SERVAMP(サーヴァンプ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『SERVAMP』とは、田中ストライクが2011年より月刊コミックジーンにて連載中の漫画及びそれらを原作としたアニメ作品。
2016年7月から9月までの間AT-XやTOKYO MXなどでテレビアニメが放送され、2018年4月7日より劇場アニメ『「SERVAMP -サーヴァンプ-」-Alice in the Garden-』が公開された。
舞台は現代。“サーヴァンプ”と呼ばれる吸血鬼の真祖にして7つの大罪をつかさどる存在と、その契約者である主人(イヴ)たちによるバトルファンタジー作品である。

『SERVAMP‐サーヴァンプ‐』の概要

『SERVAMP』とは、月刊コミックジーン2011年7月号より連載中の田中ストライクによる漫画及びそれらを原作としたアニメ作品。2018年5月現在既刊12巻。
2016年7月から9月までの間AT-XやTOKYO MXなどでテレビアニメが放送された。BD/DVD全6巻。キャラクターソングミニアルバムとソロキャラクターソングミニアルバムも発売されている。
2018年4月7日より、劇場アニメ「SERVAMP -サーヴァンプ-」-Alice in the Garden-が公開された。
舞台は現代で主人公は高校生だが、学園ものというよりはファンタジー的な要素の方が多い。
世界観を理解するのに時間がかかりそうなど最初は難しそうなイメージがあるかもしれないが、物語自体はあまりややこしくないのでとっつきにくさは特に感じられない。
まだまだ謎が多いものの、内容をシンプルに受け止められるのが魅力である。
アニメでは、メインキャラクターはもちろんサブキャラクターに至るまで名のある人気声優たちが名を連ねている。

『SERVAMP‐サーヴァンプ‐』のあらすじ・ストーリー

「シンプルイズベスト」がモットー。そんな高校1年生の少年・城田真昼(しろたまひる)が今作の主人公。
真昼が学校帰りに道端で一匹の黒猫を拾い、クロと名付けるところから物語は始まる。
そんな中真昼とクラスメイトたちは商店街を訪れるが、突如現れた謎の吸血鬼ベルキアの襲撃を受け、クラスメイトの龍征が瀕死の重傷を負わされてしまう。
真昼は面倒くさがるクロを必死に説得し、仲間たちを助けてこの状況を切り抜けるために契約を結ぶ。
そして対峙するベルキアに、このクロは契約した人間の言うことを聞く“サーヴァンプ”と呼ばれるSERVANT(下僕)のVAMPIRE(吸血鬼)という存在であることを告げられる。

クロの圧倒的な戦闘力でベルキアを退け、窮地を脱した真昼。
だが翌日真昼が登校すると、龍征がベルキアに負わされたはずの傷が交通事故によるものということになっていた。
現場に居合わせた者たちの記憶から吸血鬼の存在が消え、違うものになっている。
戸惑いを隠しきれない真昼は、クロにベルキアの主だという椿について尋ねるが心当たりはまるでないという。
そんな時、不気味な空気を纏った和服に高下駄という出で立ちの男が現れる。
この男こそが、8番目の真祖“憂鬱のサーヴァンプ”を名乗る椿本人だった。

真昼とクロは、椿の隔絶された空間の中へと誘われる。
サーヴァンプは怠惰・傲慢・嫉妬・憤怒・強欲・暴食・色欲の7人兄弟だと思われているが、本当は憂鬱の自分も含めた8人兄弟だということを椿は主張する。
自分の存在が認知されていない事に対して椿は「ねぇ…僕はとっても憂鬱なんだ。君に僕の気持ちはわからないし、どうせ誰も僕を知らない。どうせ世界の誰も僕を理解しない…」と呟く。だから7人の兄弟を呼び寄せて吸血鬼同士の戦争を起こして、ただ世界に後悔させたいだけだと。
「何も面白くないのは、お前が自分の気持ちと向き合えてないからだ!!」と、真昼は自分勝手な理由で関係ない大勢の人を巻き込んで危害を加えようとする椿を止めようとする。
椿に刀で切られそうになる寸前、真昼とクロは空間からの脱出に成功する。その手助けをしたのは、色欲の真祖であるスノウリリイとイヴである有栖院御園だった。

