3D彼女(リアルガール)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『3D彼女(リアルガール)』とは、2011年から那波マオが講談社の漫画雑誌『デザート』で連載していた恋愛漫画。オタクの男子高校生・筒井光が、同級生の美少女・五十嵐色葉から交際を申し込まれたことをきっかけに、他者とのかかわり方を学びながら少しずつ成長していく姿を描いている。また2018年には『3D彼女 リアルガール』というタイトルで、テレビアニメ化と実写映画化された。少女漫画のカテゴリーには珍しく、主人公が男であり、ストーリーも男目線で描かれている。

『3D彼女(リアルガール)』の概要

『3D彼女(リアルガール)』とは、2011年から2016年まで那波マオが講談社の漫画雑誌『デザート』で連載していた恋愛漫画である。単行本は全12巻が刊行されている。2018年4月から6月の期間と、2019年1月から3月の期間にアニメが放送された。2018年9月、本作の実写映画版、『3D彼女 リアルガール』が公開。主人公を佐野優斗が、ヒロインを中条あやみが演じて話題となった。

アニメやゲームの世界に没頭するオタクの男子高校生・筒井光(つついひかり)は、遅刻した罰として同級生の五十嵐色葉(いがらしいろは)と一緒にプール掃除をする。そのことがきっかけとなって面識を持つものの、筒井は自分の苦手を凝縮したようなリア充という偏見を持って接してしまう。そんな時、色葉が元カレと言い争っている場面を目撃した筒井が、身を挺して自分を守ってくれたことに心を動かされた色葉から交際を申し込まれる。色葉が転校するまでの半年間の期間限定で交際を開始する。今まで閉鎖的な人間関係しか築いてこなかった筒井がリアルの世界での経験を積んで、少しずつ成長していく姿が見どころである。

『3D彼女(リアルガール)』のあらすじ・ストーリー

色葉との出会いによって変化する筒井の世界

ある夏の日、アニメと漫画をこよなく愛するオタク男子の筒井光(つついひかり)と同級生の美少女・五十嵐色葉(いがらしいろは)は、遅刻した罰としてプール掃除を命じられる。色葉は常に何人もの男性と交際しているという噂を持つ。そのため女子には嫌われ、おまけにサボり常習犯という、筒井の最も苦手とするタイプだった。それでも一緒に掃除をする筒井だったが、色葉に恋愛経験がまったくないことを冷やかされ、ますます彼女のことを苦手に感じてしまう。しかしその日から、色葉に困っているところを助けられたり、逆に筒井が色葉を助けたりと関わる機会が増えていく。遊びで付き合っていた男同士が鉢合わせるという修羅場から自分を助け出してくれた光に、色葉は交際を申し込んだ。しかし、自分に自信のない光は冷たく断る。言い過ぎたことを反省した光は、後日謝罪しようと色葉を追うが、なかなか声を掛けられないでいた。そこで彼女が万引きの疑いをかけられている場面に遭遇し、この誤解を筒井が解く。今度は筒井から告白する。そこで色葉から、半年後に転校が決まっていること、転校までの半年間を条件として期間限定の交際が始まるのだった。

交際がスタートしてから、筒井は転んだ石野ありさ(いしのありさ)を助けたことがきっかけで、彼女に恋愛相談をするようになる。二人は親しくなり、当初は二人の関係に嫉妬していた色葉や、筒井の唯一の友人で人見知りの激しい伊東悠人(いとうゆうと)も加わって四人は良好な関係を築いていく。しかし、ここで新たな問題が発生する。ありさは変な男に騙されやすく、お金目当ての男性と交際していた。それでも筒井たちはありさの気持ちを尊重しようとするが、ある日偶然ありさの恋人の本音を聞いてしまったことで色葉が激怒し、ありさは恋人と別れることとなる。

