ニル・アドミラリの天秤(第1話『第壱章 稀モノの煌き -アウラ-』)のあらすじと感想・考察まとめ

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大正25年、華族令嬢の久世ツグミに結婚話が持ち上がる。弟のヒタキは、身売り同然の縁談に反発する。ツグミが真意を語ろうとした矢先、ヒタキは焼身自殺を図った。ショックを受けるツグミの前に現れた、帝都図書館情報資産管理局の男二人は、自殺の元凶が稀モノであると教える。
今回は「ニル・アドミラリの天秤」第1話『第壱章 稀モノの煌き -アウラ-』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「ニル・アドミラリの天秤」第1話『第壱章 稀モノの煌き -アウラ-』のあらすじ・ストーリー

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ヒタキ(右)はツグミ(左)の縁談をなじる。

久世家は窮乏した華族だった。当主が起こした事業は、帝都を襲った震災で大打撃を受け、没落の一途をたどっていた。
久世家の娘・ツグミは、八代家からの結婚の申し出を受け入れた。八代家は、海運で財を成した事業家である。ツグミの舅となる八代は好人物で、その息子なら問題はないだろうというのが、ツグミの父親の見立てだった。ツグミは、友人たちも親の決めた相手に嫁いでいったように、自分も父親の決めた縁組に従うと決めていた。また、相手が金満家ならば、父親の事業に融資をしてもらうことを期待できた。
ある日、ツグミは弟のヒタキから縁談について問い詰められる。ヒタキは、縁談についてツグミや父親から何も聞いておらず、使用人の立ち話を耳にしてしまったのだった。
成金に嫁ぐという使用人の言葉を鵜呑みにしたヒタキは、「姉様は父様に売られるんだ」「華族としての誇りはないの?」とツグミを傷つける。「姉様だって、本当はいやなんでしょ?」と、ヒタキに問い詰められたツグミは、「あなたには関係のないことよ」と語気荒く突き飛ばした。ヒタキは「姉様なんて大嫌いだ」と泣きながら、ツグミの部屋を出て行った。ヒタキを追いかけようと廊下に出たツグミに、久世家の家令であるじいやが声をかけた。じいやは、ヒタキにショックを与えたのは、使用人の私語厳禁を徹底できなかった自分の責任だと、ツグミに詫びた。
ツグミは弟と出掛ける約束をしていたが、ヒタキは自室から出てきそうになかった。ツグミは一人で出かけ、ヒタキの好きな菓子と汀紫鶴の新刊を買った。弟の気分をとりなして、自分の心の内を明かそうとツグミは考えていた。

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ヒタキはツグミの目の前で焼身自殺を図る。

帰宅してすぐに、ツグミはヒタキと鉢合わせする。ツグミが声をかける間もなく、ヒタキは自室に逃げていく。お茶にしようと、ツグミがヒタキの部屋をノックして呼びかけるが、返事もしてくれない。しびれを切らしたツグミが中に入ると、部屋には灯油が撒かれていた。和綴じの本を持ったヒタキは、うつろな目でマッチを擦った。たちまち室内は火の海となり、じいやが慌ててヒタキを助けた。
ヒタキは帝都大学病院に担ぎこまれた。意識不明ではあるが、命に別状はないという診断に、ツグミとじいやはほっと胸を撫で下ろした。
ツグミは、ヒタキの自殺の理由が自分の結婚話のせいだと思い詰めていた。病弱な母親は、姉弟が幼いころに静養のために実家に戻った。それ以来、姉弟は身を寄せ合って暮らしていた。ツグミ自身が弟を甘やかしてしまったと認めるほど、姉弟の仲は近い。結婚はヒタキには裏切り行為に等しく、ツグミも弟に「大嫌い」と言われたことを気に病んでいた。

