ウォッチメン(Watchmen)のネタバレ解説まとめ

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『ウォッチメン』とは、映像化不可能と言われたアメリカン・コミックを、「300/スリーハンドレッド」のザック・スナイダー監督が実写映画化した作品。かつてはスーパー・ヒーローだった男が何者かに殺され、彼の仲間だったヒーロー達が真相を突き止めようとする謎解きミステリー要素の強い2009年製作の異色ヒーロー・ドラマ。日本では映倫によりR-15指定を受けた。

『ウォッチメン』の概要

『ウォッチメン』とは、DCコミックスが1986年から1987年まで出版した、アラン・ムーア原作&デイブ・ギボンズ画によるアメリカン・コミック、及びその映像作品。優れたSFやファンタジー作品に贈られるヒューゴー賞をコミックとして唯一受賞したもので、コミックのアカデミー賞と言われるアイズナー賞も受賞し、2005年には「タイム」誌によって1923年以降に発表された長編小説ベスト100にも選出された。
単純明快なヒーロー・ストーリーではなく、様々な人間ドラマを含んだ重層的なストーリー展開は、個性派の映画監督の興味を引き、「未来世紀ブラジル」のテリー・ギリアムをはじめ、「π」で注目され「レクイエム・フォー・ドリーム」「ブラック・スワン」を撮ったダーレン・アロノフスキー、「ボーン・スプレマシー」のポール・グリーングラスなどが監督候補にあがったが実現には至らなかった。
原作者アラン・ムーア自身も「ウォッチメン」の実写化は無理だと考えていたそうで、監督を切望していたテリー・ギリアムが彼に接触したときに「映画化できる作品ではないと思う」と語った。
そして、フランク・ミラー原作のグラフィック・ノベル「300/スリーハンドレッド」を撮ったザック・スナイダーが映画会社から声をかけられ、数週間の考慮の末に監督を引き受けることとなった。
出演は、「ライラにお手あげ」「ロック・オブ・エイジズ」のスウェーデン出身の女優マリン・アッカーマン、「エルム街の悪夢」リメイク版でフレディ・クルーガーを演じたジャッキー・アール・ヘイリー、「ビッグ・フィッシュ」「M:I:Ⅲ」に出演し「もののけ姫」映画版でアシタカの声を担当したビリー・クラダップ、「オペラ座の怪人」「死霊館」のパトリック・ウイルソン、「マッチポイント」「イミテーション・ゲーム」のマシュー・グード、「グレイス・アナトミー」「スーパーナチュラル」など人気テレビ・シリーズのゲスト出演で日本でも知られるようになったジェフリー・ディーン・モーガン。
当初は、出演者にロビン・ウィリアムズ、ジェシカ・アルバ、ケヴィン・コスナー、ジュード・ロウ、トム・クルーズなど大物スターの名があがっていたらしい。

映画には、実際に起きた事件や実在の人物が登場している。リチャード・ニクソン、ヘンリー・キッシンジャー、アンディ・ウォーホルなど有名人物はリアリティを重視して本人にソックリな役者を集め、特殊メイクやCG処理を施して出演。アインシュタインやアドルフ・ヒトラー、ジョン・レノン等が登場するシーンも撮られたが最終編集でカットされた。

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ウォッチメンのメンバー、二代目ナイトオウルをモチーフにした作品を前にするアンディ・ウォーホル。

『ウォッチメン』のあらすじ・ストーリー

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激闘の末、何者かによって窓から突き落とされ絶命したコメディアン。

1985年10月。アメリカとソ連の冷戦が続いている中、ソ連がベーリング海で核実験を行い、それを受けてアメリカのニクソン大統領は「合衆国は戦争を始めるつもりはない。我々が軍事力を維持するのは平和維持のためだ。アメリカを攻撃することで得られる結果は、敵対国家(ソ連)の得になるのかどうか自問するべきだ」とテレビ演説で述べ、ソ連に警告を発した。両国の行動を受け、原子力の行使を監視する科学者たちのグループは核時計の針を午前0時5分前まで進めた。この針が午前0時になると、核戦争で世界は破滅すると言われているとテレビ・キャスターは述べた。

