ひそねとまそたん(第2話『ドラゴンの名前はまそたんにします』)のあらすじと感想・考察まとめ

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航空自衛隊でOTFのパイロットになった甘粕ひそね。彼女に会うため、パイロット用スーツの開発者・幾嶋博己がやってくる。パイロット候補生である貝塚は嫉妬し、試作スーツに細工しようとした。しかし、飛行班長の柿保に見つかり基地を出て行く。OTFと協力して貝崎を捜そうとする、ひそね。しかし、OTFに拒否されてしまう。
今回は「ひそねとまそたん」第2話『ドラゴンの名前はまそたんにします』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「ひそねとまそたん」第2話『ドラゴンの名前はまそたんにします』のあらすじ・ストーリー

1

OTF(変態飛翔生体)と携帯電話を首からさげた貝崎名緒

航空自衛隊岐阜基地。飛行訓練を終え第八格納庫へ戻ったOTFは、うめき声を出しながら長い首を持ち上げると、体内から胃液とともに甘粕ひそねを排出した。苦しそうに床に転がるひそね。そのとき、首からたくさんの携帯電話をぶらさげたDパイロット候補生・貝崎名緒がOTFの前に進み出る。
貝崎 「おら、食えよ。ガラケー持ってたから、甘粕食べたんだよな」
Dパイロットになるには、まずOTFに飲み込まれることが条件なのだ。
OTFは貝崎に顔を近付けると、クンクン匂いをかぎ、頭から口に含んだ。しばらく口をモゴモゴさせると、ペッと吐き飛ばす。貝崎が首から下げていた携帯電話は、消えていた。
ひそね 「ガラケーだけ、なくなってる」
小此木 「はあ、すごいなあ、器用だなあ。おまえは」
OTFの機付長、小此木榛人のほめ言葉に、OTFは誇らしげに胸を張った。怒って大騒ぎをはじめる貝崎は、格納庫に入ってきた人影に気付く。それは航空装備メーカーでOTF用のパイロットスーツを開発しているエンジニア・幾嶋博己だった。
貝崎 「幾嶋さん、帰ってきてたんスか」
幾嶋 「やっと会えたね」
貝崎 「あたしも、めたくそ会いたかったですぅ」
照れる貝崎を通りすぎた幾嶋は、ひそねの前にひざまずくと、いきなり尻に手を回した。おののく、ひそね。
幾嶋 「ヒップ、86センチ」

2

幾嶋博己と曽々田弘

曽々田弘 「彼は、岡本化成バーンズ/ウォリスの特殊被服開発担当、幾嶋次長だ」
応接間に集まった、ひそねと飛行班長の柿保令美に、飛行開発実験団司令、曽々田弘は紹介した。
曽々田 「OTF用のスーツは、他のスーツとは、わけが違うんだよね」
柿保 「まず、OTFの胃液に溶解されないことが、ひとつ。なおかつ生体のチェックなど、データ収集用のセンサーとしても機能しています」
建物から出てきた幾嶋に、貝崎は一冊のノートを差し出した。
貝崎 「あたし、この間の試作スーツのレポート書いてきました」
ノートには、カラフルで可愛らしいイラストが、たくさん描いてある。
貝崎 「なんでも言ってください。あたし、めっさ協力しますんで」
幾嶋 「甘粕ひそね君は、甘いものは好きかな。目視からは、ぎりぎりBカップとCカップの境界をさまよっているかんじでね」
貝崎 「もしかして、甘粕のスーツを」
嫉妬した貝崎は、ひそねをいびり倒すことにする。

3

甘粕ひそねのメンチカツを、じゃがいもコロッケに取り替える貝崎名緒

ひそね 「今日はメンチカツかあ」
貝崎 「おまえは、こっち食いな」
食堂で、ひそねの皿を勝手に交換した貝崎は、ひそりほくそ笑むと考えた。
貝崎 『ここの食堂名物、激うまメンチ食うなんて、百年早いんだよ。おまえはあたしが作った、まずいコロッケでも食ってろ』
ひそね 「このコロッケ、じゃがいもがゴロゴロおっきくて、おいしい」
貝崎の行動を、ひそねは称賛し心の中でつぶやく。
ひそね 『あんなに悪態をついていても、わたしは分かっている。貝崎さんは、苦手なひき肉の代わりにコロッケをくれたり、ホームシックにならないよう、励ましてくれたりと本当はすごく大人でやさしいのだ。貝崎さん、いや、名緒さんって呼んじゃおうかなあ』
座学の時間、柿保がOTFの説明をしている最中に居眠りをする貝崎を、ひそねは起こそうとする。
ひそね 「名緒さん、名緒さん」
貝崎 「おまえなに勝手に、人を下の名前で呼んでんだよ」
柿保 「貝崎二士、新たなDパイ候補が現れて集中力が低下するのは分かります。ですが、そんな不真面目な態度を見たら、貝崎元空曹長は、どう思われるか」
柿保の言葉に貝崎は涙ぐむと、しょんぼりとしてうつむいた。

