ひそねとまそたん(ひそまそ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ひそねとまそたん』 とは、ボンズ制作による日本のオリジナルテレビアニメである。
自分の思ったことをすぐ口に出してしまうため相手を傷つけてしまう、ゆえに自分を抑え込んで生きてきた甘粕ひそね。航空自衛隊員として、岐阜基地で働くことになったひそねは、戦闘機に擬態するドラゴンのような生物、変態飛翔生体(別名OTF)の飛行要員、通称Dパイロット(略してDパイ)に選ばれる。パイロットとの接触をずっと拒んでいたOTFとの間に、やがて絆がうまれる。

『ひそねとまそたん』 の概要

『ひそねとまそたん』 とは、ボンズ制作による日本のオリジナルテレビアニメである。公式略称は 『ひそまそ』。総監督は、映画 『シン・ゴジラ』 で知られる樋口真嗣。脚本は 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 の岡田麿里。まるで動くマンガ、そんな感覚が味わえる、今までにない新鮮な作品である。
嘘がつけない性格の甘粕ひそねは、そのせいで相手を傷つけてしまうことに悩んでいた。航空自衛隊員として岐阜基地で働いていたある日、戦闘機に擬態する変態飛翔生体OTFと出会う。OTF、まそたんには、三年間パイロットを受け入れない理由があった。言葉は通じないが、少しずつ互いを認めはじめた、ひそねとまそたん。やがてまそたんは、ひそねを乗せて大空へ舞い上がった。

『ひそねとまそたん』 のあらすじ・ストーリー

まそたんとの出会い

甘粕ひそね(あまかす ひそね)は、岐阜基地に所属する航空自衛隊の新人自衛官。思ったことをそのまま口にしてしまう悪癖が直せず、自衛官の道を選んだのも「あまり人と関わりたくない、傷つけたくない」と考えたのが理由だった。
ある日、ひそねは基地内部にある第8格納庫に向かうよう指示され、そこで巨大なドラゴンと遭遇する。ひそねは逃げる間もなくあっという間に丸呑みにされてしまうが、基地内の自衛隊員たちは手慣れた様子でドラゴンを嘔吐させて彼女を救出。ここで初めて、ひそねは自分が第8格納庫に向かわされたのは“ドラゴンとの相性”を見定めることが目的だったことを知らされ、「Dパイ」になることを命じられる。

ドラゴンは「国家に繁栄をもたらす存在」として古来から崇められており、これを奪うために戦争が起きることもしばしばだった。このため日本の支配者たちは、ドラゴンを「空を飛ぶ別のもの」に偽装しながら隠し続けており、現在は航空自衛隊が「変態飛翔生体/OTF」として管理していた。Dパイとは、そのドラゴンに“飲み込まれる”ことで一心同体となって内側から操る、若い女性にしかできない役職だった。互いのコンディションや搭乗時間によっては消化されることもありうる、命懸けの仕事である。
ドラゴンは定期的に空を飛ばないと健康を害するらしく、Dパイの任務は「ドラゴンの管理」と「彼らと共に空を飛ぶこと」だった。「怪物に飲み込まれて空を飛び、胃液まみれになって吐き出される」というDパイの任務に思い切り腰が引けるひそねだったが、整備員の小此木榛人(おこのぎ はると)やOTF飛行班長の柿保令美(かきやす れみ)といった面々との交流と、「誰も傷つけたくない」という自分に共感を示してくれたドラゴンに愛着を覚えたことで「やれるだけやってみよう」と考え、Dパイになることを承諾。ドラゴンに「まそたん」と名付けてかわいがるようになる。