そのニュースを、アメリカの自警団・ウォッチメンのメンバーだったコメディアンことエドワード・ブレイクが自室で一人で見ていたが、突然ドアが蹴破られ彼は何者かに襲われた。
「いずれ来ると思っていたよ」と相手に言葉を投げかけ向かって行ったが、激闘の末にエドワードは抱え上げられ窓を突き破って投げ落とされ絶命した。

1930年代、アメリカの各地にマスクとコスチュームで身を隠し犯罪者と戦うヒーロー達が出現した。彼らはいつしか一堂に集結し「ミニッツメン」という自警団を作り、犯罪者を相手にするだけでなく政府公認の組織として第二次世界大戦でも活躍した。
その後、ミニッツメンのメンバーは様々な事情で消えていき、数十年後、第2世代のスーパーヒーローとして「ウォッチメン」が誕生した。政府は、彼らをベトナム戦争、ジョン・F・ケネディ暗殺、アポロ11号月面着陸などの歴史的事件に関与させていったが、1980年代、ウォッチメンの行き過ぎた行動に市民が反感を抱き、ニクソン大統領は1977年にキーン条例を制定し、覆面着用者の自警活動を禁止した。
禁止後も、政府に活動を認可されたDr.マンハッタンことジョン・オスターマンや政府の諜報員となったコメディアンは活躍を続けた。

ミニッツメンに在籍しウォッチメンでも活動を続けた古株のコメディアンの死に不審を抱いたロールシャッハことウォルター・コバックスは、独自に調査を始めた。
ウォッチメンのメンバーだった彼は、キーン条例の発令以降もそれを拒絶し、スーパーヒーローとして覆面を被り悪党狩りを行っていた。
また彼は、世の中を憂い、いつも身の回りの出来事を日誌にしたためていた。
事件現場で、コメディアンのトレードマークであった血の付いたスマイルマークの缶バッジを目にしたロールシャッハは、これは何者かによるヒーロー狩りではないかと推測し、引退したウォッチメンのメンバー達に警告することにした。

ロールシャッハが最初に訪れたのは、2代目ナイトオウルことダニエル・ドライバー。
その日ダニエルは、自動車修理工場を営んでいる初代ナイトオウルことホリス・メイソンをご機嫌伺いに立ち寄り帰ってきたところだったが、久しぶりに彼の前に現れたロールシャッハに少々驚いた。
ロールシャッハがヒーロー狩りの話をするが、ダニエルはコメディアンは政府の諜報員の仕事をしていたし周りに敵も多かったから、大方そのうちの誰かに殺されたんだろうと受け流した。
だが少し気になったダニエルは、ウォッチメンのメンバーのオジマンディアスことエイドリアン・ヴェイトの会社に赴いた。
メンバーの中で“世界一賢い男”と呼ばれたエイドリアンは、自分の素顔と実名を世間に公表し、様々な事業に手を出して成功し莫大な資産を手にしていた。
今は、メンバーだったDr.マンハッタンことジョン・オスターマンとの共同研究に資金を提供し、安くて再生可能なエネルギーの開発を進めていた。
そして、無限のエネルギーが開発されたら戦争はなくなるだろうとマスコミの記者に語っていた。
ダニエルはエイドリアンにヒーロー狩りの話をするが、「それよりほかに心配すべきことがある。それはソ連の核爆弾のことだ。爆弾を発射されたらアメリカとソ連が全面戦争に突入し地球は破壊されるだろう」と語り、彼の警告に耳を傾けることはなかった。

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Dr.マンハッタンとシルク・スペクターに警告しにやってきたロールシャッハ。

ロールシャッハは、ロックフェラー軍事研究所にいる元ウォッチメン・メンバーのDr.マンハッタンことジョン・オスターマンとシルク・スペクターII世ことローリー・ジュピターに会いに行った。二人にも警告するためだ。
Dr.マンハッタンは元は名の知れた物理学者だったが、実験中にレーザー核融合炉内で事故にあってしまい、青光りする不死身の超人に生まれ変わったヒーローである。原子を操作できる強大な力があり、様々な特殊能力を備えている。また、その恐るべき能力からソ連の核攻撃に対する“歩く抑止力”とも言われていた。
ローリー(シルク・スペクターII世)は、ミニッツメンのメンバーだった初代シルク・スペクターの娘で、Dr.マンハッタンの恋人であり基地内で同棲しているが、最近は互いの気持ちが噛み合わなくなっていた。
二人の前に現れたロールシャッハの話に耳も貸さず、Dr.マンハッタンはテレポート能力を使って研究所の外に彼を空間移動させて追い出してしまった。
Dr.マンハッタンはエイドリアンとの共同開発の仕事に余念がなく、ローリーは気を紛らわせようとダニエルと久しぶりに会うことにした。
ウォッチメン・メンバーとして共に活躍した彼とは気心が知れており、穏健で聞き上手だし、いい相談相手になってくれると思ったからだ。
レストランで再会したダニエルにローリーは、「ジョンが、自分が何か手を打たないと近いうちに核戦争が起きると話すんだけど、私にはよく判らない。彼が見ている宇宙も理解不可能で、彼が私からどんどん遠くなり離れていくみたい。私を大事にしてるのかも分からない」と悩みを打ち明ける。

