グランディアII(Grandia II)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『グランディアII』とは、2000年セガよりドリームキャスト用ソフトとして発売されたRPGゲームである。開発はゲームアーツ。グランディアシリーズの第2作目にあたるが前作とは異なる世界が舞台となっている。冒険者リュードは、歌姫エレナの護衛任務の途中で彼女に闇の呪い「ヴァルマーの化身」が取り憑くのを目撃する。リュードは彼女の中に芽生えた悪の人格「ミレーニア」との三角関係を交えながら、光と闇の戦いとその真理に触れ、世界を本当の平和へと導いていく。

ナナンの村:グラナサーベルの発見

東の地へ赴くと、そこはマレッグの故郷であるナナンの村の近くだった。
グラナス教の信仰やヴァルマーの存在を恐れないナナンの人々に戸惑うエレナだったが、村人たちはマレッグをはじめとした皆のことを歓迎した。グラナサーベルを探していることを告げると村の長老は、グラナクリフの起点である「大地の狭間」と呼ばれる場所に立つ「紫雲の塔」へ向かえば何かが分かるのではと助言する。リュードたちが紫雲の塔へ向かうと、そこには竜巻に包まれそびえ立つ塔があった。塔のそばには、竜巻に巻き込まれ壊れた自動人形の残骸が落ちており、ティオはその残骸から記憶を取り出し竜巻を止める装置が眠る「デモンズロウ」と呼ばれる施設へ向かうようリュードに告げた。
塔のそばにあった「デモンズロウ」は、かつて神魔の戦いの時に闇の陣営が使っていた拠点だった。今もなお作動していた中枢部を破壊すると闇の力が全て止まり、紫雲の塔を取り巻いていた竜巻も消えた。そこには地中深く突き刺さったグラナサーベルが天高くそびえ立っていた。神の剣・グラナサーベルを見つけたもののあまりの大きさにどうやって運べばいいか分からず途方に暮れるリュードたちの元へシレーネが現れ、突然大地の裂け目へ自分の血液と聖騎士を生贄として捧げた。すると地中に眠っていたヴァルマーの身体が復活し暴れ出した。エレナはミレーニアと交替し、リュードたちと共にヴァルマーの身体の内部へ向かう。体内の中枢部を破壊し、ミレーニアが力を吸収することで事態は収束したものの、グラナスの神官であるシレーネがなぜヴァルマー復活を助長するようなことをしたのか疑問が残った。一方ティオはグラナサーベルの制御方法を思い出し、内部へ移動して動かすことに成功する。グラナサーベルは空や宇宙を飛ぶことのできる乗り物だったのだ。ティオの操縦で一路セントハイム法国へ向かうリュードたち。ところがその途中、ヴァルマーの月が太陽を飲み込んで日が陰り、「闇の日」が訪れたのだった。セントハイムに到着すると人々が逃げまどい混乱していた。事情を聞くと「神殿に助けを求めた人々を聖騎士たちが突然斬り殺した」と言う。真偽を確かめるべくリュードたちは神殿へと急いだ。

ヴァルマーの月:神魔の戦いの真相

魔物に懐を貫かれたマレッグはリュードたちを逃がすためにティオへ叫ぶ

襲いかかる聖騎士たちから逃げまどう人々で混乱している神殿内へ入ると、そこにはシレーネが待っていた。なぜヴァルマー復活を助けたり、人々を殺したりするのかと尋ねると「最も罪深いのは神を信じない人間の方だ。私はゼラ様に全てを捧げる」と言って自害した。ところがシレーネはヴァルマーの心臓に取り憑かれており、その亡骸は化け物の姿に変化する。いつもならばミレーニアと交替しヴァルマーの力を吸収するはずなのに、エレナは交替せず自らがヴァルマーの心臓を吸収したことにリュードは疑問を抱き、問いただす。表情を曇らせたエレナは「全てのヴァルマーのカケラを集め、グラナサーベルでエレナごとヴァルマーを浄化する、とゼラ様と約束していた」と打ち明けた。リュードとエレナがゼラの元へ行くと「神魔の戦いの真実を見よ」と隠し部屋へ案内される。そこには、グラナスの勝利だと言い伝えられてきた神魔の戦いが実は闇の勝利であり、グラナスは戦いに敗れ既にこの世からいないことが分かった。ゼラは「グラナス亡き今ヴァルマーを倒す術はなく、新しい神としてヴァルマーを迎えることこそが世界を平和に導く唯一の方法。そのため、グラナサーベルによって封印されていたヴァルマーの身体を復活させるため、お前たちにグラナサーベルを探させた」と真相を明らかにし、豹変した。そしてエレナを人質に取り、彼女の中に眠るヴァルマーの力を使って「ヴァルマーの月」へと向かった。
グラナサーベルに乗れば、ヴァルマーの月へ行き二人を追いかけられるとティオは言うが、燃料が残り少ないことと、リュードの中に眠る「ヴァルマーの角」が活性化する危険性も併せて告げた。しかし二人を追いかけない理由にはならず、リュードたちはグラナサーベルに乗りこみエレナたちを追った。
リュードたちがヴァルマーの月に到着すると、ゼラがエレナごとヴァルマーの力を融合させ、ヴァルマーを復活させようと装置に入れようとしているところだった。自分が信じてきたグラナス教や、神の不在に絶望しされるがままのエレナは、飲み込まれる直前ミレーニアに変身した。ミレーニアは「最期にあんたに会えてよかった、エレナは私…二人で生きて」と告げると最後の力を振り絞ってエレナと分離し、エレナだけをリュードの元へ送り安全な場所へリュードたちを飛ばすのだった。
ミレーニアを置いて行けない、と絶望するリュードを叱咤するマレッグは、燃料のないグラナサーベルへと向かう途中魔物に懐を貫かれてしまう。もう助からないと悟ったマレッグは「このまま行け!」とティオに向かって叫び、自分が囮となってリュードたちを逃がした。マレッグが祈りを捧げるとグラナサーベルは再び動き出し、リュードたちを乗せて地上へ飛び立った。

