鹿楓堂よついろ日和(第1話『喫茶 鹿楓堂へようこそ』)のあらすじと感想・考察まとめ

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鹿楓堂は、町の喧騒から置き去りにされたようなたたずまいの甘味処である。
ある日、つばさは鹿楓堂を見つける。仕事がはかどらず、苛立っていたつばさは、レトロな店構えとラテになごまされる。鹿楓堂に行っても集中できないとわかっていても、つばさは連日店に通うようになる。
今回は「鹿楓堂よついろ日和」第1話『喫茶 鹿楓堂へようこそ』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「鹿楓堂よついろ日和」第1話『喫茶 鹿楓堂へようこそ』のあらすじ・ストーリー

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鹿楓堂のスタッフたち。(左から)店主のスイ・ぐれ・椿・とき(ときたか)。

和風喫茶・鹿楓堂は、開店準備に追われていた。厨房では、菓子担当の椿がみたらし団子を作っていた。料理担当のときたかは仕込みをしながら、陽気の話を椿と話している。天候は売れ行きを左右する重要な情報だった。コーヒー担当のぐれも、カウンターで食器を整理している。
店主のスイは、店先を掃除をしていた。そばでは看板猫のきなこがのどかに昼寝をしている。スイは入り口の紅梅がほころんでいることに気付き、幼少期の自分たちと祖父のことを思い出す。暖簾を持ってきたときたかが、開店の時間になったと知らせて、スイは我に返った。

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つばさは猫に誘導されるように「鹿楓堂」を見つける。

近藤つばさは、イベント企画を抱えていた。つばさの企画がはじめて会議を通り、成功に向けて気負っていた。友人にオーガニックの店に誘われても、とげとげしく断るほど仕事は難航していた。街中を歩くときもイヤホンをつけて周囲の情報を遮断し、仕事に集中しようとしている。行きつけの店で仕事をするための移動中、きなこのような毛色の猫が、つばさの足元をすり抜けていった。
猫が入っていったのは、ビル街に突然現れた異空間のような竹林だった。道路に面した数奇屋門の前には、ランチメニューを書いた看板が立てかけてあった。つばさが奥に進んでいくと、「鹿楓堂」の看板を掲げた木造二階建ての店舗があった。店構えは調度品もレトロで、つばさには懐かしい雰囲気だと感じた。席に案内したスイは、つばさの髪についた梅の花びらをつまんだ。つばさは、たった今通ってきた入り口に満開の梅があることをスイに教えられた。

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ぐれ渾身のラテアート「うさちゃん」。

カウンターに戻ったスイは、ぐれやときたかと春の訪れを味わっていた。厨房の椿は、春の限定メニュー作りに苦しんでいた。ぐれは、「(椿は)趣味デザート特技甘味の食べ歩き大王」で「椿くんの半分は砂糖でできている」から、新作も難なく作るとのんきだ。ぐれの脳天気さは、悩んでいる椿を怒らせるだけだった。
つばさは、おざなりにラテを注文して、早速仕事に取りかかる。運ばれてきたラテに描かれたたうさぎは不気味で、玄人のものとは思えなかった。グレの淹れたラテは絶品で、つばさをくつろがせる。イケメンを揃えただけの和テイストのコンセプトショップという、つばさの思い込みは覆された。

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椿は作業をしながら春メニューを思案している。

閉店後、椿は他の三人に新作デザートのアイデア出しを頼んだ。

日が変わって、つばさはまた来店した。
別のテーブルには、高齢者のグループがいた。そのグループは、ときたかの陶芸の教え子だった。彼らは陶芸周辺や春先の話題で楽しんでいる。
また他のテーブルの女性には、スイがパフェと練り切りのセットを運んでいく。女性客は、箸置きもほめて、おいしそうに食べている。ときたかたちの会話には気を取られなかったつばさは、甘味には目を奪われてしまう。
椿は、練り切りを作りながら春メニューを考えていた。抹茶とのセットが好評だった過去データを元に、目新しい新作を用意したいと頭を悩ませていた。デザートの給仕のためにぐれを呼ぶと、ぐれはランチに使う米を買いに行ったという。椿は、ランチメニューを変えたから帰りは急ぐ必要はないと、ぐれに電話をかけた。

