ニル・アドミラリの天秤(第5話『第伍章 紅月の夜 -ライラック-』)のあらすじと感想・考察まとめ

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ウエノ公園で連続殺人事件が起こった。猟奇的な手口と、現場に汀紫鶴の著作が残されていることで、世間の興味を集めている。ツグミたちの心配をよそに、紫鶴は、いつも通り飄々と過ごしていた。ついに、三件目の殺人が起こり、紫鶴は重要参考人として警察に連行されてしまう。
今回は「ニル・アドミラリの天秤」第5話『第伍章 紅月の夜 -ライラック-』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「ニル・アドミラリの天秤」第5話『第伍章 紅月の夜 -ライラック-』のあらすじ・ストーリー

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火傷の痕が痛々しいヒタキ

ウエノ公園の雑木林で女性の死体が見つかった。警察の現場検証を帝都新報の記者・葦切はのぞきこんでいた。死体の口から発見されたものが見え、「ライラックの花ですね」と口を出して、葦切は警察に煙たがられる。葦切は、死体のそばに汀紫鶴の著作「ライラック恋夜」が落ちているのも見た。
ツグミは、仕事の合間を縫って帝都大学病院に見舞いに出向いていた。弟のヒタキは、ツグミが紫鶴との同居生活をしていることをうらやましく思い、紫鶴の素顔を知りたがる。弟が好きな作家である紫鶴のイメージを崩さないために、芸術的で高尚な生活をしていると、ツグミは嘘をつく。ヒタキに紫鶴のサインをせがまれ、預かった「ライラック恋夜」をめくって、ツグミは仰天する。紫鶴の小説は、生々しく官能的な文章で綴られていたのだ。
フラマンローズでは、隼人が葦切と情報交換していた。今回のウエノ公園の死体と似た事件が、直近で一件あった。警察が同一犯による殺人事件とにらんでいることや、現場の様子を、葦切は隼人に教えた。

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フラマンローズで事件について話す隼人(左)と葦切

万屋の前では、紫鶴が女性を相手に金魚を売っていた。
ツグミは、近くの公園で紫鶴の話を聞いた。紫鶴は時々、金魚売りの手伝いをしているのだという。女性を言いくるめて金魚を売ることは、紫鶴に適役だとツグミには思われた。「本当にすてきできれいで可愛いと思っているのは、君だけだから」と、愛想のよいことをツグミに言う紫鶴だが、ヒタキへのサインには応じてくれない。紫鶴はサインをしない主義だった。ツグミは残念に思いながら、ヒタキが紫鶴の著作が好きな読書家であることを話した。紫鶴は、「それ(ほんの知識)だけの世界で完結してしまうと、人間としては少し足りない気がするけど」と批判めいたことを口にする。ツグミも、フクロウに入って自分の世界の狭さを痛感していると話すと、「ぼくが、君の世界、広げてあげようか」と紫鶴は口説いてきた。
ツグミと紫鶴が一緒にアパートに帰ると、朱鷺宮と隼人、翡翠が難しい顔で集まっていた。翡翠は新聞を紫鶴に見せる。新聞では、猟奇的な連続殺人事件を、好奇心をあおるように書きたてられていた。隼人は、行動を慎むように紫鶴に忠告した。
その夜、朱鷺宮が紫鶴の部屋を訪れた。朱鷺宮は、森恒犀鳥(もりつねさいちょう)の原稿の所持をたずねる。森恒は紫鶴の小説の師匠であり、自死している。森恒の絶筆は、「殺してやる」という情念が宿った稀モノだったと紫鶴は断言し、燃やしたと答える。朱鷺宮は納得しないようで、尊敬する森恒の原稿を本当に処分できたのかと、重ねてたずねる。紫鶴は「僕を信じて」と目をそらして答えた。