コメディアンことエドワードの葬儀が行われ、元メンバー達が墓の前に参列した。
メンバー達が去った後に一人の老人が現れ、エドワードの墓で黙祷を捧げた。
彼は、かってウォッチメンの宿敵であったモーロックことマイク・カーペンターだった。
マイクが自分のアパートに戻ると、コメディアンの宿敵だった彼が墓で黙祷を捧げたのを不審に思ったロールシャッハが、その理由を問いただそうと待ち構えていた。
マイクは、数日前にコメディアンが真夜中に突然マスクを外して部屋に入ってきたと言った。
そしてコメディアンが泣きながら「俺は酷いことをいっぱいしてきた。しかしあれは“戦争”でのことだ。でも、こんな酷い事を俺はしたことがねぇ」と言って部屋を後にしたと。
粗暴な振る舞いが多いコメディアンが泣いたと聞いてロールシャッハは驚くが、コメディアンの言った酷い事とは何なのか全く見当がつかなかった。

Dr.マンハッタンは、エイドリアンとの研究に没頭するあまりローリーとのセックスに自分の分身を使い、それに怒った彼女はとうとう彼に別れを告げて研究所から出て行った。
元ウォッチメンのメンバー以外に知り合いのいなかった彼女はダニエルの住まいを訪れ、彼は快く彼女を受け入れた。
Dr.マンハッタンは、テレビの公開討論番組に出演するため局に赴いた。
スタジオで討論が始まると、参加した男が「Dr.マンハッタンと親しかった者や彼と関わりを持った者は皆ガンを発病したが、原因はあなたにあるのではないですか」と言い出した。
Dr.マンハッタンは、それを否定したが、彼がまだ普通の人間だった頃の元恋人ジェイニー・スレイターがスタジオに現れた。彼女もガンに冒され余命半年の命だった。
そして「あなたにすべてを捧げたのに、こんな仕打ちをされた。酷い人だわ。地獄に落ちるといいわ」と彼に怒りをぶつけた。
初めて知った事実に心が激しく搔き乱されたDr.マンハッタンは、そのショックから火星へとテレポートしてしまった。

同じ頃、初代ナイトオウルのホリスのところへダニエルとローリーは向かっていたが、途中でならず者の集団に襲われた。
だが、彼らを片っ端から倒しまくり、忘れかけていたヒーローだった頃の気持ちが久しぶりに甦ってきたように二人は思った。

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元恋人が自分のせいでガンに冒されたと知り、そのショックから火星にテレポートしてしまったDr.マンハッタン。

Dr.マンハッタンが地球から消えたことを知ったソ連は、アフガニスタンへの侵攻に乗り出した。
原子を操作できる強大な力を持ち、核攻撃に対する“歩く抑止力”とも言われる彼が消えたことで抑止する存在がなくなったからだ。
米ソの緊張状態がより強まる中、ニクソン大統領は、Dr.マンハッタンが戻ってこなければデフコン2(最高度に準じる防衛準備状態)を発令すると対策会議で発言し、核戦争による世界壊滅の危機が現実味を帯びだした。

そんな時、エイドリアンのオフィスに宅配業者を装った暗殺者が現れ、彼に向けて発砲した。
エイドリアンは素早い動きで相手を取り押さえたが、暗殺者は毒入りカプセルを飲んで自殺した。
エイドリアンが襲われたことを知ったダニエルは、やはり組織的なヒーロー狩りが行われていると思い、ローリーにそのことを話した。そして、彼女の身を心配して自分のところで一緒に暮らさないかと提案すると、彼女も快く応じた。