4

赤カビを洗い落としてもらう、OTF

OTFの胴体をデッキブラシでゴシゴシ磨くひそね。
ひそね 「けっこう取れますね」
小此木 「ここは湿気が多いですからね、三日に一度は赤カビを洗い落としてあげないと」
OTFはゴロゴロと喉を鳴らした。
ひそね 「気持ち良さそうですね、OTFさん。OTFさんて、名前なんて言うんですかね」
小此木 「F-15J(戦闘機名)では、だめなんですか」
ひそね 「それは、外装の名前じゃないですか。わたしに例えると、作業服という名前になってしまいます」
OTFにホースで水をかけながら、小此木は納得する。
ひそね 「お豆腐、というのはどうでしょうか」
OTFを文字って、お豆腐となったアイデアを聞かされるが、どことなく呆れている小此木。
ひそね 「名前といえば、貝崎元空曹長って?」
小此木 「貝崎さんのお母さまらしいです」
ひそね 「Dパイって、もしや世襲制」
小此木 「いやあ、そういうわけでは。でも甘粕さんがくるまでは、貝崎さんがDパイの最有力候補だったんですよ」
それを聞いたひそねは貝崎のことを、ライバルにパイロットの座をゆずることができる、すばらしい人だと主張する。
ひそね 「だから、お豆腐。申し訳ないけど、わたしよりも、名緒さんを乗せてあげてくれないかな。あたしは、そこまでDパイになりたいわけではないし」
不機嫌な表情をするOTF。突然ひそねの後頭部に、貝崎が投げつけたブーツが直撃する。格納庫の外から話を聞いていたのだ。
貝崎 「よけいな、お世話」
泣きながら駆け出しゆく貝崎を、唖然として見つめるひそね。
ひそね 「もしや、名緒さんを傷付けてしまった。お豆腐、わたしは、どうしたら」
そっぽを向いたOTFは、さっさとプールの中へ戻って行った。

5

OTFは甘粕ひそねを残し、さっさとプールへ戻った

夜、隊舎の部屋。それぞれのベッドに横になる、ひそねと貝崎。
ひそね 「ここは、しゃべりかけないほうが良いです。わたしのマジレスは、人の心を傷付ける。傷付いた名緒さんに、追い打ちをかけるような真似はできません。一晩たてば、お互い冷静になっているはずだし、名緒さんの態度も軟化しているはず」
思ったこと全部、口に出して言ってしまうひそねの考えは、貝崎に筒抜けだ。
貝崎 『どうして、あたしが冷静になんなきゃいけねーんだよ』
そう思いながら、まんがを読んでいた貝崎は、作中でバレリーナが衣装を切られ踊れなくなるエピソードから、パイロットスーツに細工するヒントを得る。
翌日、試作スーツをお披露目するため、ひそねは数々のパターンのスーツを何度も着替えさせられる。ドアの隙間から中の様子をうかがう貝崎に気付いた柿保は眉をひそめた。
幾嶋 「では、さっそくOTFに乗り込んで、データを取ってみましょう」
ひそねたちが、スーツの置いてある部屋を後にすると、部屋へ入った貝崎。ゆっくりとスーツに近付く、その手にはハサミが握られていた。
柿保 「なにをしているの」
貝崎が振り返ると、柿保の姿があった。

6

貝崎名緒と柿保令美

柿保 「こんなことをしても、自分がみじめになるだけでしょう。貝崎元空曹長なら、もっと正々堂々と」
貝崎 「ママの名前言うの、やめてください」
柿保 「不満があれば配置転換は可能です。いつでも申し出なさい」
感情的になってしまった恥ずかしさに、貝崎は顔を赤くする。
貝崎 「辞めます。岐阜基地ごと、辞めてやります」
建物から駆け出した貝崎は、外にいた他の隊員のバイクを奪うと、基地から出て行ってしまう。
翌日の夜になっても帰らない貝崎をめぐり、隊員たちは話し合っていた。
曽々田 「脱柵(隊員が脱走すること)か、まいったね」
捜索には百万くらいの費用がかかり、すべて脱柵者が払うと決まっているのだ。貝崎が借金もちになるのではと心配したひそねは提案をする。
ひそね 「今回の名緒さんの捜索、わたしとお豆腐、OTFに行かせてください。そうすればお金かからないのでは」
簡単にOTFを飛ばせられないと他の隊員はゴネるが、曽々田が許可を出した。
曽々田 「今夜のナイトフライトにあわせて、飛ばしたらどう?」

