鹿楓堂よついろ日和(第5話『迷える子羊に愛の手を』)のあらすじと感想・考察まとめ

タウン誌の編集者・砂金は、自分が企画したスイーツ特集に頭を悩ませていた。若い女性ばかりのしゃれた雰囲気に気後れして、カフェに足を踏み入れることができないのだ。そんな砂金の目の前でカフェに入る、男性一人客がいた。一週間後、砂金は鹿楓堂でその男性客と再会する。
今回は「鹿楓堂よついろ日和」第5話『迷える子羊に愛の手を』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「鹿楓堂よついろ日和」第5話『迷える子羊に愛の手を』のあらすじ・ストーリー

最先端のおしゃれカフェはどこも女性に占拠されて、腰が引けて入れない砂金(中央)

砂金(いさご)は、タウン誌の取材を受けてくれるカフェを探していた。女性ばかりの編集部でやっと通った砂金の企画は、「今行くベき最先端おしゃれカフェ特集」だった。甘党の砂金には、趣味と実益を兼ねた記事になるはずだった。
取材対象の候補は、どこも若い女性客でいっぱいだった。店員も若い女性だ。いかつい親父一人でカフェに入るのは場にそぐわないという、砂金の心理的なハードルは高く、入店することもできない。
あるカフェに入ることを諦めた時、若い男性が一人でその店に入っていった。男性客はボックス席を占領し、注文でテーブルを埋め尽くした。店内の注目を浴びているのに、男性客はものともしない。窓から店内をのぞいていた砂金は、強心臓の男性客が「勇者」そのものに見えた。ふと顔を上げた男性客と目が合い、砂金は逃げ去った。

お一人様カフェを悠然と楽しむ椿が、砂金には「勇者様」に見える

一週間経っても、砂金はカフェに入ることすらできない。企画そのものの変更を考えながら歩いていると、カフェメニューを口にする高齢者の会話が耳に入った。高齢者のグループは瓦葺きの和風の門をくぐっていった。その後をヤンキーの三人組も入っていく。客層の幅広さから自分にも敷居の低い店ではないかと期待し、砂金も入店した。その店は鹿楓堂だった。
砂金は、店のなつかしくおしゃれ過ぎない雰囲気に、たちまちくつろいだ。客の年齢層もばらばらで、世代を超えて愛されていることが一目でわかった。抜かりなく店内の観察をする砂金に、甘味が運ばれた。浮かれながら礼を言う砂金の前にいたのは、一週間前の勇者こと椿だった。
鹿楓堂の四人に、砂金は自分の身元を明かし、取材がはかどらない悩みを打ち明けた。椿は周囲の目を気にしなければいいと言う。しかし、砂金は自分の身の丈に合っていない企画だったと思い詰めていた。切羽詰まった砂金を見かねて、ぐれが「椿くんがお一人様カフェの極意を伝授してやればいい」と言い出した。スイやときたかにも畳みかけられ、砂金に拝み倒されて、椿は断わることができない。

鹿楓堂の雰囲気にくつろいだ砂金(右)の話を聞く、スイ(左)と椿。この回では、1話のつばさや2話の小鶴も来店していた。

翌日、鹿楓堂の定休日に椿は砂金と連れだって目当てのカフェに入った。この店も若い女性客が多く、砂金は落ち着かない。食事メニューを頼もうとする砂金をとがめて、椿はオーダーを変更してしまう。念願のフルーツワッフルを食べた砂金は、はしゃぐ気分を抑えきれない我が身を恥じる。椿は「そうやって、堂々としてればいいんですよ。カフェでの過ごし方なんて、人それぞれなんですから」「自分の好きに過ごしていいんです」と言う。カフェで過ごす女性たちは、一人で読書をしたり、友達とのお喋りに興じたりして、砂金たちを気にかけていなかった。「ワッフルを食べているときに、砂金さん、周りのこと気になりましたか?」と椿にたずねられ、砂金は自意識過剰であったことに気付かされた。
そのとき、「さすが椿くん。いいこと言うなあ」というぐれの合いの手が入った。椿の背後のボックス席に、ぐれだけでなく、スイとときたかもいた。人見知りの強い椿が砂金とうまくコミュニケ―ションがとれているのか心配で、様子を見にきたのだという。
砂金は、「無理して背伸びする必要がない」ということに気付いた。企画変更も思いついた砂金は、その場で鹿楓堂に取材依頼をした。
しばらく後、砂金は、タウン誌の編集長から記事をほめられた。「自分の目線で見えるもの」を大事にすることを決めた砂金は、「オヤジがすすめるカフェいこ!」と、甘党男性の利点を全面に出した記事を書いていた。

人見知りの椿(右)が心配で、こっそりつけてきたスイ・ときたか・ぐれ(左から)

砂子は、突然の大雨に文句を言いながら、雨宿りをする場所を探していた。その時、彼女の前をきなこのような毛色の猫が悠然を通りすぎていく。猫を追って細い路地をのぞきこんだ砂子は、突き当たりにステンドグラスのドアを見つけた。営業中を知らせる札はあるが、看板はない。

砂子がステンドグラスの扉を開けると、玄関ホールは暗く、人気がない。勝負服が濡れた愚痴を呟いていると、ギャルソン姿のスイが奥から現れた。「あなたのことをお待ちしていました」と、スイは恭しく迎え、砂子に目を閉じさせた。スイがスリーカウントを唱えると、砂子はテーブルにつき、ドレスに着替えていた。

ギャルソンのスイ(左)の魔法に驚く砂子

スイに呼ばれてオーダーをとりにきたぐれは、スイ以上にテンションが高い。砂子がメニューを読めずに戸惑っていると、「あなたのハートにぴったりの、アモーレな一皿を選んで差し上げます」と、ぐれは歯の浮くようなことを言ってのける。
スイはひざまずいて、砂子の現状をすべて把握しているようなことを言う。砂子は、「まだ少し自信が足りなくて…自分はこんな見た目だし、思い切って訪ねて、相手にいやがられたらどうしよう」と悩みながら、勝負服を着て、訪問先に向かう途中だったのだ。
砂子にぴったりの料理を用意すると、スイも約束し、シェフのときたかとパティシエの椿を呼ぶ。スイの「フォーメーションオメガ!」の号令で、料理がはじまった。砂子の前に出されたのは、金色に透き通るスープ「雨が上がりし湖面」だった。スープで冷え切った心と体をあたためた砂子は、生まれ変わったような気分になった。
赤いラナンキュラスを女性に差し出したスイは、他の三人と声を揃えて「あなたは魅力的」と花言葉を教えた。

スイたち四人に見送られて店を出た砂子は、雨上がりの路上にいた。路地を振り返っても、そこには何もない。

雨上がりの空にかかる虹を見上げる砂子

砂子は、いつの間にかカードを手にしていた。「当店よりささやかなプレゼントをご用意いたしました。空をご覧下さいませ。」というメッセージに従って見上げると、空には虹がかかっていた。
虹に向かって「白昼夢か」と呟いたのは砂金だった。砂子という女性は、企画が軌道に乗ってもまだ自信のない砂金の心象イメージであった。

「鹿楓堂よついろ日和」第5話『迷える子羊に愛の手を』の感想・考察

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