筒井は見知らぬイケメンの男子生徒・高梨みつや(たかなしみつや)に呼び出された。高梨は色葉に思いを寄せており、筒井と色葉では釣り合わないと難癖をつけてきた。公園で迷子になっている女児を助けようとした筒井だったが、女児を誘拐しようとした変質者だという噂を高梨に立てられてしまう。しかしその女児は高梨の妹・高梨あんず(たかなしあんず)だった。あんずが筒井の弟・筒井薫(つついかおる)経由で噂のことを知り、偶然出会った色葉に助けを求めたことで、色葉は事件の全容を把握。高梨も事態の大きさに反省し、あんずと共に筒井家に出向き謝罪したことで事件は解決するのだった。

すれ違う想い

ある日、筒井が紛失したアニメ雑誌を拾ったことで、1年生の綾戸純恵(あやどすみえ)と意気投合した筒井。よく話すようになった上、困っている綾戸を筒井が助けたことで、綾戸は筒井への思いを募らせる。一方の筒井には、現在別の悩みがあった。先日、色葉の家で二人きりになった時、色葉を押し倒してしまったのだ。すんでのところで思いとどまり、帰宅した筒井は、これを深く反省。「しばらく色葉と距離を置きたい」と提案する。色葉は、筒井が自分とは距離を置きたがっているのに、綾戸とは変わらず親しくするので不安を抱くようになる。しかし色葉は、偶然綾戸と話した時に彼女の人柄を知り、親交を深めていくのだった。

同じく綾戸と友人になった伊東は、彼女に惹かれていく。そんな時、ありさが筒井たちをキャンプに誘った。こうして筒井、伊東、ありさ、色葉、綾戸と、ありさの強い希望で高梨も加わり六人で行くことになる。キャンプで綾戸がやけどを負った際、最初に助けに入ったのは筒井だった。これを見た色葉と伊東は複雑な心境になり、六人は居心地が悪くなってしまう。綾戸もまた、この状況に我慢できず、筒井に恋愛感情を抱いていることを色葉に漏らした。
綾戸の筒井への思いを知り動揺した色葉は、夜のキャンプ場に飛び出す。筒井は色葉を追いかけ見つけるが、原因が自分と色葉、綾戸の三角関係にあるとは気づかない。結局、なぜ色葉が飛び出していったのかはわからないまま、旅行は終わる。

後日、筒井は色葉と改めて話し合おうとするが、綾戸から告白される。筒井は色葉の様子がおかしかったことを理解したが、告白されたことに衝撃を隠しきれずその場から逃げ出してしまう。その後もどういう対処をしたらよいか困惑する筒井に、伊東やありさが叱咤激励する。筒井は綾戸との話し合いの場を持ち、そこに色葉も呼び出した。二人に自分の正直な気持ちを話した上で、綾戸の気持ちには応えられないと伝える。こうして筒井と色葉の2人の関係性は修復する。その直後、筒井は現在伊東に好きな女性がいることを知る。しかしそれが誰なのかは教えてもらえず、さらに伊東は、望み薄であることを言い出す。筒井はこれを気にしつつも、ひとまず伊東がすすんで話してくれるのを待つことにする。

色葉の義弟の五十嵐千夏(いがらしちか)が留学から戻ってきた。しかし筒井は千夏から、色葉の恋人として認めてもらえない。千夏に認めてもらう方法をありさに相談した結果、色葉に指輪をプレゼントすることを決意する。筒井は資金を稼ぐために始めたアルバイトがきっかけで、伊東の好きな人が綾戸であることを知る。一方、無事に色葉にプレゼントをした筒井は、恋人として成長する。
伊東の恋に協力したい筒井は色葉、伊東、綾戸でのダブルデートを企画するが、色葉と伊東は筒井の企みに気づく。筒井のおせっかいに伊東は怒るが、伊東に幸せになって欲しい気持ちを伝えたことで、友情は深まるのだった。これによって伊東は思い切って綾戸に告白するが、ふられてしまう。筒井は落ち込むが、伊東は勇気を出して告白できたことで自分に自信を持てるようになる。綾戸が伊東をふったのは、失恋したばかりで、今は精神的な余裕がないことだった。伊東は綾戸と距離を置くべきか悩むが、ひとまず二人は、友人として付き合っていくことになる。