エイドリアンを襲った暗殺者のことを調べたロールシャッハは、暗殺者がピラミッド宅配業者になりすましていたのを知り、同じ宅配業者の郵便物がマイクの部屋にもあったことを思い出し、再び彼の部屋に忍び込んだ。
だが、マイクは頭を打ち抜かれて死んでいた。驚いたのもつかの間、部屋の周囲は警察官達に取り囲まれていた。
ロールシャッハは警官達を相手に大暴れしたが、多勢に無勢であえなく取り押さえられ、殺人の濡れ衣を着せられて投獄された。そして、マスクを奪われ実名を公表されてしまった。
刑務所には、ロールシャッハことウォルターによって逮捕され恨みを持つ囚人たちがウヨウヨおり、ビック・フィギュアもその一人だった。
ビッグ・フィギュアは「絶対にお前をなぶり殺しにしてやる」とウォルターに脅しをかけたが、彼は全く気にも留めなかった。

ダニエルとローリーは徐々に親密になっていったが、一線を越えるまでには至らなかった。
ダニエルは、ならず者達をやっつけた時に自分の中にヒーロー意識がまだくすぶっていたと自覚し、ヒーロー狩りや核戦争の危機に怯えることに疲れたと、再びヒーローになる決意をする。ローリーも彼と同じ気持ちだと言い、二人はヒーロー・コスチュームに身を包みダニエルの作った万能飛行マシーン『アーチー』に乗り込んだ。
警察の無線情報をキャッチし、火災現場で逃げ遅れた住人達を無事救出し、ローリーは炎に包まれる寸前でアーチーに乗り移ることが出来た。
久しぶりに人助けしたことで互いの気分が高まったのか、マシーンの中で二人はコスチュームを脱ぎ捨て、抱き合い初めて愛し合った。
事が終わると、ウォルターが投獄されている刑務所に向かった。彼を脱獄させるためだ。
ダニエルは、ウォルターは誰かにハメられたんじゃなかと推測し、Dr.マンハッタンのせいで彼と近しい者が次々ガンを患ったのも腑に落ちないと考えていた。
刑務所では、ウォルターに嫌がらせをした囚人に彼が調理場の煮えたぎる油をかけて大やけどさせ、その囚人が死んでしまったことで暴動が起きていた。
所内に降り立ったダニエルとローリーは、囚人をなぎ倒しながらウォルターを探した。
ロールシャッハは、自分に復讐しようとしたビッグ・フィギュアを逆に亡き者にし、マスクを取り戻して二人の前に姿を見せた。
三人がアーチーに乗りダニエルの家に戻ると、火星にいるはずのDr.マンハッタンが現れた。

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ロールシャッハを救出するため刑務所内で大暴れするシルク・スペクターII世ことローリーと2代目ナイトオウルことダニエル。

Dr.マンハッタンは、「ここで君と話すことになっている。世界を救えと君は私を説得する」とローリーに語り、彼女を火星にテレポートしてしまった。
Dr.マンハッタンには、未来を見通せる能力もあり、自分の見た未来の通りに彼女を火星に連れてきたのだ。
ローリーは「アナタの力で戦争を止めさせて」とDr.マンハッタンに訴えるが、彼は「宇宙規模では取るに足らない事だ。人間は生命という存在を過大評価している。もう人類に興味を持っていない」と語り、火星に新たな理想郷を作ろうとしていた。
そして、「私の見た未来では、この会話は“君の涙”で終わる」と言い、“ローリーの涙”の理由を探るために、Dr.マンハッタンは自分の能力を使って彼女に過去の記憶の世界を辿らせようとした。
Dr.マンハッタンは、どんな未来も見通せる能力を持っていたが、今は何かが邪魔をして断片的にしか見通すことが出来なかった。わずかに見えた未来の出来事のひとつが“ローリーの涙”だったのだ。
ローリーは記憶の世界の中で、自分の父親がコメディアンことエドワードだったことに初めて気付く。母の初代シルク・スペクターことサリーは彼にレイプされかかったことがあったが、その時はミニッツメンのメンバーに助けられ事なきを得た。だが、その後に一度だけ彼と過ちを犯してしまい誕生したのが彼女だったのだ。なぜ、好きでもないエドワードを受け入れたのかは、サリー自身も気が緩んで欲望に負けてしまったとしか言えず、それを深く悔いて娘にも秘密にしていた。
ローリーは、自分の実の父がエドワードだったと分かり、母が忌み嫌っていた彼が父親のはずはないと混乱して泣き叫び、涙を流した。彼女の泣き崩れる姿を見たDr.マンハッタンは「これはカオスの中から生まれる生命の奇跡だ」となぜか感動し、生命の誕生に対する自分の考えが間違っていたと謝った。そして、それに気づかせてくれた彼女と共に地球に戻ることにした。