有栖院家の屋敷に連れてこられた真昼とクロは、御園に椿と対峙しても反撃ひとつ出来なかったことを指摘される。
サーヴァンプの使い方を全くわかっていない真昼とクロに対して、御園は自分の下僕になることを要求する。
偉そうにものを言われた真昼は屋敷を飛び出す。そして目にしたのは屋敷の中にいるたくさんの子供たち。
リリイ曰くサブクラスとは、サーヴァンプによってつくられた下位の吸血鬼で、自分を作り出した神祖に従う存在。そしてあの子供たちは全員自分のサブクラスで、椿はあの子たちのようなサブクラスを殺して回っていることを聞かされる。
ただみんなを守りたいだけだという御園の真意がわかった真昼は、下僕ではなく友達としてサーヴァンプについて教えてもらうことになった。
有栖院家から帰る途中に立ち寄った店で、真昼は桜哉と遭遇する。
最近リストバンドを無くしたという真昼に桜哉はリストバンドをプレゼントするが、最近黒猫(クロ)を飼い始めたことや「最近、何か俺に隠し事してないよな?俺に、嘘ついてないよな?」と執拗に問いただしてくる。
その場を濁した真昼だったが、桜哉の表情は曇る一方だった。

御園からイヴにはサーヴァンプからもらえるリードという武器があることを教えられた真昼。守るための力なら必要だとクロを説得し、クロのインナーワールドで箒を手に取る。
一方その頃、回転寿司店で食事を楽しむ椿とベルキア。二人が待っていたのは、なんと真昼の親友である桜哉だった。
血だらけになった人間を引きずり、自身も血塗れになった桜哉。学校の誰かに見られたら君が吸血鬼だとバレるのではないか?という椿の質問に対し、桜哉は「もうどうでも良いんです。俺、嘘つきは嫌いなんで。」と静かに返すのだった。
武器を発現できない真昼に、リリイは何のために力が欲しいのか、具体的にイメージしてみたらどうかとアドバイスする。
真昼が思い浮かべたのは、友達や家族など守りたい人たち。そして御園に「シンプルにさ、友達の友達が友達になったっていいじゃん」と桜哉を始めとする自分の友人たちを紹介する約束をする。
だが桜哉はここ数日学校を休んでいて、電話も繋がらなかった。桜哉の様子を見に家に行こうとするが、何故か桜哉の家の場所が思い出せない。それどころか、自分の中で桜哉の存在がどんどんおぼろげになっていく。
そんな真昼に声をかけたのは、桜哉だった。その直後に女性の悲鳴が聞こえ桜哉と向かうが、向かった先でベルキアとオトギリ、そして桜哉が襲いかかってきた。
そして、真昼と自分が親友だったという記憶は自分が植えつけた偽物の記憶だったということを桜哉に告げられる。
御園とリリイが駆けつけ、色欲組と椿のサブクラスとのバトルに発展するが、リリイが負傷し、とうとう桜哉と対峙せざるを得なくなる。
大切な人たちを守るために得たはずの力で、守りたかった桜哉を傷つけている自分に激しく嫌気が差す真昼。そんな真昼の血を飲んだクロの様子が急変する。
暴走したクロを止めたのは、突如現れた“嫉妬の真祖”ジェジェとそのイヴ有栖院御国だった。

御国とジェジェの乱入により、全員その場から撤収することになる。
翌朝、真昼は学校を休んだ。頭の中にあるのはクロを拾った後悔ではなく、力に対する戸惑い。
そしてふらりと立ち寄った回転寿司店で椿に遭遇する。
椿の隣に座り、桜哉について問いかける真昼。
そして桜哉と桜哉の姉は保険金目当ての両親に自宅のマンションから突き落とされて命を落としてしまったこと、サブクラスは死にかけた人間にサーヴァンプの血を飲ませると作れるもので、自分をサブクラスにしたサーヴァンプに従わなければならないことを聞かされる。
「なんだ君、本当に何も知らないんだ。それで友達?」という椿の台詞に何も言い返せない真昼。
そんな真昼は不意に「失敗したっていい、後悔は残すな」という叔父の言葉を思い出し、桜哉のもとへ急ぐ。
真昼が向かった先は、通っている高校。クラスメイトに桜哉について聞くが、先週転校したということになっていた。
翌日の文化祭当日。姿を現した桜哉を見つけ、逃げられても追いかける真昼。
屋上から飛び降りた桜哉を掴み、リードの箒で飛ぶ。
「俺は、あの人を裏切れない…」嘘をつかなかった椿と、手を差し伸べてくれただけではなく見捨てなかった真昼の間で桜哉の心は大いに揺れていた。
それでも桜哉は真昼に礼を言い、姿を消したのだった。

