零~刺青の聲~(Fatal Frame III)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『零~刺青の聲~』とは、「零」シリーズの第3作目で、2005年にテクモよりプレイステーション2用ソフトとして発売された和風ホラーゲームである。
徐々に眠りから覚めなくなっていくという呪いを解く為に、除霊能力を持つカメラ「射影機」を使って、夢の中の幽霊屋敷と現実世界を行き来しながら謎を解いていくという内容になっている。
シリーズ1作目、2作目の主人公達も登場し、彼女達のその後の様子が知れるところも見どころだ。

明神村に住む母娘で、行方不明になった夫を探し毎日のように山中を捜し歩いていた。
実際には娘の梢が原因で父は崖から転落死してしまったのだが、娘が咄嗟に父は失踪してしまったと嘘を吐いた為に蒔絵は夫を捜し回ることになる。最終的には夫への想いから二人は眠りの家へと引き込まれてしまい、失踪してしまう。

浅沼切子(あさぬま きりこ)

強盗に襲われた際に、両親によって押し入れに隠されたおかげで助かった女性。しかし、他の家族は全員殺されてしまっており、後に眠りの家に引き込まれてしまう。
「四つん這いの女」という怨霊として、プレイヤーの動きが鈍る低い天井の屋根裏や軒下に現れる。

麻生邦彦(あそう くにひこ)

作中には登場しないものの、作中にて重要なアイテムとなる射影機や霊石ラジオの開発者。『零~紅い蝶~』の主人公天倉姉妹の遠い先祖であり、『零~zero~』の舞台となった氷室邸にも訪れた経験があるなど、シリーズでは常に重要な立ち位置に居る人物。
異界(黄泉の国)研究の第一人者として今作でも彼の手記や研究書が登場し、呪いを解く為の重要な資料となる。

『零~刺青の聲~』の用語

久世の宮

地下に海に見えるほどの巨大な地下水脈を持つ、山間にある屋敷。文献では神社とも言われており、その奥には大切な人を失った人々が疼ぎを納める社があった。
地下水脈はあの世とこの世の間である「常世海」と呼ばれており、同じくあの世とこの世の間とされる悪夢を見続けることでこの常世海が荒れる為に、人々の疼ぎを一人の巫女に肩代わりさせ眠らせる一連の儀式を行う事で常世海を鎮めて来た。しかし、最後の刺青の巫女「久世零華」があの世から放たれる瘴気「狭間」を広げてしまう「破戒」を起こしてしまった為に、最終的には屋敷に居た人々は皆死に絶え、久世の屋敷は朽ち、幽霊屋敷と噂される廃墟になってしまった。
都市伝説になっている「眠りの家」の舞台であり、眠りの家の呪いの正体は自身が受けた痛みを他者にも味わわせようとする久世零華の呪いだった。

刺魂ノ儀

夢は此岸と彼岸が繋がる場所であり、親しい人を失くした事による悪夢を見続けると死者が黄泉返ってしまうという伝承があった。その為、人々の親しい人が死んだ痛み(疼ぎ)を一人の巫女の肌に刺青として刻み、肩代わりさせることで悪夢を見ないようにさせるという儀式だった。
巫女は自身もまた疼ぎを持った身寄りのない女性が付近の村から選ばれる。外への想いは断ち切るように言われ、一度刺青が刻まれればもう屋敷の外には出ることができなくなる。

戒ノ儀

刺魂ノ儀によって全身に刺青を刻まれた巫女を眠らせる為に、四人の鎮女が巫女の四肢をそれぞれ杭で地面に打ち付ける儀式。これによって巫女は眠りに就き、此岸と彼岸の狭間である常世海を鎮めることができる。

鎮女

刺青の巫女の四肢を打ち付ける「戒ノ儀」を主に行う四人組の少女。全員が久世姓を名乗るものの実の姉妹では無く、巫女を穿つ役目を終えた後生家に帰ることになっている。また、巫女の身の周りの世話も行う。