仲間の死:絶望の中に見えた希望

自分の中に眠っていたヴァルマーの角を実体化させることに成功し、最終決戦に挑むリュードたち

何とか地上に不時着したグラナサーベル。リュード、エレナ、ティオは幸いにもケガなく戻ることができた。しかしミレーニアとマレッグの喪失は大きく、三人は絶望に打ちひしがれる。それでも二人につないでもらった命で何かできることがないかと彷徨うと、ヴァルマーの月から飛来した魔物が地上に襲いかかるのが見えた。不時着した場所はサイラム王国に近く、人々を助けようとリュードたちは走る。
サイラム王国では魔物から逃げながら戦うロアンがいた。ロアンと合流し今までの出来事を話すが、結局有効な対策は無く「リュードさんの中に眠る角まで奪われては大変なので、とりあえずヴァルマーから逃げるしかない」という結論しか出せなかった。
やがてゼラと融合したヴァルマー本体が地上に降り立ち、リュード目がけて追いかけてきた。逃げるしかないのかと苦悩するリュードに、ロアンは「葬儀の時王族しか入れない場所がある。そこにヴァルマーを倒すヒントが眠っているかもしれない」と告げ、一縷の望みをかけて皆は「王家の墓所」へと向かった。

王家の墓所の奥には「神々の生地」と呼ばれる施設が眠っていた。そこには「エルモ」と呼ばれる管理者がおり、ヴァルマーとグラナスに関する説明をし始めた。
グラナスとは、太古の昔宇宙から飛来してきたエネルギー体で、人々の「祈り」を源として際限なく力を与える存在だった。人々は更に力を得ようと祈りを強制するようになり、意思を持たずに祈りを捧げる信徒を増やすために拡大していった。事態を危惧した一部の人々がグラナスに対抗する力を得るために見つけたのが「ヴァルマー」の力だった。ヴァルマーは人の意思を核とする存在で、生物として人が持つエネルギーを暴走させ、星を破壊しかねないほどの強大な力を得ると、グラナスを滅ぼそうと戦いを挑んだ。それが神魔の戦いだった。
結果としてグラナスは滅び、ヴァルマーも身体の大部分を失ったものの、各地にヴァルマーのカケラとして飛散し残された。そこに刻まれた「グラナスの封印」と呼んでいたものは、ヴァルマーの力を実体化して人と一体化させる装置なのだった。
つまりヴァルマーの力は、心さえしっかりと保っていれば制御し、望む形に実体化することも可能なのだという。「リュードの中に眠るヴァルマーの角も、リュードが心を強く持ち保てばグラナサーベルのような剣として実体化することも可能」だとエルモは告げる。リュードは自分の中に眠る角を実体化させるために装置の中へ入った。

王家の墓所の近くにまで迫ったヴァルマーと一体化したゼラを前に、何とか己の心に勝ちグラナサーベルの実体化に成功したリュードは、最後の戦いを挑みヴァルマーの体内へと入った。
体内に入るとそこにはミレーニアが現れ「あなたの角をちょうだい?」とリュードに襲いかかるが、「あれは偽物…ミレーニアは私の中にいる!」とエレナが祈りを捧げると、エレナの中からミレーニアが現れた。うろたえるゼラは暴走し「グラナスも死にヴァルマーも滅べば人を導く存在がなくなってしまう。ならば導く人間ももはや必要ない!」と襲いかかってきた。
リュード、エレナ、ミレーニアは今までの旅で知った大切な人との絆を思い出し「心が結ばれてこそ人は強く生きていける、心のつながりを信じる」と言ってゼラに挑み、そして勝利をするのだった。