時は進んで明日から夏休み。真昼とクロは夏祭りの会場を通りかかり、花火が打ち上がるのを待つことにした。
そんな時、右目に黒い変わった形の眼帯をした外国人に銀色のアタッシュケースを託され、落し物だから花火の時間までに届けて欲しいと頼まれた。
不審に思いながらも夏祭りの本部に届けに行く途中、黒い巨大な棺桶を担いだ少年にぶつかる。
少年曰く人を探している途中で、棺桶については「棺桶っつったら、吸血鬼が寝るに決まってんだろ」と言われる。次の瞬間後方で爆発が起きる。
爆発したのは銀色のアタッシュケース。今自分が持っている物と同じではないか。
それに気づいた真昼は、棺桶を担いだ少年に言う。「あの!!アナタのこと、悪い奴じゃないって信じていいですか?どうせ疑いないなら信じたい!!もし騙されたらその時どうにかする!!その方がシンプルだ!!」
真昼はクロを呼び、空に向かってアタッシュケースを投げさせた。「サーヴァンプ…」その光景を見た少年が呟いた。
だがアタッシュケースは空中で爆発せず、こちらに向かって落下している。
落下してきたアタッシュケースを、少年が棺桶に入れる。
「見てな。俺の棺桶は誰にも壊せねえ」棺桶の中で爆発するアタッシュケース。だが、棺桶は全くの無傷。
真昼の確信通り棺桶を担いだ少年・千駄ヶ谷鉄はイヴで、契約しているサーヴァンプは“傲慢の真祖”ヒュー・ザ・ダーク・アルジャーノン三世だった。

鉄とヒューと別れた真昼とクロ。だが、突如真昼が謎の組織に拉致されてしまう。
真昼の前に現れたのは、人間と吸血鬼の中立機関C3の露木と名乗る男。年齢を偽り真昼の高校に潜入していた人物だった。
元々椿はC3が所有していたサーヴァンプ。だから我々には椿を捕縛する責任があり、暴れ過ぎた椿とそのサブクラスを全て壊す。そう真昼に語る露木。
それに対して真昼は「壊すって殺すって意味ですか?それじゃ協力できない!椿のサブクラスに友達がいる!助けるって約束した!」と真っ向から突っぱねる。
リードの箒を使って脱出に成功した真昼は、C3の襲撃で負傷し防戦一方になっているクロを救出する。

真昼・クロ・御園・リリイは、鉄の実家である温泉旅館に集まっていた。
そしてヒューのサブクラスから、サブクラスをボコボコにして空を飛んだ怪しい人物がいるという情報が入る。
特徴は、黒い暑そうな服と背中に羽が生えていること。しかも彼が手に持っているカゴにはサーヴァンプと思われるハリネズミが入っていた。
捜索開始早々合致する人物を見つけた真昼とクロは尾行するが、すぐにバレてしまう。
突如現れたピアノを弾き始める少年。体が重くなりだしたクロに少年は容赦なく足技の応酬を食らわせる。
やはりハリネズミは“強欲の真祖”ロウレス。そして少年はイヴのリヒト・ジキルランド・轟だった。
自称天使の電波キャラであるリヒトと、物凄くチャラいロウレスという強烈な組み合わせに、真昼とクロはただただ困惑するのだった。

