悪魔のいけにえ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『悪魔のいけにえ』とは1974年に公開されたアメリカのホラー映画である。監督・製作・脚本をトビー・フーパーが務めた(脚本はキム・ヘンケルと共作)。テキサス州に帰郷した五人の男女が、人の皮で作ったマスクを被った大男のレザーフェイス(ガンナー・ハンセン)とその一家に不条理に襲われ殺害されていく物語である。ホラーながらも笑えるシーンも多々あり、無名俳優を起用し低予算で製作されながらも、人気のある作品である。

ミートフック

ミートフックに吊るされるパム

劇中、パムはレザーフェイスによって背中からミートフックに吊るされるシーンがある。
ミートフックとは、輸送や食肉処理場、肉屋などでよく使用されるものである。名前の通り肉やソーセージなどを吊るすものである。
アーチ状に湾曲した数ミリメートルの厚さの金属棒で、構成されている。肉を不必要に傷つけることなく保持できるようになっている。

『悪魔のいけにえ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

老人「電気代もバカにならんからな」

老人(左)の経営するガソリンスタンド

レザーフェイスに追われたサリーが逃げ込んだのが、老人が経営しているガソリンスタンドである。
助ける振りをしながら、サリーを殴り気絶させ縛る。老人はレザーフェイスの兄であるが、異常な家族の中でもわりと人間らしさをもっている人物である。そして、だからこそ笑いを誘うセリフなのである。
映画序盤から不穏な空気が漂い、その後恐怖と緊張感の続くシーンが連発する。そんな中、サリーを拉致しようと車に乗せた老人の一言が、「電気代もバカにならんからな」である。サリーを乗せ、車のエンジンをつけたものの、「そうだ!」と言って一旦エンジンを切った老人であった。一旦店に戻り、電気を消し扉を閉めた後再び車に戻り、サリーに言った言葉である。異常殺人を繰り返す一家の一人の言葉にしては、間抜けな一言で思わず笑いそうになってしまう。だからこその恐怖もある。

サリー「行って!早く!」

笑い狂うサリー

あまりに恐ろしい一夜を過ごし、その上自分以外の友人や兄を殺された体験をしたサリーがトラックで逃げる際に言ったセリフである。
このシーンは名シーンでもあるが、「行って!早く!」の言葉の後何とも言えない奇妙な笑い声をあげるのである。小さくなるレザーフェイスを嘲笑うかのように笑い狂うサリーの状態は常軌を逸しており、彼女の精神が壊れた様がわかる。因みに日本語吹き替えでは「くるな!あっち行け!」とニュアンスを少し変えている。

レザーフェイスがチェンソーを振り回すシーン

朝焼けの中チェンソーを振り回すレザーフェイス

サリーを逃してしまったレザーフェイスは、怒り狂ったようにチェンソーを振り回し踊るのである。
朝焼けの美しさの中、醜い大男がチェンソーを振り回し踊るシーンは異様である。
その為、ラストのこのシーンは非常に印象に残るシーンである。このシーンによく似たシーンがある映画もある程である。

目のアップシーン

サリーの目のシーン

サリーがソーヤー一家の家に連れて来られ、恐怖の一夜を描くシーンでやたらサリーの目のアップが登場する。
何度となく顔や目のアップが出てくるが、それだけでもじゅうぶんにサリーの恐怖がわかるシーンである。
まさに「目は口ほどにものを言う」という言葉がぴったりくるシーンである。

『悪魔のいけにえ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

人気作故の、続編、リメイク

ソーヤー家に監禁されるサリー(右)とサリーを殺そうとするヒッチハイカー(左)

人気作であった本作は、続編やリメイク、関連策などが作られている。
1986年には『悪魔のいけにえ2』が前作に続くトビー・フーパーが監督を務めて、製作された。その後、1990年に『悪魔のいけにえ3 レザーフェイスの逆襲』が、ジェフ・バー監督によって作られた。
1995年には『悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス』がキム・ヘンケル監督により作られ、2003年に『テキサス・チェンソー』がマーカス・二スペル監督により作られた。2006年にはジョナサン・リーベスマン監督により『テキサス・チェンソービギニング』、2013年にはジョン・ラッセンホップ監督により『悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』、2017年には『レザーフェイス 悪魔のいけにえ』がジュリアン・モーリー監督によって作られた。

レザーフェイスのモデル

サリーの顔を覗き込むレザーフェイス

レザーフェイスのモデルは、遺体や皮から衣服や調度品を作っていた連続殺人鬼エド・ゲインだという噂が定着している。しかし実際は監督の医学生時代に、先生が悪戯で話した遺体安置所の死体から皮を剥ぎ、乾かしてハロウィンコスチュームにしたと言うストーリーに影響されたと言われる。恐らく冒頭で語られる「これは事実をもとにした映画である」とのテロップと、ゲインの犯行がレザーフェイス一家のそれと似通っている部分があったためと思われる。しかし監督のトビー・フーパーは製作時にその事件を知らず、冒頭のテロップはなんとか恐怖を煽ろうとして付け加えたものであった。
また、買い物をした際工具売り場でチェンソーを見た監督が、これだと思いレザーフェイスにチェンソーを持たせた。

撮影の工夫

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@jetsetw9

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