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米袋二つを楽々担ぐぐれ。

そのころ、おつかいの米を担いでいたぐれは、親子連れを見かけていた。母親は、だだをこねる息子に手を焼いていた。ぐれはこどもをあやしながら、親子を家まで送っていった。母親がくれたお礼の桜餅に、ぐれは「マンマミーア!」と叫ぶほど驚く。
鹿楓堂の門をのぞきこんでいるセーラー服の少女がいた。勢いよく走ってきたぐれに気圧されて、少女は逃げていく。
厨房では、ランチタイムを乗り越えて、三人はひと息入れていた。駆けこんできたぐれは、お礼の桜餅が二種類あることに、びっくりしていた。長命寺(東京系)と道明寺(関西系)の桜餅があることを、ぐれは知らなかったのだ。椿は、カフェの店員として無知だとぐれを叱りながらも、桜餅が二種類あるように、新作は一種類にこだわらないことを、春メニューのアイデアとして受け止めた。椿が春メニューについて他の二人にたずねると、スイは陽だまりを感じさせるものがいいと、つかみどころがないことを言う。ときたかは、メニュー自体には触れず、新商品の春っぽさを引き立てる演出を考えていた。椿は、「もう少しでポンと(アイデアが)出そうなんだけど」ともどかしそうに言いながら、瓶を開けようとする。ぐれが瓶を取り上げて、「ポン!」と言いながら蓋を開けてやると、椿は苛立ちの表情を見せた。悩んでいる椿には、ぐれの脳天気さが疎ましい。

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ぐれがお礼にいただいた桜餅。奥が道明寺、手前が長命寺。

つばさは、鹿楓堂の常連になりつつあった。窓際の席が定位置で、自分だけの世界に入るようにイヤホンをつけて、長時間仕事をしている。
夕方、他のテーブルから生姜焼きのにおいが漂ってきて、つばさは顔を上げる。お冷やをついでくれたときたかの前で、つばさのおなかが鳴った。「夕方過ぎると私もよく(おなかが)鳴ります」と、ときたかはフォローしてくれた。
つばさは食事を注文し、お茶漬けとデザートをたいらげた。つばさは、スイが淹れたほうじ茶の香りや、箸置きが変わっていることに気付いた。自分の仕事がうまく行かず、環境を変えて集中しようとしていたのに、鹿楓堂ではリラックスしてしまうことを、つばさはスイに話す。
「店自体が甘味みたいなもの」と、スイは鹿楓堂のありようについて語った。「甘味もコーヒーも、なくても生きていける。それがあると、ちょっとだけほっとできる」ものであり、鹿楓堂もそういう場所でありたいと、スイは考えていた。
スイの理念は、つばさが仕事にかける思いと同じだった。つばさが目指しているのは、人生がはなやぐようなイベントを催すことだった。当座の案件は、花見をしながらの会議だった。周囲を見るゆとりをなくしていた自分が、人を楽しませることができるのかと、つばさは自信を失っていた。スイは、今のつばさにはデザート皿の箸置きが桜の形に変わったことに気付く余裕があることを指摘した。

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つばさが注文したお茶漬け。匙の箸置きが桜の花びらの形。

帰り際、つばさは見送りに出てきた鹿楓堂の店員たちに、これからはメリハリをつけて仕事をすると話した。椿は、つばさの「花見」というアイデアを借りてもいいか、と律儀にたずねた。
椿が触発されてポンと思いついたのは、お花見幕の内だった。和菓子をメインにしたデザートの詰め合わせで、ぐれが驚いた桜餅二種も入れてある。ときたかの意見を入れて、春らしい紙箱を客の好みで選べる。
仕事上がりに、ぐれが三人を花見に誘う。椿も機嫌よくお花見幕の内の準備をはじめるのだった。

「鹿楓堂よついろ日和」第1話『喫茶 鹿楓堂へようこそ』の感想・考察

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