OTFを巡る人々

航空自衛隊が管理しているOTFはまそたんだけではなく、他にも3体のOTFとDパイが存在していた。先輩のDパイである星野絵瑠(ほしの える)、絹番莉々子(きぬつがい りりこ)、日登美真弓(ひとみ まゆみ)、そしてDパイ候補生の貝崎名緒(かいざき なお)。なんとか自分が正規のDパイになりたい貝崎にどやされたり脅されたりしつつ、ひそねは星野たちとも交流を重ね、Dパイとしての練度を高めていく。
航空自衛隊は、「マツリゴト」と呼ばれる重要な作戦を控えており、Dパイはそこで中心的な役割を果たすとされていた。詳しい内容については機密事項として現時点では詳しく教えなかったものの、ひそねは「誰かを傷つけることを恐れていた自分にも、誰かのために役立てる仕事ができた」とまそたんと共にDパイとして励んでいく。

一方、OTFの整備員である小此木と共に過ごす時間が増えていく中で、ひそねは次第に彼と親しくなっていく。小此木はもともとマツリゴトに関わる家系の出身で、その内容についても概ね知っているらしかった。好奇心もあってひそねは小此木に接近し、2人は互いを憎からず想い合うようになる。
その小此木の幼馴染で高校生の三角棗(みすみ なつめ)は、子供の頃から彼に想いを寄せていた。ひそねが小此木に近づいていることに気付いた棗は、「小此木のことも、マツリゴトのこともろくに知らない癖に」とひそねを警戒するようになる。

恋と失意とミタツ様

マツリゴトの実施が近づいたある日、ひそねたちはその全貌について知らされる。日本にはもう1体、「ミタツ」と呼ばれる超大型のOTFが存在しており、この個体は74年周期で眠りから目覚めて飛翔する性質があった。飛び出したミタツは強力な嵐をまといながら日本各地を飛び回り、新たな寝床である「臥所」(ふしど)に辿り着くとそこで再び眠りにつく。マツリゴトとは、「DパイとOTFによってミタツを臥所へと誘導し、その被害を最小限に食い止める」作戦だったのである。
74年前のマツリゴトに参加した元Dパイの樋本貞(ひのもと さだ)を教官に加え、ひそねたちはさらなる猛訓練に従事する。そんな中、休暇を利用して小此木と遊びに出掛けたひそねは、「これはもしかして世間一般におけるデートなのでは」とふと意識し、自分が彼に恋をしていることに気付いてしまう。

その次の飛行訓練で、まそたんはひそねに対して猛烈な拒否反応を示し、彼女を消化しかける騒ぎを起こす。実はDパイとは「心に欠落を持つ若い女性」のみがなれる仕事で、そうでない者がOTFの体内に入ると高速で消化されてしまうという。「自分は誰の役にも立てない、すぐに誰かを傷つけてしまう」と考えていたひそねはこの条件を満たしていたが、皮肉にも「まそたんと共に飛ぶ」という役割と、小此木への恋心が、彼女の心の欠落を埋めてしまったのだった。
「自分はもうまそたんと共に飛ぶことができない」と悟ったひそねは、「まそたんのことも、航空自衛隊の仲間たちのことも大事だ。みんなを傷つけたくない」と考えてマツリゴト直前という重要なタイミングであることを知りながら航空自衛隊を辞職。彼女の代わりに、樋本がまそたん担当のDパイを務めることとなった。

マツリゴトの真実

やがてミタツが覚醒し、74年ぶりのマツリゴトが始まる。強力な嵐に日本各地が覆われる中、Dパイ各員と航空自衛隊は命懸けでミタツを誘導していく。実家で作戦の成功を祈っていたひそねは、ふと高校生だった頃の卒業アルバムを開き、「大事なものはただ大事にするだけじゃなくて、自分で守らなければダメなのだ」ということに気付く。本気で大事だと思うからこそ自分の手でまそたん、家族、自衛隊の仲間たちを守りたいと考えたひそねは、ミタツを誘導する関係で実家の近くにいた柿保に土下座して「自分が間違っていた」と謝罪し、もう1度まそたんに乗せてほしいと頼み込む。樋本がまそたんを御し切れていなかったという事情もあってこの望みは叶えられ、ひそねはDパイに復帰する。
ひそねとまそたんが復帰したことでマツリゴトは順調に進むも、ここで意外な事実が発覚する。マツリゴトは、臥所に降り立ったミタツを眠りにつかせることで完了するが、この際に「ミタツを眠らせる」役目を果たす楔女(くさびめ)はミタツの中に取り残されるというのだ。マツリゴトの詳細を知る小此木や、楔女となることを定めとして育てられた棗は、このことをすでに覚悟していたが、ひそねは「棗だって私の仲間だ、自衛官として国民を死なせるわけにはいかない」と全力で反対する。