しかし、ロウレスは真昼とクロたちと協力する気は無いと言う。
「椿をころすのか、放置するのか…今回も多数決しましょうよ。昔みたいにね」
「今兄さんとこには、傲慢と色欲、あと嫉妬かなー…居るらしいじゃないっすか。暴食と憤怒の2人は頭回るタイプじゃないっすけど、あの2人だって忘れたわけじゃないと思うっすよ」
軽薄な口調だが、明らかに棘のある言葉に真昼もクロとロウレスの間にある溝を感じ取る。
旅館に戻った真昼たちはテレビを見て、リヒトが来日中の天才ピアニストであることを知る。
リヒトが強欲のイヴであることを話すと、ヒューに「ロウレスは飽きればイヴを殺してしまう。あれはもう、壊れておるのじゃ。強欲には関わらぬが吉じゃぞ」という忠告を受ける。
もう一度リヒトとロウレスに会うために。真昼とクロはリヒトのピアノの演奏会の会場に向かう。
入り口でリヒトのマネージャーであるクランツに遭遇し、今日は全席関係者の貸し切りということだったがプログラムだけでもあげようということで中に入ることができた。
だが、そこで見かけたのは椿のサブクラスの姿。リヒトが強欲のイヴだということは椿も知っていて、コンサートホールの客席にいたのは全員椿のサブクラスだった。
コンサートホールに辿り着いた真昼とクロが見たものは、椿のサブクラスの死体の山だった。逃げた1人以外は全員ロウレスが殺していた。
そしてロウレスの口から、サーヴァンプ7人兄弟の過去の出来事について語られる。
強欲・暴食・憤怒は殺すべきでないと反対した。傲慢・嫉妬・色欲は我々が殺すべきだと賛成した。
ロウレスが口を開く度に、真昼の隣でクロの殺気が形を持って膨らんでいく。

コンサートホールにいた椿のサブクラス唯一の生き残りであるライラックを旅館に連れ帰った真昼とクロ。
だが、ロウレスに過去の話を持ち出されてからクロの様子が明らかにおかしい。
そんな中真昼は、ライラックから「ヒガンさんに気をつけて。あの人は、サブクラスで一番強くて危険だ…」という情報を聞かされる。
翌朝、真昼の携帯にクランツからの着信が入る。ロウレスが昨日出掛けたまま戻らず、リヒトも体調不良を訴えていると。
そしてリヒトの元に大柄で赤い長髪の男・ヒガンが現れる。
ヒガンと戦うが、全然歯が立たないリヒト。時同じくして、ロウレスもサブクラスをほぼ皆殺しにされ激怒した椿に倒されていた。
リヒトを見つけ、助けようとする真昼。しかし、クロが黒い球の中に籠ってしまい、リードも吸い込まれてしまう。
突然のことに体が動かない真昼は、傷だらけのリヒトに守られる。その結果、リヒトはヒガンに敗北し連れ去られてしまった。
真昼は御園・リリイ・鉄・ヒューと合流する。途中の道で御園が拾ったという、ベルキアのストラップがついた赤い携帯電話。
これはヒガンが落としたもので、椿から電話がかかってきた。
電話に出た御園は、椿たちが連れ去ったリヒトとロウレス、そしてこちら側にいるライラックを交換するという取引を持ちかけた。
旅館に戻った一同はリヒトとロウレスを救出するための作戦を練るが、クロが戦闘不能になってしまった真昼は御園から戦力外通告を受け、旅館に残ることになる。
「今度は俺が、お前一人じゃ解決できないことに手を貸す番だった…。ごめん…クロ…」部屋で1人涙する真昼。

クランツから吸血鬼に効く聖水などの商品を扱う骨董屋がいると聞き、御国だと確信した真昼はクロを元に戻すために他の面々と別れてそちらに向かうことにした。
御園たちはヒガンの携帯電話に残っていた写真から椿たちの潜伏先を特定するに至っていた。
御国の骨董屋に辿り着いた真昼は、イヴの人間がサーヴァンプの内部へ入り込み直接接触することができるという怪しげな薬を飲まされ意識を失う。
変装し椿たちの潜伏先であるホテルに潜入した御園たちだが、潜入して早々に椿のサブクラスたちの襲撃を受ける。
目を覚ましたリヒトとロウレス。壁を隔てた先に、お互い傷だらけで囚われの身となっていた。
「リヒたんは確かに凄いピアニストだけど、他にも凄いピアニストはいるし、唯一無二なものなんてこの世にはない」とロウレスが言い、「俺がまさに唯一無二だっつってんだ。テメーは何から逃げてんだ?」とリヒトが言い、二人の言い争いが始まった。そしてリヒトは壁を蹴り壊し、ロウレスの前に立つ。
クロのインナーワールドに入り込んだ真昼。クロに会って、今度はちゃんと話をする。そのために、真昼は奥へと進んでいく。
そしてサーヴァンプ7人兄弟の確執となったC3からの命令の内容が明らかになる。それは、サーヴァンプの生みの親を殺せというものだった。
意見が真っ二つに割れる中、クロが下した決断は「殺そう。俺が殺す」だった。
迷いながらサーヴァンプの生みの親を手にかけるクロの姿を、真昼は見た。そして真昼は、クロの心のドアをノックする。
真昼の顔を見たクロは開口一番に「おれはまちがってない!!」と叫ぶ。
「誰か言ってくれ…俺は間違ってなかったって」そう懇願するクロに、真昼は「間違ってたんだよ!それは俺が決めることじゃない!世界が決めることじゃない。自分なんだよ、クロ!お前自身が、間違ってたかもって思ってるんじゃないか!」とストレートに踏み込んだ。
「大丈夫。後悔してんなら、こんな所でうずくまってる時間なんてない!クロ!向きあおう!一人じゃないんだ!!出来ることは、ある!」とクロに手を差し伸べる真昼。
クロがやっと前に進めた瞬間だった。

