ASIA(エイジア)とは【徹底解説まとめ】

ASIAとは、イングランド出身のプログレッシヴ・ロックバンド。1982年の結成時よりメンバーは別バンドでの実績があった事もあり、そのデビューはセンセーショナルなものであった。後に80年代を代表する「スーパーグループ」として知られるようになる。ヴォーカル&ベーシストのジョン・ウェットンを中心とし、ドラマティックで清々しいポップなサウンドが特徴。展開のある楽曲は「3分間のドラマ」とも呼ばれる程、ストーリー性に富んでいる。メロディアスで美しいサウンドにファンも多い正統派バンド。

1989年、ジョン・ウェットン(Vo、B)が脱退したエイジアはジェフ・ダウンズ(key)の主導体制になり、後任としてジョン・ペインを迎えての編成で活動していた。
しかし2006年4月、ダウンズはペインらとのパートナーシップを解消する旨を発表。オリジナル・ラインナップ(ウェットン、ダウンズ、ハウ、パーマー)でのアルバム制作・コンサートツアーを実施する方向であることも正式に発表された。
こうして、ペイン、ガスリー・ゴーヴァン、ジェイ・シェレンら現行のメンバーは解消され、離脱を余儀なくされてしまった。

その後3人は、日本のキーボーディスト・奥本亮(スポックス・ビアード、元クリエイション)を加え、新ユニット「GPS (バンド名は三人のイニシャル・アナグラム)」を結成し、同年にアルバム『Window to the Soul』を発表。ペイン体制下で制作でエイジアの新作としてリリースする予定であったニューアルバム『ARCHITECT OF TIME』はリリースが中止になった為、この楽曲を同アルバムに使用している。

2007年、ペインとゴーヴァンはプロモーションを兼ねて来日。その後エイジア・オリジナルメンバーの合意を得て、「初期から現在までの全ての曲」を演奏するエイジアのトリビュートバンド「エイジア featuring ジョン・ペイン」を結成した。同年にライブアルバム『Extended Versions』(2012年「Risen Sun」のタイトルで再発)を発表する。

その後、2009年のツアーでは、ギタリストがミッチ・ペリー、キーボードがエリック・ノーランダーとなり、2012年にはギタリストがジェフレイ・コールマンに交代した。
2014年にカヴァーアルバム「Recollections: A Tribute to British Prog」を発表。またノーランダーに替わり、「GPS」の同僚だった奥本亮(Ryo Okumoto)が加入。
もう一つのエイジアとして、エイジアメンバーも公認するバンドとなっている。

ASIAの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

聖飢魔ⅡによるHeat of the Moment

デーモン閣下が敬愛するヴォーカリストの一人としてジョン・ウェットンを挙げている。
また、聖飢魔Ⅱのドラマー:ライデン湯澤、ベーシスト:ゼノン石川によるユニットRXでは、ジョン・ウェットンとのコラボライヴも行うなど、悪魔のバンドでありながら、エイジアとは意外にも縁の深い間柄である。

キース・エマーソンを呼んで来い!

ドラマーであるカール・パーマーは、エイジア結成以前、キース・エマーソン(key)、グレッグ・レイク(Vo.B)らと「エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)」での活動で成功を収めていた。このバンドはエイジア結成前の1980年に解散を迎えていた。
1983年の初来日ツアー前に、ヴォーカル兼ベーシストのジョン・ウェットンはアルコール中毒になっていたという理由で解雇され、後任としてベテランプレイヤーの元ELPのグレッグ・レイクが招集された。エイジアの曲のほとんどを作曲し、バンドの中心人物であったジェフ・ダウンズ(key)はバンドの中でもリーダー的な存在になっていたが、レイクはキャリアの浅いジェフ・ダウンズの態度が大きかった為か激昂。
「キース・エマーソンを呼んで来い!」と叫んだという噂があった。

実現すればエイジア内で、ELPの復活となる展開であったが、メインのソングライターでもあるジェフ・ダウンズを解雇するわけにもいかず、結局はグレッグ・レイクが脱退する事となった。

伝説の武道館公演

1983年、MTVの企画で、同年12月7日の日本武道館公演の模様をアメリカに衛星生中継するイベント『ASIA in ASIA』が行われ、「武道館から初の衛星生中継!ASIA in ASIA 独占生中継」としてライヴの一部が生中継で放送されていた。

日本の三重県志摩市のヤマハの合歓の郷で1ヶ月に渡るリハーサルが行なわれたが、歌詞を覚えられなかったレイクはツアー中、テレプロンプターのモニターに表示される歌詞を見ながら歌うことになった。レイクの声域の方がウェットンより低く、楽曲のキーを半音下げるなど苦労し、ぎくしゃくとした演奏形態になってしまったものの、来日公演は無事に終了した。
武道館におけるカタカナ縦書きの垂れ幕「エイジア」が、“日本”を演出した全米向けのライヴだったことを伺わせ、また、80年代という時代背景を象徴する映像となっている。

Asia - Heat Of The Moment (Live Asia in Asia)

ASIAの代表曲

Heat of the Moment

1982年にゲフィン・レコードより発売。エイジアのデビューアルバムである『詠時感〜時へのロマン』(エイジア〜ときへのロマン、原題:Asia)からのシングルカット。
パワーコードから始まるイントロ、伸びやかで透明感のあるジョン・ウェットンのヴォーカルが印象的なAsiaを代表する楽曲である。全米シングルチャートトップ100に4位でランクインするヒットとなった。

Don't Cry

1983年に発表されたエイジアのセカンド・アルバム「アルファ(Alpha)」からのシングルカット。
「強者(エイジア)たちは再び瞬間(とき)を刻む 卓越したスーパ・ニュー・シングル到着!」というキャッチコピーのこの曲は、ポップでキャッチー、そしてドラマティック、と“Asia”色満載の楽曲。
渡辺美里のデビュー曲はケニーロギンスのカバー曲「I’m Free」(フットルースのサントラ曲)であったが、そのカップリング(B面)が「Don't Cry」(放題「タフな気持ちで」)で、日本語カバーであった。

Sole Survivor

1stアルバムに収録。荘厳なイントロに始まり、変拍子、間奏部の壮大なスケール感等々、ドラマティックな印象的の楽曲。邦題は「孤独のサヴァイヴァー」。
ワウペダルのギター音が、力強くも物悲しさを醸し出す抒情的な曲。

ASIAの関連サイト

originalasia.com

www.johnwetton.com

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