筒井の周辺で起こる様々な騒動

文化祭の準備が始まると、筒井はくじ引きで実行委員に選ばれ、綾戸も実行委員となる。文化祭に消極的だった伊東も副委員として立候補する。筒井と伊東、ありさのクラスである3年A組の出し物は、ありさが中心になってメイド喫茶をすることが決定し、準備に追われる。一方その頃、色葉は、ミスコンに出場するよう頼まれていた。色葉の3年C組では、ミスコン優勝を目指すが、色葉以外にめぼしい候補者がいない。このままでは容姿が特別優れていない日下部が出場することになってしまう。しかし3年C組のクラス委員長は想いを寄せる日下部に恥をかかせたくなくて、優勝のためにも日下部のためにも色葉に出場して欲しいと懇願。押し切られた色葉は、出場を決意する。結局、ミスコンで色葉は素でアピールしたので票を稼げず優勝することはなかった。

そんなある日、筒井と色葉は筒井の父親・筒井充(つついみのる)が、見知らぬ女性と食事しているところを目撃する。筒井は父が不倫するわけないと考えていたが、このことを母親の筒井紀江(つついきえ)が知ってしまう。しかし、充は謝罪するだけで詳しいことを説明せず、我慢できない紀江は離婚すると言い出す。筒井か弟の薫どちらかを連れて、実家のある北海道の田舎に帰ると宣言した。
両親のけんかに巻き込まれた筒井と薫は、両親が仲直りするよう奔走するが、うまくいかない。色葉と充が偶然街で出会って話すうちに、色葉は彼が不倫をするはずがないと確信する。そこで色葉が筒井家に向かうと、先日の女性が訪問しにやって来る。彼女は充の部下の河野で、充に思いを寄せていたが、一緒に食事をしたことしかないと打ち明ける。こうして状況を把握した筒井は、両親がもう一度話し合いの場を持つように頼み込むと、筒井家の離婚問題は解決した。

伊東と綾戸の2人が、紆余曲折を経て正式に交際を始める。筒井と色葉にも平和が訪れるが、ありさは自分だけ恋愛がうまくいかないことに思い悩んでいた。そんなある日、ありさは高梨とデートすることになり浮かれるが、デート中に薫とあんずに遭遇。あんずに対して過保護な高梨は、二人がデートしているだけで怒り、耐え切れなくなったあんずは薫を連れて逃げ出してしまう。高梨は一人で薫とあんずを探そうとするが、ありさは協力を申し出て、無事二人を発見。高梨は、ありさの心優しく面倒見のよい一面に改めて触れ、二人は以前よりも少しだけ距離を縮めるのだった。

高梨は、入院した母親の見舞い帰りに、偶然元恋人の亜紀に再会する。二人は中学時代に交際しており、亜紀は父親を亡くした高梨を支えると宣言していた。しかし高梨が家事で忙しくなったことで疎遠になってしまい、高梨にとってはあまりよい思い出ではなかった。落ち込む高梨の前に現れたのがありさだった。高梨の母親が入院したことを聞いたありさはすぐさま協力を申し出て、二人はその夜、あんずも交えて食事をする。そして、これがきっかけとなり、ありさと高梨は交際を始めるのだった。そして薫も改めて高梨と話し合い、以前よりもあんずとの関係を認めてもらえるようになった。

一方、筒井は色葉から次の連休に旅行に行こうと誘われたものの、より深い関係になる覚悟を決められず、承諾できずにいた。しかし色葉がガイドブックを熱心に読み込んでいることを知り、旅行へ行くことを決意して、お互いの両親の了承を得たうえで出かけることになるのだった。こうして連休が始まり、筒井と色葉、伊東と綾戸はそれぞれいっしょに過ごすが、より深い関係に進むことに前向きな色葉と綾戸に対し、筒井と伊東は未だに踏ん切りがつかずにいた。伊東と綾戸はついに結ばれたが、筒井と色葉は進展しなかった。