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帝国図書館情報資産管理局の鴻上滉(左)と尾崎隼人

病院の廊下で、動揺が続くツグミをじいやがなだめていると、若い男性二人が現れた。二人は、帝都図書館情報資産管理局(通称・フクロウ)の尾崎隼人と鴻上滉と名乗る。隼人と滉は、ヒタキの焼身自殺について把握しており、「本に殺されかけたのかもしれない」と思わぬことを言いだす。
すでに深夜だったが、ツグミは隼人と滉を自宅に招き、じいやを同席させて、二人の話を聞いた。
「稀モノ」という本について、隼人と鴻上の話でツグミは初めて知る。稀モノには、たいていは手書きの、作者の強い感情が宿っている本である。活版印刷の普及とともに、稀モノの存在は忘れられかけていた。しかし不自然なことに、このところ立て続けに稀モノの被害が報告されている。その日も、鵜飼首相の息子・昌吾が、稀モノの影響で自殺を図ったという。「理由のない突然の自殺」「少年」という共通点が、鵜飼昌吾とヒタキにはあった。
ヒタキが自殺のときに持っていた本を、ツグミはじいやに取りに行かせた。戻ったじいやが手にしていた本を目にして、ツグミは悲鳴を上げる。本が燃えていたのだ。ツグミ以外には、燃えた跡のあるただの本にしか見えない。ツグミが見たのは「アウラ」だと、鴻上が教えてくれた。本に宿った作者の感情が、炎や光のように見える人もいるという。ヒタキの自殺未遂のショックで、ツグミはアウラが見えるようになったらしい。
「あなたが欲しい。あなたのアウラが見える力が欲しいんです、フクロウに」と、隼人は、ツグミに頭を下げて頼んだ。

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帝国図書館情報資産管理局の朱鷺宮栞(右)もツグミを勧誘する。

夜が明けても、ツグミの気持ちは晴れない。人を傷つける稀モノを作った著者を憎む一方で、ヒタキの自殺の理由が自分ではないらしいことに安心している自分自身も、ツグミは許せなかった。
ツグミがヒタキを突き飛ばしたのは、本心を見透かされてうしろめたかったからだった。八代との結婚をツグミは望んではいなかった。親の決めた相手に嫁ぐことは、この時代の女性として自然なことだった。ツグミも、自分が周囲とは違う特別な運命の持ち主ではないと思っていた。気持ちが通じ合っている姉の仕打ちがヒタキを自殺に追いこんだとしか、ツグミには思えなかった。考えながら薔薇の手入れをするツグミは棘で手を傷つけていた。そこに「自分を責めてはいけない」と、見知らぬ女性がツグミの手を止めた。女性は、隼人たちの上司の朱鷺宮栞であった。
朱鷺宮は、ツグミに稀モノについてどう感じるのか尋ねた。本とは、安全な場所に身を置いて、自分とは違う様々な人生や感情を味わえるものなのに、自殺に追いこむ稀モノはおそろしい、とツグミは答えた。稀モノを憎む気持ちと、ヒタキの自殺を未然に防ぐことができなかった自責が入り混じるツグミの心境を、朱鷺宮は言い当てた。
さらに、朱鷺宮はフクロウの職務を説明する。法で裁けない稀モノを見届ける義務を負い、フクロウは問題のある本を回収している。そして、朱鷺宮も、隼人同様にアウラが見えるツグミの力をフクロウに貸してほしいと頭を垂れて頼むのだった。

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髪を切ったツグミは運命を変える第一歩を踏み出す。

朱鷺宮が帰った後、ツグミが自室で物思いにふけっていると、庭の木に止まる一羽の鶫が見えた。その鳥は突然飛び立ち、先に行く群れについていった。その様子を見送ったツグミは、朱鷺宮の勧誘に応じる決意をする。八代との結婚はツグミの父親からの申し入れで延期されていた。
ツグミは、腰まであった髪を自分で切り落とした。驚くじいやに、「自分の力を人のためにとか、そんな立派な気持ちじゃないの」「このままじゃいけないって、少しでも自分が変わらないといけないって、そんな気がするの。ヒタキのためにも」と、ツグミは自分の思いを語った。
数日後、ツグミは自宅の車に送られて帝都図書館情報資産管理局に向かった。

「ニル・アドミラリの天秤」第1話『第壱章 稀モノの煌き -アウラ-』の感想・考察

「ニル・アドミラリの天秤」アニメ全話のネタバレ解説まとめ

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