小此木のことが好きではないのか、彼と一緒に生きたいのではないかと必死にまそねに説得された棗は、「あなたがここで本気で死ぬつもりなら、私が小此木をもらうがそれでいいのか」という彼女の言葉についに「そんなの嫌だ、もっと生きたい」という本音を吐き出す。大事なものを全て守るため、ひそねは棗の代わりに自らがミタツの内部に留まり、彼を眠りにつかせる。相棒であるまそたんもこれに従い、74年ぶりのマツリゴトは完了する。
その後ひそねの仲間たちは、それぞれに新たな道を歩み出す。Dパイたちが任務を解かれて自衛官として新たな役職を与えられる中、貝崎はOTFの整備員として岐阜基地に残る。「楔女として死ぬ」という役目から解放された棗は、自分の将来を真剣に考えるようになり、進路についてあれこれと想いを馳せていく。小此木は行方不明になったひそねを探して、ミタツが眠りについた地を幾度も探し回るようになった。

そんな彼の前に、唐突に突然にひそねとまそたんが帰還。「今までどこに、いったいどうやって」と驚く小此木に、ひそねは元気いっぱいに「これからもたくさん大切なものを見付けていきたいから」と報告するのだった。

『ひそねとまそたん』 の登場人物・キャラクター

Dパイ

甘粕ひそね(あまかす ひそね)

CV: 久野美咲
航空自衛隊岐阜基地、飛行開発実験団、二等空曹(第2話まで二等空士)OTF、まそたんのDパイロット。TACネーム、ひそね。
思っていることをすぐ口に出し、無意識に他人を傷つけてしまうのが悩み。実家で猫を飼っている。引っ越してからも、母親とは頻繁に連絡を取り合っている。隊舎で同室のDパイロット候補生である貝崎名緒に、やや一方的な親しみを持っており、名緒さんと呼んでいる。ヤクルトの商品ジョアは、ストロベリー味よりオレンジ味のほうが好き。ひき肉が苦手。パイロットスーツの開発者、幾嶋博己も生理的に苦手。好きな男性のタイプは、かわいい人。

貝崎名緒(かいざき なお)

CV: 黒沢ともよ
航空自衛隊岐阜基地、飛行開発実験団、二等空士。Dパイロット候補生。希望TACネーム、セクシージャガー。
ひそねが来るまではDパイロット最有力候補だったが、自分より先にパイロットとなったひそねに、ライバル心を抱いている。母親もかつてはDパイロットだった。隊舎では、ひそねと同室。茶髪の編み込みツインテール。小柄でやんちゃ、ガラが悪いため、ひそねに小学生ヤンキーみたいと言われる。可愛いイラストを描くのが上手い。努力家。カスタードが苦手。パイロットスーツの開発者、幾嶋博己に好意をよせている。ひそねや絹番からは、名緒さんと呼ばれている。

星野絵瑠(ほしの える)

CV: 河瀬茉希
航空自衛隊築城基地所属、空曹長。OTF、ノーマのDパイロット。TACネーム、ペンギン。
女性初のファイターパイロットになるという目標のために、ストイックな生き方をし、プライドが高く熱心すぎるあまり、まわりにも厳しい口調で話すことが多かった。他のDパイロットとは違い、OTFは道具という見かたをしていたが、途中からドラゴンだということを素直に受け入れる。好きな銘菓は、かもめの玉子。

絹番莉々子(きぬつがい りりこ)

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