かくりよの宿飯(やどめし)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『かくりよの宿飯』とは、富士見L文庫より刊行された友麻碧のキャラクター小説。イラスト担当したのはLaruha。2018年には2シーズンに渡ってアニメ化された。アニメの制作はGONZO、監督は奥田佳子が務めた。
あやかしを見ることの出来る女子大生の津場木葵がかくりよにある老舗宿「天神屋」の大旦那を名乗る鬼神に連れ去られたことをきっかけに、料理の腕を活かして小料理屋を切り盛りしていく。料理を通してあやかしとの仲を深めていく様子が見どころとなっている。

笹良「家族は皆一緒にいなければ」

第18話。松葉の妻、笹良の言葉。病に伏せる笹良が側にいる松葉に語ったもの。感情の起伏の激しい松葉と葉鳥が、けんか別れをしたまま、幾年月。なんとか2人に仲直りをしてもらいたくて、命の限りを尽くして発した、魂の叫びとも言える、母の願いのこもるひと言。

葵「これは私がやらなきゃならないことよ」

第19話。乱丸に、人魚の鱗を取って来ると言ってしまったことに対して、自分に言い聞かせる言葉。竜宮城跡地が何処にあるのかも知らないで、人魚の鱗を取って来ると言ってしまったのは、決して祖父の史郎譲りの無鉄砲なんかではない。自分が取って来ることによって、銀次があれほどの穢れを受けて苦しむ事が、無くなると考えての発言である。すべては銀次を思う葵の優しさから出た無鉄砲なのである。

磯姫「海宝の肴はあなたが手掛けなさい]

第20話。竜宮城跡地にやって来た葵に、磯姫が授けた天啓とも言える言葉。虹結びの雨傘、天狗の秘酒、そして人魚の鱗。南の地の災厄を避けるための儀式に必要な品物のうち、三つまでもが葵の手によって、もたらされることになった。未来を予知する能力を備えた磯姫が、海宝の肴を作ることを葵に委ねたことは、儀式を成功させるためには、葵の力が不可欠だということを、磯姫が天啓として指示したことになる重要な言葉である。

葵「ねえ秀吉、あんたもしかしてねねのこと好きなの?」

第21話。ねねを背負って折尾屋に戻ろうとする秀吉の背中に、からかい気分で葵が掛けた言葉だが、秀吉はストレートにねねが好きなことを認める。しかしねねが乱丸に惹かれていることも分かっており、自分は2人を応援しているのだとはっきり言う秀吉。そんな秀吉に葵は、私はあなたを応援していると秘かに声をかける。いけ好かないあやかしだった秀吉を今、応援している葵がいた。

雷獣「料理って言う武器が通用しない相手からは、どうやってその身を守るの?料理が出来なくなったら?」

第22話。雷獣に突き付けられた言葉。天神屋のお涼に以前、葵の料理にはあやかしの霊力を回復する力があるのだと言われた。そしてこれまでに、たくさんのあやかしたちの霊力を回復し助けてきた葵。しかし今、その葵の料理の力が通じない相手が目の前に現れた。雷獣の言うように、「料理が通じないならば、もうあやかしに嫁ぐしかないのか?どうやってかくりよでこの身を守ってゆけばいいのか?」今まで考えてもみなかった問いを突き付けられる葵だった。

乱丸「俺が行くほかねえ。山登りでも山越えでも、なんだってやってやる」

第23話。掛け軸の中に蓬莱の玉の枝があると白夜に教えられ、乱丸が答えた言葉。今まで葵に頼りっぱなしであった儀式の準備の品。やはり最後の蓬莱の玉の枝ぐらいは、何としても自分が揃えたいという乱丸の強い決意の言葉である。

銀次「大丈夫ですよ葵さん。このまま食べ物の味が分からないなんて、そんなことあるはずがありません。そんなこと、あっていいはずがありません」

第24話。銀次に葵の味覚を取り戻す霊力はない。しかし絶対にこのまま味覚が戻らないなどということは銀次は考えない。自分が何としても葵さんの味覚を取り戻す手伝いをしてゆくんだという銀次の決意。これまで数々のあやかしを助けて来た葵に、そんなことは起こりえないのだという銀次の強い思いのこもった言葉。

葵「あははじゃなくて、ねえ大旦那様。迎えに来てくれたのはうれしいけど、私今帰るわけにはいかないのよ。儀式の肴を作るの、私が任されたの磯姫様に、いえ乱丸に」

第25話。本来なら折尾屋に攫われた葵は、大旦那と一緒に天神屋に帰ることが出来たが、葵はこれまでに深く南の地の儀式に関わってしまった。折尾屋のためだけでなく、好きになった南の地に暮らす人々に、災厄が起こって欲しくないという気持ちを強く感じるようになった。最後まで儀式をやり遂げたいという葵の強い意志が、大旦那にこの言葉を言わしめたのである。また、磯姫様から託された海宝の肴を今、乱丸から正式に依頼されたことで、乱丸との信頼関係も大きく前進する大切な儀式であるという認識が、葵の中に確かに芽生えていたのである。

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