ロッキー2(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ロッキー2』とは、1979年公開のアメリカ映画。シルヴェスター・スタローンを一躍スターダムに押し上げた『ロッキー』(1976年)の続編でシリーズ第2弾。本作ではジョン・G・アヴィルドセンに代わりスタローンがメガホンを取り、監督・脚本・主演の三役を務めている。ロッキーとの試合に納得がいかない世界チャンピオンのアポロは、彼をリターンマッチに引きずり出そうと目論む。ボクシングを辞め、恋人エイドリアンと結婚しジュニアも誕生したロッキーだったが、苦悩の末、再びアポロの挑戦を受けることにする。

病院から退院したロッキーは、エイドリアンと動物園に向かう。
エイドリアンは、雪景色の中なぜ動物園に来たのかとロッキーに尋ねると、彼は雪の動物園が好きなんだと答える。
そしてロッキーはトラの檻の前に来ると立ち止まり、「よければ俺と結婚してくれ」と言うが、耳あてをしているエイドリアンは「何て言ったの?」と聞き返す。ロッキーは今度は耳あてを浮かして耳元で「結婚したくないか?」と聞き、エイドリアンは「ええ…結婚したいわ」と答える。

ロマンティックとは程遠い動物園でのプロポーズだが、雪の白さがロマンティックなムードを演出し、トラを背景に二人でキスをするのがいかにもロッキーらしい名シーンと言えるだろう。そしてこの後、檻にいるトラに向かって「お前にも招待状を送るよ!」とジョークの好きなロッキーらしいセリフが笑わせる。

逃げるニワトリを捕まえるトレーニング

アポロとの再戦が決まり、ミッキーは早速前回の試合の映像を見てロッキーと作戦を練る。
ミッキーは、痛めている右眼を守るための作戦としてサウスポーのロッキーを右利きに変身させる戦術を明かす。右利きとなることで、アポロを困惑させることもできるという作戦だ。最初のトレーニングは、空き地で逃げるニワトリを追いスピードつけるというものだった。
最初は足の速いニワトリに悪戦苦闘し、練習にあまり身が入って入なかったこともあり、この練習に意味があるとは思っていなかったロッキーだった。だが、エイドリアンに「勝って!」と言われた後の練習では、見事にニワトリを捕まえることに成功する。

前作では様々なトレーニングシーンが話題になったが、本作の目玉は珍トレーニング「ニワトリの追っかけ」である。あまり科学的とは思えないが、スピードをつけるという点では理解できなくもない。ニワトリを追っかけて悪戦苦闘するロッキーの姿は、意表を突いたトレーニングの名(迷)シーンと言えるだろう。

感動のクライマックスシーン

最終ラウンド。ロッキーの渾身の一発がアポロの顔面を捉え、ついにアポロがダウンする。だが、パンチを放った反動で疲れ果てたロッキーも同時にダウンした。 レフリーのカウントが始まると両者ともロープにしがみつき、必死に立ち上がろうとする。そして最後に立ち上がっていたのはロッキーだった。大歓声の場内には、「新チャンピオン、ロッキー・バルボア!」のアナウンスが響き渡る。そしてロッキーはレフェリーに「ひと言いいか?」とマイクに向かうと、アポロやミッキーや神に対して感謝の言葉を述べた。「子供も生まれたし、俺の人生で最高の夜だ!」と叫ぶ。そして最後にテレビで見ているエイドリアンに向かって「エイドリアン!俺はやったぞ!」と叫んだ。

前作では、勝敗などどうでもよく、エイドリアンの名を呼び続ける姿が感動を呼んだが、本作は、エイドリアンは産後ということもあり、家でテレビ観戦しているため、テレビに向かっての呼びかけとなった。チャンピオンベルトを掲げて「エイドリアン!やったぞ!!」と、叫ぶロッキーに、家で涙を流すエイドリアンの表情が感動を呼ぶが、さらに今回は共に戦ってきたミッキーと固い抱擁を交わす姿がより一層の感動を呼ぶラストシーンとなった。

『ロッキー2』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

会場で応援するはずだったエイドリアン

クライマックスのアポロとロッキーの試合シーンでは、当初はロッキーの妻・エイドリアンも会場に行って応援する設定になっていたらしい。しかし、エイドリアン役のタリア・シャイアは、その撮影の日に他の映画の撮影スケジュールが入っていたため参加出来ず、やむなく「出産後の体調を気遣って、兄と自宅に残りテレビ観戦をする」という設定に変更されたそうである。因みにテレビ観戦のシーンは、試合のシーンを撮影した数か月後に改めて撮影されたという。

役作りにのめり込み過ぎてしまったスタローン

本作では監督を務め、よりリアルなボクシングシーンを追求したスタローンは、撮影準備の段階で体力作りのために220ポンド(約100キロ)のベンチプレスを欠かさなかったという。だが、自身の役作りにのめり込み過ぎたのか、プレスのやりすぎで右胸筋を痛めてしまっていた。このケガは撮影中も尾を引き、クライマックスの大事な試合のシーンの撮影でも再び痛めてしまったそうである。

ボクシング界のスーパースターがカメオ出演

右がロベルト・デュラン、左はロッキー。

本作には、ボクシング界のスーパースターがカメオ出演している。
アポロとの再戦を控えたロッキーのスパーリングの相手として登場している、ロベルト・デュランという選手である。
ロベルト・デュランは1951年にパナマのスラム街で生まれ、16歳でプロデビュー以来、連戦連勝を続け、21歳の時に無敗のままWBA世界ライト級王者ケン・ブキャナンにKO勝ちして新王者となった。世界王座に就いてからは「石の拳(こぶし)」と形容された野性的な強打で、10連続KOを含む11度の防衛を達成している。
本作への出演はまさに絶頂期の頃であり、「Fighter ROBERTO DURAN」と、エンドロールにもその名が刻まれている。

ロッキーのモデルとなった伝説のボクサーが出演予定だった

映画『ロッキー』の原点として、世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦をテレビ観戦したスタローンが「アリをダウンさせたウェプナーは偉大なボクサーとなり人々の心に永遠に刻まれる」と感じ、この出来事を基にわずか3日で脚本を書き上げたというエピソードは有名だが、『ロッキー』のモデルとなったウェプナーは映画の大ヒットとともに全米の人気者となった。本作で監督を務めるスタローンは、チャック・ウェプナーに出演を打診してOKをもらうと、ウェプナーに敬意を表する意味で、セリフもあるロッキーのスパーリングパートナー役を用意した。だが撮影当日、ウェプナーはなんと酔っぱらった状態で二人の女性を両脇に抱えて現場に現れた。その上、セリフもまともに喋れる状態ではなかったために、結局出演は白紙とになってしまったそうである。
映画のおかげで有頂天となっていたウェプナーは、その後の生活は華やかだが荒んだものとなり、妻と娘からは愛想を尽かされ、結局、薬物の売人にまで落ちぶれ逮捕されて刑務所送りにまでなったという。

『ロッキー2』の音楽(主題歌・挿入歌)

Redemption /Theme From Rocky II(ロッキー2のテーマ)

作曲:ビル・コンティ
冒頭から始まる前作のタイトルマッチのシーンがが終わり、直後のタイトルバックから流れるテーマ曲。
エンディングにも使用されている。

『ロッキー2』の関連映像

予告編映像

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@shinecralis

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