「直接じゃ何も言えねえのか。小物ネズミ」リヒトはロウレスに詰め寄り、二人の力と価値観のぶつかり合いとなる大喧嘩が始まる。
そしてロウレスのインナーワールドに取り込まれたリヒトは、ロウレスの過去を見ることになる。
大切だった当時のイヴであるオフィーリアを失い、その直後にサーヴァンプの生みの親として慕っていた人物も亡くなってしまいロウレスは狂ってしまった。
そんなロウレスを見て、リヒトはピアノでエリーゼのためにを弾きながらロウレスに語りかける。
リヒトの言葉に感化され、今まで目を背けてきた感情と意思に向き合うことを決めたロウレス。
強欲のロウレス。本当の名前は、ハイド。
そしてリヒトとハイドは、ヒガンと対峙する。

リヒトとハイドの必殺技の名前は、ジキルとハイド。
ヒガンがリヒトを攻撃しようとすると防御体制のハイドと入れ替わり、一瞬の隙に攻撃態勢のリヒトと入れ替わる。
だがヒガンも本気を出し、リヒトとハイドは再び窮地に陥る。
一方その頃御園とリリイも桜哉と対峙し危機的状況になるが、御国とジェジェに助けられ事なきを得る。
最上階では鉄とヒューがブラックボックスという必殺技を繰り出すが、ベルキアによってヒューがどこかに飛ばされてしまう。
撤退すべきか、探しに行くべきか。迷う御園。
そんな中現れたのは、真昼と真っ黒なライオン・クロだ。
「コイツってば、ずーっと怠けてたみたいでさ…」と真昼が少し呆れたように言う。
実は、クロの本当の姿は黒猫ではなく、真っ黒なライオンだった。
そして真昼のリードも箒から槍に変化し、真昼とクロの能力は格段に上がる。

リヒトとハイドも、力を合わせて何とかヒガンに勝利する。
リヒトとハイドと合流した真昼とクロ。クロとハイドは、過去のことについて言葉を交わし和解が成立する。
だが、リヒトがハイドに契約の際に渡したネックレスをライラックが奪い取ってしまい、それがやってきた椿の手に渡って破壊されてしまう。
そしてついにぶつかり合うクロと椿。「めんどくせえ隠し子がいたもんだ」クロが苦々しく言う。
椿が「認めてくれるの?僕が兄さんたちの弟だってことを」と問いかけ、クロは「認めざるを得ねえよ。こんなバケモノを作れんのは、一人しかいねえ」と答える。
その上でクロは「俺はここをどけねえんだ。お前とは、俺が向き合わなきゃなんねえ。交えるべきは武器じゃない。言葉だ」と椿の前に立ち塞がる。
クロと椿のもとに向かおうとする真昼に御国が「少年、なんで逃げなかったの?勇敢さと無謀さは別のものだよ」と聞く。
それに対して真昼は「クロは向き合おうとしてるんだ!椿に…自分のしたことに」と答える。
「責任を取ると言うなら、それは怠惰のサーヴァンプの問題だろ」と言う御国に、真昼は「じゃあ、なんでサーヴァンプにはイヴがいるんですか?…俺はクロの相棒だ!」と言い残し走って行った。
黒いライオンの姿になったクロが、前足で椿を捕える。
クロを止めようとした真昼に椿が刀を投げつける。だが、刀が差さったのは真昼にではなく、真昼を庇った桜哉にだった。
真昼のリードが今度は鍵の形に変わり、クロの舌に差し込む。
見えたのは、椿の過去。椿には他の兄弟は自分に会いに来てくれないのかな?という寂しさや、先生と慕うサーヴァンプの生みの親がクロに殺される瞬間に何もできなかったという悔しさがあった。
そして決着がつき、椿が姿を消したことで幕引きとなり、それぞれが元の日常に戻っていった。