1年後:それぞれの道

サイラム王国の城下で看護婦として働くティオ。亡くなったマレッグを惜しんでいた。

ヴァルマーとなったゼラを倒し、平和を取り戻してから1年後。
ロアンは世界の様子を見るために一人旅に出る。サイラム王国の城下町では医者の助手として看護婦をするティオの姿があった。マレッグに今の姿を見せたかったと寂しげにつぶやくティオだが、「皆に会うならティオは幸せだと伝えて下さい」と言って笑顔で仕事に戻った。

続いてリリグに向かうと、そこにはグラナス教会で教師をしながら子供たちの面倒をみるミレーニアの姿があった。ミレーニアの監視役という名目でスカイも一緒だ。リュードのことを尋ねると「やり残したことがあると言って出ていったっきり。でもリュードはもう他の女に手は出せないさ、必ず私のところに戻って来る」と言って余裕の笑みを見せるのだった。

次にナナンの村に立ち寄ったロアンは、マレッグの墓にティオから預かったティオのペンダントを供え、世界が平和になり皆元気だと報告をした。

そして次に向かったのはミルムの村では、ヴァルマーの目に取り憑かれ心を失ってしまっていたアイラがすっかり元気になっていた。サンドラが作る薬は評判が良く注文が殺到し、それによって村は活気に満ち溢れていた。ちょうどミルムの村を訪れていた旅芸人の一座のテントを覗きこむと、そこにはエレナの姿があった。エレナは一座で歌を歌いながら旅をして世界の様子を見て回っているのだという。リュードと会えなくて寂しくないのかと尋ねると、「心は触れずとも感じることができる、どこにいてもリュードのことを感じられるし、心が求めていれば願いはきっと叶う」と答えるのだった。

ところ変わってとある丘の上、そこにはリュードが立っていた。足元にはグラナサーベルを埋め「俺たちはもう奇跡には頼らない、奇跡が無くても生きていける。俺たちがどう生きていくかをここで見守っていてくれ、さよならだ、グラナサーベル」と言い空を仰ぐのだった。

『グランディアII』の登場人物・キャラクター

パーティキャラクター

リュード(CV:森久保祥太郎)

本作の主人公。17歳。
剣士の村・ガーランの出身。両親を幼い頃に亡くし、兄メルフィスと共に村長に育てられた。しかし、村の御神体として封印されていたヴァルマーの角に取り憑かれたメルフィスが村人を幾人も殺し姿を消してからリュード自身も居場所を失くしてしまったため、村を出て、お金次第でどんな危険な仕事も受ける冒険者「ジオハウンド」として生きていく。
最初は世間知らずなエレナにうんざりしていたが、何事もひたむきに取り組む彼女の姿に次第に惹かれていく。一方で自由奔放なミレーニアのことも気になり、二人の間で揺れ動く気持ちを抱えながら旅を続ける。

エレナ(CV:小西寛子、歌:川澄歌織)

カーボの村出身のグラナス神官。歌姫という役職に就いている。世間知らずでまじめ、何事にも懸命に取り組む心優しい神官。
ガルニアの塔に封印されていた「ヴァルマーの翼」に取り憑かれてしまい、それを取り去るためにリュードと旅に出る。粗暴なリュードのことを嫌っていたが、つらい過去を抱えながら向き合い抗おうとする彼の姿に徐々に惹かれていく。
時折「ヴァルマーの翼」の化身であるミレーニアに変身してしまい、闇の存在をひどく忌み嫌いミレーニアの存在を否定し続けてきた。しかしミレーニアも自分自身であることを理解し受け入れると、二人の身体は別個体として別れ、それぞれの人格が確立されるのだった。

ミレーニア(CV:柳原みわ)

ヴァルマーの翼の化身。エレナに取り憑き、エレナの持つ「闇」として姿を現した。
性格は自由奔放で無邪気、人の心や優しさを知らず冷酷なことをずばずば言い放つ。ヴァルマーに取り憑かれた人が心を失くしてしまうことに何の躊躇いもなく力を吸収していくが、リュードとの旅の中で人との絆や思いやりを徐々に理解するようになっていく。
自分のことを唯一心配してくれて、一人の人として扱ってくれたリュードに惚れこみ、ミレーニアの姿になると熱烈アプローチをし始め、エレナをライバル視するようになる。

ロアン(CV:鶴野恭子)

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