眠り巫女

眠りの家の中で聞こえる、鎮女によって歌われる子守唄である。
宗教儀式に使われていた唄が子守唄に変わるに当たって、子供を脅して眠らせるおどし歌になったのではないかと作中では言われている。第三節は終盤にて発見され、第二節までのおどし唄と違った悲し気な印象から、弔い唄のようであるとも言われる。
実際この唄は眠りの家の中で行われていた儀式を表す内容であり、刺青の巫女に掛けられた呪いを解く重要な鍵になった。

『ねいりゃさよ はたて
ねいりゃさよ はたて
なくこは かごぶね ついのみち
いちわらきざんで おんめかし
ねいりゃせな さかみはぎ

ねいりゃさよ はたて
ねいりゃさよ はたて
みこさん あわいに おきつけば
しせいぎ うがつて いみいのぎ
くもん ひらいて やすからず

ゆきなさよ はたて
ゆきなさよ はたて
ゆきぶね ゆらして はたて
このきし ひらいて はたて
ろうろう みわたり かのきしに
しせい わたして なくが てあげ』

氷室邸

『零~zero~』の舞台。深紅が眠りの家に招かれた為か、もしくは元からそのような構造であったのか、眠りの家の一部は氷室邸に非常に酷似している。
地下に黄泉の世界への門が存在しており、昔から氷室家はその門を封じる為に残酷な儀式を行って来た。それは、幼い頃に決められた一人の巫女を長いこと世俗から引き離し世界への未練を無くさせた後、巫女の五肢に縄を括り八つ裂きにし、その縄を使って作られた注連縄で門を封じるという物である。しかし、巫女がある男性に恋心を抱いてしまったことを知った氷室家の当主は、その男性を巫女から無理矢理に引き離してしまい、巫女は世界へ未練を持ったままに儀式を行う。結果として、黄泉の門は開いてしまい、溢れ出した瘴気に包まれ氷室家は途絶えてしまった。

雛咲家は、黄泉の門が開いてしまった後に研究の為にやって来た民俗学者「宗方良蔵」の血縁であり、血によって深紅や真冬は氷室邸へと導かれてしまった。先に氷室邸から帰ってこなくなった真冬を探しに、深紅は氷室邸に訪れた。そして、彼女によって屋敷に満ちていた瘴気は抑えられ、氷室家の最後の巫女が自身の役目を思い出した為に再び門は閉じられた。しかし、その際巫女の今後の苦しみを憂いた真冬は巫女と共に屋敷に残ることを決める。
この真冬の決定によって、深紅は一人生き残ってしまったと感じるようになり眠りの家に誘われてしまう。

皆神村

『零~紅い蝶~』の舞台。澪が眠りの家に招かれた為か、もしくは元からそのような構造であったのか、眠りの家の一部は皆神村に非常に酷似している。
地下には黄泉の世界に繋がる巨大な穴「虚」が存在しており、その中にある闇を鎮める為にある儀式が行われ続けて来た。それは、皆神村では高い確率で産まれる双子の姉が妹を殺し、その死体を虚に投げ込むことで完了する儀式だった。
しかし、その残酷な儀式に疑問を持ったある双子が村からの脱走を画策し、その結果儀式は失敗する。皆神村は虚から噴き出した瘴気「闇」に包まれ「地図から消えた村」として姿を消し、時折付近の森にやって来た人を神隠ししてしまうようになった。

双子の姉妹であった澪と繭もこの皆神村に神隠しをされてしまい、二人で脱出を試みる。しかし、儀式を失敗させた最後の双子の境遇が澪と繭の境遇と酷似していた為に、二人はその儀式を成功させるように言う皆神村の霊達に襲われることになる。さらに、繭は澪に対して姉妹以上の感情を抱いており、いつか離れてしまうならば儀式をしたいと言い、澪は繭の言葉に従い儀式を成功させる。
村は闇から解放され澪は無事に皆神村から脱出することは出来たものの、自身の手で姉を殺してしまったことは深いトラウマとなり、澪は眠りの家へと誘われてしまうのだった。

射影機

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