『SERVAMP‐サーヴァンプ‐』の用語解説

サーヴァンプ

契約した主人から血をもらい命令に従う、SERVANT(下僕)のVAMPIRE(吸血鬼)。
吸血鬼の「真祖」と呼ばれる存在で、不老不死で基本的にケガをしてもすぐに回復する。
日光の下ではそれぞれ動物の姿になってしまい、死ぬと「灰塵」(ジン)になる。
サーヴァンプは怠惰・傲慢・嫉妬・憤怒・強欲・暴食・色欲をつかさどる、全部で7人が存在するはずだった。
しかし、8人目で憂鬱のサーヴァンプを名乗る椿が現れる。
主人(イヴ)から物と名前を与えられるとそれが契約の証となり、主人(イヴ)が亡くなるとその時点で契約が終わり与えられた物と名前が無効になる。

主人(イヴ)

サーヴァンプと契約をした人間のことで、サーヴァンプに血を与えることによってサーヴァンプに命令ができる。
だが、自分が契約したサーヴァンプと一定の距離以上離れることができないという制約がある。
6時間経過すると体調不良のような体の異変が発生し始め、18時間経過するとサーヴァンプもイヴも動物の姿になってしまう。
そして24時間経過すると死んでしまう。

下位吸血鬼(サブクラス)

元人間。人間として死んだ後、サーヴァンプによって吸血鬼にされ、自分を吸血鬼にしたサーヴァンプに従属する存在。
サブクラスも不老不死ではあるが、サーヴァンプと違って日光を浴びたりサーヴァンプに吸血されたりすると灰になってしまう。
ちなみに椿のサブクラスだけは例外である。

武器(リード)

イヴが使える武器。個人によって箒や椅子など、全くバラバラの形になる。
サーヴァンプやサブクラスに治りにくいダメージを与えることが可能。
さらにサーヴァンプを制御し、連携技を発動させることができる。
連携技も、契約しているサーヴァンプ・イヴとリードの組み合わせで全然違ったものになる。

灰塵(ジン)

サーヴァンプやサブクラスが死ぬと発生するチリのようなもの。
まれに放出されたジンの影響で、異常気象が発生するなどの超常現象が起きることもある。

C3(シースリー)

人と人外との共存を掲げる地下組織。
以前C3がサーヴァンプ達にした命令によって起きた“あやまち”により、サーヴァンプ側はあまり良い感情を抱いていないと見られる。
ちなみにヒューは「とにかく利己主義で傲慢な組織」と表現している。
御国とC3の会長と呼ばれる人物には何か繋がりがあるらしい。

有栖院家(ありすいんけ)

有名財閥で、御園と御国の生家。
「自分と自分のサブクラスを匿う代わりに有栖院家を守る」という条件付きで、リリイが何代にも渡り守ってきた。
先代のイヴは御園の祖父であり前当主の御影。イヴが変わるごとにリリイの名前も変わっている。
大勢のサブクラスが屋敷の中で普通に生活していて、人間の使用人たちの仕事を手伝い少量の血を分けてもらうという仕組みで共存が成り立っている。
その特異性から「治外法権」と呼ばれ、C3などの機関は容易に介入できないようである。
人間の使用人たちもリリイが保護した孤児たちが大半で、種族を問わず家族のように共同生活を営んでいることもあり吸血鬼に対する抵抗はほとんど見られない。
リリイに拾われたという境遇の者が多いので、基本的には来る者拒まず的なアットホームな雰囲気。
屋敷の使用人たちの戦闘能力がかなり高く、椿のサブクラスと銃火器などで対等に渡り合うなど有事の際も対応可能。

『SERVAMP‐サーヴァンプ‐』の登場人物・キャラクター

城田 真昼(しろた まひる)

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