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隙あらば甘い言葉を囁く紫鶴(左)とツグミ

市井では、エログロ殺人の話題で持ちきりだった。紫鶴が売名行為で事件を起こしたという噂も、まことしやかに流れている。大林堂書店では、抜け目なく話題性を利用して、紫鶴の著作を売りさばいていた。
ヒタキも、事件の概要を知っていた。仕事上がりに見舞いに来たツグミに、ヒタキは事件に似た小説があると話した。それは森恒犀鳥の「煉獄島殺人事件」であった。森恒は、紫鶴の小説の師匠であり、数年前に自殺していた。
「煉獄島殺人事件」では、犯人が、主人公に関わる女性を次々と手にかける。被害者は口に彼岸花が詰められる。最後は、最愛の人を殺された主人公が犯人を殺す。犯人は、愛する主人公に殺されるという目的を達成するのだ。
ツグミが病院の帰りにヒタキから借りた「煉獄島殺人事件」を手に、公園でひと息ついていると、笹乞が話しかけてきた。笹乞は、ウエノ公園の事件は森恒の小説の模倣だと、得意げに語る。
笹乞も森恒の弟子であった。森恒は、他の弟子たちの前で紫鶴の処女作を酷評し、原稿を破り捨てたという。森恒の遺体の第一発見者は、紫鶴だった。処女作の怨みが募った紫鶴が森恒を殺したと、笹乞は確信していた。森恒の最後の小説を紫鶴が持っていたことも、笹乞は知っていた。森恒の原稿は稀モノであり、その影響で紫鶴の殺意が他者に向いているのではないかと、笹乞は自論を聞かせた。愉快そうな笹乞に、ツグミは怒りをあらわにした。
同じ頃、アパートの焼却炉で紫鶴は使い物にならない原稿を火にくべていた。珍しく研究室から出てきた隠が、しばらく立ち話をしていった。

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公園でツグミに声をかける笹乞(右)

ある晩、第三の殺人が起きた。今回は事件の目撃者がいた。
犯人が持っていた本が稀モノである可能性が高いことから、フクロウも捜査できる流れになった。隼人と鴻上の意気が上げるなか、紫鶴が重要参考人として連行されたことを、燕野が知らせに来た。
燕野がフクロウに駆けこんでくる少し前、ツグミが紫鶴と連れだって歩いていると、警察に取り囲まれた。神妙に同行する紫鶴に、ツグミは「犯人は、私たちが絶対に捕まえてみせますから」と、無罪を信じていることを告げた。
警察の取調室で、三人の被害者について、紫鶴は問われる。殺されたのは、カフェの店員、ダンスホールの行きずりの女性、金魚を買った客で、紫鶴のとっては、顔見知りにすぎない。尋問が続いて、紫鶴はトイレ休憩を申し出た。紫鶴の見張りについてきたのは、燕野だった。紫鶴は、燕野に頼んで警察を抜けだした。

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真犯人からツグミ(左)を守る隼人(右)

紫鶴を取り調べる一方で、警察は、ウエノ公園周辺に厳戒態勢を敷いており、フクロウも出動していた。呉服店の物見やぐらから隼人と見張るツグミは、稀モノを持っている男を見つける。隼人は、鴻上たちと合流するために、ツグミを置いて降りていった。物見やぐらから下りる途中、隼人はライラックの花を見つけた。
隼人たちの合図で、鴻上たちは稀モノを持つ男を取り押さえる。男は、ウエノ公園で本を燃やすために雇われただけだった。
物見やぐらに残されたツグミは、狐面をつけた男に襲われた。間一髪で戻った隼人にツグミは救われる。紫鶴も駆けつけ、狐面の男は喜ぶ。男は、「煉獄島殺人事件」の真犯人のように、憎しみにかられた紫鶴に殺されたいと渇望していた。紫鶴は、「虚構と現実は違うからね、君の望みはかなえられないよ」と冷ややかに言い捨てた。
後日、ツグミは紫鶴が署名が入った本をたずさえ、ヒタキを見舞った。
深夜、月明かりの下で、紫鶴は、森恒の血にまみれた絶筆「紅月の夜」の入っていた封筒を見つめる。「僕も結局あの犯人と同じ、先生の原稿にとらわれているのかもね」と、紫鶴は自嘲する。

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森恒犀鳥の絶筆「紅月の夜」は紫鶴の手元にある。

「ニル・アドミラリの天秤」第5話『第伍章 紅月の夜 -ライラック-』の感想・考察

「ニル・アドミラリの天秤」アニメ全話のネタバレ解説まとめ

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