ダニエルとロールシャッハは、ピラミッド宅配社が今度の事件に関連があると考え捜査を始めた。酒場でピラミッド宅配社のことを知る男を締め上げると、エイドリアンを襲った男は前科者で、彼に連絡を取ったのがDr.マンハッタンの元恋人だったジェイニー・スレイターだと分かる。
エイドリアンに相談しようと彼のオフィスに行くが、彼は留守にしていた。ダニエル達は、勝手にパソコン・データや資料を調べ、エイドリアンの会社の子会社がピラミッド宅配社だと知る。それだけでなく、「Dr.マンハッタン計画」という名目のファイルもあった。
これまでの事件の黒幕がエイドリアンだと確信したダニエル達は、彼の研究施設がある南極に向かった。

凍てついた氷原の中にピラミッドを模して造られた大きな研究施設はあった。
ダニエルとロールシャッハが施設内に潜入すると、オジマンディアスのコスチュームをまとったエイドリアンが待ち構えていた。
ダニエル達がエイドリアンに向かっていったが、エイドリアンは素早い動きで二人の攻撃をあっさりとかわした。
ダニエルが「エイドリアン、全部知っているんだぞ」と言い、ロールシャッハが「コメディアンを殺しただろ」と声をあげると、エイドリアンは自分の計画を話し出した。

その計画とは、世界に安くて再生可能なエネルギーを供給するという目的でDr.マンハッタンに研究させていたシステムを完成させ、その爆発力の強いエネルギーを使って世界各国の主要都市を破壊しようとするものだった。
そうすることで、アメリカとソ連の二大国家以上の力を持つ驚異的な存在を知らしめ、米ソが冷戦を止めて“共通の敵”と戦うために手を組み、核戦争を回避するというものだった。
コメディアンはニクソンの指示でエイドリアン達を監視していたが、彼の計画に気づたので殺したんだと白状した。
エイドリアンは次に、光よりも早い超高速で移動するタキオン粒子の開発に大金を投じ、そのタキオンを使ってDr.マンハッタンの未来透視能力を妨害した。自分の計画が彼に知られないためだ。そして、驚異的な存在のDr.マンハッタンを排除するために、彼のせいで周囲の人間がガンになったと信じ込ませ、自責の念から地球を去らせようと目論んだ。
エイドリアンの暗殺未遂事件も、彼の自作自演で、暗殺者が毒を飲んだと見せかけて実は彼が飲ませたものだった。
事件を追うロールシャッハが邪魔で、警察に密告して監獄に送り込んだのもエイドリアンだった。

エイドリアンの話を聞いたダニエル達は、大都市破壊を阻止しようとしたが、時すでに遅く、エイドリアンは「君たちが来る35分前に起爆装置を起動させた」と冷たく言った。
そしてエイドリアンの言葉通り、ニューヨーク、モスクワなど世界の主要都市が瞬く間に吹っ飛び1500万人が犠牲となった。

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ダニエル達の前で、自分の恐ろしい計画を語るオジマンディアスことエイドリアン。

ローリーと共に地球に戻ってきたDr.マンハッタンは、破壊されたニューヨークの街に立ちつくした。
現状を見て、この破壊は自分が研究していたエネルギーをエイドリアンが使って引き起こしたものだと気付き、彼はローリーと共に南極にテレポートした。
Dr.マンハッタンはエイドリアンに問い詰めようとしたが、エイドリアンは細胞レベルで肉体を微細に分解してしまう物体除去マシンを使い、追ってきた彼の体を木っ端微塵にした。
だが、肉体再構築の能力を持つDr.マンハッタンには全く効果がなく、巨大化した彼はエイドリアンに迫った。
その時、エイドリアンはテレビモニターのスイッチを入れた。
画面にはニクソン大統領が映り、「この非道な行いをしたのはDr.マンハッタンです。彼の攻撃以来、私はソ連の首相と密に連絡を取り合い、過去の対立は忘れて、共通の敵に対抗するため米ソは手を結んだ」と語った。
核戦争の危機が回避され、エイドリアンの計画は成功したのだ。