それぞれの未来

高校3年生の秋になり、筒井たちは進路について話し合うようになる。しかし色葉は何も語らず、筒井も卒業後の進路を決められずにいた。そして筒井は、色葉と初めに約束していた交際期間の期限が残り少ないことに気づき、受験勉強よりも色葉と過ごす時間を優先する。そこで色葉と思いつく限り遊びまくる筒井は、成績が落ちてしまう。色葉は筒井を心配するが、筒井が自分のために思い出作りをしていることを知る。そして色葉と筒井の2人で海に遊びに行ったその日、家には帰らず民宿に泊まり、気持ちを伝え合った二人はとうとう結ばれる。
その日帰宅しなかったことが原因で、色葉は弟の千夏に叱られた。そして、このままでは筒井が将来を台無しにしてしまうと指摘され、色葉は別れを決意する。色葉は、脳に重い病気を抱えているため来月手術を控えており、手術が成功したとしても記憶障害を持つリスクがあることを打ち明けて筒井に別れを告げた。筒井は自暴自棄になりかけるが、伊東たちや家族の協力もあって、なんとか現役で大学に合格。そして、筒井は無理に色葉を忘れることはせず、生きていくことを決意するのだった。

それから7年が経過し、25歳になった筒井たちは、社会人として日々忙しくしていた。そんなある日、ありさが高梨の子供を妊娠し、結婚することになる。筒井もまた、同僚の篠崎に想いを寄せられていたが、色葉のことを忘れられないので断っていた。そんな筒井のもとに、記憶障害となり筒井たちのことを覚えていない色葉と千夏が現れる。色葉は、筒井の持ち物を手がかりに、筒井との高校生の頃の思い出を徐々に思い出す。記憶を取り戻した色葉は筒井と改めて付き合い始めるのだった。

『3D彼女(リアルガール)』の登場人物・キャラクター

主要人物

筒井光(つついひかり/演:佐野優斗)

CV:上西哲平
本作の主人公。波高校3年A組に在籍する男子高校生。アニメやゲームを好むオタク。長めのもっさりした髪型にメガネをかけた地味な見た目をしている。色葉や中学の同級生からは「つっつん」と呼ばれる。現実では家族や趣味を共有する伊東を除いて、異性や他人と関わることを苦手としていた。小学校から高校まで、オタクであることから周囲に自己を否定され続けていたため、自分に自信がないのが欠点である反面、いじめ慣れしているので多少のことでは動じない。
当初は色葉のことを自分と対照的な存在として認識するも、交際し始めてから自分を色眼鏡で判断しない色葉を好きになり、同時に石野や綾戸、高梨といった周囲の人間と交友関係を構築するなど人間的にも成長していく。

五十嵐色葉(いがらしいろは/演:中条あやみ)

CV: 芹澤優
本作のヒロイン。波高校3年C組に在籍する女子高校生。腰まで伸ばした桃色のロングウェーブヘアが特徴的。彼氏が次々出来るほどの美少女だが、同性からの評判は悪く、友人がいなかった。筒井とは遅刻した罰として一緒にプール掃除を課せられた際に面識をもつ。痴情のもつれに巻き込まれた自分を筒井が庇ってくれたことがきっかけで興味を抱いた。転校するまでの半年間限定で交際を開始。筒井の不器用ながらも真っ直ぐな面に惹かれていき、真剣交際をするようになる。

筒井と色葉の友人

伊東悠人(いとうゆうと/演:ゆうたろう)

CV: 蒼井翔太
筒井の友人。猫耳をつけているのが特徴。筒井と趣味が同じオタク。筒井の良き理解者として色葉との交際を応援し、その後もアドバイスをする。当初は2次元にしか興味が持てず、3次元の恋愛に関心がなかった。筒井を通じて知り合った綾戸に好意を抱き、一度は断られ失恋するが恋愛関係に発展する。

石野ありさ(いしのありさ/演:恒松裕里)

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