7

隊員たちの前で、甘粕ひそねはある提案をする

パイロットスーツに着替えたひそねは、OTFの前でスタンバイした。
ひそね 「お豆腐、早く飲み込んで」
OTFはプールのそばにあった貝崎のブーツをくわえると、ひそねに投げつける。床に転がったブーツを見たひそねは、貝崎に 「よけいな、お世話」 と言われたことを思い出す。そして 『もしかして、お豆腐と名緒さんは、同じ気持ちで』 と悟った。
ひそね 「ごめんなさい。わたし、Dパイになりたいかと言われれば、やっぱりまだ、能動的に激しくなりたいとか思えない。でもすっと探してた、わたしだけの何かが見付かったかもって思ったのは、本当なんだよ」
それを聞いたOTFは大きく口を開くと、ひそねを飲み込んだ。OTFの体内で、頭上にあった硬いプレートのようなものにヘルメットをぶつけるひそね。そこには 『間租譚』 のような漢字が書かれている。

8

OTFの体内に 『間租譚』 の文字が

ひそね 「ま、そ、たん。君もしかして、まそたん、ていう名前なの?」
OTFがまるで、そうだ、というように鳴いた。
ひそね 「そっか、じゃあ行くよ、まそたん。名緒さん搜そう」
まそたんが、貝崎の居場所を匂いで突きとめた頃、貝崎は崖の下でうずくまり苦しんでいた。左脚にケガをしている。事故を起こして、転落したのだ。
貝崎 「痛いよ、助けてよ、ママ」

9

身動きが取れずに苦しむ、貝崎名緒

風圧を感じた貝崎が空を見上げると、F-15Jに擬装したまそたんが降下してきた。
ひそね 「迎えに来ましたよ、名緒さん」
地上へ降りたひそねは明るく声をかけるが、貝崎の脚に目をやり動揺する。
ひそね 「まそたん、すいませんが名緒さんを連れて行ってくれませんか」
貝崎 「無理だよ。こいつは、あたしを飲まねえよ」
ひそね 「そんなことありません。なぜならまそたんは、名緒さんの匂いを覚えていたから、ここまでたどり着けたんですよ」
貝塚の目の前に、大きな口が迫る。まそたんは貝塚を丸呑みした。
基地へ戻った貝崎に、柿保は申し渡した。
柿保 「特例で、届けを提出しての外出扱いにしてあります」
航空自衛隊に残ることはできないと予想していた貝崎は驚く。
柿保 「あなたはOTFのことを知りすぎた。空自を辞めることは許されません。辞めるのなら、脱柵者捜索費用として、百万円支払っていただきます」
貝崎 「ちょっと待ってください。あたしなんか、ここにいたって」
柿保 「Dパイは本来、複数人必要です。OTFに飲み込まれたという、第一段階の条件はクリアしました。あなたは、れっきとしたOTFパイロット候補生なんですよ、貝崎二士」
貝崎は、信じられないような、安心したような表情を浮かべ黙っている。
柿保 「気持ちは分かります。わたしも昔は、あなたと同じだった。頑張りなさい」
別室では、小此木が曽々田に、ひそねとまそたんのことを報告していた。
曽々田 「OTFの真名を呼ぶとは、やはり彼女こそ、選ばれし巫女」

「ひそねとまそたん」第2話『ドラゴンの名前はまそたんにします』の感想・考察

貝崎名緒は柿保令美に、自分の保護者のような感情を持っているのではないでしょうか。どうやら母親のいない貝崎にとって、一番身近な女性である柿保は、母親とまではいかなくとも姉のような存在だという感覚を、彼女は無意識に抱いていてもおかしくはありません。パイロットとしての将来を脅かされる不安や、それにより自分の居場所がなくなりそうで追いつめられていることを、誰かに聞いてもらいたい。その相手が、もしかしたら柿保だったのかもしれません。ですが柿保は、彼女を指導していかなければならない立場上、どうしても硬い態度で接します。試作スーツに細工しようとしことが柿保にばれたとき、自分の気持ちを打ち明ける機会でした。しかし事務的な口調で対応され、逃げ場を失ってしまいます。
基地へ戻った貝崎に柿保が漏らした 「気持ちは分かります。わたしも昔は、あなたと同じだった。頑張りなさい」 という言葉で、自分はずっと理解され見守られていたのだということに気付くのです。

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