エイドリアンの計画は許し難いと思いながらも、Dr.マンハッタンは沈黙を守ることにした。計画を暴露すれば、世界は再び核戦争に向かうからである。
ダニエルやローリーも仕方なく同意した。
だが、ロールシャッハだけは、こんなのヒーローのすることじゃないと反発した。「俺は妥協しない。世間に公表してやる」と言い捨て施設を飛び出したが、Dr.マンハッタンが立ちはだかった。
ロールシャッハが「止めたければ俺を殺せ」と叫ぶと、Dr.マンハッタンは一瞬ためらったが彼を殺害した。そして、Dr.マンハッタンはローリーと別れのキスを交わすと銀河の外へと去っていった。
ロールシャッハの死に怒ったダニエルは、エイドリアンを殴りつけたが彼は何の抵抗もしなかった。エイドリアンは「世界は平和になった。犠牲はつきものだ」と冷静に語るだけだった。

その後、ダニエルとローリーは一緒に住み穏やかな生活を始めた。
ローリーの母サリーが訪ねてきた時、彼女は母に「私の父がエドガー・ブレイクだと知っている」と告げると、母は少し狼狽えたが「なぜ私が彼を恨まないかわかる。あなたを授けてくれたから」と言った。その言葉にローリーは「愛してる」と母を抱きしめた。

その頃、世界が平和になり大きな事件が起こらなくなってネタ不足に困っていた小さな新聞社で、若い記者がロールシャッハが生前に郵送してきた日誌に目をとめた。
日誌には、コメディアンの死からエイドリアンの計画まで、彼が知った出来事がつぶさに記されていた。
はたして記者は日誌を紐解き、核戦争回避のために大都市の数多くの人間が犠牲になったエイドリアンの恐ろしい計画を白日の下に晒そうとするのか否か、それは誰にも分からなかった。

『ウォッチメン』の登場人物・キャラクター

ジョン・オスターマン/Dr.マンハッタン(演:ビリー・クラダップ、日本語吹替:藤原敬治)

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事故にあう前のジョン・オスターマン

もとはごく普通の物理学者だったが、レーザー核融合炉内で事故にあい、青光りする不死身の超人に生まれ変わったウォッチメンのメンバー。原子を操作できる驚異的な能力がある。また、テレポーションや未来を透視するなど様々な特殊能力を備えている。その驚異的な能力からソ連の核攻撃に対する“歩く抑止力”と言われている。
アメリカ政府はベトナム戦争に彼とコメディアンを投入し、勝利を収めた。キーン条例後は、ロックフェラー軍事研究所でエイドリアンと共同で安くて安全なエネルギー開発の研究に従事している。恋人はメンバーのローリー・ジュピターだか、最近はあまりうまくいっていない。
元恋人だったジェイニーがガンを患ったのは自分のせいだと思い込み、そのショックから自分を火星にテレポートしてしまう。

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ローリー・ジュピター/シルク・スペクターII世(演:マリン・アッカーマン、日本語吹替:甲斐田裕子)

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ウォッチメンでただ一人の女性メンバー。母は、ミニッツメンのメンバーだった初代シルク・スペクターのサリー・ジュピター。
格闘技に優れているが、女性ヒーローに対してあまり執着はなく、愛する母の期待に応えようとメンバーになった。それだけに、キーン条例が施行されてヒーローを卒業できたことに安堵していた。
恋人のDr.マンハッタンことジョンとの関係がギクシャクしていて、久しぶりに会ったダニエルに心が傾いていく。
ダニエルと一緒のときに暴漢に襲われ、相手をコテンパンになぎ倒したことから再びヒーローとしての気持ちが湧き起る。
Dr.マンハッタンに火星にテレポートされた時、自分の記憶の世界を見せられて実の父がコメディアンことエドワードと知り混乱して涙を流すが、それによってDr.マンハッタンの心を動かすことができる。

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ダニエル・ドライバーグ/2代目ナイトオウル(演:パトリック・ウィルソン、日本語吹替:咲野俊介)

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