塔の奥へ辿り着くと、ようやくティスを見つけたが、彼女の前には巨大な凶獣ザンガが立ちはだかっていた。
主人公はティスを守るためにザンガと戦うが、攻撃がまったく通用しない。
追い詰められた主人公の前に、天から一本の聖剣が降ってきた。
その聖剣を主人公が手にすると、ザンガを包んでいたフィールドがなくなり、攻撃が通じるようになった。
主人公は凶獣を倒すと、2つの光の球になった。
なにがなんだかわからない主人公たちの前に、謎の男が現れ、「近い内に世界は溶けて消える」との言葉を残して立ち去った。

主人公とティスが村に戻ると、村長から世界中で異変が起きている事を知らされる。
ワッツは調査隊を編成し、モティは他の国と連絡を取って被害状況を確認し、情報収集をすることにした。
主人公は光の柱の調査を担当することとなった。
その移動手段として、主人公は村長からフラミーを呼び出す「風の太鼓」を託される。
フラミーとは空を駆ける神獣であり、マナの樹とマナの村の守護神獣である。

光の柱の調査

マナの塔と同じように、光の柱が立ち上った場所へフラミーで向かう主人公。
まずはトップルの国の星の湖へ。
星の湖の奥で凶獣ゲイラムを倒すとここでもまた2つの光の球が現れる。
村へ戻る途中、樹の古老トレントに出会う。トレントは永い眠りから覚めたばかりだった。

次はジャドの国の赤き砂の砂漠へ。
主人公はここで大地の顔ガイアに出会う。
ここでも凶獣ゼードルを倒すと光の球が2つ現れた。

最後はロリマー国の氷の城へ。
ロリマーはティスの故郷でもある。
氷の城の奥で主人公は謎の男に出会う。そこへ凶獣ランドムンドが現れる。
主人公は聖剣で戦うがなぜか聖剣の力が効かない。
ティスの声が聞こえ、聖剣の力を信じろという。
主人公が聖剣の力を信じると結界が消え、ランドムンドを倒すことができた。

マナの王

ランドムンドを倒すと2つの光の球が現れた。

すると、その光の球は神獣となって蘇った。
神獣はマナの聖剣の力により生まれた存在で、主人公に世界のことについて語ってくれる。
光の球はこれまでに現れたものを含め全部で8つ。その光の球から8体の神獣が現れたのだった。
凶獣は、謎の男によって神獣を2体合成させて作られたものであった。

主人公は凶獣を操っていた謎の男と戦おうとする。しかしなぜか聖剣は持ち主であった主人公を攻撃し、なおかつ主人公の手から謎の男の手に自らの意思で渡ってしまう。
謎の男はマナの王と名乗り、この聖剣はマナの女神が作ったマナの剣であり、マナの王である自分に従うものであると語る。

マナの王はマナを暴走させてマナの嵐・マナストームを発生させ、姿を消す。
マナストームは世界を破壊する。
マナストームを止める方法を探そうと村に戻った主人公たちに、トレントとガイアが協力を申し出る。
ウェンデル王国がマナストームに襲われる。
主人公はトレントとガイア、そして精霊たちの力を借りて、マナストームの中心へと向かう。
マナストームの中心でトレントとガイア、精霊たちの力を結集し、マナストームを止めることが出来た。
そこへ再びマナの王が現れ、トレントとガイアを消してしまう。
マナの王は主人公に「マナの樹の娘を攫う」と言って姿を消す。

マナの娘とはティスのことではないかと思った主人公は、急いで村へ戻り、ティスを探す。
彼女はマナの塔へ向かったらしく、後を追ったが一歩遅く、主人公の目の前でティスはマナの王に連れさられてしまう。
主人公は2人の後を追い、廃墟が広がる謎の空間「虚ろなる地」にたどりついた。
そこにマナの王はいて、ティスに「マナの胚」を目覚めさせろと脅していた。
主人公が駆けつけると、マナの王は「ここは未来のイルージャ島だ」と言う。

マナの王は、主人公にかつての大災害の幻影を見せる。
主人公は、大災害で死んだ家族の幻影を見せられ動揺するが、なんとか幻影を振り払い、ティスを助ける事に成功する。
だが、マナの王はティスの体からその場に突如現れた「マナの胚」を奪って行った。

異界へ

ティスはマナの暴走の中心がマナの樹の根元にあると言い、主人公は彼女と共に根元へ行く。
マナの王がいて、「マナの胚」を破壊しようとしていた。だが破壊に失敗してしまう。
「マナの胚」とは、解放することで、マナを世界中に満たすことができるもの。
主人公はマナの王と戦い、倒す。
聖剣はマナの王の手から主人公の手に戻ってきた。また、「マナの胚」はティスに戻ってきた。

瀕死のマナの王は、最後の力を振り絞り、マナの暴走の中心に飛び込むと、マナの樹の上空に異界が現れた。

マナの暴走を止めるために、主人公は異界に飛び込む。
異界には「マナのみどりご」がいた。
「マナのみどりご」はマナの王が我が子と呼んでいた存在である。
「マナのみどりご」は、世界の全てをマナに溶かしてしまおうとしていた。
世界を溶かし、すべてをマナに帰することが目的であり、そうすることでこの世界で自由に生きられると思っているのだ。
主人公は聖剣で「マナのみどりご」と戦う。
聖剣には「あるべき姿に戻す」という力があり、その力で「マナのみどりご」を倒したことにより、マナの暴走はおさまり、世界に平和が戻った。

エンディング

今回の事件で各国の人々はマナの樹とマナの力を危険視し、イルージャ島を封印する事にした。
ごく一部の人間を島に残して、人々は船で島から脱出する。
その船には主人公の姿もあった。しかしティスの姿はなかった。
マナの巫女であるティスは、マナの樹を守るために島に残る事を選んだのだった。

『聖剣伝説DS CHILDREN of MANA』の登場人物・キャラクター

フリック

主人公。
15歳の少年。緑の国ウェンデル出身。身長162cm。体重54kg。
10年前の大厄災で家族を失い、その後イルージャ島のマナの村で暮らすことになる。
数年前、命を救ってもらった剣士(聖剣伝説4の主人公)に憧れ、モティの元で剣の修行をしている。
性格は明るく素直で、奔放であり、行動力もある。

ポップ

主人公。
9歳の少年。砂の国ジャド出身。身長92cm。体重32kg。
父は大厄災で亡くなり、その後母はイルージャ島に移住した後にポップを出産してまもなく死亡したため、ポップは両親の顔を知らない。
村で暮らすフリックやタンブルとは、本当の兄弟のような関係である。
マイペースで怖いもの知らずで、思ったことをすぐに口に出してしまうところがある。
根は甘えん坊。

ワンダラー

keeper
keeper
@keeper

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